魔法少女リリカルなのはStrikerS-2nd strikE-   作:88813

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一応主人公の博隆よりもテオリオの方が主人公してるんじゃないんですかね……(困惑)


5話:Go Beyond!!

「おー、こっちだドク。」

 

 とある喫茶店の人目につかない席で、博隆は男性に声を掛ける。『ドク』と呼ばれた男性は、半ば呆れ返った目をしながら博隆の対面の席に腰をかけた。少々伸ばした髪と、少しばかり『イって』しまっている眼つきが特徴的な彼は、店員にコーヒーを注文すると、軽いため息をついた。

 

「やぁ博隆君。参ったよ、此方の首尾は全然でね。」

「仕方ねぇよ。あの馬鹿がこっちの予想を右斜め上58°位上の行動してくれたんだからさ。お陰で計画も練り直しだぜ、全く。」

 

 博隆はうんざりした様に返した。それを聞いたドクは左手を顔に覆いかぶせる。

 

「まぁ、君達が僕の玩具をひっきりなしに壊すのも原因の一つなんだけどね。」

「ま、そりゃあこっちも仕事だからな。それより……だ。最近そっちもマークがキツいらしいじゃん。」

 

 悪戯っぽく博隆が語りかける。その時、店員がコーヒーを持ってきたため、ドクはありがとう。と一言礼を述べると、そのまま一口啜った。この店自体は何処にでもあるコーヒーチェーンだが、割とコーヒーの味が自分の口に合うせいか出先でよく利用する。うむ、やはりこの店のコーヒーは相性がいいな。と内心呟きながら、ドクは返答した。

 

「まぁ、仕方ないね。僕も研究のためにやってるというのに、周りは理解してくれないんだから。」

 

 博隆はほぼ社交辞令的に笑みを浮かべ、タバコに火をつけた。紫煙を肺に目一杯吸い込みそのまま吐き出すと、釘を指す様にドクの姿を見つめ、口を開く。

 

「こればっかりは俺もどうもしてやれないが……ただ、しくじったら承知しねぇからな。」

「理解しているさ。まぁ君も、精々痛くない腹を探られない様に気をつけてくれたまえ。」

 

 博隆は、ああ。とだけ答えると煙草を灰皿へ押し付け、席を立った。

 

「今日のところはこれくらいにしようや。また近々連絡するよ。」

「ふふ、君には迷惑ばかりかけるね。今度素晴らしい玩具を用意してあげようか。」

 

 何も答えず、博隆は会計を済ませ店を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ティアナ・ランスターは悩んでいた。今の自分自身の立ち位置に。自分の所属している部隊と自分の才能のギャップに悩んでいた。自分はただの凡人で、才能の塊に近いスバル、エリオ、キャロ……この三人にはあり、自分自身には無い。たった二文字のそれが、彼女に襲いかかってきているのだ。

 そして先日の任務の際に焦って味方を撃墜しかけるという大失敗をしてしまった件も、それに拍車をかけていた。

 

「さてなのは、どうする? 俺の経験則からいくと、ティアナは結構いっぱいいっぱいみたいだな。」

「うん……わかってる。ヴィータちゃんが彼女を怒鳴り飛ばしたことも含めてね。」

「自分の『殻』って奴は、芯が強けりゃ強いほど重く硬くのしかかるからなぁ……。」

 

 教導時、色々と一生懸命『過ぎる』ティアナの姿を見ながらテオとなのはは話していた。はたから見ていれば先日の失敗……それを取り返そうと訓練に励んでいる様に見えるが、実際は焦燥感に追われているという事を二人は見逃さなかった。

 

「でも、その『殻』を私達が破るわけにもいかない。」

「そう。自分で破らなければ雛鳥は羽ばたく事はない。」

「そのためには、私達もできる事をしないとね。」

 

 この場で話し合っても無駄と判断した二人は、そのまま訓練中の新人達の元へと向かって行った。今日も今日とて、平和でリリカルでマジカルな教導の時間は始まるのであった。

 

