蒼真side
コツ コツ コツ コツ
床からはそんな軽快な音が二人分聞こえてくる、先ほどアリーナから大歓声が聞こえてきたので長い時間この音ばかり聞こえていた訳ではないが、何故だろう、さっきからこの音ばかりが耳に響く、それが何だか不快で少し顔をしかめていた
「ねぇ、蒼真」
「何だ簪?」
不意に下ばかり向いていた俺の顔を覗き込むようにして簪が顔を出す、その仕草がとても愛らしくて心の中で可愛いと何度も呟いてしまいそうだった、可愛い
「一夏、勝ったかな?」
「相棒は勝ってるよ、あんな奴に勝てないほどヤワな鍛え方はしてないからな」
こう言うのをフラグ発言と言うのだろうか、だが俺の心の中では一夏は絶対に負けないといった確信があった、アイツには才能があった、俺にはない目標に向かってただひたすらに走り続ける才能が
だが、そんな俺の一種の願いはピットに入った瞬間に変わった
「影山くん!!起きてください!!影山くん!!」
「・・・山田くんは救護班を呼んできてくれ・・・この場は私が」
一瞬、俺の視界は真っ白になる、だが担架で運ばれる一夏を見て、色が戻っていった
一番初めは、赤、一夏が運ばれていった担架のシートには赤い液体、血が染み込んでいた、俺はそれが一夏から出ている事に気づくのに時間がかかった
「織斑千冬!!相棒は!?何でああなった!?」
俺は、織斑千冬に迫った、俺の怒号がピットに響く、IS学園に来てから殺気を飛ばす事はあっても腹の底から怒鳴った事は無かった
そんな俺に驚いたのか、織斑千冬は表情を少し暗くした
「秋水が・・・」
「あ”?」
おどおどとした口調で織斑千冬は続けた、それは子供が親に言い訳をするときととても似ていた
「秋水がやったんだ」
「アイツが・・・?」
俺は心底驚いた、やったのはオルコット辺りかと予想していたのだが、秋水?アイツが?少し前、相棒と戦った時は手も足も出なかったハズなのに、何故?
「あんたは?」
「ぇ?」
織斑千冬は弱々しげに呟いた、まるで自分は関係ないとでも言い張る様に
「アンタはどうしてたのかって聞いてんだよ!!織斑千冬!!アンタは教師として"相棒の姉"として!!何かしたのか!?ええ!?」
「私は、山田くんが異常に気づいて、それからーーーーー」
そこからはよく覚えていない、聞き取れなかった、というより、聞きたくなかった、この女は今何て言った?”山田くんが異常に気づいて”?つまりこいつは、試合が始まってからずっと秋水しか見てなかったのか?
様々な思いが俺の心中を掻き乱す、動揺、焦り、憤り、失望、そして、後悔
あの時俺が徘徊せずにそのままピットに残っていたなら、相棒を助けられたかもしれない
そんな様々な思いが俺の脳と心を乱す
「とにかく、次の試合はお前と秋水だ」
今のこの女の発言にまた俺は驚かされる、試合を続ける?重傷者が出ているのに?
教師という役職以前に、今の織斑千冬にはまともな判断ができてはいなかった
「もういい、わかった」
俺は冷たくそう言うと、ピットから出た
秋水side
「アハハハハハ!!!やった!!やったぞ!」
一夏との試合を終え、僕はピットの中で不敵に笑う、僕はただ、嬉しかった、奴が、一夏がもういなくなった、それだけで腹の底から笑いが込み上げ僕の心に張り付いた黒い靄も徐々に晴れていく、その快感の感覚が堪らなく、形容しがたいほどだった
「急所を斬った、サソードの毒も体内に注入した、これでまだ生きているというなら君は”人間じゃない”よ影山君・・・フフフ」
少しの不安をにじませている僕の耳に放送のアナウンスが響いた
「えぇ・・・クラス代表戦は続行となります、ので織斑君と矢車くんは至急準備を始めてください、なお第四試合は10分後からスタートになります、その他の生徒の皆さんは、トイレ休憩や水分補給などをしていてください」
放送の声はまたも山田先生、まったく、姉は何をしているのかと不安になる、大方、一夏の看病だろう
「一夏、また一夏、姉さんは、やっぱり僕を見てくれないんだね・・・」
ひとり呟いた孤独な声は、誰の耳に届くでもなく、空に消えて行った
三人称side
「では、第四試合、始め!!」
オォォォォォォォォォォォ
盛大な歓声とともに第四試合、織斑秋水vs矢車蒼真の試合が始まった
「・・・変身」
[HENSHIN]
[Change Kick Hopper]
先に変身したのは蒼真だった、ホッパーゼクターをバックルに差し込む、六角形の模様が現れ、蒼真はキックホッパーへと変身する
「ッッ!?」
変身を終え、秋水のISの展開を待っていた蒼真だったが、次の瞬間、彼の視線は秋水の右手に集中する
「何で・・・何でテメェが”ソレ”を持ってんだよ!!!」
蒼真が見たのは銀の刀身がギラリと光る紫の刀、サソードゼクターであった
