今回は前回のラストに言った通り、完全オリジナルです(*´-`)
月がメインの話なのでヒロイン達はほとんど出ませんが優しい目で見ていただけると幸いです!
では早速本編です!
卒業式を10日後に控えた2月の終わり、月は今日も変わらずピアノに取り組んでいた。
ピアノに没頭してはいたがゾーンに入るほどでは無かった。
そんな月にリゼは声をかけた。
「最近は時間があればいつもピアノの練習をしてるな」
「あぁ、覚えなくてはいけない曲があってね」
「曲名は?」
「ショパンのバラード第4番ヘ短調 作品52だ」
バラード第4番ヘ短調 作品52。
ショパンが作曲した4曲のバラード中最後に作曲されたもの。
彼の作曲技法が尽くされている最も演奏困難とされる作品の一つであり、通常の演奏会などではプロのピアニストからも敬遠される程の難曲である。
ショパンのピアノ作品の中でも傑作の一つとして数えられ、最高傑作とする評価もある程の一曲だ。
「難しいのか?」
「個人的には過去で一番難しい」
「なら少しずつでいいんじゃないか?」
「実はこの前、坂本先生から6月くらいまでにこれを完璧に弾けるようになっておいて欲しいと課題として受け取ったんだ。理由は分からないけど、何か意味があるんだろ」
「頑張るのと無理するのは違うからな」
「分かってる、ありがとう。明日からは昼休みに音楽室を貸して貰えるようになってるんだ」
「そっか♪なら明日は見学に行くよ!」
「あぁ、待ってる」
「じゃおやすみ♪」
「おやすみ」
月は日が変わるまでピアノに没頭するのだった。
次の日の昼休み、リゼはシャロを連れて音楽室へ向かうと既にかなりの見物人で廊下がごった返していた。
勿論そのほとんどが女子生徒だ。
「凄い人だな!」
「これじゃ見えませんね……」
教室の扉には関係者以外立ち入り禁止と貼り紙があり、見物人は中に入れずにいた。
「私達は関係者だから大丈夫だろう。ヨシ、入るぞシャロ!」
「リゼ先輩!?」
リゼ達が中に入ろうと扉を開くと、一部の女子から歓声が湧いたが月の耳には届かなかった。
「♪♪♪~♪♪~♪♪♪」
月は演奏を終えるとシャロとリゼは月に声をかけた。
「相変わらず凄い腕前ね」
「そんな事無いさ」
「廊下を見てみろよ、凄い人だぞ?」
「え?」
月は廊下を見ると凄い人の数に驚きながらも、よっぽど機嫌が良かったのか笑顔で手を振ると女子の間から歓声が上がった。
「機嫌いいな」
「そんな事ないさ。ただスタインウェイのピアノは高音の響きが美しいと思ってな。う、浮気じゃないぞ?俺はベー君一筋だぜ!?」
「「何言ってるんだ(の)?」」
月の意味不明な発言に二人は思わず首を傾げるのであった。
「…………間違いない!コイツだ!!」
一方誰かが月の存在に気がついたようだ。
そして放課後、バイトが休みの予定の月はシャロに別れを告げると帰路に着こうと下駄箱に向かうと月の靴箱に手紙が入っていた。
月が手紙を開くと内容はこう書かれていた。
相武君へ
初めまして、私は相武君と面識が無いけど相武君に伝えたいことがあってお手紙を書かせて貰いました。
初めて相武君を見た時からあなたのことが気になって気になって仕方ありません。
この手紙を書いてる今でもあなたのことばかり考えています。そんなあなたに伝えたい事があるので、今日の放課後屋上に来てください。
待ってます。
月は最後まで読むと名前が無いかを確認したが名前が無く、誰からかは分からなかった。
そんな月に後から来たシャロが声をかけた。
「月?先に帰ったんじゃなかったの?」
「シャロか?いや、手紙が靴箱に入っててな?」
シャロは光の速さで手紙を奪うとその内容に驚愕した。
「こ、これは!?まさか!?そ、そんな……」
「おい、シャロ?」
「信じないんだからーーー!」
シャロは薄ら涙を浮かべると走ってその場を去った。
「何だったんだ?さてと……」
月は手紙をビリビリに破るとゴミ箱に捨てた。
「帰るか……」
「ちょっと待てぇーーー!!」
月は声がした方を見ると茶髪に長目の八重歯が特徴的な小柄な男が立っていた。
「なぜ帰るんだ?」
「授業が終わったんだ、帰路に着くのは当然だろ」
「手紙を貰ったんだろ?」
「大した内容じゃ無かった」
「それは告白の手紙だろ?」
「何故告白だと知っている?」
「ギクッ!!」
「それにこの手紙を書いたのは男だ」
「ギクッギクッ!!」
「なるほど、犯人はお前か」
「な、何故分かった?」
「まず告白の手紙にしては自分の事を隠し過ぎだし、内容も抽象的だ。それにこの学校の生徒はお嬢様が多いから、それなりの育ちをしているからそれなりにみんな字が綺麗だがこの字は筆圧が強い。おそらく男の字だろうと思っていたら、お前が声をかけて来たという訳だ」
「さ、流石は学年一位」
「それに俺に告白なんかする女の子がいる訳無いだろ?」
((それはもう少し自分に自信を持っていいんじゃないか?))
