中々筆が走りませんでした……。
仕事も忙しいのも合間って更新が遅れました。
筆が乗らなかった理由は最後に話しますね。
では、早速本編です!!
「見覚えのある天井だ……」
月はラビットハウスの寝室の天井を見上げた。
ここは誰の部屋だろう?
そう思ったが天井を見つめる視線を遮った見覚えのある顔に月は全てを理解した。
「おはようございます。良く眠れましたか?」
泣き疲れ、そのまま眠ってしまいチノとタカヒロの好意でチノの部屋に寝かせることとなったようだ。
「おはよう。昨日は恥ずかしい所を見せたね」
「いえ、本当の姉弟といった感じで少し羨ましかったです」
「そ、それ以上言わないでくれ……」
月が困った表情を見せるとチノは月に微笑んだ。
「では私は、朝食の準備とココアさんを起こして来ますね」
「今朝の朝食は俺に作らせてくれ」
「ですが……」
「頼むよ」
月は優しくチノの頭を優しく撫でた。
「…………分かりました。私はココアさんを起こしてきます」
月はチノと一旦別れるとキッチンに向かった。
「さて、悩んでる時間は無いな」
月はお湯を鍋に張りコンソメの元を入れた。
そこにニンジン、キャベツ、ベーコン、じゃがいもをやや大きめに切り鍋に入れ煮込む。
その後、ココアが作っていたマフィンをトースターに入れ、ベーコンを人数×2枚フライパンで焼き始めた。
ベーコンを焼きながら、鍋に切り目を入れたウインナーを入れ、更に煮込む。
マグカップに卵と少量の水を加えレンジで1分温め、レンジが終わると中の水を捨てれば温泉卵が出来上がる。
焼けたマフィンに焼いたベーコンと温泉卵を乗せ粗挽き黒胡椒をかける。
そこに卵黄、マヨネーズ、バター、レモン汁、塩を混ぜたオランデソースをかければエッグベネディクトの完成だ。
鍋のスープをよそって粒入りマスタードを添えればポトフの完成だ。
「いい匂いがします」
「ココアは?」
「今起きましたので、着替えてくると思います。朝食のメニューは何ですか?」
「エッグベネディクトとポトフだ。チノちゃんコーヒーを淹れて貰えるかな?」
「はい、喜んで!」
月はコーヒーのみチノに淹れて貰う事にした。
全てを月がこなすよりチノに一部任せた方が良いという判断だ。
それにコーヒーは月が淹れるよりチノが入れた方が美味しい。
「みんなおはようー」
ココアが眠そうに降りてきた。
すでに着替えは済ませている。
続いてタカヒロがリビングに入って来た。
「みんなおはよう。いい匂いがするね」
「今日の朝食は月さんが作ってくれました」
「そうかい、ありがとう」
「いえ、昨日はお恥ずかしい所をお見せした上にご迷惑までおかけしてスミマセンでした」
「気にしなくていいさ。ここは君の家のように思って貰っても構わないさ。それよりモカ君はまだ起きてないのかな?」
「はい、昨日のヤケ飲み(ミルク)が堪えてるみたいで朝食はいらないと言っていました」
「お姉ちゃんどうかしたのかな?元気が無かったけど……」
((ココア(さん)のせいだよ(です)!))
