魔法少女リリカルなのはStrikerS-2nd strikE-   作:88813

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休日前だし、ま、多少はね? 多少シリアス目に見えてそうではないのでした。


3話:AM-3P(303 BASS MIX)

「……なんてこったい!」

 

 午後六時、一仕事を終えた博隆はそう呟いた。目の前に広がる赤、崩れる瓦礫、暴れ回る○ルタン星人。街中は絶望が全てを支配していた。

 フォッフォッフォッ。さも歓喜に酔いしれる様に街を破壊し尽くすその姿に、人々はただ指をくわえているしかなかった。頼みのハ○タ隊員はカレーのスプーンを取り出す始末である。

 そして、運命の時は訪れた。○ルタン星人が特捜隊の面々へと攻撃を仕掛ける。

 

「ここでアドリブの効かねぇ奴ぁ……勝てねぇ!!」

 

 その時だった。このやろう! の怒声と共に、○ラシ隊員のマッド○ズーカが火を噴いた。倒れる怪人、喜ぶ特捜隊。人々はまた、平穏を手に入れたのである。

 

「よし、ARTに自力突入した。あとはストックを取りつつ閉店まで完走だ。」

 

 博隆の目の前には、ウルトラモードという文字が現れていた。チャプター数は30を裕に越えている。博隆が黙々と打っている台……ウルトラマン・ザ・スロットは、ナビストックが無い場合、ART突入には六択の押し順を正解しないと突入しないのだ。通常時のコイン持ちも良いとは言えないものの、その爆発力はなかなかのものである。

 その隣で、それ以上の爆発力を持つ鬼浜爆走紅蓮隊~爆音烈士編を打っているゼノアは、男気ボーナスを引くものの、毎回パンクしてしまう有り様である。

 

「くそぅ、カッ飛びARTに入んねぇとコインが溶けちまうよ……。」

 

 この日、最終的に閉店まで黙々と回し、博隆は八千枚、ゼノアもなんやかんやで四千枚程出していた。

 

「やっぱりマンさんは正義の味方だね。」

「やっぱり全国制覇は都市伝説だったな。硬派一心が精一杯だわ……。」

「そう言えばだ。」

「どーしたんスか? 今度はヤマトでも打つつもりですか?」

 

 夜道、二人で単車を押しながら歩いていると、博隆がふと口を開いた。それを聞いたゼノアは内心うんざりしながら反応を示すと、博隆は眉を寄せながらこう言った。

 

「お前達って初出撃してねーよな。」

「そりゃあ、平和って事でしょう。出撃となると、空戦持ちの俺は多分なのはさん達の近くで戦うんでしょうかね。」

「んー、そこはなのはの采配しだいかな。実戦の配置は主にアイツだし。」

 

 その一言に、ゼノアは驚きを隠せなかった。

 

「へ? 実戦の配置って八神部隊長がやってるんじゃないんですか?」

「はやてが出撃するときはアイツがやるよ。基本的にアイツは本部から指揮してもらってるからさ。」

「部隊長ってSSランクでしたよね?」

「リミットかけられてるからな。それに、はやての得意分野は広域殲滅。完全に力を発揮するには俺や副隊長達をはやての側に配置しねーといけないから、新人のお前達が個々で戦えるようにしないと当分はアイツの甲冑姿は拝めねぇぜ。」

 

 機動六課の部隊長を勤めるはやては、保有戦力の関係でリミッターをかけられている状態にある。それは他の隊長陣や、テオもそうである。その為普段はいつもよりも低いランクの力しか出せないという事になる。

 ゼノアは気がついていないようであったが、彼女の事を話している博隆の目には、絶対にはやてが出撃するような事態にさせない。そして出撃しても絶対に守り通すという強い意志が宿っていた。

 

