かりそめの命、臥した棺にて   作:木島後輩

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迫る不穏、暗き道にて

湿った足音が重なって響いている。

薄暗い通路には所々に赤いランプが点いており、足元を照らす。

空気にも制汗剤のような微かな匂いが溶け込んでいて、息をする度に敵の存在が明確になっていく。

通路の幅も連絡通路とあって広くはないため、接敵すると非常に戦いにくいことも容易に想像出来る。

 

どれくらい進んだだろうか。

ドライの話では、神の遺体はピラミッドの中心部にあるらしい。

なので私たちは上に登るため、エレベーターに向かっている。

 

「接敵しないですね……」

 

静かに緊張が高まり、さっきから落ち着かない様子であったアハトがとうとう不安を漏らした。

 

「いいことだろ、楽で助かる」

 

先程から緊張が感じられないゼクスはアハトの方を向き、飄々として言った。

その言葉に歩きながらも入念に装備の確認をしていたフンフが片眉を上げた。

 

ツヴァイに次ぐベテランであるフンフとはなかなか付き合いが長い。

私がフンフを見つめていると、きまって彼はよくわからない顔をする。

照れているとも、慈しみともとれるその顔をするのはほんの数秒ではあるのだが。

今回もいつもと同じだった、しかし今回は少し、ほんの少しではあるが、笑っているように見えた。

 

こちらから目を離したフンフはゼクスを一瞥すると、皮肉を込めて指摘した。

 

「たしかに楽だろうなゼクス、サイドアームにマガジンも挿さってないお前を倒すのは」

 

「うげっ」

 

ゼクスが呻き、慌ててレッグホルスターからGPHGを抜くと、マガジンを入れた。

近接戦闘においてハンドガンの役割は計り知れない。

ましてや、マガジンが挿さっていないとなれば脅しにも使えない。

そんな寸劇を眺め、自分が発言する隙を伺っていたドライは告げた。

 

「今は警備シフト交代の時間なんだ、あと10分程でみんな持ち場に向かいだすはず……」

 

「エレベーターって、あれか?」

 

言葉が終わらないうちにフンフが指さした先に、鋼鉄の扉を閉ざすエレベーターがあった。

ドライは腕時計を見ると安堵の表情を浮かべ、言った。

 

「これなら間に合いそうですね」

 

ドライは大股で扉の横に近づくと、白く微光を放つアクリル製のボタンを押した。

 

 

軽い上昇感が体を包む。

ひとつ咳をすると、GPHGのスライドを軽く引いて、チャンバーに初弾が入っていることを改めて確認する。

ヒップホルスターに納めるが、緊張は収まらない。

 

私の焦燥をよそに、エレベーターは登っていく。

階数の表示が74階になったところでエレベーターが止まる。

姿勢を落としてM4T8を構え、そっとセーフに入っていたセレクターをセミオートに入れる。

レシーバーのトップレールに付けられたホロサイトを覗き、鋼鉄のドアの真ん中に照準を合わせる。

 

誰かが唾を飲む音が聞こえる。

金属音を響かせながら、ゆっくりと重苦しく、扉が開いた。

 




投稿するときに気が付いたんですけど、今回ただ歩いてるだけですね。
まぁ隊員の個性が描けたと思うので後悔はしていません、反省はしました(もうやらないとは言ってない)
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