チノと月は心の中で叫んだ。
「そうだ!お姉ちゃん達を驚かせるサップラーイズをしようよ!」
「サプライズって?」
「えっと、それはね!」
その後、朝食を食べながらサプライズの内容をココアは3人に話した。
途中、チノとココアがポトフに入っているニンジンを食べる事を渋ったが、月は無言の圧力でニンジンを食べさせるのだった。
モカは目覚めてから、チノの部屋に向かうとそこにはマヤとメグとココアがいたのでチノの部屋に入ろうとしたが、ココアにそれを阻止された。
「お姉ちゃん入っちゃダメ!!」
「チノちゃんのお友達だよね?私も一緒に……」
「ダメなの!いい!?入っちゃダメ!!」
ココアはモカに言い放つと思い切りドアを閉めた。
ココアの冷たい態度に地面に崩れ落ちたモカに月は声をかけた。
「大丈夫ですか?」
「月君は優しいね……。私の弟に」
「いえ、姉さんが怖いので止めておきます」
「そっか……」
「モカさん!どうしたんだ?」
「おう、リゼ。おはよう」
「おはよう。それよりモカさんどうしたんだ?」
「妹の姉離れが深刻で……」
「深刻なのは姉のようだな」
「うんうん」
「ココアは何か忙しいみたいだから私と月が街を案内するよ。甘兎庵に行こう。カノンさんもいるから」
「う、うん……」
月とリゼが差し出した手を取り、モカはラビットハウスを後にした。
リゼを先頭に木組の街を歩いて行く。
「リゼちゃん、エスコートしてくれると言う割にはちょっと距離が……」
「も、モフモフ対策で……」
「まぁリゼちゃんの後ろ姿も可愛いからヨシとしましょう♪」
「ふぇ//。や、やっぱり後ろはダメだ!てゆうか近づくなーー!」
「リゼーー!!」
「案内放棄!?」
走り去るリゼを眺めながら、月は追うことを諦めた。
「全く……。モカさんはこの街に慣れてないんだから……。スミマセン、代わりに俺が案内します」
「月君は逃げないの?」
「俺はモフモフされませんからね」
「じゃあ、腕を組んでもいいかな?」
「仕方ないっすね」
「えへへ♪」
月が腕を差し出すとモカは月の腕に抱きつきラビットハウスに向かった。
その頃、甘兎庵ではカノンと千夜、シャロの3人はガールズトークに華を咲かせていた。
「まぁ、月とシャロさんの間にそんな事が♪」
「そんなんです!それからシャロちゃんは月君の事が好きになったんですよ~♪」
「まぁまぁ♪」
「…………//」
カノンと千夜が月とシャロの会話で盛り上がっているようで、シャロは少し顔を赤らめて下を向いている。
しばらくするとリゼが甘兎庵に駆け込んで来た。
「た、助けてくれ!!」
「いらっしゃーい♪」
「せ、先輩っ!?ど、どうしたんですか?」
「い、命までモフられる!」
リゼはシャロに抱きつくとそのまま後ろに隠れた。
「とーちゃーく♪」
「あ!モカさん!月を独り占めなんて行けませんの!」
カノンはモカが抱きついていない方の腕に抱きついた。
「お姉ちゃんサンドですわ♪」
「特別サービスだぞ♪」
二人の柔らかい感触に月は思わず顔が赤くなる。
「そ、そろそろ離れて!」
月は二人を引き離すとモカはリゼの方を向いた。
「リ~ゼちゃ~ん♪」
「モフモフ祭りですわ♪」
「ひぃ!!」
(あの先輩がタジタジに……)
シャロはリゼを庇うように両手を広げた。
「逃げられると追い詰めたくなっちゃうぞ~♪」
「その気持ち分かります~♪」
「「分かるな!!」」
「千夜ちゃん!その制服イケてる!」
「本当ですか?シャロちゃんと月君が働いてる喫茶店の制服もミニスカで可愛いんですよ?」
「俺は執事服だけどな」
「そうなの?行ってみたいなぁ!ねぇシャロちゃん?私もまだまだミニスカで働けるかな?どう思う?」
「…………止めましょう。トラウマになる子もいるんですよ……」
「トラウマ?」
(確かにシャロのは慎ましやかだからな)
「月!!!」
「はいっ!スミマセン!!」
一方のカノンは何か思い付いた様子でシャロの腕を掴んだ。
「シャロさんはこっちですの♪」
「カノンさん!?」
「え~い♪」
カノンはシャロの腕を引っ張りそのまま月の胸目掛けて押した。
おのずとシャロは月に抱き締められる形になる。
その後、カノンは覆い被さるようにシャロを後ろから抱き締め、離れないように月の両腕と自分の両腕を絡めた。
「姉さん!?一体何を!?」
「ふぇ!?///」
「アイブサンドですの♪」
「「何だよ(ですか)それ!!」」
「ほらほら~♪どんどん強く挟んで行きますわよ~♪」
「「っ!!//」」
みるみる内に二人は顔を真っ赤に染めていく。
しかし月はカノンより力が無い為、カノンを振りほどけない。
「も、もうダメ……//」
「俺も……//」
二人は顔を真っ赤にすると膝から崩れ落ちた。