「そういえば、博隆さんは六課に移ってから審理専門官って役職につきましたけど、具体的にはどんな仕事なんですか?」

「ん? 審理ってのはな……そもそも、この六課自体がそうなんだが、一応『陸』の課なんだけど、実は割と出向者が多い。教導隊組のなのはやヴィータとかは代わりが居るから出向というよりかは、人事異動の範疇に収まるんだが、俺やフェイトみたいな執務・捜査官系統の人間は代わりが居なかったり保有戦力の絡みがあるんで、その為の方便として出向扱いで所属してることになってんだ。で、審理についてなんだが、簡単に言えばそんな『出向組』の本来の業務を行う上で必要な役職だ。ゼノ、お前捜査官や執務官が様々な法令に基づいて手順を踏まないと執務や捜査ができないってのは分かるよな? 俺らは時空犯則捜査法を主に使う訳だが。」

「ええまぁ。一応捜査官ですしおすし。」

 

 ゼノアはキョトンとした様に返答する。

 

「結局は、その法令や執務の手順が本来のレールに乗ってるかとか、その捜査等に瑕疵があるかとか、そういったことの是非を判定するのが審理の仕事……て風に考えとけばいい。まぁ、なんかで手続上瑕疵があると裁判沙汰になって仕事が全部吹っ飛ぶことになるからな。」

 

 ほへー。と、ゼノアは感心したように耳を傾けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、人気の無い森の中で一人の青年が星を眺めていた。

 

(『奴』が集めているレリック……あんな古代遺物を渡すわけにはいかない。……もう、彼女みたいな悲しみを背負った人間を、俺は見たくない。)

 

 ゆっくりと煙草をこゆらせると、視線を地面に向ける。

 

(俺が確認している限り、あの列車にレリックが積まれている。奴はそれを奪取しに来るだろう。奴よりも、そして管理局よりも早くアレを頂く。)

 

 そのまま、夜は更けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日……

 

「この部隊の後見人の一人のクロノ・ハラオウン提督が直属の秘書官を此方に寄越してくれた。その人には六課でロングアーチスタッフとして働いてもらう。」

 

 朝のミーティングを行っている中、博隆がそう発表した。いきなりのことであり、はやてを含め、全員驚きを隠せなかった。

 そして、コツ……コツと足音が聞こえて来る。皆と同じ様に六課の制服を身に包み、眼鏡をかけた銀の髪を持つその姿はまさに十年前に死闘を演じた祝福の風そのものであった。

 

「本日より機動六課に配属されます、アインス・エルトリアです。」

「彼女……えー、アインスにはロングアーチスタッフとして職務を行って貰う。よろしく頼む。」

 

 一同にぺこりと挨拶すると、すぐさまはやてが博隆に詰め寄った。そして小声でこう耳打ちした。

 

「ちょう待ち、この名前……博隆が考えたんか?」

「そうだよ。」

「もろあの時のアレやないかその苗字!! それに、上が黙っとらんやろ!?」

「その為の特別製の眼鏡だよ。あの眼鏡には幻術が仕込んであって、六課以外の人間には別人にしか見えないようになってんの。御都合主義とかいう野暮なツッコミは無しな?」

 

 博隆は無表情のまま淡々とそう述べた。そのままスタスタと歩いていく姿を、はやては呆れながら見ていた。

 確かに、他の家族は六課の一員として働いている中リインフォースだけは働いていない状況になる。しかし、十年前の事件は記憶に新しい事件でもある。いくら機密事項とは言え、上層部は良い顔をする訳ではない。無論、はやては彼女を邪険に扱う気も置物として扱う気も更々無い。

 変な頭痛の種が出来た。そう思いながら部隊長室へと向かって行った。

 

「久しぶりですね。リ……。」

「悪いが、今の私はアインス・エルトリアだ。テスタロッサ。」

 

 フェイトが久々の挨拶を交わそうとすると、アインスが遮った。あくまで、この場ではアインス・エルトリアとして通すつもりなのだろう。フェイトは困ったような笑みを浮かべながら手を差し出した。

 

