【完結】鈴木さんに惚れました   作:あんころもっちもち
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27.カルネ村

☆モモンガ視点

 

 

ナザリック地下大墳墓から近い場所にあるという人間種の村。そこに俺が到着した時には、まるで“地獄絵図”のような風景が広がっていた。

 

「た、だすけでくれぇ」

 

「痛えぇ〜あぁああ!!」

 

鎧を着た兵士のような人間達は一人残らず倒れており、苦痛に呻いているか 死んでいるかのどちらかだった。辺り一面に血が広がっており、村の広場、中央で村人らしき人間が身を寄せ合い震え上がっていた。

 

 

「モモンガ様!最初に殺された4人を除いて、村人はみんな保護したっす!そこに、まとめておきましたっすよ!」

 

 

三つ編みにしたふた房の赤毛を跳ねさせ、実に爽やかな笑顔で出迎えてくれたルプスレギナ・ベータ。メイド服のスリットから出た片足で兵士を踏みつけ、踏まれた血だらけの兵士は、既に ぴくりともしていない。

 

 

「おぉう・・・ご苦労さま」

 

 

俺は目の前の光景に、戸惑っていた。

 

セバスから“女子供まで皆殺しにしている”と聞いて、どうしようもなくイラついた。加藤さんの顔がチラついて、彼女の様に 誰かが理不尽に殺されるのが許せなかったんだ。

村を監視していたルプスレギナに村人を守るように命令し、自分も急いでここまで来た。

 

今にして思えば、敵がルプスレギナよりも強かったら 危なかったんじゃないかとか、そもそも、村人側が悪かったのかもしれないとか、色々と反省しなければならないな・・・と、思考に没頭したくなるぐらいには目の前の光景が、酷かった。

 

いや、グロ過ぎて気持ちが悪い、人間を殺させる命令を出した罪悪感が・・・なんて事は全くない。

自分はこんなにも、薄情な奴だったか?人間としてどうなんだ。

 

 

助けた村人達の方を見れば、涙を流し 顔を引きつらせて、震えている者ばかりだった。これじゃ、助けたこっちが悪者みたいじゃないか。まぁ、これだけの惨状を見せられつけられれば、怖くて当たり前だよな。

 

 

「あ、あ、アンデッド」

 

「あぁ、もう、おしまいだぁ」

 

「アンデッド??」

 

首を傾げていると、後から俺に付いてきたアルベドが満足気にしていた。

 

「下賎な人間共には、モモンガ様の美しいお姿は刺激が強すぎたのですわ」

 

 

俺かぁーー!!!!

 

あまりにも自然と身体に馴染んでいたから、すっかり忘れていたけれど、今の俺、オーバーロードだった。アンデッドだった!そりゃ、怖いよな!

 

なんとか誤解を解かないと・・・

 

 

「安心してくれないか。俺たちは、お前達には危害を加えないから」

 

「あ、あ、ぁあ」

 

あぁ、完全に怯えちゃって会話にならない。全面的に俺が悪かったけどさ。どうしたらいいんだよ?!!

 

 

「モモンガ様〜!」

 

森の方から声がして、そちらへ振り返れば 小さなダークエルフの2人が、人間の女の子を担ぎ上げて走ってきていた。

 

 

「えーと、アウラとマーレだっけ?」

 

「ナザリック第6階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラです!」

 

「同じく、ナザリック第6階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレで、です」

 

「あ、あぁ。よろしくな」

 

 

そうだ、ぶくぶく茶釜さんが作成したNPCだったか。あれ?なんでここに居るんだ??

 

 

「森の中に村人が、一匹居たので連れてきました!」

 

「お、おう。ありがとな」

 

 

ドサッとその場に降ろされた少女は、ガクガクと震え、何だか見ているこっちが申し訳なくなってくる。

 

 

「エンリ!!」

 

 

村人達の中から父親らしき男性が声をあげた。村人達の方へ行って欲しかったが、少女は腰が抜けたようで動けそうになかった。仕方がないなと、軽い気持ちで 俺は少女を抱き上げた。

 

 

「お、お姫様抱っこ?!」

 

「も、モモンガ様!!そんなモノを抱き上げるなどー!!」

 

 

何故か慌てだすアウラとマーレ。そして鋭い眼光で少女を睨み付けてくるアルベド。

 

え、あ!少女とはいえ、女性を いきなり抱き上げたら失礼だったか。

 

 

「す、すまないな。あちらに運ぶだけだから・・・あ」

 

 

少女は、俺の腕の中で白目を剥きながら 失禁していた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「大変申し訳ございませんでした!!!」

 

俺は、村長の自宅で 村長夫婦と少女の父親から 額を地面に擦り付ける勢いで土下座されていた。

 

 

「いえ、こちらこそ配慮が足りなかったので。お気になさらず」

 

 

こちら側は俺と、ナザリックから呼び寄せたセバスの2人だ。

少女が失禁をした事でアルベド、アウラ、マーレ、ルプスレギナが、村人達を皆殺しにしそうな勢いで激怒したので、強制的にナザリックに帰ってもらったのだ。

あんな殺気を向けられたら、あの様になってしまっても仕方がないだろうし、何より、せっかく助けたのに 殺されてしまったら本末転倒である。

 

 

アルベド達の代わりにカルマ値が極善だったセバスを筆頭に数名、コチラに来てもらったのだ。

最初は俺一人で良いかと思っていたのだが、NPC達皆に全力で止められ、その場に居合わせたセバスの案でカルマ値が善よりの者達を選んだ。

 

いやー、“カルマ値”が関わってくるとはなぁ。よく考えたら、そうなんだろうけど 全く思い浮かばなかった。

 

・・・俺、カルマ値 極悪だけど 普通に対応出来るのに。やっぱり設定の影響だろうか??

 

 

「どうか、どうか命だけは助けていただけないでしょうか?」

 

村長がガタガタと震えながらも必死の面持ちで訴えてきた。なんだか虐めてる気分になってくる。

 

「ええ、コチラとしては 助けに来ただけだから」

 

「た、助けに??」

 

「アンデッドが言っても信じられないかもしれないが・・・」

 

「いえ、いえ!!本当にありがとうございました!!」

 

 

再び土下座した村長達にため息を吐きつつも 俺は部屋に置かれた椅子を指さして声をかけた。

 

 

「色々と聞きたいこともある。とりあえず座ってくれないか?」




嫉妬マスク「・・・」





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