その様子を満足げに観察した後で二人の復活を待ってから話をモカの悩みに移した。
「ココアが冷たい?」
「そうなの。何かよそよそしくて」
「あのそれは……」
「「シャロ」」
何かを言いかけたシャロを月とリゼが制した。
「いえ!何でも!」
「???」
(なるほど……そういう事ですの)
些細な会話ではあったがカノンは何かを悟ったようだ。
「モカさん、おもてなしのアイスココアです♪」
「冷え冷え…………。今のあの子にそっくり…………」
「空気読みなさいよ!」
「暑いから冷たい物がいいと思って♪」
アイスココアはモカの体だけでなく心まで冷やしていった。
その夜、カノンは月の部屋を訪れた。
「月?今いいですか?」
「ん?大丈夫だよ?」
「私、明日帰りますわね」
「そっか、幸せにね。健康にも気を付けて」
「それはお互い様ですの。しばらく会えませんわね」
「新居が決まったら教えてよ。旦那さんにもご挨拶に伺いたいし」
「もちろんですわ♪ねぇ月?」
「ん?」
「私の旦那様になる人は、とても優しくていつも私をちゃんと見てくれてる人ですの。出会うキッカケはお見合いでしたけど、あの方とならいい家庭を築いていけると思いますの」
「そっか……。昔から姉さんは人を見る目があるから、姉さんがそういうのなら大丈夫だろう」
「はい♪それと、月には大切な人っていませんの?」
「大切な人?それは家族もそうだしこの街の友達も大切な人だよ?」
「そういう意味ではありませんの。例えばいとおしく思ったり好意を寄せる女性はいませんの?」
「そんな人いないよ。ただ…………」
「ただ?」
「チノちゃん、ココアに千夜、リゼは俺にとって大切な人だけど、シャロはみんなとは違うんだ。何故かは分からないけど、一緒にいて楽しいだけじゃなくてどこか特別なんだ。でもこの気持ちを言葉では上手く説明できない」
「そうですの……」
カノンは月を優しく抱き締めた。
「月、大人になりましたね」
「分からない事が増えたのに?」
「関係ありませんの。月の疑問は少しずつ答えを見つけられますの。だから慌てなくていいですわ」
「そんなもんかな……」
「そんな物ですわ」
「…………明日、帰る前にラビットハウスに行こう」
「あら?モカさんを元気にするサプライズパーティーでは?」
「ゲストは多い方がいいだろ」
「ではお言葉に甘えさせていただきますの♪」
カノンは名残惜しそうに月をもう一度強く抱き締めると、部屋から出て行った。
次の日、月はカノンを連れてラビットハウスに向かった。
「リゼさんは?」
「モカさんへのサプライズの準備だってさ」
「あらあら♪楽しみですわね♪」
ラビットハウスに到着し、月はカノンを連れて店内に入るとクラッカーが鳴り響いた。
「「「カノンさん!結婚おめでとう!」」」
「ふぇ??」
「ふぇ?じゃないだろ?姉さんの結婚祝いのパーティーだよ」
「さっきお姉ちゃんにもサプライズ大成功したよー♪」
「お、やったなココア!」
月とココアがハイタッチを交わす。
モカにもサプライズを敢行したばかりのようでモカもイマイチ状況が理解できていないようだったので、千夜とシャロが二人に経緯を説明した。
「モカさんの元気が無くて、カノンさんが結婚するからって」
「サプライズパーティーをしようって、ココアが計画したんです」
「ココアじゃないよー。この街のマスコットキャラのきぐみんだぴょーん♪」
決めポーズをとるココアをモカが思い切り抱き締めた。
「元気無いのはあんたのせいでしょーー!!」
「ギブ!ギブ!」
「まぁ♪私までお祝いしていただきありがとうございます♪あれ?初めましての方がいらっしゃいますの。私、相武月の姉の華音と申します。よろしくお願いいたします♪」
「マヤでーす!この銃私が買ったんだよ♪」
「メグです♪この被り物は私が選んだの♪」
「まぁまぁ♪お二人とも可愛いですわね♪」
「うんうん♪メグちゃん、マヤちゃんいいセンスだ♪」
マヤとメグは二人に駆け寄り抱きついた。
「モカ姉とカノンちゃんって呼んでいい?」
「モカお姉ちゃんにカノンお姉ちゃんだー♪」
「まぁまぁ♪可愛いらしい妹達ですわ♪」
その様子を嬉しそうにココアが眺めていた。
「うんうん。順調に甘え上手な妹に成長しているようだね♪」
「私はあの二人の将来が心配になって来ました」
「俺もチノちゃんに同意」
「ココア?この子達も私へのプレゼントかな?」
「違うよ!!お姉ちゃんは見境なさすぎ!!」
「うーん?聞き捨てならないなぁ♪」
「あ、あの……喧嘩は……」
「あのくらいなら、兄貴といつもやってるよ!」
「じゃあ心配無いね♪」
「あのくらいなら姉妹では普通……。なるほど、そんな物なんですね」
