魔法少女リリカルなのはStrikerS-2nd strikE- 作:88813
また集う仲間達、舞台はまだ始まらない。
数々の思いと、様々な出会い。
世界の危機、絆の崩壊。
そんなものは関係ない。でも、そうは言えない。
人々の願いが、予想出来ない未来を作る。
魔法少女リリカルなのはStrikerS 2nd StrikE、始まります……。
1話:5.1.1.
「……一体こりゃあ何の冗談のつもりだ? 俺は調査しかしねェとしか聞いちゃいねぇぜ?」
晴れ渡っていた青空、所々点在する緑、目の前に広がる大地……いや、大地があった跡を見て一人の少年が悪態をついた。男性にしては少し長い黒髪と、騎士甲冑を纏った彼は、足元に転がる小石を蹴飛ばし、こう続ける。
「全く、今日は最大クラスの厄日だぜ。折角久しぶりに昔の奴らの顔が見れると思えば、こんないつも顔を合わせているような奴とシケた任務をせにゃあアカン。どうしてこうなった? ああ答えなくてもいい。それは俺が特別スウィートでイカしたメンズだからだ。きっとそうだそうに違いない。」
「口より先に手を動かせ。馬鹿者。」
コツン。と、後頭部を小突きながら女性が調査を始めた。恐らくリーダー格なのだろう、他の者にも指示を与えており自らもテキパキと動いている。
俺には到底真似出来ませんね。そう半ギレで呟きながら渋々彼も調査に乗り出した。あからさまに人為的に変形した土地を見ながら、彼はふと、ある一人の少女について思い出す。
しんしんと雪が降り積もる遺跡。時空管理局の無敵のエースと、鉄槌の騎士が出撃した時、謎の『何か』に襲撃され、その無敵のエースが重傷を負ってしまった。
幸い、後で駆け付けた少年の応急処置と、救護隊の懸命な治療により一命はとりとめたものの、重傷である事には変わりは無かった。彼は自分の無力さを実感した。もう少し早く向かっていれば、彼女を助けられたかもしれないと。
(あの後、俺は特捜から査捜に異動したから、しっかりと顔を合わせちゃいないな。見舞いにはテオの関係で結構行ったんだけど。)
そして、この変形した土地に似つかわしくない少女も、彼と同じ様に顔をしかめていた。恐らく、彼と同じ事を思っているのだろう。その時、別の出撃していたメンバーから通信が入った。
「おう、久しぶりだな。はやて。」
「博隆、久しぶりやなー……って、毎日会っとるやん。」
「主はやて、どうなされましたか?」
「いやー、ちょう厄介な事が起こってな。」
はやてと呼ばれた少女が、そう話を切り出した。話を詳しく聞くと、そちらの方の遺跡に謎の機械が何体かが現れたと、そしてそれを全て倒したとの事だった。
少年--那椎博隆は、その通信を聞いたや否や、すぐにおっとりとした緑の騎士甲冑を纏う女性に、不審な反応があるかと問い掛けた。返事はイエス。それを聞いたリーダー格の女性が、先程の少女と博隆を選び三人で出撃する事を告げた。
「何であたしもなんだよ。シグナム。」
「将の決定が不満か? ヴィータ。」
「ま、残念だが当然。シグナムらしい人選と見える。シャマルは前線でハッスルするタイプではないし、アイツは……見ての通り、只の犬だ。」
博隆は、悪戯っぽい笑みを向けて眼下の狼を見やった。
