秋水side
「お前に本当の地獄を見せてやる」
矢車はそう言うと僕の目の前から”消えた”これがどれだけ異常なことかわかるだろうか、人間を超えたクロックアップシステムを搭載したこのマスクドライダーシステムは、クロックアップしている相手でもある程度の残像は見える、なのに”何も見えない”それどころか奴の気配も、殺気も微塵と感じない
「(何故!?なんで何も感じない!?生き物である以上は殺気までは隠せたとしても、生気まで感じないことはないはずなのになぜ!?)」
次の瞬間秋水は自分の足に何か違和感を感じた―――まるで、膝から下が無いような―――
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
僕の違和感どうり、僕の足は、膝から下が”無くなっていた”
まるで引きちぎられたかのような痕の残る足は、もう足としての機能を果たさず、僕はその場で崩れ落ちた
次の瞬間、奴が僕の目の前に現れた、先ほどと同じ黒い霧を纏った漆黒の戦士が、奴は僕の目の前に歩いてくると、何かを言った、痛みのせいで何を言ったのかはわからない、僕はあまりの痛みで頭がおかしくなって、まるで救いを求めるかのように右腕を前にだし、奴にすがりつくような恰好をしていた、すると奴は、僕の腕を
”蹴り飛ばした”
これは決して比喩表現などではない、実際に僕の右腕が宙を舞った、千切れて宙を舞ったその腕は後方の観客席まで吹っ飛んだ、どこからか悲鳴が聞こえてくる
おそらく僕の腕を見てしまったんだろう、僕は痛みのせいなのか、僕は意識を手放した
蒼真side
「ハァ・・・ハァ・・・終わった」
俺は変身を解き、右腕と左足がなくなった秋水を見下ろしている、完全に気絶して静かな秋水とは裏腹にアリーナは阿鼻叫喚の嵐だ
遠くから来るのは・・・教師たちか、随分と遅かったな
力が入らない、なんだか・・・視界が、揺らいで–––
そして俺は"一滴も血が出ていない"秋水を見ながら倒れた
二時間後–––
一夏side
「あ?知らない天井だ・・・ってそんなこと言ってる場合じゃない!兄貴は⁉︎」
「ここにいるぞ?」
俺は声のした方を反射的に向いた、カーテンで仕切られてる奥から声がした
俺はそのカーテンを開けようとすると、最初からいたのかわからないが、黒服の男二人に止められた、かなりガタイが良いから、恐らく外国人だ
「兄貴⁉︎どうなってるんだ⁉︎こいつらは⁉︎」
「相棒、騒ぐな」
不意にカーテンが開けられる、兄貴の姿を見て俺は絶句してしまう
「よお、相棒、気分はどうだ?俺は最悪だ」
まるで猛獣を囲う鉄柵のように兄貴は拘束されていた
俺が兄貴の姿に絶句していると、部屋の扉が開いた
開けた主は千冬だった、顔面を蒼白にしてまるで生気がそのまま抜かれたかのような彼女はとても正気とは思えない目をしていた
「織斑!これはどういうことだ⁉︎なんで兄貴が拘束されてるんだよ!」
「相棒、騒ぐなって言っただろう、向かいの怪我人に響く」
兄貴はそう言って顎で向かいを示すと、そこには秋水がいた、だが生命維持装置をつけられ、栄養補給用のチューブが取り付けられていた、だが俺が驚いたのはそこじゃなかった、無いのだ秋水の右腕と左足が
「兄貴!どういうことだよ!なんで秋水はあんなザマになってるんだよ!まさか兄貴が?」
「あぁそうだ、俺がやった」
その言葉を聞いた瞬間、俺は身震いを禁じ得なかった、兄貴が?何で?そんな疑問が俺の頭を混乱させる
「そのことで事情聴取だ、矢車、来い」
「待て!待てよ!」
俺の叫びも虚しく、兄貴は黒服の男達に連れて行かれた
「ごめんな」
兄貴がそう呟いたのに俺は気づくことができなかった
???side
「–––彼の様子はどう?」
「ああ、––か、器はもうボロボロだな、なにせ右腕と左足を持っていかれてる、しかも本人の精神状態もボロ雑巾だ、でもそっちの方が都合が良いんだろ?」
「えぇ、"太陽"を手に入れるには普通の器では無理よ、一度地獄を見てる人間ども無い限り、ね?」
「相変わらず性格が良いな–––は」
「でも彼が壊れてくれたおかげで、"太陽"が手に入る、わざわざ篠ノ之博士の情報管理システムにハッキングをかけてサソードのデータをコピーした甲斐があったわ」
「でも器もスゲーよなぁ本来ライダーシステムには無いマスクドフォームを開発しちまうなんてよ、さすが天才を自称するだけはあるよなぁ」
「何はともあれ、これで"太陽"が手に入る、これで私たちの計画は次の段階へ進めるわ」