オーバーロード・ユグドラシル~今日ものんびりぷれい~ 作:ジル青髭
ログインするとそこは見知らぬ街だった。
まあそりゃそうだ。と自らをツッこむ。
とりあえずは同僚と待ち合わせしている街の門まで行ってみることにした。
…。なにやら視線を感じるのは気のせいだろうか?
おっと、そう言えば同僚のキャラを事前に聞いていたんだったな。
そうでなければお互いに分からずじまいだからな。
ゲーム内でリアルの話を大っぴらにするわけにもいかないしこれは重要なことだ。
たしかプレイヤー名は『ヘイヘイム・ボン・ボヤージュ』。見た目は黒い鎧の騎士だったかな?
ちなみにだがオープニングは待ち合わせの都合上カットさせてもらった。
しばらく歩いていると門に到着した。
キョロキョロと事前に聞いていた外見のキャラを探すと確かに黒い鎧の騎士が門の脇に寄りかかっていた。
ばんぶぅは彼だと思いいそいそと近寄っていった。
「すまん、待たせたか?」
「なんだ?異形種の知り合いなんぞ俺には居ない。帰った帰った」
手をヒラヒラとしてどっかいけとジェスチャーする同僚の予想外の反応にさすがの自分も固まってしまう。
追加で威嚇のアイコンも出る。
「お、俺だよ俺!同僚だよ!」
流石に実名を言うのは憚れるので同僚というワードだけ言う。
すると流石の黒騎士も手が止まった。
「…まさかとは思うが…後藤か?」
三谷もといヘイヘイムは耳元に顔を近づけるとそう聞いた。
「ああ、そうだよ。名前はばんぶぅ・ぷらいむぅにしたから以後よろしく!」
よっ!と手を上げる。
それに対してヘイヘイムはというとやらかしたぁと言わんばかりに手を顔に当てて空を仰いでいた。
「いや、最初に言ってなかった俺が悪いんだけど、ご…ばんぶぅ、あのな?」
「な、何?」
もしかして自分はとても大変なことをしているのだろうか?
オンラインゲームなどほとんどやらなかった自分はゲームマナーを知らない。
つまりは自分のプレイのどこかにマナーの悪い所があるということだ。
そう気づくと確かにヘイヘイムに話しかける前は色々なプレイヤーから見られているような感じがしていた。きっとそれはそういうことなのだろう。
社会人である後藤からしたらマナーが悪いということは非常に耐え難いものなので直ぐにでも直したいものである。
「このゲームでお前の選んだ異形種ってのはあんまり人気がないんだ」
「え、それだけ?」
同僚の言葉にばんぶぅは首をかしげた。
その程度なら別段気にする必用も無いと思ったからだ。
「それだけじゃない。お前、ちゃんと説明は読んだか?」
「時間かけるのも悪いと思ったしざっくりとしか…」
「はぁ、しょうがない。俺が説明するよ。まず異形種はモンスター扱いもされるからPK判定されない。つまり間違いなく他のプレイヤーから狙われる事になる。これはレベルが低かろうが高かろうが一緒だ」
「そうなのか?」
「ああ、それに負けて死ぬと装備の中からランダムで一つドロップというデメリット。更にはレベルが5減少する。まあこのゲームの良い所はレベルがかなり上げやすいとこだが良い装備を手に入れても結局異形種は狙われるだけって事だ」
「なるほど、でも説明じゃステータスは一番良いって書いてあったぞ?」
「ああ、異形種はステータス面じゃトップだ、更に追加でモンスタースキルが付く。お前は…見たところオートマトンか、なら毒無効とかそんな感じのが付いてるはずだ。そういうメリットもあるがユグドラシルにおいてメリットがあるイコールデメリットがあるだ、異形種に多くあるデメリットは特定の職業を習得できないだ、これは意外と痛手なんだ。理由として決定的なのはやはりそういった習得できない特定の職業ってのは大抵が強職だからだ。だからいくらステータスで強くても強職持ちのやつは更に上に行ったりする。まあ中には異形種でもガチで強いやつはいるけどな」
「例えば?」
「いや、始めたばかりのお前に言ってもわからんだろうけど有名なところじゃ異形種ギルドのアインズ・ウール・ゴウン。中でもやばいのがたっち・みーっていうプレイヤーだ。あいつはやばい、このゲームのトップ5には入る強さだ」
「そんなにか、なら異形種ってそこまでじゃなくない?」
「いや、あれはワールド・チャンピオンっていうレア職をだな…」
その後も延々とヘイヘイムからユグドラシル講座を聞かされた。
とりあえずわかったのはこの男が根っからのネトゲーマーでユグドラシルガチ勢だということだ。
「わかったわかった。とりあえずは俺のレベル上げに付き合ってくれよ」
「ああ、そのつもりだ。とりあえずはこのワールドはやめておこう。人間種有利だからな。手始めにヘルヘイムに行くか」
「了解、右も左もわからないから最初は指示に従うよ」
「んじゃばんぶぅ、今後はヘイヘイムもしくはヘイって呼んでくれ」
「わかった。ヘイヘイムよろしくな」
ばんぶぅはヘイヘイムに連れられて街の中央にある転移が可能な建物へと入っていった。
現在のばんぶぅ・ぷらいむぅの簡単なステータス。
・種族レベル―自動人形(オートマトン) 1Lv
・職業レベル―ファイター 1Lv
・計 2Lv