「面倒くさくなったらCQCで捩じ伏せれば完璧だね」
「そりゃマヤだけだ」
話を聞いていた月がマヤに優しくチョップしながら突っ込んだ。
「今日はなんと、お姉ちゃんの大ファンの小説家の青山ブルーマウンテン先生に来て貰いました!」
「ど、どうも♪」
「あ、あなたは公園の!」
「ココアさんのお姉さんだったんですね」
「ほ、ホントに作者様だったなんて!。こ、これにサインを!!」
「その麺棒一体どこから!?」
明らかにモカの服装に隠しようのないくらいの大きさの麺棒が出てきた為に、チノが反射的に突っ込んだ。
「はい♪喜んで♪」
しかし青山のサインはとても大きく麺棒には入り切らなかった。
「字がデカイ!」
「ありがとうございます!大切にします!」
「まぁこれはこれでいい思い出ということで……」
月が上手く締めた所でタカヒロが料理を持ってきた為、パーティーは俄然盛り上がっていく。
月は事前にタカヒロに頼んでいたキーボードの前に行くと、カノンに声をかけた。
「姉さん!久しぶりにセッションしようよ!」
「それはグッドアイデアですわ♪」
カノンは荷物からヴァイオリンを取り出すと月の横に行くとヴァイオリンを構えた。
「♪~~♪♪♪~♪」
「♪~~♪♪♪~♪」
二人は呼吸を合わせる素振りを全く見せなかったが、完璧なタイミングで演奏を始めた。
その神々しさに皆固唾を飲んだ。
二人が演奏をしているのはベートーベンのヴァイオリンソナタ第5番、へ長調作品24「春(スプリングソナタ)」だ。
※23羽参照
「これ……月が大切な曲だって言ってたやつだわ。お姉さんとの思い出の曲だったのね」
優れた音楽家は人の視線と言葉を盗む。
月とカノンが演奏を終えるまで誰一人として、言葉を話さなかった。
その後、演奏を終えるとみな二人を拍手で讃えた。
それからしばらくしてパーティーはお開きとなった。
そしていよいよカノンとモカが帰る事となり、それぞれモカの見送りはココアとチノが、カノンの見送りを月とシャロがする事となった。
月は汽車の入口でカノンと話していた。
※モカの見送りは原作を見てください
「それじゃあ、旦那さんによろしく」
「えぇ、伝えておきますの」
「そうだ♪シャロさん♪」
カノンはシャロを手招きすると耳打ちをした。
「月の気持ちはシャロさんしか射抜けないと思いますの。あながち脈無しという訳ではありませんので頑張ってくださいな♪」
耳打ちを終えるとカノンは二人にウインクをして、汽車に乗り込んだ。
座席に着くとカノンは窓を開けた。
「ほらっ!」
「これは何ですの?」
「玉子サンド。帰りながら食べてよ」
「ゆっくり味わっていただきますわ♪」
汽車が発進の合図を鳴らし、少しずつ汽車が動き始めた。
「月!元気でね!シャロさん!月をお願いしますの!」
「姉さんホントにありがとう!」
月は走り去る汽車を走りながら追いかけた。
その刹那、月は色々な事を思い出していた。
母が亡くなり元気を失った時、いつも傍にいてくれたこと。
いつも沢山ヴァイオリンを弾いてくれたこと。
チェスを沢山したこと。
眠れなくなった日は一緒の布団で寝てくれたこと。
駅のホームの端まで走ると月はカノンに叫んだ。
「俺!世界一のピアニストになれるように頑張るから姉さんも頑張れ!あといつも言えなかったけど、俺も姉さんが大好きだから!!」
「私も!!」
月の言葉にカノンは大粒の涙を流しながら答えた。
汽車が走り去った方を見ていた月の傍にシャロが来た。
月は視線を空へ移した。
「天気予報は嘘をついたな。雨が降ってきたじゃないか」
「雨なんて降ってないわよ?」
月は空を見上げながら顔を手で隠した。
そんな月をシャロは後ろから優しく抱き締めた。
「何してんだよ」
「涙には人の体温が一番なんでしょ?」
「だから雨だって……」
「そうね……。雨が早く止むといいわね」
月は雨が止むまで空から目線を移さなかった。
そしてシャロも雨が止むまで月の傍を離れなかった。
いかがでしょうか?
月の家族愛をテーマに数話書いて来ましたがやっと完結です。
月の気持ちも次第に揺れています。
次回からはいつも通りのゆるーいごちうさに戻ります。
そして前置きでも書きましたが、筆が進まなかった理由として、新しい作品を書こうと思ってます!
題材は"戦姫絶唱シンフォギア"です。
内容は恋愛無しのミステリー系にしようと思ってます。
後輩の勧めで先週からアニメを見始めたんですが、アニメを見てたらインスピレーションが止まりませんでした。
しばらくはごちうさをメインに少しずつシンフォギアを書いていきます。
良ければそちらも読んでいただけると幸いです。
ではまた次回!ほなっ!(^^)ノシ