「これからよろしくお願いします。アインス。あ、あと私も今はフェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。」

「こちらこそよろしく頼む、テスタロッサ。あと、名前が長くなろうともテスタロッサと呼ぶから気にするな。そうだろう? テスタロッサ。」

 

 その手に対し、悪戯っぽい笑みを浮かべながら、アインスは答えた。

 

 

 

「それで博隆……私はどんな仕事をすれば良い? 書類のコピーを何も無いところで躓いてばら撒けばいいか? それとも雑巾を絞った水で抽出したコーヒーを持って来ればいいか?」

「お前それしたら本気で殺す。念入りに殺す。ま、そうだな……とりあえずは席に座って適当に仕事をしてくれれば良い。後でやってもらう事についてレクチャーする。それと、今一応仕事中なんでは那椎審理と呼んでくれ。『アインス』君。」

 

 アインス……リインフォースが辺りを見回すと、他の職員はのんびりと各々の仕事をこなしている。そんな中、博隆は「日頃の行いのせい」で溜まった仕事を目にも留まらぬ速さで片付けていく。

 彼が処理している仕事は、今夜輸送されると言われている古代遺物『レリック』についてである。とは言え、出向組の個別の事案は現在無い為、審理専門官としての仕事ではない。

 さて、このレリックは数年前に現れた謎の機械……ガジェット・ドローンと深く関係しているとされている。このレリックに反応して集まるとの情報があるため、恐らく今晩の輸送中にも現れると踏んでいた博隆は、レリックの護衛をする為のプランをシミュレートしているのであった。

 

「那椎審理。」

「グリフィスか……どうした?」

「ガジェット・ドローンの新たなデータです。」

「おー、忙しいところ悪いな。悪いアインス。このデータを解析して、俺んトコに解析したデータ上げてくれないか? 俺は俺でちょいと解析出来るほど手が空いてないんだわ。」

 

 アインスは、分かった。と一言言うとすぐにデータの解析に取り掛かった。この時、本人は気づかぬ内に微笑んでいたと言う。それは、また『家族』と共に過ごせるからなのかは、彼女にしか分からない。

 博隆のシミュレートが粗方終わる頃、目の前にALLERTの文字が現れた。聞くところによれば、まさに彼が護衛する列車にガジェットが近づいているとのことである。

 

(なんでこうタイミングよく鳴るんですかね……。あ、そういえば新人達は新たなデバイスを受け取ったってなのはが言ってたっけ。そろそろ実戦に投下するか。)

 

「グリフィス、スターズ・ライトニング両小隊に出撃要請を。ひよっこ共のデビュー戦だ。ロングアーチは戦闘配備のまま本部待機……アインスは俺と出撃だ。バックアップを頼む。さて、機動六課……。」

 

 この瞬間、博隆は一度で良いからこういうカッコをつけてみたかったという気分に浸っていた。しかし、世の中甘くは無いものである。

 

「出撃や!!」

 

 最後の最後に、六課のトップである八神はやて部隊長に良いところを持ってかれてしまった。やはり日頃の行いは大事である。

 

 

 

 

 

 上空……一つの蒼い影が、現れる。その姿は『管理局の陽炎』と瓜二つであり、彼と対称的な髪型となっている。蒼い髪を靡かせ、影は一つ一つガジェットを粉砕していく。

 

「……少し寝坊したかな。行く先行く先にこんなのが待ち受けてるとは思わなんだ。……っと!!」

 

 刹那、死角から突撃したガジェットを、彼はすんでのところで避け、代わりに氷柱を撃つ。

 その技のキレ、高速詠唱、全てにおいて十年前とは違っていた。氷柱に貫かれたガジェットを尻目に、彼は目にも留まらぬ速さで鉄道へと飛んでいった。

 

(悪いがレリックは誰にも渡さないぜ。ヤバイ、一度こんなこと言ってみたかった。マジ俺かっけぇ。)

 

