ご注文はハーブティーですか??   作:テレサ二号

5 / 34
どうもテレサ2号です!

映画、さよならの朝に約束の花をかざろうを観て来ました!!

愛って物を別のアプローチから表現してて感動しました!

でも自分はここさけのが好きですね。
いのりんが声を当ててる、成瀬順ちゃん可愛すぎ!!

では本編です!



4羽:バイトするなら何だっけ?二刀流始めました

「バイトを始めるのか?」

 

求人情報誌を見ている月にリゼは問いかけた。

 

「欲しい物があるなら親父に頼めばいいじゃないか」

 

「いや、親父さんには良くして貰ってるし、特に欲しいものがある訳じゃない」

 

「それなら何でバイトするんだ?」

 

理由を話すか話さないか少々悩んだが、リゼには話すことにした。

 

「高校卒業したら海外に留学しようと思ってて、その為の留学資金を貯めなければならない。母さんの遺産があるから資金が無い訳じゃないけど、できるなら遺産には手を付けたくないんだ」

 

「海外!?どこの国に行こうとか決めてるのか!?」

 

「今のところ候補はフランスかドイツかオーストリアだな」

 

「言葉は大丈夫なのか?公用語が違うってのは中々大変だぞ?」

 

「リゼは俺の母さんかよ 笑 。公用語の心配ならいらない、フランス語とドイツ語はもう普通に喋れるし、オーストリアの公用語はドイツ語だから問題ない」

 

リゼは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている。

 

「いつ習ったんだ?学校では教えてくれないだろう?」

 

「中学の時に父さんを上手く丸め込んで家庭教師を付けてもらった。自慢になるかもしれないが元々記憶力はいい方だからすぐに覚えた」

 

「お前……ただのピアノ馬鹿じゃなかったのか……」

 

 

「だから……人をどんな目で見てんだよ」

 

最近リゼとお約束になっているピアノ馬鹿のやり取りを済ませ、月は再び求人情報誌に目を向けた。

 

「しかし3冊読んだが……どれにもピアノを弾くアルバイトは無かったな……」

 

「いや、ピアノを弾くバイトって雇う側は何の得があるんだよ。ウチで雇って貰えたらいいけど最近新しい女の子が入ったから多分厳しいだろうな~」

 

「待て……リゼのバイト先なんて俺には勤まらないぞ……。プロの情報収集や運び屋のスキルなんて無いしな」

 

「ウチは普通の喫茶店だ!!!全く、人をどんな目で見てるんだ……」

 

(き、危険な軍人さんです……)

 

「ほほう……」

 

リゼは両腕を前に組み不敵な笑みを浮かべている。

 

(いや、心読めんのかよ!?怖っ!)

 

「何かオススメのバイトとかあるか?」

 

「うーん、引っ越しとかどうだ?体も鍛えられて一石二鳥だぞ?」

 

「おいおいリゼ、悪い冗談は止めてくれ。普通の人間があんなに重たい物を運べる訳が無いだろ?特殊訓練を受けてる人だけができる仕事だぞ?」

 

月は曇りの無い笑顔をしている。

 

「なぁ月……中学の時のスポーツテストの記録を教えて貰っていいか?」

 

「なんだよ、藪から棒に……いいぞ」

 

「握力」

 

「25kg」

※15歳男子平均約40kg

 

「上体起こし」

 

「11回」

※15歳男子平均約27回

 

「長座体前屈」

 

「62cm」

※15歳男子平均46cm

 

「持久走」

 

「12分くらいかな?」

※15歳男子平均6分18秒

 

「50m走」

 

「12秒52」

※15歳男子平均7秒52

 

「…………なぁ月、腕相撲しないか?」

 

テーブルに腕を組むと月はリゼに秒殺された。

 

「お前、運動神経悪すぎだろ!!しかも何で前屈だけいいんだよ!?」

 

「バカを言うな!周りが良すぎるんだ!」

 

月は完璧超人のような雰囲気があるが、運動神経が切れている、俗に言うウンチと言うやつである。

天は二物を与えないというやつだ、ざまーみろ。

 

(くっ、何か悔しいナレーションを入れられた気がする……)

 

いや、ナレーションの声が聞こえるのかよ、怖っ!!