「それじゃ、俺は帰るから」
「ちょっと待ってくれ!」
「?」
帰ろうとする月は足を止め、男の言葉を待った。
「お、俺と友達にならないか?」
「ならない。まずお前は誰だ?」
「そこから!?…………そ、そうだ!女の子を紹介してやるよ!彼女欲しいだろ?」
「じゃあな」
「ちょっ!ちょっと待ってくれ!」
男は月に土下座をすると言葉を続けた。
「俺の名前は1年1組の蓮季 煌太(はすき こうた)。実はお前に頼みたい事があって手紙を書いた!親友の人生に関わることなんだ!頼む、俺達に力を貸してくれ!」
今の言葉からは全く偽りの意志が感じられず、紳士な想いが月に伝わってきた。
「頼みも何も、内容が分からないと判断できないだろ?一旦屋上に行こうか。話くらいは聞いてやるよ」
そう月が言うと蓮季はパァっと明るい笑顔になった。
屋上に向かう間に月は簡潔に自己紹介をされた。
蓮季 煌太
月と同じ学年の5人しかいない男子生徒の一人で軽音部に所属しており、軽音部の部長を務めている。
担当楽器はドラム。
今回は軽音部に関わる事で月に頼みたいことがあるようで、今から軽音部のメンバーと顔合わせをするらしい。
屋上に着くと他に三人の男がおり、みんな顔見知りなようで蓮季が促すとそれぞれ自己紹介を始めた。
「僕は3組の天野 馨(あまの かおる)。担当はギターね♪ヨロシクね相武君♪」
天野 馨
銀髪で高身長。友好的で柔らかい性格が特徴的。蓮季と同じく軽音部に所属し、ギターを担当している。
「こっちは4組でベース担当の美都 凌平(みと りょうへい)」
ペコペコ(*- -)(*_ _)
「人見知りであまり口を開かないんだ。悪いやつじゃないから仲良くしてやってくれ」
天野が紹介した美都と言う男は喋らなかったが礼儀正しくお辞儀をした。
美都 凌平
黒髪で細身の高身長。同じく軽音部に所属し、人見知りをするらしく普段から口数が極端に少ないが、性格はとても優しく一部の女子生徒からはかなりモテるらしい。
「お、俺は4組の一之瀬 渚(いちのせ なぎさ)。担当はギターとボーカル。よ、よろしく」
一之瀬 渚
黒髪の小柄な男。3人と同様に軽音部に所属。やや人見知りをするようだが、声は透き通っており。月は彼がボーカルなのを納得した。
一通りの自己紹介を聞くと月は自己紹介を始めた。
「2組の相武 月だ。それで?軽音部が揃いも揃って何の用だ?入部の勧誘ならお断りだぞ?」
蓮季達はお互いに顔を合わせると部長の蓮季が代表して話を始めた。
「実は俺がこの学校に入学した時は軽音部が無くて、同学年のコイツらに声をかけたらみんなバンドをしたいって話で軽音部を作ったんだ。
その時は天野がいなくて3人で部活を立ち上げようとしたんだが、人数が足りなくて創部できなかったんだ」
「それで?」
「その時に生徒会長の御幸(みゆき)先輩が入部してくれたんだ。先輩は元々ピアノを習っていたからキーボード担当として入部してくれた。そんな先輩ももうすぐ卒業だ……。先輩がいなくても俺たちだけでも大丈夫だって所を先輩に見せつけてやりたいんだ!」
「なるほどな。それで俺に何を頼みたいんだ?」
「今回演奏したい曲にはキーボードプレイヤーが必要で、相武にはそれを頼みたい。ずっとピアノが上手い人を探してたんだが、今日の昼間の演奏でそれを確信した。お礼は必ずするから!」
「それで?いつ演奏するつもりなんだ?」
「来週の卒業式当日だ!」
「来週!?急過ぎるだろ!?それに卒業式当日ってそんなの先生達が許す訳無いだろ!?そんな暴挙なら俺は協力しないぞ!」
「それに!!」
今まで無言だった一之瀬が声を上げた。
「それに……俺は会長の事が好きなんだ。会長に想いをちゃんと伝えたい……」
「一之瀬の決意を形にしたいんだ!!」
「「「頼む!!」」」
全員が月に深々と頭を下げた。
月はこの手のお願いに弱い。
「想いを伝えたいか……」
月はスマホを開くと電話をかけだした。
「もしもし店長ですか?相武です。来週末までバイトを休ませてください。穴埋めは春の新メニュー開発のご協力をしますので。理由?ちょっと野暮用ができまして。よろしくお願いします。では失礼します」
月が電話を切ると四人にウインクをした。
「「ヨッシャー!!」」
