ハイスクールD×D 真祖を受け継ぎし赤龍帝   作:夏蓮

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聖女との邂逅とはぐれ悪魔

一誠side in

 

あれから数日が経ち、オカ研の皆とも仲良くやれている。

最初は避けていた負い目や黒歌から聞いた悪魔のこともあり少し接しづらかったけど、慈愛のグレモリーと言われているだけあって仲良くしてくれた。

貴族悪魔らしい高いプライドや欲はあるがそれでも俺の聞いた悪魔よりは随分とましでいい人(?)だった。

そのことを黒歌に言うと自分と違っていい主を持ったと安心したように笑っていた。

ただ部活の時に小猫ちゃんがやたらと構ってきて(一緒にお菓子を食べたり頭を撫でさせてきたりする)その時についた匂いを嗅いで悶絶するのは辞めて欲しい。

 

「はわうっ!」

「ん?」

 

家に帰る途中でどこか気の抜けるような声が聞こえてきたのでそちらを向くと思いっきり顔から転けたような格好で倒れている女の子がいた。

ヴェールが風に流されて飛んできたのでそれを拾いつつその女の子に手を差し出す。

 

「大丈夫か?」

「あうぅ。どうして何もないところで転んでしまうんでしょうか。ああ、すいません。ありがとうございます。」

 

女の子の顔を見て思わず固まってしまう。

髪質は違えど同じ明るさをもつ金色の髪、色は違うが同じ優しそうな雰囲気をした翠色の瞳。

かつてあの湖畔で出会ったあの人と似ている女の子にあの時と同じく見惚れてしまう。

 

「………………。」

「?あの~。」

「……あ、えっとこれ。」

「あ、ありがとうございます!!」

 

ぼーっとしてると女の子が覗き込んできたのでヴェールを渡すことで誤魔化す。

まさか見惚れてしまうとは。……やべぇ、また顔が熱くなってきた。

少し赤面しそうになるのを我慢しつつ女の子に名乗る。

 

「あ~俺の名前は兵藤一誠。君は?」

「私、アーシア・アルジェントと言います!アーシアと呼んでください!」

「なら俺もイッセーでいいよ、アーシア。それで結構な荷物だけど、旅行かなんか?」

「いえ、私、この町の教会に今日赴任することになりまして。」

「そうなんだ。」

 

よくよく見ればアーシアの服装がシスター服だったので納得するも少し引っかかることがあった。

この街の教会ってあの子の家族が引っ越した辺りから使われてなかったはずだけど……。

疑問に思うも今考えても仕方がないので置いておくことにしてアーシアの事情を聞く。

 

「実は私、この町に来てから困ってたんです。道に迷ったんですけど、言葉が通じなくて。やっと、言葉が通じる方が見つかって助かりました!」

「なら案内するよ。」

「本当ですか!ありがとうございます!これも主のお導きのおかげですね!」

 

そして俺はアーシアを連れて教会に向かった。

 

「うああああん!」

 

しばらく歩いて公園にさしかかったところで子供の泣き声が聞こえてきた。

治癒魔術は使えるがそれを一般人に見せる訳にはいけないので無視しようとするとアーシアがその子供に駆け寄っていった。

 

「大丈夫? 男の子ならこのくらいで泣いてはダメですよ。」

 

アーシアはそう言いつつ子供の頭を撫でながら怪我をしたところに手をかざす。

すると、彼女の掌から淡い緑色の光が発せられ、光に照らされた怪我の傷があっという間に消えていった。

それと同時に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)か共鳴したかのように疼いた。

あれってもしかして……

 

『相棒の予想通り神器(セイクリッド・ギア)、あの効果から恐らく回復系統のものだろう。』

 

ドライグの言葉が終わると丁度治療が終わったのかアーシアが戻ってきた。

子供のほうをみると母親らしき人物に連れられている。

たぶん信じがたいことが目の前で起こったからだろう、母親の顔には少しの恐れが見えた。

強すぎる力や未知の力をみた人はそれを差別して自分から離したがるものだ。

それをアーシアも見抜いたのだろう。

優しそうな彼女は少し寂しそうに見ていた。

そのときさっきの子供がアーシアに向かって

 

