Fate/staynight [Midnight Walker]【本編完結】 作:秋塚翔
ちょ、おまっ、マジか……4位って、4位だよ?1000人って、1000人だよ?(混乱)
滅茶苦茶誇りたい話ですが、『俺の実力だ!』と胸を張るにはまだメンタルが成長してませんゆえ……これでもデビュー作はお気に入り登録者数60人の作者だったんやで?
そんなこんなで衝撃すぎる成果からの第12話。悩み悩んだ末の妥協した出来映えですが、どうぞご覧ください!
「……ほう」
逃げる少女の背を見届けながら、金髪の男──ギルガメッシュは感嘆の声を漏らす。
「たかが幼童、いかに加減しても即刻果てるものと思っていたが……存外にも生き延びてくれるではないか。良いぞ。そうでなくては試練を与えている価値が無い」
ニィ、と薄い笑みを浮かべるギルガメッシュ。
同じ悲しみを味わったとして、その覚悟を確かめてやろうと仕掛けたものの、正直期待はしていなかった。幼い外見に似合って、すぐに諦めてしまうだろうと。しかし少女──ハルは、たとえ目の前に剣や槍が降り注ごうともその足を止めなかった。
むしろ『生きてやる!』と言う強い意思すら感じられた、幼子らしからぬ気概。ギルガメッシュにしては珍しく、その逃げる様に好感を持つ。
「せいぜい愉しませろよ? 我の合格点は厳しい故な、満足させられぬ弱者ならば一息の内に殺してしまうぞ」
距離的に到底届かない言葉を投げ掛け、ギルガメッシュは再びハルを追って動き出す。その悠然とした足取りは遊んでいるようにも、試しているようにも見える。
事実、彼にとってこれは戯れ以外の何物でもない。子供に鬼ごっこで手加減する大人のように、わざと照準をズラして全力で逃げさえすれば当たらないよう手を抜いている。子供相手なら子供相手らしく、王なら王らしく分相応に振る舞う。故にギルガメッシュはハルに対して本気など出すつもりはなかった。
それでもなお、ギルガメッシュとハルの間には埋まりようがない力の差が存在しているのだから──
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(どうしよう……)
暗い街並みの中を、必死に駆け抜けていくハル。行き止まりの道を選ばないようにしながらこの状況をどう乗り切るか思考を巡らせるが──何も思い付かずにいる。
無理もない。相手はバーサーカーとはまた別に一線を画しており、こちらはセイバーやアーチャー、士郎や凜すらいない一人きり。まるで戦争そのものな、金色の威圧と黒色の気配を併せ持った男相手に直接的な戦闘力を持たないハルはとても敵う道理が無かった。
だが、それで諦めるハルではない。夜ごと宛ても無く暗闇に包まれた街中を出歩き、お化けから逃げ回ってきた実績は伊達じゃない……敵わないものから逃げるのは、もちろんこれが初めてでなかった。
ならばやるべき事は一つ。やはり『逃げる』だけ。逃げて逃げて、何とかする。無数の武器が襲いかかってくるなら、自分は逃げ隠れを武器に闘うだけだ。
「……やれば、できる……!」
まだちょっと嫌いなその言葉を胸に、ハルは夜道をひた走る。その見果てぬ先に打開策があると信じて──
その時だ。そんな夜道をパッと明るく照らし出し、虚空に浮かんだ幾つもの輝く波紋がまるでスポットライトの如くハルを取り囲んだのは……!
──ッズガガガガガア!!
そこから顔を出すは、人類が紡ぎし魔術の原典。魔杖の数々。
形状様々なあらゆる杖の切っ先が真っ直ぐ一人の少女に向けられると、神代の魔術から現代における上位魔術までが豪雨のように降り注がれた。
高威力、なんて生易しく感じる破壊の嵐が街の一角に巻き起こる。まさに虐殺。明らかな殺戮。破壊を許さぬこの宝具内の空間すら壊しかねない数多の光線が、幼い女の子がいた場所を襲う。
並のサーヴァントでも一堪りないだろう。ましてやそれが……と凄惨な光景が想像されたのも束の間。破壊の余韻が晴れると、そこにはほとんど無傷のハルがいた。正確には軽い体が風圧に飛ばされたハルと、嵐の中心に打ち捨てられた黒焦げの人型らしき塊がある。
『身代わり藁人形』。攻撃対象を請け負うそのアイテムに引き付けられ、波状の光線は悉くが藁の人形を焼きつくしたのだ。
「魔術師の真似事をしてはみたが、今のでも凌ぎ切るか。見事、と褒めてやろう。戯れと言えこれまでの物量をかわすとは、かの征服王に迫るしぶとさよな」
「っ……!」
ハルが声に振り向くと、宙に佇むギルガメッシュの姿がそこにはあった。素直に称賛の言葉を投げ付けたギルガメッシュは、派手な入場の如くゆっくり地に降り立つ。
「しかし、だ。王の前から逃げる事を許し、それを捕らえる愉しさに新鮮さを覚えたが……いささか追うばかりも飽きてきた。もっと他の手品を見せるがいい」
傲慢に、余裕しかない態度でギルガメッシュはそう言い放ってきた。そして脅しとばかりに、その周囲に再び黄金の歪み……"門"を展開する。