「犬じゃない。狼だ。」
しかし、彼の反論を聞かないまま三人は出撃してしまった。犬……もとい狼のザフィーラは、やり場の無い怒りを吠えるという形で発散させた。虚しく響き渡る遠吠え。空に、ただ響くのであった。
「さて、はやてはこの敵をどう見る?」
「せやな。さしずめ……『古代遺産』を狙っていると考えんのが妥当なんやけど。」
「ま、どっちにしろそっちは無事撃退したんだろ? こっちもそんなにいる訳じゃねぇだろうし、ちゃちゃっと片付けて十分以内に合流するよ。俺の活躍を見てろよ見てろよ~。」
「任務中や。」
ピシャリ。と、博隆に向けられた一言。それを横目にシグナムが
「馬鹿者が。」
と一言入れる。それを見ながらヴィータがニヤニヤしていたのは内緒だ。
そしてその数分後、件の機械達が現れ、そのまま戦闘が始まった。シグナムが素早く斬り掛かり、ヴィータは鉄槌で暴れ回る。それを見ながら博隆はデバイスを構えているだけであった。
「さて、お仕事だ。まずは……。」
砲身が天を向き、火を噴く。その音、そして熱に反応した機械達が、彼の方へと向かって行く。青い空、吹き出る煙、それに目掛けて突っ込む機械。そしてデバイスを機械に向け、二発目を撃ち出した。
元々散弾なのだろう、一番近い機体は全壊。回りのものにも微少なりともダメージがある。砲身が二つに折れて、薬莢が飛び出た。すぐに装填するが、ダメージが一番少なかった機体が彼に向かって突撃してきた。
すぐに防御態勢をとったものの、突撃された時の衝撃は無い。機械があった所を見ると、既に破壊された後だった。
「装填をするタイミングが迂闊だ。貴様は。」
「もー少し精進しろっての。お前は。」
『全くだ。クソ野郎。』
「言いたいこと言ってくれんな。エリクシオ。お前は俺のデバイスだろうが。」
『前見ろ前。この大馬鹿者のウスラトンカチが。』
二人と一体に怒られて、面白くないというような顔をする博隆。一度戦場から離脱し、近くの林に身を潜めた。『逃げるのか?』とエリクシオが馬鹿にしたように尋ねると、博隆は「狙撃すんだよ。」とぶっきらぼうに返す。
茂みに身を隠し、エリクシオの砲身を伸ばす。距離にして約五百メートルか。
「エリクシオ、照準は合ってる? 合ってるな。合ってると言え。」
『上に3°、右に6°って所だな。やーいこの下手くそ野郎。今のお前にはセンス×がついてんぜ。』
それに意を介さず、エリクシオの砲身から回転しながら弾丸が飛び出た。しかし、機械にはそれほどダメージが無い様である。目を凝らして見てみると、うっすらとフィールドが張られていた。
『おいオタンコナス。大正義AMF様の防御力はどうだ? ん?』
「お前さ……本当に俺のデバイス? 絶対に違うよな。俺のデバイスならAMFが熱い失策をかましてあのポンコツを貫いてる筈だぜ。」
「あの馬鹿……論ずるにも値しないミスしやがって。」
「全くだ……頭をカチ割って中を見て見たいとまで思わせる位のミスだぞ。」
エリクシオの狙撃もAMFで弾かれたのを見て、守護騎士の二人は呆れながら呟いた。しかし、それでも二人は攻撃の手は緩めておらず、反応があった分の機械は全て撃破された。
--終わった?