「はい、じゃあ今日はポジション別のトレーニングするから、スバルはヴィータちゃんと、エリオとキャロはフェイトちゃんと、ゼノはテオ君と、ティアナは私とだよ。何か質問はある?」

「はい! なのはさん!」

 

 ゼノアが手を挙げる。

 

「フェイトさんがいらっしゃらないんですがそれは……。」

「ならテオ君、フェイトちゃんを呼んで来て貰ってもいいかな?」

「構わないけど念話で呼んだ方が早くないか?」

「それもそうだけど……ほら、ここから隊舎まで走ってフィジカルでマジカルなトレーニングも兼ねられるし、テオ君『達』ならきっとすぐだよ。」

 

 それを聞いたテオは文字通り、光の速さでゼノアの首根っこを掴み、隊舎へと消えて行った。しかもご丁寧にわざわざ魔力抵抗を強めに設定し、フィジカルトレーニングもしっかりと兼ねている。テオにとってなのはの言葉は唯一神の言葉より重く、どの法よりも優先されるべきものなのだ。

 それを飽きれた様に見るヴィータ、やっぱりなのはさんって凄いと感心するスバル、半ば引いているティアナ、よく状況が飲み込めてないがフェイトが来るので少し緊張しているエリオとキャロの五つの視線がなのはにそそがれるが、肝心の彼女はどこ吹く風と微笑みを絶やさなかった。

 

「フェイトー! 何処だー! 時空管理局のエースオブエース、キュートな砲撃魔でお前の大親友のなのは様がお呼びだぞー!」

「うるせぇよ。」

 

 隊舎に着くや否や、テオは大声で叫ぶが、フェイトの姿は無い。代わりに、不機嫌そうな声が一つ返って来た。

 その声の主、リオはロビーのソファに腰掛けながら右手に文庫本を持ち、顔だけをテオに向けて睨みつけていた。

 

「何だとコラ、うるせぇとは何だうるせぇとは。」

「そのまんまだよ馬鹿野郎。人の読書の時間を邪魔すんなよこの野郎。」

 

 リオが勢い良く立ち上がった。売り言葉に買い言葉、急激に二人の周辺の気温が下がる。その時、少しばかり遅れてゼノアがロビーへと到着した。

 

「ゼェ……ゼェ……全くテオさん……なのはさんの事になると……ハァ……見境無さすぎですよ……あぁ、リオさん……お疲れ様です……。」

 

 ゼノアは息も絶え絶えにテオに苦言を呈し、リオに挨拶を交わした。二人の視線はゼノアに一瞬だけ向けられたが、すぐさま互いに視線を向け直した。

 今だに状況は膠着状態である。

 

「リオだぁ? この野郎。カーニバルみたいな名前しやがってこの馬鹿野郎。」

「何だと馬鹿野郎。お前もモ◯ハンみたいな名前してるじゃねぇかこの野郎。」

「何だとコラ、殺っちまうぞこの野郎。」

「うるせぇよ馬鹿野郎、そりゃこっちの台詞だ。」

 

 一触即発……まさにそれがピッタリ当てはまる。その空気の中、息を整えたゼノアが呆れ半分、怒り半分という風に口を開いた。

 

「ああもう! テオさん、今回はどう考えてもテオさんが悪いですよ! それにリオさんもリオさんだ! いくらなんでもいきなり馬鹿野郎は無いでしょ!」

「何だよ、聞こえてたのか。」

「あ・た・り・ま・えです! 全く……二人とも同じ苗字で見た目もそっくりなんだから仲良くして下さいよ! 同じ苗字のキャロを見習って下さいよ本当に……。」

「おい、少し待て。」

 

 その時、リオは冷静さを取り戻したかの様にゼノアの言葉を遮った。同じ苗字で見た目もそっくり……言われてみると確かに、目の前のテオという男は自分と顔の造りがそっくりであることに気付いた。

 

「おい、テオとか言ったな。今すぐツラ貸せ、サシで話すぞ。」

「……何だよ、聞かれたくねぇ事らなのかよ。」

 