「それとお前らの計画はプランがガバガバだ。俺が再構築する」
「「「「・・・・・・」」」」
そして怒涛の1週間が始まった。
演奏曲を練習しつつ音を合わせる。
急な音合わせだったので多少厳しいかと思っていたが、月は予想以上の早さで曲を覚えた。
「お前……天才かよ」
「一回聴けばある程度耳コピできるんだ。あとは楽譜で確認すればほぼ問題ない。コンクールに出るとかだったらもう少しやり込まないといけないけどな」
「やっぱり俺の目に間違いは無かったな」
蓮季を含む全員が月のセンスに驚き、称賛の言葉を送るのだった。
そして卒業式当日。
いよいよ作戦が結構される。作戦を確認するために全員で屋上に集まっている。
月が考えた作戦内容は以下の通りだ
①月が放送室の鍵を借り、バンドの器具をセットする
②卒業式に向かう最中にそれぞれがクラスの列からフェードアウト
③準備が済むと同時に放送室に立て籠り、全校放送で演奏開始
④演奏の途中で窓から一之瀬のみが出ていく
⑤他のメンバーは演奏を続け職員を引き付ける
⑥卒業式の行われている体育館に乱入した一之瀬は会長に告白
⑦あとはどうにでもなれ
緊張の中、天野が口を開いた。
「これは決行したら間違いなく停学だね♪」
「しかし相武はとんでもない作戦を思い付いたな?(笑)」
「鍵は既に借りて荷物も置いてある。止めるなら今の内だぞ?どうする一之瀬?」
「………………みんな、巻き込んでごめん。でも想いをちゃんと伝えたいんだ!」
「決まりだな」
「あぁやってやろうぜ!」
コクコク(*- -)(*_ _)
「一之瀬……」
やる気になってる一之瀬に月は発破をかけた。
「俺たちは同じ空の下にいる。あの人の心をぶち抜いてやれ!」
月は拳で一之瀬の胸を衝いた。
「月…………一体どこに行ったのかしら?」
姿が見えない月をシャロは横目で探していた。
そしていよいよ卒業式が始まった。
月達は放送室に集まっている。
勿論職員室にも誰もいない。
「準備はいいか?」
コクコク(*- -)(*_ _)
「いつでもいいよ♪」
「俺もいつでも大丈夫だ」
全員が一之瀬を見る。
「大丈夫!始めよう!」
部長の蓮季はマイクを取ると放送のボタンを押した。
一方、体育館では順調に卒業式が行われていた。
ピンポンパポーン
「!?」
職員を含めて、全校生徒がざわつき始めた。
「卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます!軽音部です!今日は卒業生の皆さんに自分達ができることを考えた結果、卒業ソングを皆さんに贈りたいと思います!」
「軽音部!?厳粛な卒業式の最中に何をやってんだ!?一体どこにいるんだ?」
「放送室では無いでしょうか?」
「卒業式は一旦中止だ!放送室に行きましょう!」
職員達は一斉に職員室に向かった。
全校生徒はかつてない事態に沸き立っていた。
「それでは聴いてください。振り向けば…」
「♪~♪~♪♪♪」
軽音部と月が演奏を始めたのはJanne Da Arc の卒業ソングの振り向けば…。
卒業式を迎えた卒業生の出会いと別れを歌った名曲である。
※この曲を聴いて歌詞を知っていただけると更に小説のイメージが湧くと思いますので是非聴いてみてください。
作者も大好きな名曲です\(^^)/
卒業式の日に聴いたら泣いちゃうかも(笑)
「♪♪~♪~♪」
演奏を続ける月達のもとへ続々と職員が向かう。
いよいよ歌詞が二番に入る所で一之瀬が放送室を出る。
皆が幸運を祈ると言わんばかりに頷いた。
そして一之瀬は体育館に向けて走り出した。
「♪♪~♪♪~♪♪♪」
二番からはバトンタッチし、月が歌い始めた。
月の歌唱力の高さに軽音部の面々は驚きながらも、それを楽しむように演奏を繋いで行く。
「「この声!!月!?」」
月が歌っていると気づいたシャロとリゼは思わず声を上げた。
月の歌声に体育館に残された全校生徒のテンションも上がっていく。
やっと放送室に着いた先生がドアを激しく叩く。
「お前たち!止めないか!」
一瞬軽音部は躊躇したが、月の耳には全く雑音は届いていなかった。
この極度の緊張感の中で月はゾーンに入っていた。
その月に呼応するように軽音部も演奏を続ける。
((一之瀬……頑張れよ!俺たちはここにいる!))