 

 

「情けないやつめ!私が鍛え直してやる!ついて来い!」

 

「や、止めろ!俺には必要の無い能力だ!い、嫌だーーーー!!」

 

屋敷内に月の悲鳴が響き渡るのであった

 

「……さて、バイトの話に戻ろう」

 

健やかなリゼの笑顔とは対称的に月は床にひれ伏し、体がプルプルと震えている。

 

「ここまで絶望的に体力が無いとなると、あとは接客業だな。この街は外国人観光客も多いし、三ヶ国語喋れるなら何か役に立つかもしれないぞ」

 

「正確に言えば、英語も話せるから四ヶ国語だ」

 

(こいつ、運動神経以外は完璧だな……)

 

「高校生募集でわりと時給のいいやつ無いかな?」

 

リゼと月が情報誌に目を通していると月は1つの求人に目が止まった。

 

 

「フルール・ド・ラパン?

 高校生可、時給900円~ 要相談

 制服支給(着用必須)、要面接

 シフト、要相談

 

 ハーブティー専門店です、ハーブティーがお好きな方お待ちしておりますか……」

 

「高校生にしては時給いいし、ここにしようかな。制服着用必須ってのが気になるけど」

 

「いいんじゃないか?これなら月でもできそうだし」

 

「ヨシ、面接希望の連絡して明日にでも行ってみるか」

 

面接の予約を入れ、時間を確認した後、月は恒例のピアノの練習を始めた。

 

「なぁ月、私も聴いててもいいか?最近ピアノの曲、気に入ってて」

 

「いいよー、なら何弾こうかな……。ヨシ、久しぶりにトルコ行進曲の早弾きでもやろう!リゼ、ストップウォッチで計ってくれ」

 

月が弾くのは音楽の天才モーツァルトが作ったピアノ交響曲第11番である。

※気になる方はゆうつべなどでチェックしてください(^^)b

 

「プロだと2分20秒切るけど、自己ベストは2分35秒なんだよな。図るの久しぶりだから速くなってるといいけど……」

 

「3.2.1!」

 

「♪~♪♪~♪♪♪」

 

月の指がいつも以上に素早く滑らかに動き出した。

まるで機械のように正確で滑らかに動く指先にリゼはただただ見とれていた。

月は焦ることは無く、ただ楽しく淡々とピアノを引き続ける

 

「はい、終わり!」

 

「2分27秒!」

 

「ヨシっ!自己ベスト更新!」

 

「「イェーイ!♪( ´∀`)人(´∀` )♪」」

 

最近リゼと月はだいぶ打ち解けてきており、自然と月も表情を取り繕うことが無くなって来ていた。

リゼも月との距離が縮まったことを感じ、いつも聞いてみたかったことを聞いてみることにした。

 

「なぁ何で月はピアノを始めたんだ?あと何故ピアニストになりたいんだ?」

 

リゼの問いに少し悩んだ後、悟ったような顔をして月は語り始めた。

 

「そーだねぇ……まずピアノを始めたのは姉が使っていないオモチャのピアノが家にあって、初めて弾いたのがアンパンマンの耳コピだったんだ。それを見てた母さんが凄い凄いって褒めてくれて、喜んでくれて、それが嬉しくてな……」

 

「ピアニストになりたいって思い出したのは母さんが亡くなった後で、あの頃は立ち直れなくて何もする活力も無くてな。ピアノも母さんを思い出すから止めようと思ってたんだ、そんなある日にテレビで盲目のピアニストが母さんの好きだった曲を弾き出してな。演奏が終わった時には涙が止まらなくて、その時そのピアニストはこう言ったんだ」

 

「僕は目が見えませんが、見えない目の前にあるこのピアノを一生懸命頑張っています。僕のピアノが誰かの勇気になれば」

 

「その言葉に凄く勇気を貰って、俺も人に勇気を与えられる人になりたいって思い出したのがきっかけだな。……ってリゼ……」

 

目の前のリゼは号泣している

 

「お前ってやつはそんな苦労を…………。なにかあったら姉である私を頼れ!いつでも助けてやるからな!」

 

「いや、リゼは俺の姉じゃねーだろ……」

 

リゼのやる気が変なベクトルに向いたので今夜は寝ることにした。

 

 

 

ーーーー翌朝ーーーー

 

 

目覚ましで起きた月は朝食後、身支度を整え、面接に向かった。

店に着くと、そこは茶色い煉瓦作りで赤い屋根が印象的な綺麗なお店だった。店内も外装の色に合わせたコーディネートがされており、ハーブティーのいい匂いも月の心を引き寄せた。

 

店長に挨拶すると別室に案内され早速面接に入った。

 

「相武月君ね……特技は英語とピアノか……ウチにもアンティークのピアノがあるから今度何か弾いて貰おうかな?」

 

「ピアノあるんですか!?是非触らせてください!!」

 

月の目はキラキラ輝いている。

 

「店長ー、もう一人バイトの面接の子来ましたー」

 

「悪い相武君、バイトの面接一緒でいいかな?」

 

「えぇ、構いませんよ?同僚になる方なら面識を持ちたいですし」

 

「そうかそれは助かる。では入っていただいてくれ」 

 

「失礼します……」

 

すると見慣れた金髪が入って来た

 

「シャロ!!」

「ライト!!」

 

「「どーしてここに?」」

 

((もしかしてシャロも自分の夢の為に軍資金を貯めているのか?))

