オーバーロード・ユグドラシル~今日ものんびりぷれい~ 作:ジル青髭
例えば魔法に関してはレベル1毎に三つとわかるがスキルは記述がない。
なのでこちらでは種族的特殊技能はレベル1毎に一つ、特殊技能は魔法と同じでレベル1毎に三つにします。
森の中を入ると出てくるモンスターに変化が現れた。
主に出てくるようになったのは植物系だがスケルトン等も時々出てくる。
しばらく森を歩いていくとなんと森の木々や葉が水晶のように刺々しく硬くなっていった。
もしもヘイヘイムから借りている鎧が無かったら今頃身動きが取れない状態だろう。
とは言ってもモンスターと戦闘するときはこの場所は初心者にはかなり厳しかった。
そのおかげもあってかばんぶぅは現在レベルが計22まで上がっていた。
ステータス画面を見れば次に習得可能な種族がいくつか出ていたがもう少しこのままで行ってみようと思った。
「お、スケルトンズのお出ましだ」
「あれ倒したら一度森から出ない?」
「だな」
現れたのは剣と円形盾を持ったスケルトン・ウォリアーが前衛に一体、槍を持ったスケルトン・ランサーが中衛に二体、スケルトン・メイジが後衛に三体だ。
合計レベルにして23、今のばんぶぅなら問題ないだろうと思い休憩も考えてヘイヘイムは頷いた。
まず最初に動いたのはばんぶぅだった。
剣を素早く振り上げてスケルトン・ウォリアーに斬りかかる。
レベル差が7もあるがスケルトン種特有の斬撃に対する攻撃耐性があるためなかなかいい勝負を繰り広げていた。
スケルトン・ウォリアーに対して他のスケルトン達はレベル2と1という雑魚なのでばんぶぅ的にも既に美味しくない敵になっていた。
なので残りの五体はヘイヘイムが片付けることにした。
普段であれば即死系のスキルで一発なのだが今回はアンデッドでしかも雑魚中の雑魚なのでひと振りで倒すことにした。
「そんじゃ先ず〈石化の視線〉っと」
スキルによってばんぶぅへと攻撃を仕掛けていたスケルトン達の動きがピタリと止まった。
白かった色は今では灰色へと変わっている。
ヘイヘイムは散歩のように歩いて近づくと手に持った漆黒の魔剣を横に振った。
それだけで五体のスケルトン達はバラバラに砕け散った。
倒したことによる経験値が入るがレベル差が開き過ぎによるペナルティとして一体につき経験値は1だけだった。
既にレベルも余剰経験値もカンストし、ドロップするアイテムがあってもヘイヘイムでは手に入れた瞬間消えてなくなるので最早なにも感じるものはなかった。
今あるのはばんぶぅは大丈夫かな?というものだけだった。
「はぁっ!とりゃ!」
見ればまだばんぶぅは戦っていた。
苦戦をしている様子もなかったので近くの気にもたれ掛かり様子を見る。
戦闘中に他のモンスターが来ればヘイヘイムがそれを切り捨てる。最早これは二人の固定パターンとなっていた。
しばらくして決着がついたようだ。
勝敗は勿論ばんぶぅの勝ちである。そこはヘイヘイムもアシストをしているので当然といえば当然の結果である。
幸いなのが他のプレイヤーに出くわさなかったことだろうか。
「ふぅ…」
「おつかれー」
「流石にこう連戦だと疲れるな」
「まあな、でもレベルもそれなりに上がっただろ?」
「ああ、今のでファイターも10になったよ。これでレベル25だ。そろそろ次の種族選ぼうかな」
ばんぶぅは選択肢を凝視する。
少し迷った結果、上位自動人形(グレーターオートマトン)という種族を選択した。
選択によってレベルが1追加される。
「これで更に夢に近づくな」
「ん?夢って?」
「そういえば言ってなかったな、俺はこのゲームでトランスフォーマーを目指すんだ」
「ああ、だからオートマトンを選んだのか、しっかしまたえらく難しそうな目標だなおい」
「出来ないとは言わないんだな。正直無理とか言われると思ったぞ」
「ハハハ、まあ他のゲームでだったら言っただろうがここはユグドラシル。未知を既知とするゲームだ。だから試してもいない事を不可能とは言い難いんだよ。ただこれだけはわかるぜ、ばんぶぅの夢は難しい、理由は形状だ。こればっかりは自分でたしかめてくれ、じゃ、一旦出ますか!」
ヘイヘイムが話を区切ると二人は外と思われる方角へ足を運んだ。
そして…。
「お、やっと森から出れるぞ」
「やっとか、意外と奥へ進んでたんだな俺ら」
「みたいだな」
森を抜けるとそこは沼地だった。
「ここは?」
「紫毒の沼地だな。ここら辺はまだ安全かな、奥へ行くと恐ろしいギルドがあるから近づかないけどね。まあよっぽどのこ…」
次の瞬間真横にいたばんぶぅの姿が光と共に掻き消えた。ばんぶぅが立っていた場所にはヘイヘイムが渡していた剣と篭手が落ちていた。
とっさのことに反応の遅れたヘイヘイムだったが直ぐに後退して森の中へと身を隠した。
(今のは狙撃か!?一体誰が!?)
