【完結】鈴木さんに惚れました   作:あんころもっちもち
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40.絶体絶命

苦労しながらも何とか 調査した邪教教団の正体、ズーラーノーン幹部、カジット・デイル・バダンテールとかいうハゲの目的を掴み、レエブン候に報告する為に 目を離した隙の出来事だった。

墓地から溢れ出そうとしてくる大量のアンデッドを目の前にして、想定以上の速さで起こったソレに舌打ちしつつ、奴らの本拠地へ急いだ。

 

この魔法儀式を止める為には、核となる人物を止める必要がある。

ゆらゆらと歩み寄ってくるスケルトンを食い止めようと必死に戦っている者達、例の冒険者パーティーのメンバー ユーリも拳を振るっていたが、その圧倒的な戦闘を尻目に素早く墓地の奥へと足を進めた。

 

 

そこでは、既に戦っている者達がいた。

 

カジットと対峙しているナーベ・・・何故かメイド姿になってるけれど。その横でクレマンティーヌを扇子1つでいなしているシャル。そして、その後ろで構えているモモンだ。

 

彼らは ほんの数日前にエ・ランテルへやって来た冒険者で、その異質さから周りから浮いている印象を受けた。なんだか、“場違い感”がある。「貴族の道楽だろう」という声もあったが、もっと違う何かのようだと感じていたけれど・・・

この場にいる時点で、訳アリは確定。しかも王国にとって特大の爆弾になる予感・・・レエブン候に報告した方がいいかもしれない。

 

それにしても、どうも彼らには親近感を感じてしまう。モモンの声が大好きな鈴木さんと似ていたからなのか。シャルの仮面もどこかで見たような気がするし。

 

 

 

 

クレマンティーヌの絶叫が響いた。

 

 

「舐めるんじゃねぇーーーー!!!!!」

 

「ふぁーあ、アレだけの大口叩いておったから期待しておりんしたのに。ここまで弱いと遊びにもなりんせん」

 

「黙れ黙れダマれぇ!!!!」

 

 

シャルの一方的な戦闘の横では、カジットが絶望を顔に貼り付け、よろめき膝を付いた。

 

 

「そんな、そんなバカなことが・・・スケリトルドラゴンがッ一瞬で」

 

「イモムシ風情が威張り散らすからこうなるのよ。地に這いつくばって慈悲を請うべきだったのに、ね!」

 

 

ナーベがカジットの頭を踏みつけ砕いた。バキッと嫌な音を立てて 頭を粉砕されたカジットの血が地面に広がり 背筋が凍った。

強い、強過ぎる・・・クレマンティーヌだって私と互角かそれ以上だと思っていたのに まるで赤子を相手にしているような余裕。・・・彼らは危険だ。

 

血を見たことで震え始めた身体を何とか押さえつけ、細心の注意を払いながら足を進めた。建物の裏手に回り込んでから、事前に準備しておいた場所からコソッと中へ侵入。

 

目から血を流しながら 全裸で立ち尽している少年を発見し、頭に付けられているものを見て動揺した。

 

あのクレマンティーヌが元漆黒聖典だった事は知っていたが、まさか、叡者の額冠を盗んできていたとは思いもしなかったのだ。

 

叡者の額冠とは、着用者を超高位の魔法を引き出すマジックアイテムへと変える、強大な力を持ったマジックアイテムだ。

 

これのせいで、こんなに早く行動を起こしたのか。

 

 

素早く近寄ってから少年の頭に付けられていた叡者の額冠を破壊。残骸を回収してからその場を去った。

 

あの少年は たぶん 「あらゆるマジックアイテムの使用が可能」というタレント持ちのンフィーレアだと思う。

いくら怪しいパーティーとはいえ、ンフィーレアは有名な少年だ。冒険者をしている以上、倒れている彼を見つけても無下にはしないはず・・・。

 

手にした叡者の額冠を見ながら、思わず舌打ちをしてしまった。

法国の秘宝である叡者の額冠が、王国にあると表に出た場合、法国からどんな いちゃもんを付けられるか分からない。例え、法国の人間が持ち込んだ物だとしても死人に口はないのだ。

あの冒険者パーティーを相手にしてクレマンティーヌが無事に切り抜けられる訳がない。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

この非常事態をいち早く届けるべきだと判断し、先程出したレエブン候への暗号化された報告文よりも早く着くことになるとは思いつつも、王都へ向けて馬に跨って駆け出した。

 

 

道中で盗賊に襲われている馬車を見かけてしまい、時間を短縮したかったのもあり、サクッと盗賊共を糸で絞殺。馬車に乗っていた商人らしき者達の無事を確認してから、スグにその場を去った。

 

 

この判断が間違いだった。

 

 

 

走り出してから少しして、目の前に 金髪の男性が立ちはだかった。いきなり現れた男性に驚きながら止まると、“つい先程見た顔”にそっくりな顔立ちに、誰か思い当たり冷や汗が流れた。

 

その男、漆黒聖典第五席次“一人師団”クアイエッセ・ハゼイア・クインティアが、こちらを睨みながらもにこやかに話しかけてきた。

 

 

「やぁ、お嬢さん。こんな夜更けに急いでどちらへ行かれるのですか?」

 

「・・・あたいは 見ての通り、冒険者なんでね。どこへ行こうとアンタには関係ないだろう?」

 

 

冒険者らしく、粗暴な雰囲気の女性を演出してみたが 誤魔化されはしなかったらしい。

クインティアは妹のクレマンティーヌとそっくりな顔の、表情一つ変えることなく話を続けた。

 

 

「へぇ、冒険者ねぇ、下手な嘘は止しませんか。先程の戦い見させてもらいましたよ。蜘蛛女」

 

「・・・」

 

「黙りですか。まぁ、ここで会ったのも何かの縁ですし・・・死んでもらいましょうーー出ろ! ギガントバジリスク!」

 

 

 

ヤバいヤバいヤバいヤバい!!

 

 

何故か命を狙われてるんだけど?!

いや、心当たりならある。陽光聖典を探ってた時に思いっきり敵対していたからね。

でも、だからって 一人師団と戦うことになるなんて!しかも、ギガントバジリスクはダメな奴だ。

10m以上もある巨体を揺らめかせながら 歩み寄ってくるギガントバジリスクに嫌な汗が流れた。ミスリルに匹敵する鱗を持ち、体液は即死級の猛毒になる。さらに危険なのが「石化の視線」。その瞳に見つめられた者は対策が無ければそのまま肉体が石になってしまう。

 

対する私はレベルこそ勝っているものの、石化の対策もなし。回復魔法も使えないポンコツなのだ。

 

手加減なんてしてたらマジで死んでしまう。

 

私は 全力で指先から糸を大量に噴出させ、ギガントバジリスクの目を覆うと同時に魔法を放った。

 

 

 

「《ドラゴン・ライトニング/龍雷》!!!私はこんな所で死ねないんだよォ!!!」

 

 

 

生きなくちゃ!!

今度こそ、生き延びなくちゃいけないんだ!!!




死を撒く剣団「うぎゃあ!!?」


なお、ブレインと漆黒の剣はユリとは違う場所にて、スケルトン達を食い止めていた模様・・・


さて、スケルトンパラダイスが終わった所ですし、第2章完とさせて頂きます。次回から最終章。





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