オーバーロード・ユグドラシル~今日ものんびりぷれい~   作:ジル青髭

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機械生命体

「私の名前はディムルス・プライム。このギルドのリーダーだ」

「俺はばんぶぅ・ぷらいむぅって言います」

 

 ディムルスが手を差し出したのでこちらも出して握手を交わす。

 細部は違うが見た目は正に人間サイズのオプティマス・プライムだった。

 

「君を我がギルドに歓迎しよう」

「ありがとうございます」

 

 そう言うとディムルスはメニューをいじってばんぶぅにギルド招待のメッセージを飛ばした。

 ばんぶぅはそれを受け取って承諾した。

 これで自分は正真正銘のギルド、ノーマスロイックの一員になった。

 

「ではばんぶぅ、適当な席に座ってくれ」

「あ、はい」

 

 ばんぶぅは言われた通りに近くの椅子に座った。

 

「じゃ、俺らは上の階に行くから」

 

 どうやら他のメンバーは出て行くようだ。

 

「心配するな、ただの説明会だよ」

 

 そういうとミドルスオンとディープダイブは出て行った。

 ディムルスが円卓の先頭、ギルドサインが掲げられた所に位置する椅子に座ると説明が始まった。

 

「このギルドに加入したということは君はトランスフォーマーになりたいということで間違いないな?」

「はい、でもまさか本当にあるんですか?」

「君の種族レベルを聞いても?」

「オートマトンとグレーターオートマトンが15の合計30です」

「なるほど、では次に習得できる種族クラスに可変自動人形(トランスマトン)があるはずだ」

「はい、確かにありました。これが関係あるんですか?」

「そうだ。このトランスマトンは最大レベル10、レベル毎に頭、胸、腹、腰周り、背中、右手腕、左手腕、右足、左足に単純な変形設定が付けられる」

「頭、胸、腹、腰周り、背中…あれ?全部で九つですよ?」

「良い所に気がついたな、そうだ、最後までレベルを上げるととあるスキルが手に入る。ある種のパッシブスキルだ。それは〈スパーク〉と呼ぶ」

「スパーク!?」

 

 その単語を聞いた瞬間にばんぶぅは椅子から飛び上がった。

 ダン!と叩きつけた円卓からは攻撃判定とされたのかダメージ値が0ポイントと出た。

 だが今はそんなことは気にならなかった。

 ディムルスの放ったスパークという単語が意味するもの、それがばんぶぅの頭を占領したのだ。

 ディムルスが手を突き出して落ち着けとジェスチャーする。

 ばんぶぅは呼吸を整えて再び椅子に座った。

 

「…あるんですか、トランスフォーマーという種族クラスが?」

「ある」

 

 ディムルスから短いながらも確信に満ちた力強い返事が返ってきた。その返答にはばんぶぅの心臓が跳ね上がった。

 するとディムルスがおもむろに自身の右手にはまった指輪を見せてきた。

 それは禍々しい形状でいくつもの蛇が絡んでるようにも荒波の様にも見えた。

 

「この指輪は異形なる生誕祝福(ボーン・オブ・バリアントスピーシス)というアイテムで運営に七回まで新たな種族の作成を依頼できるワールドアイテムだ」

「ワ、ワールドアイテム!?」

 

 この日数度目の驚愕を受けるばんぶぅ。

 

「ワールドアイテムというとあのワールドアイテムですか!?」

「落ち着けばんぶぅ、そうだ、全部で200あると言われているあのワールドアイテムだ。その中でもこれは特異な部類だろう。まあ人間種が最強と言われるゲームだからこそ運営もこのワールドアイテムを作ったのかもしれん」

「それで…作ったんですか?」

「ああ、私はこの指輪を使って五つの新たなる異形種を作った」

「そ、それは…」

「それはばんぶぅの想像通り、機械生命体(トランスフォーマー)。更にプリテンダー、ヘッドマスター、トリプルチェンジャー、シックスチェンジャーの合計五つを追加した」

 

 つまり五回ワールドアイテムを使った事になる。そしてそれが全て運営から了承されたのだ。

 

「…」

 

 言葉が出てこなかった。そこには期待と羨望があったのだ。

 トランスフォーマーになれるのだ。

 ディムルスが付け加えるように言った。

 

「ただし、この種族クラスにはいろいろと制約がついてしまう」

「制約ですか?」

 

 トランスフォーマーになれるのならどんな制約でも受け入れられるとばんぶぅは思えた。そもそもばんぶぅはパワープレイヤーを目指している訳ではない。

 この世界で楽しめればそれで良かった。つまりはドリームビルダーよりなのだ。

 

「トランスフォーマーの種族クラスを習得した時点で死亡時のペナルティに追加が入る。これは自身の身長を増やせば増やすほど増える仕様になっている」

「?」

「説明しよう。本来プレイヤーの身長は変更こそ自由だが1~3メートル程の決まりがある。それを無視しているのはモンスターだけだ。つまりそもそもモンスター寄りの異形種が更にモンスター寄りになると考えてくれれば良い。」

「まだピンと来ないんですけど?…すいません実はまだユグドラシルに日が浅くて」

「なるほど、では簡単な例を言おう」

「ありがとうございます」

「基本的にプレイヤーが死んだ場合、ペナルティとして最後に習得したクラスのレベルが5下がるのと装備が一つか二つドロップする」

 

 そこはヘイヘイムからも聞いていたのでばんぶぅは頷いた。

 そしてそれに一体どんな追加ペナルティがあるのか。

 

「追加ペナルティ、それは自身に仕様した金属の50%がドロップするものだ」

「?」

「トランスフォーマーの種族の習得条件は二つ、スパークを持っていること。そして希少金属の消費だ。量もそれなりに使う。さらにトランスフォーマーは防具類の装備が出来ない代わりに一部の昆虫系の種族と同じで外骨格扱いになる。トランスフォーマーのこれは金属を吸収して硬度が増すようになる。しかしランク的に見てもゴッズまでは届かないのが外骨格系の弱点でもある。無論死亡時にドロップしない強みもあるのだが…それで先程言ったように使用時には使った金属が半分減ってしまうのだ50%でトランスフォームすると年老いたトランスフォーマーのようにボロボロな状態になってしまい一気に弱くなるのだ。見て呉れだけならレベルの低い物でも良いのだがやはり実践では希少金属の硬度が欲しくなる。…」

 

 と、それからもかなりの時間を説明に費やされた。

 とても興味のある話だったので苦ではなかったのだが結局その日はそれだけで終わってしまった。

 明日はメンバーの紹介とレベル上げに付き合ってくれるらしい。




機械生命体(トランスフォーマー)ちょっと補足。

3メートルより身長を大きくする場合は追加で金属消費が必要になる。

トランスフォーマー(映画)の目安としては。
スキッズ&マッドフラップが大体3メートル
オプティマス・プライムが大体9メートル
メガトロンが大体10メートル
デバステーターが大体30メートル
ラチェットやアイアンハイドが大体6メートル
バンブルビーやジャズが大体5メートル

と、トランスフォーマーの一般的な身長は5~6メートルみたいですね。
分かりやすい目安は二階建ての建物が大体6メートルという話なので外に出て二階建ての一軒家を見ればトランスフォーマーの平均的身長が実感できますね(笑)。
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