【完結】鈴木さんに惚れました   作:あんころもっちもち
<< 前の話 次の話 >>

30 / 50
29.忠誠

 

☆モモンガ視点

 

村長宅を出た頃には村は、ある程度片付けられていた。

兵士の死体も1箇所にまとめられ、辛うじて生きている者も縛られた状態で、死体の隣に置かれている。見張りとしてシズ・デルタが待機していた。

 

こちらに気づいて走り寄ってきた村人が、恐る恐る口を開いた。

 

「そ、村長。葬儀の準備が整いました」

 

「そうか」

 

チラッとコチラを伺う村長に、なるべく和やかな雰囲気を意識して返事をした。

 

「どうぞ、こちらを気にする必要はない」

 

「ありがとうございます」

 

ぺこりとお辞儀をして去っていく村長を見送って俺はシズの元へ歩き出した。

 

「はぁ、これからどうしたものかなぁ」

 

「モモンガ様は、この村の人間を守るおつもりですか?」

 

俺の独り言に、隣を歩いていたセバスが反応した。助けた その後は考えてなかったのが正直な所だが、せっかく守ったものを壊されるのも気に入らない。

 

「もし、よろしければ、ナザリックの支配下に置いてはいかがでしょうか?」

 

「支配下か」

 

「はい、情報収集の為の足掛かりにもなるでしょう」

 

確かに情報収集という面ではいい案かもしれない。

だが、それはこの村を管理している王国に喧嘩を売るようなものだし、何より・・・

 

「他のナザリックの者達が納得しないだろう?人間を嫌悪する者が多いからな」

 

「あくまでも“支配”です。仲良くなれと言われれば、苦労する者もいるかもしれませんが。モモンガ様のご命令ならばナザリックの下僕一同、絶対の忠義をもって従います」

 

真っ直ぐ力強い瞳からは、セバスが心の底から忠義を誓っているのが分かった。その強い意志に、俺は思わず顔を背けてしまった。

 

「俺は、・・・お前達の忠義に応えられるほど凄い奴じゃないよ。もし、そんなに凄い人物だったなら こんな醜態は晒していなかっただろう」

 

 

俺がそんなに凄い人物だったら、ギルドのみんなだって離れていかなかった。加藤さんだって・・・

 

 

「モモンガ様」

 

 

普段より強く発せられたセバスの声に、身体がびくんと跳ねた。ゆっくりと振り返ると、セバスがこちらを心配そうにしながらも強い視線を向けてきていた。

 

「モモンガ様、我等を信用して下さいませんか?」

 

「え」

 

「至高のお方々がお隠れになっていく中、モモンガ様は ずっと残って下さいました。如何なる時であろうとも、我等は 慈悲深きモモンガ様のお傍らにおります。」

 

「あれは、・・・俺 自身の為だったんだよ。最後までアインズ・ウール・ゴウンを、お前達を手放せなかった」

 

「モモンガ様に必要とされた。それだけでどれだけ救われたか・・・モモンガ様、このセバス・チャン、貴方様へ絶対の忠誠を誓います。」

 

その場に膝まづいて忠誠を誓うセバスの姿を見て、言葉に詰まった。胸から こみ上げてくるこの熱くて暖かい感情は、一体何なのだろうか?震えそうになる声を何とか押さえ込み、言葉を紡いだ。

 

「ありがとう、セバス。これからも俺に付いてきてくれ」

 

「御意に」

 

ナザリックのNPC達、皆がどう思っているのか分からない。それでも、これだけ想われているのなら・・・。俺はもっと彼らを信じてみてもいいかと思った。

 

無様を晒しても、“鈴木悟”としての一面を見せてしまっても、きっとついてきてくれると思ったから。

 

 

「帰ったら、皆とも顔を合わせないとな。転移してから1度も会っていない者達も多い」

 

「はい。下僕一同、喜びましょう」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

「――私は、リ・エスティーゼ王国、王国戦士長ガゼフ。この近隣を荒らしまわっている帝国の騎士達を退治するために王の御命を受け、村々を回っているものである」

 

 

王国戦士長らしき男性からは、肩書きに負けない程の勇ましさを感じた。

 

俺は、プレアデスのユリとセバス、そして村長が、王国戦士長御一行と対面しているのを民家の中からひっそりと眺めていた。

 

最初は俺も対応に出ようとしていたのだが、「彼らと友好的に接するのであれば」とユリに止められたのだ。

ついつい、自分がアンデッドだと忘れてしまう。“モモンガ”の様なラスボスみたいなモンスターが現れたら攻撃されても怒れないからな。俺だって怖いし。

 

シズは兵士・・・村長曰く、帝国の者達じゃないかとの事だが。奴ら生きている者全てをナザリックへ連れていってもらった。貴重な情報源になるだろう。

 

丁度 生きている兵士をナザリックへ連れて行く時に、村人達へ俺達が異形種だということを秘密にする事、セバス達の村を助けた話と口裏を合わせる事を告げたら、青い顔をしてコクコクと壊れた人形の様に頷いていた。

・・・そんなに怖がらなくてもいいと思うけど。

 

セバスからこの村の護衛(という名の監視)を在中させると説明された時は、喜んでいた者が多かったというのに。

 

顔か?やっぱり顔なのか??

 

 

 

俺が考え込んでいる間に、セバス達は上手く話をもっていけたようで、王国戦士長とも和やかに話をしていた。

これで上手く行きそうだな。優秀な部下で本当に良かった。何とかやり過ごしたら、俺はナザリックに帰って それから・・・

 

 

《モモンガ様、デミウルゴスでございます。お知らせしたいことがございます》

 

 

気を緩めた時、突然入ってきた連絡に、内心バクバクしながらも、俺はなんとか答える事が出来た。

 

 

《おぉ、どうした??》

 

《現在、武装したマジックキャスターの様な集団が、村を包囲しようと近づいてしております。》

 

《マジか》

 

 

一難去ってまた一難だな。




村人「もし、告げ口したら 俺達もアイツらみたいに連れてかれる」ガクブル((゚Д゚;))





※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。