 

((特待生でアルバイト?もしかして月も私と同じで家が貧乏なのかも?))

 

「「お互い頑張ろう!!(頑張りましょ!!)」」

 

二人の間で交わされた固い握手。しかし二人がそれぞれ勘違いしていることに気がつくのはまた別のお話。

 

「さて、早速制服に着替えて貰おうかな。ロッカーに制服が入っているから着替えて来てくれないかな?まずは桐間さんから」

 

促されるようにシャロはロッカーに向かった。するとシャロの着替えを見に来たのか続々と店員達が集まってきた。

 

数分後照れた様子で着替え終わったシャロが休憩室に入って来た。

 

その姿は、白のフリルのメイド服に黒のベスト、フリフリのアームバンドにロップイヤーのカチューシャだ。

しかもシャロは出る所が出ていないので、如何わしさが全くないのだ

 

(何か失礼なナレーションが入った気がする……)

 

当のシャロ本人は恥ずかしさで耳まで真っ赤にしている。

 

(かっ!可愛い!!)

 

「キャー!可愛いーー!!」

「良く似合ってるわ!!」

「お人形さんみたい!!」

「写メ撮らせて!!」

「もふもふさせてー!!」

 

店員達はシャロの可愛さに騒いでいる。

一方の店長はというと……無言で頷いている。

 

(なるほど……ウサミミでは無く、あえてロップイヤーの垂れ耳で母性本能のくすぐる作戦か……)

 

月と店長は目が合うと固い握手を交わした!!

 

「何でそこは意気投合してるのよ!!」

 

真っ赤になったシャロが月と店長に見事なツッコミを入れた。

 

「では次は相武君、着替えて来なさい」

 

月は嫌な予感がしながらもロッカーに向かった。

 

数分後、着替え終わった月が休憩室から出てきた。

その姿は

黒ベースの執事服に銀のボタン、黒のネクタイに白の手袋であった。

 

(これく○執事だろ……)

 

「キャー!カッコいい!」

「私に何か命令して!」

「お嬢様って呼んで!!」

「一緒に写メ撮らせて!」

 

店員が騒ぎ立てたので、収拾が付かなくなっている。

一方の店長はというと……

 

「ネクタイは黒より赤の方がいいかもしれない」

と呟きながら何かをメモしている。店長はただのコスプレ好きのようだ……

 

その後、シャロと月は交代交代で店員達のオモチャにされ、堪能したのち開放されるのであった。

 

「「ハァハァ、何だ……このお店」」

 

「久しぶりの若い子でみんな嬉しいんだろう。今日はこれで帰宅していいよ」

 

やっとシャロと月はやっと制服から開放された。

 

「初日の感想は制服が強烈だった……だな」

 

「そーね……私なんて一年分はもふもふされたわよ……」

 

「でも雰囲気はアットホームで良かったな!」

 

「そうね!一緒に頑張りましょう!」

 

「「それじゃ、また!」」

 

シャロと別れ、帰宅しようとした時、月のスマホが鳴った。着信相手は親父さんからだった。

 

「はい、月です」

 

「おぅ、月か。バイトを始めるらしいな?もう決まったのか?」

 

「はい、先ほど面接を済ませて来たところです。明日以降に本格的に勤務開始です」

 

「そうか……月、1つ頼まれてくれないか?俺の友達が喫茶店兼バーを経営しているんだか、バーの時間帯は俺の友達1人で営業していて忙しいらしい。特に客が多くて忙しい金曜と土曜の夕方から夜だけでいいからそこでもバイトをしてくれないか?」

 

「金曜と土曜ならシフトが入っていないので大丈夫です」

 

「そうか、スマナイ!では住所を教えるから帰りがてら挨拶に行って来てくれ」

 

「分かりました!」

 

その後住所を聞いた月はその喫茶店に向かった。

 

「ラビットハウス?ウサギの家?」

 