 蒼い影の正体は、かつて高町なのはと死闘を演じた、フェイト・T・ハラオウンの(ある意味)師でもある存在。故あって永らく表舞台から姿を消していたが、長き時を経て遂にまた、舞台へと上がることを決した。彼の名を、リオ・ルシエと言った。

 

 

 

 

 

「……良いか? 我々はレリックをガジェットよりも先に回収しなくてはならない。ついでに言えば、一刻の猶予も許されない状況にある。スターズ・ライトニング01は先行して状況を確認してくれ。場合によっては即戦闘に入っても構わない。スターズ・ライトニング02は単独で他のガジェットの侵入を防いでくれ。それ以外のフォワードは先行しているリインフォースII曹長の指示に従ってくれ。そいじゃ、スターズ・ライトニング小隊……出撃だ!!」

 

 時を同じくして、こちら機動六課。ヘリの中で最終ブリーフィングが行われていた。腕を組みながら最後の伝達を行っている博隆の姿には、いつものふざけた雰囲気は微塵も感じさせてはいなかった。

 

「おう、博隆。」

「どうした? ヤングタイガー。」

「人格者だな。お前は。」

「そうだろ? お前を先行させたら後の奴らの楽しみを根こそぎ奪っちまうからな。」

「テオ君、みんなの事をお願いね?」

「ああ。なのは、お前も気をつけろよ? ……その……。」

「? 変なテオ君。」

 

 この時、博隆とフェイトは同じ事を考えていた。なのはは鈍い。かつて無いほどに。と。

 

「さて、博隆さんも出撃といきましょうか……エリクシオ。」

『ケッ、ようやく俺様のお出ましか。……set up!!』

 

 両小隊を見送った後、博隆はそう呟いた。

 光に包まれた博隆が、速い速度で落下していく。はやてに似た形状の騎士甲冑を纏ったその姿は……まさに騎士そのものであった。

 ――トクン。と、彼の心音が高鳴った音がした。それは、戦闘による胸の高鳴りなのか、それともかつて自分の半身でもあった存在の、帰還を悟った音なのか……。

 

 

 夜風が吹きすさぶ中、新人達は初めての戦闘を行っていた。初めての戦い、初めての敵……しかし、なのはの教導の賜物か、戦いにおいては初めてとは思えない動きを行っていた。

 その中で、彼女……キャロ・ル・ルシエは不安であった。自分は、フリードをちゃんとコントロール出来るかと。

 不意に念話で語りかけてきたテオは、きっと彼女の不安を感じたのだろう。

 

〔不安か? フリードの事が。〕

〔はい……私には自信がありません。〕

〔そうかもな。今のお前を見てれば誰もそう思うだろう。でも安心しな。フリードを信じろ。彼がお前の『友達』なら……きっと応えてくれる筈さ。〕

「ゼノア!! キャロとエリオを鉄道に向かわせてくれ!!」

「了解です。キャロ! フリードに乗ってエリオと一緒に鉄道に向かうぞ!」

 

 そのまま、ゼノアとキャロ達は鉄道へと飛んで行った。

 

「さて……機影は約30……俺が20機やる。残り5機ずつはスバルとティアナに任せた。」

「私達は5機以上やれます、というか、やらせてください!」

「じゃあ努力目標だ。俺よりも速く片づけてみな!!」

 

 そして残った三人は風よりも速く、残りの敵の掃討にあたる。

 

「博隆ー。」

「リインか。そっちは良いのか?」

「はい。テオ君達がやってくれてますので。」

「ならば、私達もやるか?」

「良いアイデアだ。リインフォース……リイン、お前の姉はすんごく強いって事を教えてやるぜ。エリクシオ!!」

『Mode change!! Type-2nd!!』

「さ、俺らはシグナム達がこぼした敵の掃除だ。奴らは増援のガジェットを絶対討ちこぼす。絶対にな。何故なら俺の見せ場が無くなるからだ。奴らが人格者なら、俺らに仕事を回してくれる。そして華麗に片づけるのだ。」

