ご注文はハーブティーですか??   作:テレサ二号

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どうも、テレサ二号です!
久々の投稿になってしまいスミマセン(;´_ゝ`)

年末ということで鬼のように仕事が忙しく、その上FGOのイベントが重なってたのでそちらに力を注いでおりました(  ̄▽ ̄)

では本編です!!


33羽:雨、逃げ出した夜に

新学期を迎えた数日後、せっかくの休日なのに外は雨模様でリゼは不満を漏らした。

 

「せっかくの休日なのに雨ってなんだかな~」

 

「いいじゃないか、雨が嫌なんて人間だけの都合だぞ?」

 

ピアノを弾く準備をしていた月は不満を漏らすリゼを宥めた。

ピアノを弾こうとする月の傍にリゼは月の勉強机の椅子を持ってきた。

 

「ここは私の特等席だな♪」

 

「チャージ料払って貰わないといけないな」

 

「お前がプロになったら何らかの形で返してやるよ」

 

「おっと、そりゃ頑張らないとね♪」

 

月はリゼに微笑むと早速ピアノを弾き始めた。

 

「♪~♪♪~♪♪♪」

 

月が演奏を始めたのはショパンの 前奏曲 作品28の15「雨だれ」だ。

雨を題材にしたクラシックの中でもかなり有名な曲である。

 

甘く切ないピアノの旋律が印象的なこの曲はショパンらしい、とても繊細で浮き沈みのある心を表現したような曲だ。

そんな「雨だれ」を外の雨音も旋律であるかのように溶け込ませながら月は美しく弾き上げていく。

 

「♪~♪♪♪~♪」

 

静かに雨の雫が地表に降り立つようにしっとりと月は演奏を終えた。

その美しい音色にリゼはうっとりしている。

しかし月は首を傾げながら左手を見ていた。

 

「私はクラシックに詳しくないが、何か心を惹き付けるものがあるよな。って、左手どうかしたのか?」

 

「ん?あぁ、何か違和感があって」

 

「痛めたのか?」

 

「痛くは無いんだけど、何かいつもと違う感じ」

 

「う~ん、私の手なら気にしないが月の手となると大切な商売道具だからな。親父に相談してみるか」

 

「いや、リゼの手でも大切だろう。まぁただの違和感だから気にしなくていいって」

 

月は軽くあしらったが、リゼが親父さんに相談し親父さんもそのままにしておくのを嫌がった為、半ば強引に月は街の診療所に連れて来られた。

診療所に着くと医師より、問診・検査・採血が行われた。

元々あまり病院が好きでない月は少し機嫌が悪くなっていた。

そんな月を付き添いのリゼは宥めていた。

 

「そんなに不機嫌になるなよ。一大事だったら困るだろ?」

 

「気にしなくていいって言ったのに。俺は病院が嫌いなんだよ」

 

「子供か!!」

 

月の病院嫌いは子供時代の母親の死が影響している事をこの時のリゼはまだ知らなかった。

 

「相武様~相武月様~」

 

「ほらっ、拗ねてないで行くぞ?」

 

リゼは月を連れて診察室に向かった。

診察室では医師が気難しい顔をして座っていた。

 

「相武月さんですね?」

 

「はい、そうですけど?」

 

「結果から言うと相武さんは5万人に1人の腕が動かなくなる難病です」

 

「「え!?」」

 

「薬代は高くなりますがその薬で進行を抑える事はできますが、ピアノは辞めて貰う他ありませんね」

 

「そんな!!治療法は無いんですか!?」

 

「最近見つかった難病なのでまだ治療法は確立されておりません。本日は薬を処方しておきますのでそちらを持って安静にされてください」

 

処方された薬を持ち、月とリゼは帰路に着いた。

そんな重い空気を払うように月が話始めた。

 

「いや~、難病とは困ったねぇ。美人薄命とはこのことかな?」

 

しかしリゼに反応は無い、月がリゼを覗き込むとリゼは大粒の涙を流していた。

 

「酷い……こんなのって無い」

 

「何でリゼが泣くんだよ……」

 

「だって月にとってピアノは命みたいな物だろう?それを奪うだなんてあんまりだ!」

 

「大丈夫だよ!これからの事はこれからしか分からないんだし、雨も強くなってきたから早く帰ろう」

 

月はリゼに微笑むとリゼを励ましながら屋敷までの帰路を急いだ。

 

月は帰宅すると病気の話を親父さんに告げた。

親父さんは動揺を隠しきれず戸惑っていたが、月は相変わらず明るい表情で親父さんを諭した。

その後、自分の部屋に戻った。

 

家に帰ってからもしばらく泣いていたリゼだったが、ふと我に帰り一番辛いのは月だと思い出した。

 

「そうだ……。私がしっかりしないと」

 

リゼは涙を拭い、コーヒーを持って月の部屋に向かった。

 

「おい月!コーヒー淹れたぞ?一緒に飲まないか?」

 

しかし部屋には月の姿は無い、そして机の上には月のスマホのみが置かれていた。

リゼは使用人を呼び屋敷中を探したが、屋敷内に月の姿は無かった。

 

リゼは傘を手に取ると外に向け走り出した。

 

 

 

 

一方その頃、ラビットハウスではココアとチノがバイトしており店内にはシャロと千夜が遊びに来ていた。

 

「二人とも足元が悪いのに遊びに来てくれてありがとね♪」

 

「ううん♪私もココアちゃんとチノちゃんに会いたかったから♪」

 

「千夜ちゃん!私達ずっ友だよ!」

 

「勿論よココアちゃん!」

 

二人は熱い抱擁を交わした。

そんな二人をチノとシャロは冷たい眼差しで見つめていた。

するとラビットハウスの扉が勢い良く開かれた。

 

