【完結】鈴木さんに惚れました   作:あんころもっちもち
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今回 何故か長くなってしまったよ


33.ニアミス

☆モモンガ視点

 

 

 

玉座の間にて、俺は階層守護者達と対面していた。アウラ、マーレ、セバス、アルベドの他に 転移してから初めて会う デミウルゴス、シャルティア、コキュートスの計7人だ。

一部来ていない者達もいるが、今度俺から出向くとしよう。だが、宝物殿にいる俺の作ったNPCパンドラズ・アクター・・・彼に会うのが怖い。

 

俺の理想を詰め込んだ “黒歴史”が意志を持って動き出すのだ。どうなっているのやら・・・怖い、怖すぎる。だが、パンドラズ・アクターの設定では かなり切れ者になっていた筈だ。戦力にはなるだろうから、閉じ込めておくのは勿体無い。どうしたものかな・・・。

 

 

「あぁ、我が君。わたしが唯一支配できぬ愛しの君」

 

香水の匂いを漂わせながら こちらへ歩いてくるシャルティアを見て、これがペロロンチーノさんの理想の嫁かぁ〜なんてぼんやりと考えてしまう。

幼女で偽乳だったか?かなりヤバい性癖のオンパレードだった気がするが。

 

 

「それ以上、モモンガ様に近寄らないで頂けるかしら?シャルティア」

 

「な、なによ!!んん、ごほん。モモンガ様のお側に置かれて居るからって もう“そのつもり”でありんすか。随分とお花畑な脳味噌でありんすねぇ、アルベド。」

 

「もう!モモンガ様の御前だというのに二人共はっちゃけ過ぎだよ」

 

 

会って早々、喧嘩し始めたアルベドとシャルティアを仲裁しようとアウラが入って行くも、上手くいかず。その周りをマーレはオロオロしている。が、少し離れたところでは、デミウルゴスとセバスが静かな喧嘩を始めていた。

 

 

「あれは一体どういったつもりだったのですか、セバス。貴方は人間に肩入れし過ぎているようだ」

 

「いえ、王国戦士長と友好的になっていた方が利があると判断したまで。決して過度な肩入れをしていた訳ではありませんよ」

 

 

アルベド達の喧嘩が可愛く見えるほど、バチバチと火花を散らすような2人の後ろでは、コキュートスが白い冷気をプシュープシューとさせている。・・・あれは戸惑っているのか?怒っているのか?虫の感情表現は読み取りづらいな。

 

とうとうアルベドとシャルティアが取っ組み合いを始め、アウラがポンッと弾き出されてしまった。俺の前で尻餅をつくと、「バカどもめぇ」と、唸り声をあげて参戦していってしまった。

 

 

・・・懐かしいなぁ。

 

 

ギルドの全盛期の頃は、毎日が賑やかだった。個性的なメンバーが多かったから、みんな喧嘩しながらわいわいやってたっけ。

今、喧嘩をしているNPC達も お互いを本気で嫌悪している訳では無さそうだ。まるで、兄弟喧嘩のような そんな雰囲気に、彼らが 愛おしくて 思わず笑ってしまう。

 

未だに、オロオロとした様子のマーレが おずおずと謝ってきたが、俺は片手をあげて制した。

 

 

「も、モモンガ様、その、申し訳ございません!」

 

「くっくく、いや、いいんだマーレ。お前達のやり取りを見ているのは楽しい」

 

「た、楽しいですか?」

 

「あぁ、やはりナザリックはこう賑やかでなくてはな」

 

 

とは言うものの、このままでは埒が明かない。俺はかつての仲間達に そうしたように、NPC達をこちらへ注目させる為に、手を叩いた。

 

皆が、ピタッと固まり 姿勢を正して謝ってくるのを制してから、ゆっくりと彼らを見渡した。

 

 

「皆を集めたのは他でもない、この非常事態についてや、今後の話をする為だ。・・・だが、その前に謝罪をしなければな。肝心な時に取り乱し お前達を不安にさせた。すまない」

 

「お、おやめ下さいモモンガ様!そんな、私達こそお力になれず本当に申し訳ございませんでした」

 

 

アルベドを筆頭に他の階層守護者達も、謝ってくる。どこか悔しそうに、悲しそうに。そして、俺を心配するように伺っているようだった。

 

 

「ありがとう、不甲斐ない支配者だが これからも付いてきてくれるだろうか?」

 

 

「敬愛すべき、至高のお方。モモンガ様に絶対の忠誠を誓います。如何なることが起ころうとも、我ら一同、モモンガ様に一生を捧げ どこまでもついて行きます」

 

 

アルベドの言葉に合わせるように忠誠を誓う守護者達の忠誠心の高さにビビったものの、付いてきてくれる、その強い意志を感じて、自然と笑みがこぼれた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

カルネ村を支配下に入れてから しばらく経った。

 

城塞都市エ・ランテル。

ナザリックから一番近くて大きな都市であるその地へ俺達はやって来ていた。

 