そんな声が、不意に聞こえた。何かと思うと、通信が入っている。その通信にため息つきながら、博隆は答えた。
「ああ。シグナムとヴィータが粗方……つーか全部な。」
ふぅ、と一息つくとあたかも『俺は働いた』という雰囲気を醸し出しながら汗を拭う彼であったが、背中からは哀愁しか漂っていなかった。
三人(主に守護騎士の二人)が暴れ回った跡はさながら……というより完全に荒野になっており、所々火薬の匂いが鼻についた。これについてはほぼ博隆のエリクシオから発していたのだが……。
新暦に入り、質量兵器の使用が禁止され純魔力便りの武器が多い。その中で、博隆のエリクシオは特殊な立ち位置にある。エリクシオの砲撃は、基本的なミッドチルダ式とは違い、魔力弾を生成→砲撃というプロセスでなく『デバイス内で魔力弾を生成し、触媒を通して撃ち出す』というものであるからだ。エリクシオの触媒には火薬が使われているため、このように火薬の匂いが身体に付着するのである。勿論、それには理由があり、博隆自身の魔力量が一般的な魔導師よりも少ないのだ。そのため、少しでも魔力量をセーブするため、このような形で運用するのである。
「……ま、はやて。こっちは終わった。早いとこ合流して、レッツパーリィ!」
「全く……博隆も少しは働きーや? で、合流ポイントなんやけど……。」
「主、少々お待ちを。まずはこの大馬鹿に熱い指導を行わねばなりません。」
「あー、すまんなー。ついでに、ちゃんと働くように躾けてくれると助かるなぁ。」
「御安心を。我が主。この烈火の将・シグナムの名に懸けて、この不届者を必ずや。」
及び知らぬところで恐ろしい単語が飛び交う。それを聞いた博隆は、ゆっくりと後退りを始める。しかし、ヴィータの熱いバインドにより、いつの間にか身動きが取れなくなっていた。なお、ヴィータがバインドを使えたのは秘密だ。
「さて、博隆。主の許しは得た。それではパーティーの前に、反省の意味を込めたミーティングを行う。」
後ろから聞こえるのは、世にも恐ろしい烈火の将の声。内心怒りを孕んでいる気がするが、この際気にしたら負けである。恐らく合流する前に森林が焼き畑になる位だろう。
「ああ、私達は優しいからな。熱いミーティングになること待った無しだ。」
焼き畑の後は更地になる様である。紅の鉄騎が見事なまでのグラーフアイゼンを構えていた。火を噴くレヴァンティン、唸るグラーフアイゼン。これから始まるミーティングに、博隆は悲鳴をあげるだろう。しかし、残念でもないし当然。彼はそういった役回りなのだ。
所変わり、現在はアースラ内部。元々今回の任務は久しぶりに全員が一緒であった為、任務終了後に同窓会を開こう。という流れなっている。
目の前に広がる豪勢な食事、各々が昔話に花を咲かせており和やかな雰囲気で進んでいた。約一名を除いて本当に和やかである。
「よぉ、久しぶりだな。博隆。」
「お前もな、テオ。」
ボロボロな博隆に声をかけた赤毛の少年。名はテオ・ルシエ。博隆の親友とも言える存在である。
「何故ボロボロかは……あえて聞かねぇよ。お前も大変だな。」
「全くだ。ケツにグラーフアイゼンが刺さった時にはケツの穴が二つになったかと思ったよ。」
なっはっは。という笑い声が二つほど出た頃、少し遅れて長髪の少年が入って来た。
「あ、ユーノ君。」
「やぁ、なのは。」
「よぉ淫獣。」
「久しぶりだね、ど畜生。」
先に述べておくが、テオとユーノと呼ばれた少年は別に仲が悪い訳ではない。正確に言えば、なのはという共通の華を狙っている強敵……いわゆる『とも』である。
そんな中、つまらない争いなど見てもどうにもならないと思った博隆は、フェイト達と談笑していた。ヴェロッサという友人の置き土産をつまみながら、話に花が咲いていた。
「エリクシオのType-3rdとかいうロマン形態。ぶっちゃけオミットしたい。」
「へ? 結構強いと思うのに勿体無いよ。オミットしたらどうするの? クロスレンジの高火力形態が無くなっちゃうよ?」
「正直Type-2ndが……まぁ代わりに伊達じゃないアレに乗ってる天パの兄貴みたいに、ファンネ……ゴホンゴホンみたいなものを付けたいとは思う。ミドルレンジ強化を視野に入れたいね。」
「もーちょいで版権に引っ掛かかる所やったな。」
「いやほら、あーいうのって憧れるじゃん? 主にガノタ的な意味で。恵まれた距離から放たれる強力な攻撃……一方的にボコれる快感……逃げ惑うヴィータとシ……シルクロードってロマン溢れるよな。」
博隆は二人目の名前を挙げる所でやっと過ちに気が付いた。視線の先の烈火の将の殺気に気が付いたのだ。彼女は、生気の無い眼で博隆を見ており、その雰囲気はまさに『偏頭痛持ちの4番目の彼女がなんかテレパシー的なもので黒い巨大な機械人形を呼び出せそう』な雰囲気であった。
マジでキレる五秒前。シグナムがそんな雰囲気を醸し出している時、圧倒的機転を持つ博隆はあるヒントに辿り着いた。
Vやねん! タ○ガース!
