【完結】鈴木さんに惚れました   作:あんころもっちもち
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34.来訪者

☆セバス視点

 

『アインズ・ウール・ゴウンを世界に知らしめ、この美しい世を手に入れるのだ』

 

宣言されたモモンガ様は、皆の目には威厳ある支配者のように映ったでしょう。・・・ですが、私には 強い決意と歓喜の中で 必死に“誰か”を渇望しておられるように見えました。

 

 

『ナザリック地下大墳墓』を守り抜く事。

 

美しい世界のままを手に入れたい、その為、なるべく穏便に支配下に置きたい事。

 

そして、誰一人欠けぬよう細心の注意を払って行動する事。

 

 

それがモモンガ様の出された方針でした。辛い思いをされてから そう時間も経っていない今、前を向いて歩み出そうとしている その強さに私は激しく惹かれました。

 

やはり モモンガ様は、至高のお方の中のトップ、ギルド長なだけはある 支配者に相応しいお方だ。

 

 

そうして、モモンガ様は 一通り告げられた後、感動に身を震わせている我らを一瞥してから、気まずそうに言葉を続けられました。

 

 

「・・・それでだな。俺は冒険者になろうと思うのだが」

 

 

一瞬の間の後、その場で跪いていた守護者達が一気に顔をあげ 口々に意見を言い出しました。

 

 

「ならば、お供が必要ですわね。私がお供いたしますわ!」

 

「黙りなさい、大口ゴリラ!!私の方がきっとモモンガ様のお役に立ってみせるでありんす。ねぇモモンガ様?」

 

「ちょっと ちょっと、冒険者って事は人間種の中で活動するって事よ?あんた達なんかやっていける訳ないじゃない 」

 

「ぼ、僕とお姉ちゃんなら、上手く人間達に 馴染めると思う」

 

 

アルベド、シャルティア、アウラとマーレは お供の座を争い出し、その後ではデミウルゴスとコキュートスが冷静に 意見を交わしていた。

 

 

「冒険者トハ、危険ハ、ナイノダロウカ?」

 

「・・・うむ。穏便に支配下に加える為の布石という事ですね。危険があるなら我々が 前もって徹底的に排除すればいいのですよ。人間達からの知名度、信頼度を上げていけば、あるいは」

 

 

モモンガ様自ら危険に身を晒して活動するという事について反対する者は誰一人おりません。我らがお守りするのは、モモンガ様のお身体だけでなく、お心もなのですから。

 

壮絶な戦いの後、階層守護者からはシャルティア様がお供することが決まり、プレアデスからは ナーベラルが選ばれました。

モモンガ様の人選に異議を申すつもりはありませんが・・・どうしようもなく不安でしたので ユリ・アルファを推薦した所、彼女もお供に加えて頂けました。

 

ユリが上手く舵を切ってくれる事を願うばかりです。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

モモンガ様御一行が冒険者として活動し始めた次の日。

 

私は、カルネ村を任されたシズとルプスレギナの様子を見に 足を運んだものの、前途多難な様子に、ため息をつきたくなるのをなんとか飲み込んだ。

物静かなシズは 上手く村人とコミュニケーションが取れず、ぎこちない。そういった意味では期待出来るルプスレギナは、笑顔で村人達に接しているものの、初対面での印象が悪過ぎて 怖がられているようだ。あの子は怖がっている村人を楽しんでいる節があるようですが。

 

 

「あ、セバス様!」

 

 

私の姿を見て 喜色を浮かべながら走り寄ってくる村人達。王国戦士長と共に村を守ったことで村人の信頼は私に傾いてしまっているようだった。

 

「村長殿、何か問題はありませんでしたかな?」

 

「ええ、シズ様がゴブリン達と率先して村の防衛を進めていって下さって、本当になんとお礼をいったらいいか」

 

 

“ゴブリン達”とは、モモンガ様がエンリという少女にお詫びとして渡されたアイテムから召喚された者達の事だ。

 

そういえば、ゴブリン達はエンリを主とし、コチラを警戒している様だったので、不幸なすれ違いが起こる前に 締め上げといた・・・と、シズから報告がありましたな。

 

 

「全てはモモンガ様のご好意です。この村が アインズ・ウール・ゴウンの下にいる限り 安全ですよ」

 

「いやあ〜、モモンガ様はアンデッドですし 本当に怖かったのですが、お優しい方で安心致しました。セバス様もいらっしゃいますから 心強いですな」

 

 

アインズ・ウール・ゴウンは異形種が集まるギルド。人間を良く思わない者や食料とする者達が多く存在している。

 

全ての人間と仲良くして欲しいなどとは思ってはいませんが、それでも。ナザリックの者達、そしてモモンガ様に人間の良さを少しでも分かってもらえたら・・・などと考えるのは不敬になるのでしょうか。

 

 

村の出入口が何やら騒がしくなってきた。どうやら、この村をナザリックの支配下に入れてから初めての来客のようです。

村長と共に騒ぎの元へと向かえば、ゴブリン達を警戒する冒険者パーティーらしき一団と エンリと話し込む少年の姿が見えた。シズとルプスレギナは ゴブリン達の後ろで彼等を監視している。

 

 

「あぁ、ンフィーレア君か」

 

「お知り合いですか?」

 

「ええ、彼は薬師でして、たまにトブの大森林に棲息する薬草を取りに来るのですよ」

 

「ほぉ、あちらは冒険者ですかな?」

 

「シルバー級 冒険者チーム、漆黒の剣ですね。彼らは何回かこの村に来たことがありますが、気さくで礼儀正しい人達ですよ。・・・あれ、今日は一人多いな」

 

 

村長の視線の先を追うと、青い髪の青年の姿が見えた。小柄なマジックキャスターの後ろに控えており、“彼女”以外の 漆黒の剣のメンバーとも、距離感があるように見受けられた。

 

彼は ゴブリン達を一瞥した後、シズとルプスレギナを見て目を見張り 私に視線を向けて 一瞬固まり、嬉しそうに口を歪めた。

 

 

「へぇ、こんな辺境の村に。まさかの掘り出し物だぜ」

 

「ちょっと、勝手な事しないでよ!」

 

「ア、ニニャは黙ってな」

 

「ちょ、ちょっと ブレインさん!勝手な事しないで下さい」

 

 

マジックキャスターの少女や、リーダーらしき男の静止を振り切り、コチラへ歩み寄るブレインと呼ばれた男は 好戦的な笑みを浮かべたまま 言い放った。

 

 

「なぁ、お前 腕が立つんだろう??俺と一戦してくれねぇか」

 

 

 

 

 

 




お供が決まった直後→
ユリ「セバス様!!ありがとうございますぅ!!!」

冒険者開始→
ユリ「あぁー!!ナーベ 睨まない!暴言吐かない!!シャ シャル様ぁ〜お待ちください!!!」
モモンガ「oh......」







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