私の死因は病死だったか事故死だったか、そんなよくある平凡な死に方だったと思う。
平凡に死に、生まれ変わった私の、唯一非凡なところは前世の記憶を持って産まれたところだけ。
君は手違いで死んだんだー、なんて言い出す神様に会うこともなければ、特殊能力を持って生まれることもなかった。
今世の名前だって、『神谷 真昼』と平凡。
前世の記憶以外は、全く持って平凡なのである。
ああ、今世の私の家庭で言えば、ちょっとだけ非凡なところがあった。
母は有名デザイナー、父は有名ブランドの社長。
まあ、一般家庭と比べれば、比較的というか大分裕福な家庭だ。
嬉しいことばかりじゃない。
両親はろくに帰ってこないから、私は弟と二人で暮らしているようなものだ。
ちなみに3歳離れた弟、名前は
一樹の人とは少し違うところといえば、母の『男なんだから武道やりなさい、武道!』という必死の勧めに、当時弓を扱う漫画のキャラクターにハマっていた私が『じゃあ弓道やりなさい!かっこいいし!』と全力で押し切り、渋々弓道をやっているところである。
きっかけはくだらないが、一樹は弓道で頭角を現し、全国大会常連くらいのレベルまで到達していた。
弓道勧めた私に感謝しろ。
閑話休題。
そんな非凡なようで平凡な生活をしていたある日のことだった。
「んー、前世にもあった漫画、こっちにも無いかなー」
どういうわけかこの世界は前世の並行世界なのか、同じような年代である。
だから、同じような漫画もある、と思ったのだが…
「あれ?『家庭教師ヒットマンREBORN!』だけ無い?」
ネットで検索をかけてもヒットは0件。
前世で完結していたので全部読んではいたが、一番読み返したかった漫画だったので少しショック。
タイトルが変わっているのでは、と一縷の望みをかけて、『沢田 綱吉』や『リボーン』なんて人名で検索してみるが、無駄だった。
最後の最後、もうやけくそで『並盛町』と検索した時。
「え!ヒット!?」
並盛町は、実在する地名として検索結果に表示された。
は?
つまり、何?
ここは家庭教師ヒットマンREBORN!の世界ってこと?
今の私は中学1年生。
うまくいけば丁度原作に関われる年齢…とはいえ、今原作のどの辺りなのかが全く把握できない。
調べてみると並盛町は県外。
そこからの私の行動は早かった。
母に連絡を取り、『私並盛に行きたい!今度の休み連れてってよ!』とワガママを言った。
しかし。
「並盛ぃ?どこよそれ。そんな訳わかんないとこより沖縄行きましょ沖縄!」
気づいたら数日後には沖縄旅行を満喫していた。
違う、違うんだよ母さん!
その行動力を沖縄じゃなく並盛に向けてくれ!
まあそれから色々と頑張り、高校は並盛高校へ通うことに。
そして私は何故か弟を巻き込み、並盛で二人暮しすることになった。
弟は並盛中学一年、私は並盛高校一年になるという訳だ。
家族で引っ越したわけでもなく、一時的に並盛にいるだけなのに、無駄に金のある我が母は姉弟に一軒家を与えた。
金銭感覚トチ狂ってるんじゃないかと本気で疑い始めた。
さーて果たして原作はどうなっているのか。
そしてごめんよ、弟。思い切り私のワガママに巻き込んで。
話は飛んで、並盛。
そう、私は念願の並盛に来たのである!
あ、一つ言っておくと、私は原作キャラと関わる気はあまり無い。
一目見てみたいとは思うが、原作に変に介入したらどうなってしまうのか予想できないからだ。
まあ今が原作外の可能性が高いんだけど。
しかし、高校入学式の時に読み上げられた名前をずっと聞いていたが、原作キャラの名前はなかった。
まだ中学生なのか、それとももう私よりも皆年上なのか。
「ねえ、一樹。中学に有名な人っている?」
それを明確にするため、私は中学入りたての一樹に聞いてみた。
「有名な人?んー、一番は風紀委員長雲雀恭弥。あとは、二年の銀髪の不良…えーっと、確か獄寺 隼人だっけ?それと、その人とよくいるダメツナってあだ名の人。本名忘れた」
原作真っ只中じゃないか。
「沢田、綱吉…」
「あ、そうそうその人。え、姉ちゃん何で知ってんの」
「…勘」
最悪な誤魔化し方である。
案の定何言ってんだコイツみたいな視線を送られた。
「黒い悪魔のような赤ちゃんとは絶対関わんなよ」
「は?何言ってんの」
私の忠告は、本気にされることなく終わった。