ダンジョンに物語を求めるのは間違っているだろうか   作:老練なるローレン

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オペラオムニアでアーロンとジェクト限界突破記念ということで投稿します。

難しいし短いです。


終わりの始まり

「ただいま戻りました。神様」

 

「お帰りベル君!大丈夫かい!どこも怪我してないかい!」

 

「わわわ!落ち着いて下さい神様ぁ!!」

 

アーロンさん。お元気ですか?僕はとっても元気にしています。

 

最初はやっぱり心細かったけど、今は一人でもへっちゃらです!

 

「君は放っておくとすぐ無理をするからね!こうやってちゃんとボディチェックしないと!!」

 

「あっ!ちょっ?!神様ぁ!?」

 

 

それから、僕はヘスティアっていう名前の神様のファミリアに入れて貰いました。とても優しくて暖かい神様です。

 

最初は誰も僕をファミリアに入れてくれなくて正直とても悲しかったけど、神様と出会ってからは毎日が幸せです。

 

「それにしても…やっぱりいい体してるねベル君」

 

「そ、そうですか?」

 

神様にとって僕が初めての眷属だったみたいでちょっと貧乏な生活ですけど、これから僕が冒険者としてお金を稼いで神様を支えて見せます。

 

「アーロンさんに稽古つけて貰ってましたから」

 

「うーん……アーロン、アーロンかぁ?」

 

そういえば、僕が神様に英雄に憧れてるっていったら、君もアーロンに憧れているのかい?って言われました。

 

一番最近の英雄って呼べる人がアーロンって名前らしくて僕はとても驚いてしまいました。

 

何でもゼウスファミリアで三大クエストを成功させた伝説の冒険者なんだそうです!

 

「ベル君、本当にその人はアーロンっていうんだね?」

 

「はい!とっても厳しいですけど、強くていつも冷静で格好いい人です!!」

 

それで神様に僕の師匠はアーロンですって教えたらとっても驚かれました。同じ名前なだけなんですけど、それでもなんとなく誇らしいです。

 

もちろん神様にはちゃんと名前が同じだけって説明しました。でもなんで僕たちの村には、伝説の冒険者アーロンの話が伝わってなかったんですかね?そんな英雄の話なら行商人の方から流れてきそうですけど。

 

「…その、僕の師匠がアーロンって名前だと何か問題があるんですか?」

 

「いやぁ神は娯楽に餓えてるからさ。アーロンの弟子なんて名乗ったら、皆放っておかないと思ってね」

 

それよりも!ギルドに三大クエストの黒龍の頭が飾ってあったんです!その首からなんというか禍々しいって言うんですかね?そんな感じがしたんですけど、あんな大きくて強そうな竜の首を落とすなんてやっぱり英雄って凄いですね!

 

「で、でも名前が同じだけで…」

 

「それでも注目を浴びるのは間違いないね!だからこの事は君とボクだけの秘密だ!」

 

「はい!わかりました神様!」

 

「ぐふふ、二人だけの秘密…」

 

「神様?」

 

「はっ!!いや、なんでもないよ!?」

 

まだまだ駆け出しですけど僕もそんな強くて格好いい英雄になれるように頑張ります!

 

もっと沢山伝えたいことがあるんですけど、書き出したら止まらなくなりそうなので今回はこの辺りで。

 

落ち着いたらまた手紙を送りますね。

 

アーロンさんも体に気を付けて下さい。

 

 

 

 

 

 

「…元気にやっとるようじゃのぉ」

 

既に封が切られていたアーロン宛の手紙を読み終えた儂はそう呟く。こうして手紙を読むだけで、楽しんでいる姿が目に浮かぶようじゃ。

 

「他人宛の手紙を勝手に読むとはな」

 

ギョッとした。

 

全く気配を感じなかったが、いつの間にか儂の側にアーロンが立っていたようだ。

 

「なんじゃ、儂に見られて困ることなど書いてあるはずなかろう。」

 

勿論気付いていたとも。そんな風に堂々と答える。神ゼウスはそんな簡単には動じないのだ。

 

手紙についてはベルの中では儂は死んだことになっている。まさか死人の悪口を手紙に書いたりはせんじゃろう。アーロンについて儂に知られてまずいことをベルが知っているとも思えん。

 