酒を飲み交わし騒いでいた者達が寛ぐその場所は、俺達が入ってきた途端に静まり返る。ドキドキする心臓を飲み込みながら、「堂々と前を向け」と何度も自分に暗示をかけながら足を進める。

 

 

「宿だな?相部屋で1日5銅貨だ」

 

ぶっきらぼうにそう告げた宿屋の主人が 顔をあげこちらを見て固まった。うん。やっぱり目立ち過ぎると思うんだよな、この集団。

 

漆黒の全身鎧に身を固めた“モモン”こと この俺モモンガと、後に控えるのは冒険者風の “ナーベ”ことナーベラルと、“ユーリ”ことユリ・アルファ。そして、エンジ色のシンプルなワンピースに身を包み、顔には怪し気な仮面、嫉妬マスクをつけた“シャル”ことシャルティアだった。

 

 

「四人部屋が良いのだが?」

 

「あ、あぁ・・・7 銅貨だ」

 

 

金を払い、主人に指定された場所へ向かおうとすると、何かに足を引っ掛けてしまった。俺に足をぶつけられた酔っ払った男が下卑た笑い声をあげながら 俺達の前に立ちはだかった。

 

あちゃー、このメンバーじゃなければ このハプニングを楽しめる余裕もあっただろうに。

お前ら、こんな怪しい集団に なんで絡んできたんだよォォ!!???

 

 

「いってーなぁ、どうしめくれるんだ おい?・・・こりゃーそっちの女に介抱してもらうしかねぇなぁ」

 

 

ナーベとユーリを見てニヤニヤとする男に、シャルが楽しそうに笑った。

 

「ふふっ面白い奴でありんすねぇ〜そんなに私が気になるんでありんすか?」

 

「いや。ガキはそそられねぇ」

 

「あ"ぁ"?」

 

即答で断られたシャルが何故かキレ出した。勘弁してくれよ、マジで。

 

「シャル、相手にしてやるな」

 

「あ、ええ、分かりんした」

 

一歩下がったシャルティアに安心したのも束の間。男の連れらしい男性に 触られそうになったナーベラルが ブチ切れていた。

 

「触るな、ゴミムシ」

 

「連れねぇお嬢ちゃんだなぁ」

 

拒否されてもめげない男は 今度は肩を抱こうとし、ユリに止められていた。

 

「それ以上はやめて頂けませんか?」

 

ギチギチと男の腕を抑え込むユリに男は驚きに固まってしまった。どうやって切り抜けようかとグルグルと考えるものの、いい案が思い付かない。とりあえず、皆を落ち着けなければ・・・!

 

「ユーリ、そこまでにしといてやれ」

 

「はい、モモンさん」

 

ユリから解放されて、腕をさする男を一瞥して このまま去ろうと足を進めた。・・・のが、気に入らなかったのか後から 怒鳴り声が聞こえた。

 

「調子乗ってんじゃねぇぞ、てめぇ!!」

 

ターゲットを俺に定めたようで、男が殴りかかってきた。避けようとしたが その前にシャルティアが 男と俺の間に身を滑り込ませ、手に持っていた扇子で男を“殴りつけた”。

 

 

「あら?力加減が難しいでありんすね」

 

 

クルクルと飛んでいく男。

スゲー、扇子で人って飛べるんだな〜なんて、現実逃避をしていたからか。男が着地したのは壁際の席にいた女性達のテーブルの上だった。

 

ガシャンと机や皿の砕ける音と、冒険者風の女性の叫び声。段々と大きくなっていく騒ぎに 無いはずの胃がぎりぎりし始めた。

 

 

「あぎゃあああーー!!!ちょっとちょっと、アンタ何すんのよ!?」

 

「ま、待って 待ってくださいぃ!!」

 

 

こちらへブチ切れながら近寄ろうとしてきた赤髪の女を、もう一人同席していた茶髪の女が後から抱きしめるようにして止めに入っていた。

 

 

「離しなさいよ!!私があのポーションを手に入れる為にどれだけ頑張ったか アンタに話したばっかりでしょう!!!」

 

「そ、そうだけど、アレはダメ!ダメだって!!どう見たって危ないヤツらですぅ」

 

 

口論しながらもコチラへやって来ようとする赤髪の女にため息をつきつつ、金貨を2枚取り出して投げつけた。

 

 

「申し訳ないことをしたな。これで勘弁してくれ」

 

「お、おぉ。・・・分かったよ」

 

 

金貨2枚を大事そうにしまい込みながら 引き下がる赤髪の女に 納得してもらえたようで安堵した。

 

後ろで茶髪の女がペコりとコチラへ頭を下げたのを 視界に収めてから、俺は宿屋の奥へ向かうべく 体を反転させた。

 

 

一瞬、彼女が観察するような鋭い目線を向けてきた事に俺が気付くことはなかった。




蜘蛛の指輪’s「見つけたァーー!!」







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