「ぬおおおおおおっ! 胴上げ待ったなし!」
僅か数秒でヒントを総合勘案した結果、博隆が選んだのは『胴上げ待ったなし!』と叫ぶ事だった。この最高に意味のわからない行動には博隆の深い思索が巡らされており、これは『すべての生命体に宿るとされている猛虎魂の琴線に触れる事で、危機を脱する』最善の行動である。
だが、それを見た回りの面子は皆、「何いってだこいつは……」と表情に現していた。その時、シグナムはニヤリと笑みを浮かべると、博隆の耳元でこう囁いた。
「日本シリーズ四戦の合計が33-4。」「MAKEレジェンド。」「伝説的V逸。」
なんという言葉責め……。この発言はまさに畜生の境地。そして彼女の止めの一言が入った。
「VICTORYROAD。」
「ヤクルトは関係ないだろ! いい加減にしろ!」
「ヤ戦病院に入院する準備は出来たか?」
響き渡るレヴァンテインのカートリッジ射出音。しかし、シグナムの一撃をシールドで防ぎ切った。
なお、ここは室内である。こんな狭い中でどんちゃん騒ぎを起こせば、怒らない人間などは存在しない。
「お薬の時間やね。」
はやてが恐ろしいほどまでにニッコリとした直後、博隆とシグナムは急に倒れる。その影には、注射器を構えたシャマルの姿があったとか。
「VICTORYROAD? うっ、頭が……。」
「これは教育やろなぁ……。」
倒れてから一分後、そこには正座しながらお説教を受けている博隆がいた。散らかっていた部屋は、現在テオとユーノで掃除中である。とりあえず、はやては『結構』怒っているという事は確かだった。
「…………全く、博隆ももう人の上に立つ事が多いんやから、もう少し節度を持って行動してほしいんや。聞いとる?」
「博隆なら、僕自身(お説教を出る)喜びはあったって飛び出しましたよー。」
--那椎博隆(14)突然のFA移籍
この煽りがはやての頭の中を流れた時点で、彼女も自分自身で毒されていると一瞬だけ悲しくなってしまった。アレか? 博隆は元横○の○川聖○か? と頭の中でツッコミを入れた後、ため息をひとつついた。いけない。このままでは若くしてお肌の曲がり角に突入や……と内心思っていた自分が、酷く惨めに思えた。
その中、テオとユーノは黙々と片付けを進めていた。ただ、二人は心の中で、今日が博隆の命日だろう。サンキュー博隆、フォーエバー博隆とメッセージを送っていた。
さらに場所は変わり、聖王教会。ここで、二名の男女が話をしていた。金髪でロングヘアの女性は、にこやかに微笑みながら青髪の少年と話していた。
「すみません、騎士カリム。義弟様を借りてしまって。」
「いいのですよ。私の義弟、ヴェロッサはそういう事に長けているんですから。そうでしょう? リオ・ルシエ。……それで、知りたい事はわかりましたか?」
「お心遣い感謝いたします……肝心な部分は無理でしたが、ある程度の確信は持てました。ただそれより、気になる事が一つありましてね……。」
「気になる事……とは?」
カリムと呼ばれた女性が身を乗り出しながら聞こうとしている。リオという少年は、一息ついた後に言葉を発し始めた。