 

 この時リインフォースは、長らく見ない内に随分とまあ昔以上に尊大になったものだと呆れていた。

 

「退けやボケナス!! 轢かれてぇか!!」

 

 戦闘が激しく鳴り始めた頃、蒼い影が文字通り光の矢となりレリックへと突き進む。あまりの速度にシグナム達の防衛線をあっさりと突破し(ヴィータ曰く、突風かと思った。)鉄道へと向かって行った。

 

「さて、後はレリックを回収すれば俺のお仕事は終了。……っと。」

 

 そして、レリックへと手を伸ばしたリオは、何かの気配に気付くと後ろも見ずにこう言い放った。

 

「オイ、今此処に着地した奴ら……人なら返事だ。機械ならば叩き壊す。」

「何者だ? アンタは。」

 

 少年の声を聞いたリオは、後ろを振り向く。そこには、二人の少年と一人の少女がいた。リオは、フンと笑みをこぼすと戦う体勢を崩す。

 

「失礼、管理局の奴らか。」

「話を聞きな。何者だって聞いるんだ。こっちは。」

「来てくれた所悪いが、フェイト・T・ハラオウンを知ってる奴はいるかい? 彼女がいるなら……。」

「もしもーし、聞こえてますかぁ? 耳になんか詰まってるんですかぁ?」

 

 ゼノアが不意に放った挑発に対し、リオはゆっくりと彼の元へと近づいた。そして、腹に一発拳をめり込ませた。

 

「悪いな。俺は安い挑発をされると我慢できないもんでな。年上を敬えってママンは教えてくれなかったのか? クソガキ。」

 

 その瞬間、エリオはストラーダを構えた。キャロも、いつでもブーストをかけられる体勢である。しかし、二人は足が動かない事に気付く。

 そして、異様な寒気が身を包んだ時に理解した。既にリオの術中にはまっていた事を。

 

「『凍てつく足枷』を使ってるんで、そう簡単には動けねーぞ子供達。さて、二人ともフェイト・T・ハラオウンを知っているかな?」

「あなたがフェイトさんとどんな関係なのかを教えてくれない限り、知ってるとは言いません!!」

「……それは知ってるって暗に言ってるようなもんだ。まぁ良い。坊主、嬢ちゃん……名前は?」

「エリオ……エリオ・モンディアルです。」

「……キャロ・ル・ルシエです。」

 

 キャロの名を聞いたとき、リオは奇妙な感覚に襲われた。

 リオを襲った奇妙な感覚……それは既視感だった。彼は昔の記憶が朧気で、一番はっきりしている古い記憶は11年前……プレシアに引き取られた時のものだった。しかし、たまたま苗字が同じなだけで何故そんな既視感に襲われたかは判らない。この既視感の理由を少しでも解明したい気に駆られたが、そこは我慢した。

 少なくともこの2人は脅威になり得ないと言うことだけは理解した。そしてリオは2人の『凍てつく足枷』を解く。すると不意に吹いた風が、エリオの足下を掬った。

 鉄道から落ちようとする彼を見て、リオは無意識の内に叫んだ。

 

「マズい! キャロ!」

「(エリオ君が……お願いフリード……私の願いに……。)応えてっ!!」

 

 優しい光が、竜を包み込んだ。そしてその竜……フリードは、すんでのところでエリオを背に乗せることが出来た。

 鉄道の進行方向の上空に、大量のガジェット群が近づいてきていた。恐らく待ち伏せされていたのか、その数はあまりにも多い。

 

「エリオ、キャロ……そしてそこのクソガキ。俺の目的を話す。俺はレリックが欲しい訳だが、あの機械とは繋がっちゃいない。ここは一丁、共同戦線といこうか。」

「信じられるかって言いたい所だけど……人手が多いに越した事は無いな。。」

 