「何故って、簡単さ、君たちを倒すためだよ?矢車蒼真くん、僕は力を手に入れた、何者にも負けない、全てを極める力を」
「そのシステムが、どれだけ危険なモノなのかわかってんのか!?えぇ!?」
「危険?そんなもの百も承知さ僕は君たちに敗れて、地獄を見た、耐え難い程の恥と苦痛を味わった、するとね、囁いてきたんだよ・・・亡霊が、僕はその亡霊たちに魂を売った、自分の魂と引き換えに、力を手に入れた、この力で、君たちを”殺す”」
純粋な殺意、蒼真が感じたのはただその感情一つだった、だが、蒼真にはどうしても引っ掛かるものがあった
「(何故コイツがサソードを?いったい誰が?何のために?まぁ、今はいい・・・)」
「さぁ、始めようか、変身」
[HENSHIN]
[Change Scorpion]
「ッッ!?」
秋水の変身で、蒼真は二度目の驚きを体験した、本来サソードはキックホッパー、パンチホッパーと同じく中間フォームを挟まずに変身する、だが・・・目の前に鎮座するサソードには、重々しい鎧が付けられていた
「どうしたんだい?さっきから、気持ちが乱れているんじゃないかなぁ?フフフ・・・」
「(マズイぞ・・・)」
蒼真は今内心スゴく焦っている、サソードの登場、本来存在しないはずのフォーム、何よりソレの装着者が秋水だと言うこと、これらの要素が蒼真の頭のなかを掻き乱していた
「さぁ、かかってきなよ、愚弟とは違って、僕を楽しませてよ」
「あ”?今テメェ何て言った?」
「聞こえなかったかなぁ?君の"愚かしい弟とは違って楽しませてよ"って言ったんだよ」
秋水はわざと挑発するように蒼真に言った
「貴様・・・!!相棒を!!弟を笑ったなぁ!!」
「そう、それだよ!!僕が求めているのは!!本気の君と殺し会って、君を下す、そして僕が頂点に君臨する!!さぁ!!もっと怒れ!!矢車蒼真!!僕を憎め!!」
「言われなくても殺してやるよ!!」
蒼真が走り、やっと戦い・・・いや”殺し会い”火蓋が切って落とされた、蒼真は秋水の方へ走るが一夏の時と同じく秋水は動かない、全てを受け止めるつもりで鎮座している
蒼真は走った勢いに乗せてドロップキックを秋水の腹に食らわせるが、秋水は微動だにせずに、その程度か、と言わんばかりに手を広げている、蒼真はドロップキックの反動で一回転しサマーソルトキックを秋水の顎に食らわせる、その後も蒼真の渾身の一撃は、徐々に秋水の体を壊していく、極めつけは空中で一回転しそのままの勢いで首筋に食らわせる、秋水は吹っ飛んだが、直ぐにまるでゾンビの様に起き上がった、サソードの体に張り巡らされているチューブの様なモノは衝撃からか亀裂が入り、毒々しい液体が、垂れていた
「ハァ、ハァ、やっぱり一夏とは大違いだよ、アハハハ!!君は僕を楽しませてくれる、最ッ高だ!!今度は・・・僕の番だね、キャストオフ」
[Cast of]
サソードが纏っていた鎧が弾け飛んだ、幸い鉄塊が蒼真に当たることは無かったが、鉄塊が当たった地面はクレーターの様なものができていた、キャストオフした瞬間秋水は蒼真の視界から消えた、蒼真は直ぐにクロックアップだと判断したが、今の蒼真にはクロックアップは使えなかった、何故ならセシリア・オルコットとの試合で既に使ってしまっていたからだ、クロックアップシステムは一定時間の高速移動と引き換えに大量にエネルギーを消費するため、1日に一回程が限界なのだ、その為、蒼真はクロックアップが使えない
自分が切り刻まれていく感覚、腕が、足が、顔が、次々に傷を負っていき、遂には膝を着いてしまった
[Clock Over]
そんな電子音が聞こえると、膝を着いた蒼真の前に秋水は立っていた、そして、その刃で蒼真を仕留めようとしたその時・・・
「制限解除コード、声帯入力、入力コード---The darkness of hell is here(地獄の闇はここにあり)」
蒼真がそう呟くと、キックホッパーの複眼が赤く光る、蒼真の周りには黒い霧が立ちこめ、視界を悪化させる、
「貴様、さっき”僕は地獄を見た”と言ったな」
何処からともなく、蒼真の声がする、恐らくは目の前の霧の中に居るのだろうが、まるでそんな気がしない、まるで空気の一つ一つが蒼真の意思で動いているような、そんな感じだった
「今から貴様に本当の地獄を見せてやる」
霧の中から現れたのは、キックホッパーの形をした、真っ黒な戦士だった
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投稿遅れてホンッットウにすいませんでしたぁぁぁぁ!!!
いやぁね、色々あったんですよ(言い訳)テストとかバイトとかいろいろね、後はモンハンやってたり((殴
さて、ソレでは皆さん、次回もお楽しみに see you