「マスターさんには話は通してあるって言ってたな、入ってみるか」

 

月がドア開くと、見慣れた紫のツインテールがいた。

 

「いらっしゃいませ!」

 

月は中に入らずそのままドアを閉めた。

 

「おい!何で入らないんだよ!」

 

「いや、ここで働いてるなんて聞かされて無いぞ!!」

 

「まぁ中に入れよ、コーヒーくらいご馳走してやる」

 

「あぁ!?ライト君!!」

 

聞き覚えの無い声に振り向くと、いきなりタックルをくらい月は床に倒れこんだ。

 

「酷いよ!!何回もメール送ったのに何で返事くれないの!?」

 

「誰だよ……ってココア!?」

 

「ちょっ!ちょっと離れろって!!」

 

 

ココアが月に抱きつく形になっており、月はココアを慌てて引き離した。

月も高校生男子なので女子に抱きつかれると色々困るのだ

 

「ココアと月は知り合いなのか?」

 

「私の大切なお友達だよ!!」

「汽車の中で絡まれただけだ」

 

「酷いよーライト君!!」

 

また抱きつこうとするココアの頭を押さえ抱きつかせないようにする。

 

「リゼちゃんとライト君はお知り合い?」

 

「私の弟だ」

「天々座家に居候させてもらってるんだよ」

 

二人の食い違いに何とも言えない空気になったがとりあえず店内に入ることにした。

 

「カウンター席でいいか?

 

「あぁ、いいよ」

 

「い、いらっしゃいませ……」

 

カウンター席に座ると、青髪で×印の髪止めを付けた女の子が声をかけて来た。

 

「ん?君は?」

 

「香風 智乃(かふう ちの)です。チノとお呼びください」

 

「相武 月だ、よろしくチノちゃん。小学生なのにおうちのお手伝いして偉いねぇ」

 

月はチノに微笑みながら頭を撫でた。チノはそれを受け入れながら

 

「小学生じゃないです……あ、でも手は止めないでください」

 

(初対面なのに失礼なことを言ってしまった!!)

 

「す、スマナイ……せめてもの罪滅ぼしに……」

 

月が頭を撫で続けるとチノは少し顔を赤らめて、心地よさそうに撫でられている。

 

(なんでしょう……この心地よさ……癖になりそうです、私にお兄ちゃんがいたらこんな感じなのでしょうか?)

 

(なんだろ……この充実感……俺に妹がいたらこんな感じなんだろうか?)

 

「あ、あの月さんとお呼びしてもよろしいですか?」

 

「勿論だよ、チノちゃん。俺には妹はいないけど、チノちゃんって何か妹みたいだね」

 

「ストップ!ストップ!チノちゃんは私の妹だよ!?ライト君、チノちゃんに触り過ぎ!!」

 

「妹じゃないです……」

 

月に頭を撫でられるのをココアによって遮られチノは少し拗ねるように頬を膨らませた。

 

「ち、チノちゃんがライト君に取られる!!ヴェアアアアアアア!!」

 

ココアの意味不明な奇声を上げた。

 

「こうなったら、どっちがチノちゃんのお姉さん、お兄さんに相応しいか勝負だよ!!」

 

「望むところだ!吠えづらかくなよ!」

 

「コーヒーの銘柄当てで勝負だよ!!」

 

「ココアさん、コーヒーの銘柄分からないじゃないですか!?」

 

「今日こそ特訓の成果を見せる時だよ!チノちゃん、コーヒーを三杯ずつお願い!」

 

手早くチノがコーヒーを準備し二人の所に持ってきた。

 

一杯目

ココア「この苦味!ブルーマウンテンだね!」

 

月「強い苦味とスッキリした感じ……

  マンデリンかな?」

 

二杯目

ココア「この酸味!キリマンジャロだね?」

 

月「このフローラルな香りはコロンビアだ!」

 

三杯目

ココア「この香り……コロンビアだね!」

 

月「この爽やか酸味はキリマンジャロか……」

 

 

「「どうかな?チノちゃん?」」

 

「マンデリン、コロンビア、キリマンジャロです。月さん全て正解です。ココアさんもう少し頑張ってください」

 

「そ、そんな……。私のお姉ちゃんとしての地位が奪われる…………。月お姉ちゃんに……」

 

「おい、ちょっと待てココア。最後に聞き捨てならぬ言葉が混じってるぞ……」

 

「よく、コーヒーの銘柄の特徴なんて、知ってたな」

 

「母さんがコーヒー好きで、昔喫茶店でバイトしてたらしいんだ、結婚してからも自宅で飲むことが多くて、子供ながらそれを飲ませて貰ってたら覚えたんだよ、全問正解は運が良かっただけだけどな」

 

「月さん素晴らしいです!是非ウチで働いてください!」

 

「ヴェアアアアアアアア!!わ、私のバイトとしての地位も奪われる…………」

 

(元々そんな地位あるのか?)