しかし儂宛の手紙がないのはちょっぴり残念じゃ。後でアーロンの名前を消して「おじいちゃん」に書き換えておくかの。

 

「…どうだかな」

 

そんな儂の思惑を察知したかのように目を細めるアーロン。嫌な目だのぉ。ヘラを思い出すわい。

 

「…ヘスティアとは知り合いか?」

 

ふむ。やはり何だかんだでベルのことを心配しているようじゃの。仕方のない奴じゃ。

 

しかしヘスティアはぐうたらな所はあるが良い神じゃ。無用な心配というものじゃろう。

 

むしろ人を玩具のように扱う娯楽好きの神よりは遥かにましといってよい。

 

そしてなによりベルにとって当たりも当たり大当たりじゃ。

 

何故なら

 

「うむ。あ奴は一言で言うならロリ巨乳な神じゃ。」

 

「…」

 

「なんじゃその目は?間違ったことは言っておらんぞ!」

 

ハーレムを目指す者にとってロリ巨乳、しかも合法となれば外せぬ属性じゃろう。ベルは儂の教えを守って立派に成長したようじゃ。

 

「…もういい」

 

アーロンの奴め、完全に儂への関心が失せたと見える。

 

しかし、

 

「…何処へ行くつもりじゃ?」

 

完全に旅装束。しかもアレまで持っていくということは…

 

「オラリオだ。ここで出来ることは…」

 

「…いや、すべきことはもう何もない。」

 

そうなるだろう。

 

ベルの巣立ちは見届けた。もはやここにはアーロンを縛るものはない。

 

いつかはこの時が来ると思っていた。そして儂に止める権利はない。今までもずっと、放任し続けてきたのだから。

 

「儂のことは放っておくつもりかの?」

 

「無論だ」

 

まったく酷い奴じゃ。

 

 

……

 

「…アーロン」

 

 

アーロン。

 

 

「…」

 

 

全部失って初めて気付いた。

 

「やめておけ、お前だって分かっておるじゃろう?」

 

あの時止めておけば良かったと後悔した。

 

ベルにしても、いつかそう思う時がくるかもしれない。

 

遊び半分で冒険と英雄、そしてハーレムの話などするべきではなかった。

 

オラリオへなど興味を持たせるべきではなかったと。

 

本当に大事なら死と隣合わせのダンジョンへなど行かすべきではない。

 

でも本当の意味で子供の幸せを願うなら自由に選択させるべきだと思う儂もいる。

 

だからこそヘルメスの口車に乗せられ、ベルを行かせた。

 

「三人で駄目だったんじゃ。お前一人で出来るはずがない」

 

だが、アーロンの場合は違う。

 

その道の先には死しかない。

 

この10年ベルの側にいる時以外は過剰な程に鍛え続けていたたことも知っている。

 

一体いつ休んでいるんだ。

止めるべきだ。そう思ったことも何度もある。

 

そこまでしても届かないだろう。

 

その上、10年前からずっと今にも消えてしまいそうな、そんな朧気な危機感を抱かせる。

 

まるで存在そのものが薄くなったような。

 

 

「馬鹿な真似はよすんじゃ」

 

 

頼む。

 

 

「儂はお前まで失いたくはない」

 

 

頼む。

 

 

 

 

 

「世界を変えるのはいつだって大馬鹿野郎だ。」

 

 

 

 

 

誰もいなくなった薄暗い部屋で、ただ何をすることもなく虚空を眺める。

 

…また、止められなかった。

 

もはや儂とアーロンが再び出会うことはないだろう。

 

ただの予感だ。しかし確信でもある。

 

最後のチャンスだった。

 

かろうじて繋がっていた一本の細い糸が完全に切れてしまった。

 

そんな感覚を覚える。

 

「…ヘルメスめ。本当に余計な事を」

 

そう思うと同時に感謝もしている。

 

全て失ったと思っていた儂にとっては、アーロンだけでも生きていてくれたのはとても嬉しかった。ベルの成長を共に見守った日々は、オラリオにいた頃に勝るとも劣らぬ輝きに満ちていた。

 

しかし、アーロンにとっては

 

「…あの時死んでいた方がましと思える日々、だったのだろうかのぉ」

 

悲観的すぎるだろうか?

 

どちらにせよ、

 

ついに儂は独りきりになってしまった。

 





ブラスカこないかなぁ
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