束「気付けば、私の周りにはヤバイヤツしか居ない……」   作:モノアイ二等兵

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ノリとテンションで書いているから、物語の進行は割と遅め


所長さん@働かない

時に、モノアイは何時だって、束に踏まれたり、蹴られたりして悦んでいるのが通常運転ではあるのだが、決して無能というわけではない。むしろ、有能である。現に、彼は電話を片手に、ISコアを組み上げており、それと同時並行で、織斑一夏用のISを作っているのだ。

普段の姿が無ければ、両手を上げて彼が助手に欲しいくらいには、束はモノアイの腕を買っている。

 

「というわけで、頼んだよ。グレイちゃんにも伝えといて……っと、束ちゃん、三つ目のコアが出来たよ?」

「……相変わらず、本当に仕事だけは早い」

「まあ、楽しむのが私のモットーだからね。何事も笑顔でやって、自分の趣味に没頭しないと」

「……なら、ちょっとはISの研究も手伝ってくれない?」

「それは嫌だ」

 

鼻歌混じりにISコアを作っていきながら、束の文句を切り捨てる。どうも、『労働』という二文字は、彼の頭には無いらしい。有能の癖に、その能力は趣味でしか使わない。それが、モノアイのスタイルだ。一種のプロの流儀と言ってもいい。

 

「モノアイィィィィ!」

「ん?お前は……っ!」

 

そんな、珍しく仕事をしている彼の下に、一人の人物が現れた。一見、亡者フェイスのビックリ人間、というか、廊下に居る他の研究員はビビって、避けて歩いている。聞こえる声は女に近いが、これでも歴とした男だ。

そんな謎の亡者フェイスは、モノアイに駆け寄っていく。そして、モノアイもまた、そんな亡者フェイスに駆け寄っていく。その様は、再会を心から歓び、とりあえずハグしようとする親友に見えるが、付き合いの長い二人がただ仲良くハグをするわけもない。

 

「「くたばれぇ……ぐぺっ!?」」

 

お互いに駆け寄った後に、顔面にラリアットを叩き込む。当然、床に伏す両者。そして、モノアイのラリアットがいい具合に引っかかったらしく、亡者フェイスのマスクが取り払われる。

そのマスクの下から現れたのは、美少女だった。訂正、美少女に見える顔立ちだった。星の海のような銀髪、宝石を埋め込んだような綺麗な紅い瞳。ここまで完璧な属性を揃えておきながら、『彼』は『男』なのだ。『付いて』いるわけだ。

 

「ったく、ほら、マスクを落としたぞ」

「おう、ありがとな……」

 

モノアイにラリアットを喰らわせ、脱げたマスクを受け取っているのは、『亡者』。本名は伏せられ、常にコードネームで呼ばれているようなものだが、モノアイだって同じようなものだ。この篠ノ之研究所を管理する、偉い人……なのだが、仕事をしているかどうかは、現在の様子を見れば、火を見るより明らかである。

 

「ISコアの作成は順調か?」

「ああ、バッチリだよ。交渉用は、全部組み上げた。だけど、問題は織斑一夏用でね……」

「珍しいな。神の実力はそんなものか?」

「……やったろうじゃねぇかーぁ!」

「うわ、扱いやすい……」

 

モノアイの扱いに関して、一番理解しているのは、亡者なのである。

 

「篠ノ之博士、交渉は頼めますね?」

「当たり前ですよ、所長。いっくんの為にも、ちーちゃんの為にも、さっさと交渉終わらせないと……」

「篠ノ之博士が、そこまで張り切るとは珍しい。これは、俺も久しぶりにお仕事かな?」

「……たまにじゃなくて、いつも働いてください」

「うぐっ!?」

 

束に言われて、胸を押さえる亡者。ちなみにこの間も、モノアイは高笑いをしながら、ISを作ろうとプログラムしている。

 

「ま、まあ、いいじゃないか。ほら、俺が居なくても、研究所回っているし?」

「それが余計に、所長の存在価値を危うくしているんですけどね……」

「俺の辞書に、『労働』の二文字は無い!」

「徹底的にダメ人間か!」

 

束は、胃がキリキリと痛むように感じた。彼女、基本的にモノアイの相手は慣れているからいいが、他の変態達の相手はまだ慣れていないので、ドクターストップを貰うレベルで胃を痛めている。医者曰く、そろそろ胃に穴が空くらしい。孤独にも耐えて、胃に穴が空かなかった人外を短い付き合いで胃潰瘍に追い詰めるとは、流石は変態共である。

 

「うるさい!少しは黙って……アッ!?」

「ん?おーい、モノアイどうし……あ、死んでる」

「またですか……」

 

亡者が真っ白に燃え尽きて立ち尽くしたモノアイをつつくと、支えを失って重力に従って倒れていく。『ゲームオーバー』という声が響いたと思えば、モノアイは最初から居なかったように消滅した。だが、二人に焦りは無い。むしろ、これは篠ノ之研究所では日常茶飯事だ。

 

「『また』、死にましたね」

「ああ、『また』死んだな。開発作業に、命を削り過ぎたんだろう」

 

そう話し合う二人の背後で、奇怪なファンファーレと共に、『CONTINUE』と書かれた紫の土管が出現する。その土管の中から、モノアイが出てくる。

 

「残りライフ、72……まあ、少し煮詰まり過ぎたな」

「貴重なライフをどんどん無駄にしていくな……」

「バカめ、亡者。これは、未来への先行投資だ」

「そう言えば聞こえはいいけど、絶対に何も考えてないですよ……」

「おーう……今日も言葉のナイフが鋭いぜ、束ちゃん……。まあ、おかげで思いついたし、真面目に頑張るとしますか……」




[解説]
モノアイは、どう足掻いてもドMなんだぞ☆
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