「『奴』は、俺のクローンを何体か創っていたみたいです。一個体を除き、遺伝子に障害があったのか死に絶えているみたいですが……。」
「そうですか……。もし、その一個体と出会ったら、貴方は一体どうしたいんです?」
そうカリムが質問したが、返ってきたのは返事ではなく、沈黙。少々薄暗い教会の聖堂を、冷たい風が走り抜けた。ここにはカリムとリオしか居らず、ドアも閉めきってある。つまるところ、風が吹く要素は無いと言える。
返事の代わりに立ち上がったリオは、そのままドアの方へと向かって行った。そのまま振り返り、ニコリと微笑みを向けるとこう言った。
「とりあえず、どんな奴かがわからない事には何とも。それでは騎士カリム。紅茶、ご馳走様でした。」
微かに感じる魔力。恐らく、リオが魔力でドアを開けたのだろう。リオが魔力の操作に長けていることは、付き合いがそれなりに長いカリムはよく知っている。
ひとり残された聖堂で、彼女は通信コンソールを開いた。
「おいおい、ここで通信か…………プライベート? 一体何用なんだ?」
所変わってここはミッドチルダ。博隆は仕事の報告の為、本局へと訪れていた。結局、はやての説教から逃げ出し『説教を出る喜びを感じながら』逃げ出した後、シャマルにより一発で場所が感知され、はやてによる熱いラグナロクの刑に処された。現在も傷だらけである。
少し冷たい風が傷を撫でながら、博隆はここ最近の事を考えていた。はやてが研修に行ってること。顔の傷が痛むこと。なのはやフェイトも途中から合流すること。胸の傷が疼くこと。そして、目をかけていた後輩の事。
何の気も無しに自分のデスクへと向かうと、通信が非常に貯まっていた。しかも『プライベート用』のものが。
「おいおいゼノ。俺はデスクに送られて来るプライベート通信は全て弾いとけって言わなかったか?」
「何の事ですか? はやてさんからの業務連絡ばかりじゃないですか。」
すっとぼけやがって。ゼノア、お前は後でシメる。
そうジト目で脳天気な後輩を見ながら、彼は『はやてからの業務連絡』を片付けるべく、貯まったメッセージを開いていった。
勿論、内容は業務連絡という名の熱いお説教であった。
一方テオは……。
「ロン。タンヤオ三暗刻清一赤込みドラ2……三倍満でトビ終了。」
「嘘だろ!?」
「いいから早く点棒出せ点棒。」
管理局のとある一室で賭け麻雀に励んでいた。その数分後、鬼のような形相でヴィータがすっ飛んで来たのは言うまでもなく、そのまま局内追いかけっこ大会に突入した。
逃げる。逃げる。脱兎の如く逃げる。獅子に追いかけられるシマウマの様に、必死で逃げ回っている。広い局内を所狭しと駆け巡り、外へと向かうドアの前で、逃走劇は唐突に終わりを告げた。
ドアが開かない。これはかなり致命的な事だ。ドアを壊せば始末書もの。後ろから追いかけてくるは鉄槌の騎士。何故か人払いされているのか無人のロビー。とりあえず非常階段の近くに掃除用のロッカーがあったので、その中に隠れることにした。
「テオ! どこにいやがる!」
(誰が居場所なんか言うかボケ。)
「チッ、ロビーに逃げ込むと思って人払いさせてなおかつ鍵も閉めたってのに、居ないのかよ。」
やっぱりお前の仕業だったか!