その言葉にハルは察した。抹殺の気配。今これでまた背を向ければ男は、ギルガメッシュは遊びも何もなくハルを殺すだろう。立ち向かってこい、さもなくば殺す──そう言外に、威圧感でハルに告げているようである。
逃げ道は塞がれた。このままでは殺される。なら、覚悟を決めて立ち向かうしかない──ハルはその右手に一つの
それは、萎れた一輪の花。ドライフラワーではない、単に水気が抜けただけの小さな花だ。一見すればゴミ、収集家のギルガメッシュすら目もくれない代物だろう。だが、ハルやこれから呼び出すものには大切なものである。
魔力を込め、ハルは祈るように告げた。
「──来て、
途端、ズウウウンッ!! と空から巨大な肉塊が落下してくる。
ギルガメッシュとハルの間、夜道に呼ばれて現れた歯茎色の『何か』。大きな歯が並ぶ口は何でも食べてしまいそうだ。
よまわりさん──夜に出歩く子供を拐うお化け。『しおれたはな』で召喚されたそれは、口内から覗く白い仮面が目の前にいるギルガメッシュを静かに見据えていた。
「……ハッ、また奇怪なものを出したな、娘。それは何だ? 神のようであり、怪異の気も強い。なにより実に醜いぞ! 見るに耐えん肉ダルマよな!」
罵るように声を荒げるギルガメッシュ。その言葉とは裏腹に、楽しげにも見える笑みを口元に剥いていた。
ふと肉塊のよまわりさんが震える。突進の予感。それより早く笑うギルガメッシュが門から射出した武具をよまわりさんに撃ち込んだ。
が、それらは体躯に突き刺さらず弾き飛ぶ。よまわりさんもまた宝具だ、ハルの認識から生半可な宝具では破壊を許されない。
「そうか。ならば、こうだ」
思い直したギルガメッシュが武器を再装填。また別の、あらゆる宝具の原典たるそれが顔を出す。
『怪異殺しの武器』。人類が人ならざるものを倒すために生み出したもの。それが改めて突進してきたよまわりさんを迎え撃った。
──ドバァァァァァンッ!!
耳をつんざく衝突音と爆発音の同時炸裂が、街の中に響き渡る。
爆発に飲まれたのは、よまわりさん。ギルガメッシュは微笑を残して爆発の外にいる。決着はついた、火を見るより明らかにそう見えるだろう。
だが次の瞬間、爆炎から飛び出してよまわりさんが大口をギルガメッシュめがけて開いてきた。
「何ッ!?」
虚を突かれ、驚くギルガメッシュ。いっそスローモーションに見える事態の経過。
慌てて門を展開、新たな武器を撃ち放ったギルガメッシュによまわりさんは構わず食らわんと迫る。しかし、一歩遅くダメージによる魔力切れが起き、よまわりさんはギルガメッシュの目前で弾けるように消滅した。
「あっ……!」
ハルが声を上げる。あと一歩、一歩だけ足りなかった。最後の手段は健闘虚しく、無傷のギルガメッシュが残る結果と相成る。
そして残ったギルガメッシュは心に平穏を取り戻し、無言のままハルに歩み寄ってきた。途中、その手に蔵から出した
崩れ、元の姿に戻った街の中。遂に手が届く距離まで詰めてきたギルガメッシュは、その武器をハルに差し向け──そして、言った。
「
「えっ?」
「満点には遠く及ばん。が、良しとしよう。褒めてやる、我を相手取り良くぞ生き延びたものよ。この醜悪な地獄の中を見てきただけはある」
なお尊大に、ひたすら自ままにギルガメッシュは述べる。そう述べた後、手にある武器を視線で指して言う。
「故に
言って、その褒美も終わりだと言わんばかりに武器を霧散させるギルガメッシュ。そうして踵を返し、帰ろうとする。
「ひとまず暇潰しにはなった。戯れで幼子を殺しては王の名折れ、今宵は見逃してやる。次に我の敵として立ちはだかる時は、遊びはないとゆめゆめ忘れるなよ?」
「……」
「お前は、他の雑種より生きる価値が金箔一枚ほどはある。その気になれば我の下に下るのも良かろう。お前なら、さすれば我の臣下に加えてやる事も吝かではない故な」
そう言い残し、人間離れした跳躍でギルガメッシュは立ち去っていった。どうやらハルを大いに評価した、と言う事は分かる。どこまでも自分勝手な物言いだったが。
とりあえず次に会う時は、もう一人きりでは会いたくないなと思うハルなのであった──
夜の王(バーサーカー)vs英雄王。魔力切れで決着。因みに最後のはUBWのバーサーカー戦のパクりです。
この話、書き上げるの凄く難産でした。なにせ逃げ専門のハルちゃんの相手があのチート気味なギルガメッシュですよ?逃げさせるのも一苦労です。さながらマタ・ハリ単機でカドックのアナスタシアに挑むレベル。それでも悩みに悩み、何度も書き直しては焦った妥協の出来がこれ。書きたい事を書けましたが、対戦カードの質が良いだけにもう少し上手く書き込みたかった……
勝敗はギルガメッシュ及第点判定で無効。ハルちゃんはその意思の強さを認められました。書いてる内にこの二人のやり取りが微笑ましく感じてきた俺はきっと重症でしょう。
次回はお出掛け回です。
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