 

チノとのやり取りにようやく月は本題を思い出した。

 

「ここのバータイムで働くことになっているんだよ、金曜と土曜だけだけどな、マスターさんはいらっしゃるかな?」

 

「父なら部屋にいます、私が案内しますね。リゼさん、ココアさん、少しの間お店をお願いします」

 

リゼに手を振るとチノに案内され、マスターのいる部屋に着いた。

 

「お父さん、月さんが来られました」

 

「あぁ、入ってくれ」

 

シンプルで無駄の無い部屋に、白シャツに黒のパンツとベストに黒の蝶ネクタイが特徴的な男性が椅子に座っていた。

 

「それでは私は仕事に戻りますね」

 

ペコッとお辞儀して立ち去るチノの礼儀正しさに月は感心した。

 

「初めまして、私は香風 タカヒロだ。君が相武 月君かな?リゼ君の父親から話は聞いているよ」

 

「初めまして、相武 月です。金曜日と土曜日だけの勤務となりますがよろしくお願いします」

 

「そんなに固くならなくていい、家のお手伝いをしているつもりでいてくれると私も嬉しい」

 

(こ、この人渋くてメチャクチャカッコいい!)

 

「スマナイが少しこちらに来て、よく顔を見せてくれないかな?」

 

(親父さんといい、この顔はよっぽど珍しいのかな?)

 

「月君、お母さんのお名前は?」

 

「美咲です」

 

「旧姓は分かるかな?」

 

「確か、奥宮だったと思います」

 

「!?。あいつ……サプライズがあると言っていたのはこのことか……」

 

「あの?母をご存知なのですか?」

 

「あぁ、君の母の美咲君は昔この店でバイトをしていたんだ」

 

「えぇーーー!!じゃあ母さんの言ってた喫茶店ってラビットハウスだったの!?」

 

「今度来る時には昔のアルバムを用意しよう、ウチで働いてる写真で良ければね」

 

「よろしくお願いします!」

 

「今日は顔合わせだけだから、今日は帰って構わないよ。リゼ君と一緒に帰るといい」

 

「はい、暴漢に襲われないようにリゼに守ってもらいます」

 

「ふふ、中々面白いことを言うね」

 

タカヒロは大人の余裕ある笑みをこぼした。

 

「では失礼します」

 

挨拶を済ませると月は部屋を後にした。

 

「話は終わったか?まさかお前と同じ店で働くことになるとはな、親父さん何か言ってたか?」

 

「いや、リゼと一緒に帰れってさ」

 

「そうか、なら着替えて来るな?」

 

「覗いてもいい?」

 

「ピアノが弾けなくなるくらい殴るぞ?」

 

(冗談じゃないかよー)

「死にたくないから止めておきます」

 

再び喫茶店のカウンターに戻るとチノちゃんがサービスでコーヒーを入れてくれた。

 

「これからよろしくお願いしますね、月さん」

 

「ありがとうチノちゃん」

 

そう言ってチノの頭を月は撫でる。チノは心地よさそうにそれを受け入れた。

 

「ええい小僧!!ベタベタとチノにさわるでない!!」

 

声がした方向を向くとそこにはウサギが一匹いた。

 

「今のは……?」

 

「私の腹話術です」

 

「でも……」

 

「腹話術です」

 

(明らかに今のはこのウサギから声がしたよな?またの機会に探ってみるか……)

 

「チノちゃん、腹話術上手いねー」

 

そうこうしているうちに着替えたリゼが降りてきた。

 

「それじゃあ帰るか」

 

「またなチノ、ココア」

 

「またねチノちゃん、ココア」

 

「失礼します、リゼさん、月さん」

 

ココアは相変わらず、地面にひれ伏している。

 

(いつまで引きずってんだよ……)

 

リゼと月は同じことを思いながらラビットハウスを後にするのであった。

 

 

 




いかがでしょうか?

結構長くなったのに最後まで閲覧して
いただきありがとうございましたm(_ _)m


ついにラビットハウスを出すことができました!


書きたい話が何個かあるので
しばらく頑張りたいと思います!!



ほなっ!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。