たどり着いた研究施設の搬入ドックには、無数のコンテナが乱雑に並び、積み上がっている。
見る限り人は確認出来ない。
操舵室から出ると、随所に白い塗装が残る腐った合板で船と陸との橋を架けた。
船に積まれている湿気ってやや膨らんだ木箱を持ち上げて、ようやく研究施設【ロクロ】に上陸した。
「ようやく着きましたね」
「……銃はすぐに抜けるようにね」
周辺に注意を払いながら、歩みを進める。
近場のコンテナの隣に木箱を置くと、コンテナの間の道から警護と思われる男二人が出てきた。
私を見るとにやにや笑いを浮かべ、白い歯が覗く。
酒臭い息を漏らしながら、私に近づいてきた。
「ん?今回の搬入はべっぴんさんだなおい」
「もうすぐ仕事終わるんだけど、後でいっしょに飲みに行かないかい姉ちゃん?」
「あぁ、お酒は控えてるんで」
酒の誘いを一蹴すると、一瞬後ろを向いてアハトとアイコンタクトした。
周りに人はいない、後方からの視線も船が隠してくれている。
往生際悪く男は言葉をつづけた。
「硬いなぁ姉ちゃん、宿も貸すからさ」
後ろ手にアハトにハンドサインを送る、3、2、1──
愛想笑いを浮かべたまま袖からフォールディングナイフをとりだす。
振って刃を展開し、髭だらけの口元を押さえて素早く喉笛を掻き切った。
鮮血が飛び散り、雨合羽が血で染まる。
男は驚愕からヒューヒューと声にならない音を鳴らす。
すかさず組み倒そうとすると、酔っていてもさすが兵士というべきか、掴みかかろうとしてくる。
仕方が無いので眼球から脳幹に向けてナイフを突き刺した、経験上こういう相手はしっかり仕留めないとあとが危うい。
「アハト、大丈夫?」
「えぇなんとか、アインスがいたからか油断してましたしね」
アハトは首を折ったようだ、兵士の首がえげつない方向に曲がっている。
ナイフを抜くと、生暖かい血液がグローブに染みていた。
刃に着いた血を雨合羽で拭うと、湖に亡骸を捨てた。
きっと彼らはここで死ぬとは夢にも思わなかっただろう、実際私もこんなところで酒の誘いを受けるとは夢にも思わなかった。
「今日は予定があるから、遠慮しますね」
束の間の余韻から、そんなことを口走ってしまった。
アハトが怪訝そうにこちらを見ている。
その時足音が聞こえた、咄嗟にヒップホルスターに手が伸びるが、聞きなれた声がその警戒を解いた。
「アインスさん!」
コンテナの裏から男が出てきた……ドライだ。
2週間この研究施設にスタッフとして潜入していた彼は、PSEFでも数少ない“アンドロイド”である。
顔は優男ではあるが、その風貌とは裏腹に今の彼は血まみれになっている。
──今の私も似たようなものだが。
ハグでもしてやろうかと思ったのも束の間、ドライはまくしたてた。
「ドックの敵はあらかた片付けました、時間がありません……早速遺体の回収に向かいましょう」
焦燥の色がある言葉に頷くと、血に染まった雨合羽を脱ぎ捨てた。
無線で船で待っている残りの隊員を呼び寄せる。
船から降りてきたツヴァイたちと合流し、私たちはドライの後について連絡通路へと入っていった。
実際こういう任務の時って、何人で行動するんでしょうかね。
僕は普通6人もいると書いててこいつはどこに行っちゃったんだ?って事が多発するんですけど、ツヴァイ班のみんなは固まって動いてくれるのでありがたいですね……
登場銃器紹介も順次更新していくので、見ていただけるとより楽しめると思います。