 そして、拳をめり込まれたゼノアが息も絶え絶えに起きあがると、示し合わせていたかの様に四人はガジェットと戦闘に入った。

 ガジェットはレリックの奪取を最優先としているのか、積極的に攻撃を仕掛ける訳でもない。しかし、元々戦い慣れているリオと、多少は戦い慣れているゼノアは問題なくガジェットを破壊していくが、初めての実戦となるエリオ、キャロはかなりの苦戦を強いられている。

 しかし、二人も自分の事で精一杯であるのか、エリオ達を援護することはあまり出来ていない。

 

「ちっ、数が多いぞ! ……エリオ!! 避けろォーッ!!」

 

 リオがエリオに注意を促すよりも速く、ガジェットが彼に体当たりを仕掛け、吹き飛ばした。谷底へと落ちようとするエリオを、フリードが素早く拾い上げた。

 

「キャロ……。」

「エリオ君……出来た! 私出来たよ!!」

「エリオ!! キャロ!! 無事だった!?」

 

 エリオを吹き飛ばしたガジェットが、雷によって機能を停止する。その先には、バリアジャケットに身を纏ったフェイトの姿があった。

 

「はい。僕は何とか……。」

 

 そう、エリオを見て安堵の表情を浮かべたフェイトは、リオの姿を見て驚きを隠せない表情を見せた。十年前と比べ、自分と同じほどだった筈の背丈が、すでに追い越されている。夜風で靡いた髪と、雲に隠れた月のお陰で顔こそ認識できないものの、その姿を忘れた事は一度たりとも無かった。

 隠れた月が露わになり、隠れた顔が現れる。

 その顔は、やはり昔と変わらない。

 

「……久し振りだな。フェイト・テスタロッサ。それとも、今はこう呼んだ方が良いかい?」

 

 リオは、ニヤリと笑みを浮かべてフェイトの後ろへと回り込んだ。

 

「フェイト・T・ハラオウン執務官殿と。」

「今まで通り、フェイトで良いよ……リオ。」

 

 そして回り込まれたフェイトは、バルディッシュをリオへと突きつけた。しかし、その瞳には敵に対する殺意は籠もっておらず、むしろ久し振りに会えた友を見据える清々しいものであった。

 

「相変わらずだな。今は二児のママンでもやっているのか?」

「そう……みたいなものかな?」

「ほー。お相手は……もしやなのはか? すごいな、人類始まりすぎだろ。」

「ちょっ……リオ!!」

 

 フェイトが突っ込みを入れようとすると、ここぞとばかりにガジェット群が二人に躍り掛かる。エリオはフリードの背に乗っている上、この大きさの竜ではむしろ格好の餌食になってしまうし、ゼノアも自分の事で精一杯である。キャロについてはブリードのコントロールをしているので論外だ。

 しかし、二人ともまるで示し合わせたかのように、互いの周りのガジェットをたたき落としていく。

 

「全く……涙の再会すらやらせてくれないのかよ。行くぜエリミネーター!! フロストバーン!!」

「本当に、困ったものだね。いくよバルディッシュ……プラズマランサー……シュート!!」

 

 金色の雷光と蒼い氷壁。二つの攻撃が、一帯のガジェット群を全て撃破した。金の閃光と、蒼き霜雷が再び見えた瞬間であった。




やっぱり本編が始まるんだな。


リリカル会議室


クロノ「おいどういうことだ。」
ユーノ「博隆がシリアスになっているだって……。」
博隆「なんだよお前ら、俺を一体なんだと思っているんだ。」

クロノ「畜生。」
ユーノ「人間の屑。」
博隆「(賞賛の言葉が)入ってねぇんだよこの野郎。」

スカリエッティ「ガジェットがおもちゃのように壊された。訴訟。」
博隆「(損害賠償は)与えらんねーわ。」
クロノ「博隆に何言っても無駄だから。」
ユーノ「そもそも彼に人間の言語を理解できるとは思わない方がいいよ。」

博隆「お前らホント容赦ねぇな。」
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