「ありがとう!お姉ちゃん!」

 

と叫ぶ。

 

「ありがとうだってよ。」

「!はい!」

 

その言葉をアーシアにわかるように訳して伝えると嬉しそうに子供に向かって手を振り続けた。

子供達が見えなくなったところでさっきの力についてアーシアに聞いてみた。

 

「その力って……。」

「はい。治癒の力です。神様からいただいた素敵なものなんですよ。」

 

そう言った彼女の顔は嬉しそうな、けど少し寂しそうな複雑な表情を浮かべていた。

それからしばらくお互いに何もしゃべらないまま教会に到着した。

ただ教会の内部から堕天使の気配が感じられる。

……何をするつもりか知らないけど一応後で部長に報告しとくか。

 

「ここが教会だね。」

「ありがとうございます!本当に助かりました!あの……ぜひお礼をしたいので、教会の中まで一緒に来ていただけませんか?」

「ごめんなアーシア。これから少し用事があるからまた今度な。」

「そうですか……。」

 

俺の返答に元気をなくすアーシア。

さすがに見てられないので咄嗟に言葉を紡ぐ。

 

「それなら今度会ったときにどこか遊びにいこうか。この街のことを知るのにもちょうどいいだろ?」

「え?いいんですか?」

「ああ。じゃあまたなアーシア。」

「はい!またお会いしましょう!イッセーさん!」

 

アーシアが元気になったのを確認してから再会の約束をしてから別れを告げて歩き出す。

アーシアも同じように別れを告げたのを聞いてからふと思ったことを言う。

 

「そろいやアーシア。」

「はい?」

「アーシアのあの力……俺はアーシアにふさわしい優しい力だと感じたよ。」

「はわ!?」

 

俺の言葉に驚いてアーシアが少し赤面したのを見て笑みをこぼしながらその場をあとにした。

 

―――――――――――――――

 

「二度と教会に近づいてはダメよ。」

 

翌日の夜、部室にいくと部長から注意を受ける。

なんでも偶然俺がアーシアと一緒にいたのをチラシ配りをしていた使い魔が見たそうだ。

 

「あなたも知ってるでしょうけど私達、悪魔にとって教会とは踏み込めばそれだけで危険な場所なの。それこそ、いつ光の槍が飛んでくるかわからないわ。第一あなたは吸血鬼でしょ。私達と関わっている事もあって危ないわよ。」

「部に入ることは了承したがあの時言ったように俺は中立だ。部長達と関わっているからと言って行動を制限されるいわれはありません。それに隠蔽魔術を使っているから吸血鬼だということも問題ないです。上級悪魔の部長でも見破れなかった物です。そこらの天使・堕天使共にも知られることもありません。」

「そうでしょうけどっ!?」

 

互いに視線をぶつけ合う俺と部長。

険悪な雰囲気になり他のみんなもそれに飲み込まれたのか体を強ばらせる。

しばらくの間それが続くが諦めを感じさせる表情をした部長が先に折れた。

 

「……まぁ過ぎたことはいいわ。でも心配になるからなるべくやめてちょうだい。」

「…善処します。でもあの教会は少し様子が違うようでしたが。」

「どういうこと?」

 

教会から堕天使の気配がしたことを話す。

部長はアーシアのこともあり考え込む。

 

「………わかったわ。それについてはこちらで調べてみるわ。」

「終わりましたか、部長。」

 

話が終わると姫島先輩が部長に話し掛ける。

 

「朱乃、どうしたのかしら?」

「ええ。―――大公より、はぐれ悪魔の討伐命令が届きました。」

 

―――――――――――――――

 

はぐれ悪魔とは眷族である悪魔が主裏切る、または殺害した悪魔のことだ。

はぐれ悪魔は非常に凶悪で各勢力から危険視されていて、見つけ次第消滅させることになっている。

確かにはぐれ悪魔は己の欲のために主を殺すものが多いが騙されたり無理矢理転生させられたから裏切ったりしたものもいる。

黒歌も一応はぐれ悪魔だが後者の理由ではぐれになった。

故に全てのはぐれ悪魔が悪い訳ではないのだが確認もされずに殺されるのが現状だ。

今回、討伐命令のでたはぐれ悪魔は人間を襲っていることから前者のようだが……………

 