そう内心で叫んだ。どうやら、無人ならすぐに見つかると踏んでいたらしい。見つからないと踏んだヴィータは、すぐに別のフロアへと向かって行った。
「難は逃れたみたいだな。」
「ううん? これからでしょ?」
瞬間、テオに電撃走る。そこに居たのは管理局の『エース・オブ・エース』。高町なのはであった。既にレイジングハートは臨戦体勢になっており、とりあえず一言で言い表すなら、『詰んだ』状態である。
「なんぞこれ!」
「ヘッ、詰めが甘かったな。」
だがしかし、そうは問屋がおろさない。という勢いで、下りてきたヴィータに躍りかかるもののなのはのバインド、そしてアイゼン伯爵の鉄槌により、男テオ・ルシエはあえなく返り討ちにあった。なお、明日の任務には間に合う模様。
「さて、それじゃあ話して貰おうかな。テオ君、何で勤務中に麻雀やってたの?」
「男たる者、受けた勝負には必ず買わなければならない故……。」
何故か正座しながら武士的口調で返答するテオ。しかしながら管理局の一室はいつも通りの部屋……つまるところ洋室に分類されるが、その中でこの台詞は完全にミスマッチである。
部屋に緊張が走る。空気は沈み、気温は下がる。ヴィータも少々後退り、レイジングハートは光る。その瞬間、テオも素早くデバイスを展開させ、机を踏み台にし、跳んでいた。そのまま扉へと飛び込もうとすると、シールドで阻まれてしまい、熱いキスを交わした。
「……少し詰めがあまいけど、まぁ及第点かな。」
「はい?」
なのはが小さく呟くと、部屋を覆っていた殺気は姿を消していた。踏み付けられた机は無惨な姿になっている。これは始末書が増えるなとか内心思いながら彼女の方を向いた。
そこには、いつも通りの『エース・オブ・エース』が存在していた。しかし、彼もまた熱いお説教を二時間に渡って受ける羽目になったのは言うまでもない事だった。
「新しい部隊……ねぇ。」
「そうなんよ。」
時間と場所は変わり、はやてと博隆は自宅で話をしていた。かつては一人で暮らすには広すぎる家は、今では手狭に感じるようになっていた。その頃に、彼女達はミッドチルダに引っ越した。
海沿いにある新居は、外から入ってくる潮風が気持ち良く、約一名を除いて満足するものであった。そんな気持ち良い潮風がはやてと博隆の髪をサラリと揺らしていた。
「はやてが隊長か……一番の出世頭だから、当然っちゃあ当然だな。」
「そうなんやけど、規模の大きな部隊は初めてやからなぁ。」
「まぁ大変だろうねェ、俺やテオみたいな問題児が新人達と一緒に仕事する訳だしな。」
「そん時は問答無用でラグナロクぶっ放したるから、安心しぃや?」
笑顔で怖い事をサラリと言う様になった彼女は、昔の可愛いげのあったはやてに戻って欲しいと切に願った博隆であった。
こうして、時は進んで行くのであった。
オマケ:リリカル会議室
ユーノ「会議室という名の裁判所へようこそ。」
クロノ「裁判長のクロノだ。」
博隆「戦犯認定の時間だあああああああ!!!!」
ユーノ「博隆がね。」
クロノ「この話の戦犯、那椎博隆だ。」
博隆「なん……だと。」
クロノ「そりゃあそうだろう。」
博隆「おかしい。こんなことは許されない。」
ユーノ「残念だけど当然だね。」
博隆「何故だよ……。」
クロノ「話を聞いてない?」
博隆「いないな。」
ユーノ「なんJ語の乱用。」
博隆(お、Jか?)
スカリエッティ「えーと、戦犯認定をやってるらしいけど、間に合ったかい?」
ユーノ「な……。」
クロノ「何故お前が出て来る! 呼んだ覚えは無いぞ。」
博隆「……空気読め!!」
スカリエッティ「いや、ちょっと待ってって!この会議は各話やらかしたキャラクターを戦犯認定する会議でしょ!?」
博隆「そうだよ(便乗)」
ユーノ「博隆は黙ってようね。」
クロノ「そもそもお前は出ては駄目だろう!」
スカリエッティ「(出ては)いかんのか?」
ユーノ「いかんでしょう!」
スカリエッティ「……辛いです。」
博隆「もういいよ。スカリエッティが悪い。」
スカリエッティ「ファッ!?」
クロノ「一理ある。」
ユーノ「確かに。」
スカリエッティ「いや、何この熱い手の平返し。」
クロノ「手の平返し過ぎて僕たちの手首はボロボロ。」
ユーノ「そうだよ(便乗)」
スカリエッティ「うーんこの会議……。」
博隆「スカリエッティがすべて悪いとかいう風潮。」
クロノ「百理ある。」