体育館に着いた一之瀬は走って雛壇に登った。
月の作戦通り一之瀬を止める者はいない。
月達の歌を聴き涙を流す者も沢山いた。
そんな声を切り裂くように一之瀬は過去一番の大声を上げた。
「御幸先輩!!一年間お世話になりました!!俺、先輩に頼ってばかりで中々情けないとこばかり見せて来ましたけど、やっぱりこのままお別れなんでできません!!俺は御幸先輩が好きです!!俺と付き合ってください!!!」
あれだけ騒がしかった館内が答えを催促するように静寂に包まれる。
「…………バカ!!言うのが遅いのよ!!私も大好き!!」
館内はこの日一の歓声に包まれた。
それと同時に月達の演奏は終わり、体育館からの歓声を聴いたみんなは成功を確信し、それぞれがハイタッチを交わした。
「それじゃあ、行くぞ?」
月は事前にみんなと約束した事が一つある。
演奏が終わるとそれ以上は籠城はせず速やかに投降すること。
これ以上先生方と卒業生に迷惑を掛けられないという理由だった。
ドアを開くと先生達が入ってきてその場で月達はお縄となった。
そして卒業式終了後、生徒主任を筆頭に説教のような取り調べが行われていた。
「お前らなんてことをしたんだ!!卒業式をジャックするなんて前代未聞だぞ!」
「「「「「スミマセン」」」」」
「相武!お前はコイツらに脅されたんだろ?優等生のお前がこんな落ちこぼれな奴らと一緒にいるのはおかしい!」
「なんだと!!」
「煌太!お前は騒ぐな。このまま俺達が黙っていれば相武君だけは助かる……。元々は俺達のワガママから始まったんだ、相武君だけでも救いだそう」
コクコク(*- -)(*_ _)
先生の一方的な暴言に蓮季が食ってかかろうとしたが、天野がそれを制した。
「相武、そうなんだったらお前だけは水に流してやろう」
「そうなんです♪俺達が無理矢理相武君を巻き込んだんです♪そうだよね?相武君?」
「やはりそうか!お前らみたいな問題児は相武に二度と近づくな!」
軽音部のみんなは言葉を失ったが、したことの重大さを考えると仕方ないと思うのだった。
すると月が重たい口を開いた。
「スイマセンでした。トイレに行ってきます」
月は教室を出た。
月がいなくなっても説教は続いた。
数分後、月がトイレから戻ってきた。その手にはバケツが握られている。
「相武??」
月はそのままバケツに入った水を先生にぶちまけた。
「「「なにーーー!?」」」
軽音部一同は言葉を失った。
「な、何を……」
生徒主任の先生も言葉を失った。
「水に流してくれるんでしょ?」
「…………ふふっ。あははは!!」
軽音部の全員は声を上げて笑いだした。
一方の先生はと言うとタコのように顔を真っ赤にしている。
「残念ですけど、俺は先生が思ってるような優等生じゃないんです。それでは失礼します」
月は珍しく怒ったような表情を見せると、有無も言わさず教室を後にした。
そんな月を軽音部が追ってきた。
「相武!お前なんて事してんだよ!」
「そうだよ!せっかく相武君だけでも助かるチャンスだったのに」
「友達をバカにされて我慢するなんて、男が下がる!それと…………」
「「「「???」」」」
「俺の事は月と呼んでくれ」
月は四人に微笑むと帰路に着いた。
校門まで着くと、そこにはシャロがいた。
「待っててくれたの?」
「心配だったからよ!」
「心配してくれてありがとう」
「もうバカなんだから!//」
月とシャロは並んで帰る。
月は咲きかけている桜を見て、入学式を思い出していた。
別れの季節を終え、出逢いの季節が再び訪れようとしている。
「ところで……。あのラブレターはどうしたの?//」
「え??」
いかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました!m(_ _)m
出来の良し悪しはともかく、この小説を書き始めた時から書こうと思ってた話を書けて個人的には満足です!
今回はオリキャラが一気に増えましたけど、美瑠先輩ほど出番は無い予定です。これからたまに出していけたらいいなと思ってますけど(^^)
オリキャラの名前に悩んでたんですがアドバイスをいただいてスムーズに行きました(*´∀`)♪
次回は大人気のあのキャラがついに登場します!
そして物語も少し進みますのでこうご期待!!
皆様のご意見感想・お気に入り登録・投票をお待ちしております!是非よろしくお願いします!\(^^)/
ではまた次回!ほなっ!(^^)ノシ