ヘイヘイムは木の隙間から空を見上げる。
ゲイザーのスキルには相手を弱体化させるだけではなく数は極端に少ないが自身の強化スキルも中にはあった。その一つである〈視覚範囲拡大〉と〈視線範囲延長〉を使う。これにより大勢を一度に弱体化させたりできるので重宝している。
しかし他のゲイザー持ちがこれを使っている様子はないので自分は何か条件を満たしているのだと思う。
と、スキルによって強化した目を使って攻撃してきた敵を確認する。
(げっ、あれはアインズ・ウール・ゴウンのペロロンチーノ!なんでこんなところに…ていうかなんで攻撃してきた!?)
こちらが相手の姿を確認していると向こうもこちらの位置を発見したようだった。
ペロロンチーノはすかさず第二射を放ってきた。
「やろう!」
放たれた矢を躱しこちらも反撃しようと思ったが寸でで手を止めた。
有名な話だ、ギルド、アインズ・ウール・ゴウンは集団PKの達人ギルドだ。
確実に他にも仲間がいる。
ヘイヘイムは背筋に悪寒が走るのを感じた。
(やばい!非常にやばい!ここで死ぬわけにはいかない!ゴッズアイテムは死守するんだ!)
そうと決まれば方向転換。
脱兎の如くヘイヘイムは森を反対方向へと駆け出した。
ペロロンチーノは標的が遠ざかるのを感じたが跡を追うことはしなかった。
と、下の方で自分を呼ぶ声がしたので顔を下げる。
そこには同じギルドメンバーのモモンガさんが手を振っていた。
直ぐに降りてモモンガさんの所へと着地する。
「ばんわですペロロンチーノさん、あんなところで何を?なにやら攻撃していたみたいですが?」
「ばんわですモモンガさん。いやぁ実はガチャでレア装備をゲットしたんで試し撃ちしてたんですよ。丁度良い所にプレイヤーが居たんで的になってもらいましたよ。まあ一人には逃げられましたけどね」
はははと笑うペロロンチーノをモモンガが注意する。
「ペロロンチーノさん、単騎でのPKは危ないですよ。その様子だと見ず知らずのプレイヤーみたいじゃないですか、こんなことぷにっと萌えさんが聞いたら怒られますよ」
「いやー失敬失敬。それを言われると何も言えませんよははは」
「わかってくれたなら良いんですけどね」
「じゃあギルドに向かいましょうか。そういえばモモンガさんは外で何を?」
「私ですか?私は…」
ばんぶぅはどうやら自分が死亡してしまったことに気がついた。
目の前は真っ暗でどこでリスポーンするかと四つの選択肢が出ているだけだった。
とりあえずは最初に訪れたヘルヘイムの街を選択した。
すると視界は見覚えのある街になった。
そして死亡によるペナルティとしてレベル-5と剣と篭手がドロップしたと表示された。
おかげで折角習得したグレーターオートマトンが消えファイターがレベル6に下がってしまった。
装備は借り物だったので申し訳ないことをしたと思った。
それにしても誰が一体何のために自分なんかを…。そう思いヘイヘイムの言っていたことを思い出した。
(あれが異形種狩りってやつだったのかなぁ…はぁ、運が悪い)
しばらくするとヘイヘイムが町に戻ってきた。