「月はいるか!!」

 

「リゼちゃん(さん)(先輩)!?」

 

「ライト君なら今日は来てないよ?」

 

「り、リゼ先輩びしょ濡れじゃないですか!」

 

シャロはリゼに駆け寄るとハンカチでリゼの頭を拭いた。

 

「そんな事より月が大変なんだ!」

 

リゼは月について全ての事情を話した。

月が難病であること、そして帰宅してからスマホを残していなくなった事。

皆リゼと同じ気持ちだったのだろう、瞳には涙が流れていた。

 

「こんな所でじっとしてられないよ!みんなでライト君を探しに行こう!」

 

更に事情を聞いたタカヒロとティッピーも加わり、臨時休業となったラビットハウスを背に各々が思い思いの場所を探した。

しかし月の姿は中々見当たらない。

 

 

 

 

数時間後、シャロは街の外れにあるコンサートホールの前のベンチに座っている月を発見した。

このコンサートホールはこの街に来て出たコンクールが行われた場所で月と坂本先生が出会った場所でもある。(9羽参照)。

月は傘を差しておらず全身びしょ濡れになりながらも一点に空だけを見つめていた。

 

「こんな所にいたの?びしょ濡れじゃない早く帰りましょ?みんな心配してるわよ?」

 

しかし月は全く反応しない。まるで魂が抜けているようにただただ空を見上げていた。

 

「……病気の事は聞いたわ。正直酷い話よね……。私にできる事があれば何で言って?」

 

しかし月は空を見上げたまま眉一つ動かさない。

まるで降り注ぐ雨が月の体温や気力や元気を全て洗い流すように月からは覇気が感じられない。

月の瞳には全く光が差し込んでおらず、シャロの言葉は全く届いていない。

そんな月は独り言を呟いた。

 

「ピアノが弾けない俺に生きてる価値なんてあるのかな……」

 

シャロはそんな暗い言葉を耳にして激しく困惑した。

 

月はリゼが思っていた以上に心にダメージを負っていた。

母親が死んでから立ち直るキッカケをくれたのも、月の夢がピアニストになったのも、この街に来てみんなと出会えたのも全てピアノのおかげなのだ。

 

月の心は孤独の世界をさまよっていた。

 

(体が冷たい……風邪ひくかもしれないな。いや……もうどうにでもなれ…………。何も見えない……何も聴こえない…………。このまま雨と一緒に消えてしまいたい……)

 

しかし月は体が暖かい事に気がついた。

 

(何だろう?体が暖かい?何でだろう……。手が暖かい……頬が暖かい…………)

 

月の瞳は光を取り戻して行く。

そしてその瞳にはシャロが写った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてシャロは月を抱きしめ、月の唇と自らの唇を重ねていた。

何秒経っただろうか

?とても長く感じる数秒間を過ぎ、シャロは唇を離した。

 

「ん……//」

 

「な、な、な、何を…………//」

 

「私が見える?私の声が聞こえる?しっかりして!」

 

「シャロ…………何で……」

 

「ピアノが弾けないアナタに何も無いですって!?優しくて賢くて、料理が上手で運動はダメだけど、器用で何でもできるじゃない。これからどんな可能性だってあるのよ?」

 

「俺にはピアノしか無いんだよ……。そんな俺に……んっ//」

 

再びシャロは月の唇を奪った。

 

「私はアナタが好きなの!私が傍に居て欲しいって思ってるの!傍に居たいの!それじゃダメなの!?」

 

「こんな俺がいいのか……?」

 

再びシャロは優しく月にキスをした。

 

「アナタがいいのよ……」

 

シャロは月を放すと月から離れた。

 

「答えはすぐにはいいから……。それと初めてだから……//」

 

シャロは顔を真っ赤にすると走って家に帰った。

月の悩みはどこかに吹き飛んでいて、月も顔を真っ赤にしながら家に帰った。

 

家に帰るとリゼが泣きながら怒ってきたので、月は誠心誠意謝罪した。

 

 

 

翌日、月は目覚めると早速ピアノを弾いていた。

 

「おい!弾いて大丈夫なのか?」

 

リゼが月の部屋に入ってきた。

 

「弾ける内に弾いておこうと思ってさ」

 

「そっか……なら私も聴いておこうかな♪」

 

「リゼ!月!来てくれ!」

 

親父さんに大声で呼ばれた為、慌てて月とリゼは親父さんのもとへ走った。するとテレビにニュースが映し出されてした。

 

「木組みの街の診療所に勤める医師が、診察結果を偽造していたとして逮捕されました。医師は容疑を認めており、ビタミン剤を貴重な薬と偽ってお金を儲けようとしたとの事でした。当診療所を受診されていた方は別の病院を受診されてください」

 

ニュースを聞いた月とリゼは呆然としていた。

その後、別の病院を診察した結果、とても健康で違和感の正体は軽い腕と疲れから来るものであった。

 

月はピアニストを諦めなくても良い喜びに歓喜しながらも、シャロにされた事を思い出した顔を真っ赤にし、唇を触るのだった。

 

 

 

 




いかがでしょうか?
ついにシャロちゃんの告白です!!

舞台をどこにするか数ヶ月悩んでおりましたが、オリジナルの舞台をご用意させていただきましたm(_ _)m

それと通算閲覧数が3万を超えました!\(^^)/
いつもご講読していただいてくださっている皆様のおかげです!
これからもよろしくお願い致しますm(_ _)m

そして今回が2018年最後の投稿になると思います!
皆さま良いお年をお迎えください。

お気に入り登録・感想・投票をお待ちしております!
ではまた次回!ほなっ!(^^)ノシ
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