 冷静さを取り戻したテオが問い掛ける。それに対し、リオは無言で頷いた。肯定なのだろう。そのままゼノアに、フェイトなら部隊長室に呼ばれてたのを見たぜ。と告げると、二人はロビーから出て行った。

 取り残されたゼノアは深いため息をつくと、そのまま部隊長室へと向かって行った。

 

 

 

 

「おいお前……昔の事って覚えてるか? 小さな小さなガキの頃だ。」

「……ああ。」

 

 テオはちいさく頷いた。思い出したくない記憶である。林にかかる日差しが、彼の神妙な面持ちを照らしていた。

 リオはそれで全てを察した。何という運命の悪戯だろうか、自分が探していたクローンの一人が、よもやこんなところで見つかるとは思っていなかった。六課に居つく様になってからも、アグスタの時にもこうしてしっかりとテオと話す機会は無かった為せいか、ようやくであった。

 それをテオも気付いたのか、複雑そうな顔つきでリオを睨み付けた。拳を握る力が入る。その後は言葉にならなかった。ただ一発、その拳はリオの顔面に刺さっていた。

 

「……てめぇ!」

 

 リオもすかさず反撃に出る。デバイスを使わず、原始的な方法での闘争が二人の間で繰り広げられた。殴り、殴られ、殴り返す。殴った箇所は痛み、所々から血が吹き出る。しかしそれでも二人はやめない。やめられないのだ。

 片や原初の存在、片や造られた存在……互いの複雑な思いが、その拳や蹴りに目一杯込められていた。

 そして互いの最後の一撃を放とうとした矢先、互いの拳はある一人の男の手によって止められた。浅黒い肌、筋骨隆々が似合うその体躯……珍しい人間形態の盾の守護獣ことザフィーラであった。

 

「それ以上はやめておくのだな。流石にシャマルの負担を増やす気にはなれん。」

 

 そのままリオとテオは仰向けに寝転がった。もうどうでも良くなった表情だった。

 

「例え生まれがどうであれ、お前はお前だ。テオ。」

「分かってるさ……つーかザフィーラ、いつから聞いてやがった。」

「悪いが最初からだ。なのはが探していたので……な。」

「……そっか。」

 

 テオはどこか投げやりに、だが吹っ切れたように答えた。

 

「しっかし……リオ、お前のパンチは効いたよ。さすが『俺』だな。」

「馬鹿言え、お前は『俺』だぞ? そんなヤワにゃ鍛えちゃいねぇよ……それよりも悪かったな、馬鹿野郎って何回も言って。」

「そりゃあお互い様だ。」

 

 へへっと笑うと、テオは上半身を起こした。リオもそれに応える様に身体を起こす。二人は胸ポケットから煙草を取り出すと、互いの煙草に火をつけた。

 思えばこれで良かったのかもしれない。ザフィーラは無言で頷きながら、その場を去った。テオはザフィーラの言葉に感謝しながら、リオとまるで数年来の親友の様に色々なことを話した。管理局に入る前のこと、つまらない大怪我で入院してなのはと出会ったこと、そこから彼女に惚れてしまったこと等……様々な事を彼に話した。リオも、フェイトと出会ったこと、PT事件後の足取り、フェイトに惚れている事を少し恥ずかしそうに話していた。

 それはいつまでたっても戻って来ないテオに痺れを切らしたなのはが探しに来るまで続いていた。勿論、理由はどうであれ教導をサボったのは事実であったため、リオと仲良くバインドからのディバインバスター三連発を浴びせされたのは言うまでも無かった。だが、それでも二人は笑顔だったし、事の経緯をザフィーラから聞いたなのはは、少し困った様な笑顔で二人に謝ったのだった。

 そして後日……ある意味六課を揺るがす大事件が起こることとなるのであった。




本編はお休みです(小声)




いやぁ、マジザフィーライケメン。ガン堀りされたい(真顔)そして出番が無い主人公とかいうゲスの極みでした。
次回はまぁ、魔王様降臨です。なのはさんマジ魔王。でも可愛い(小学生並みの感想)
一応なのはメインに、やっていければいいなぁ(希望的観測)
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