「………なぜ俺もここに?」

 

部長達グレモリー眷属にきた依頼のはずなのになぜか俺も連れてこられた。

普通は連れてこないでしょと考え、その疑問を部長にいうも何を当たり前のことをきいてるの?というようなキョトンとした顔を返される。

 

「なぜってあなたの実力を見せてもらうために決まってるじゃない。」

「なんでそんな面倒くさいことをわざわざしなきゃいけないんですか。」

「あら、この前の公園の片付けは誰がしたのだったかしら?」

「くっ、わかりましたよ全く。」

 

あの時さっさと帰ってしまったことを後悔しつつはぐれ悪魔がいるという廃工場の内部に向かう。

 

「この匂いは……。」

「…………血の匂い。」

 

俺と小猫ちゃんがそれぞれ嫌な匂いを感知するとともに廃工場の奥から声が聞こえる。

 

「不味そうな匂いがするぞ?でも、うまそうな匂いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

 

ケタケタケタと笑い声を上げながら上半身は女、下半身は巨大な獣の体をしたはぐれ悪魔がでてくる。

さらにその両手には槍みたいな獲物を持っている。

 

「はぐれ悪魔バイサー。あなたを消滅させに来たわ。己の欲を満たすために暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名においてあなたを消し飛ばしてあげる!」

「小娘ごときが!!」

「それじゃあお願いね。」

 

そういって笑顔を見せてくる部長。

いや、俺にやらせるのになんであんな名乗りを?

そんなことを思いつつも魔力の槍を作り出す。

 

「ふっ!」

 

普段は抑えている吸血鬼の身体能力を駆使して一気にバイサーの懐に入って槍を振るう。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「はっ!よっと!」

 

最初の一振りで腕を切り落とし、続けて槍を振り切り刻む。

しばらく続けるとはぐれ悪魔から反応が小さくなる。

 

「あっ……ぐっ………。」

「………所詮こんなものか。」

 

そのことに落胆しつつもトドメの準備をする。

手に持つ槍の骨子を想定し直して材質を複製する。

そしてある呪いを魔術でできる限り再現し槍に付呪する。

エリナさんから受け継いだ知識の一つ、かつてアイルランドの光の御子と呼ばれた一人の英雄が使っていた因果逆転の呪いを持ちし槍を魔術で模倣した贋作。

 

「本来、この槍はお前ごときに使っていいものじゃないが力を見せるため特別にな。」

「やっ……やめ…。」

 

バイサーの言葉を無視して槍を構えその真名を解放する。

 

偽:刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!!」

 

真紅の槍は的確にバイサーの心臓を穿ち、その命を刈り取った。

 

「終わりました。」

 

槍を魔力に戻し、バイサーの死体を炎で燃やしてから部長に報告する。

ただ部長達は想像以上だったのか呆然としていた。

 

「部長?」

「えっええ、わかったわ。後のことは私たちでやるからもう帰っていいわ。」

「わかりました。ではまた明日。」

 

そう言って家に転移した。

 

一誠side out

 

 

リアスside in

 

………まさかこれ程とは。

思わず呆然としてしまったがさっきの一誠の戦いについて考える。

 

「……ぜんぜん見えませんでした。」

「僕もスピードが早すぎて微かにしか見えなかったよ。」

 

眷属で戦車の小猫だけでなく騎士の祐斗ですら殆ど見えなかったようだ。

真祖の吸血鬼と聞いてその力を知ったつもりでいた。

でも今回のことで改めて理解させられた。

バイサーを片手間で倒す私たちでは計り知れないほどの実力。

そして最後に使った槍。

あの名前が本当なら伝説の武器を再現したことになる。

それを難なくこなす彼の技量と相まって味方ながら恐ろしく感じてしまった。

 

「……彼が敵でなくてよかったですわ。」

「…ええ、本当にそう思うわ。」

 

そのことに安堵しながら眷属の皆に指示を出し、大公様に報告するためにその場を後にした。

 

リアスside out




偽:刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)

その昔、エリナが世界を巡っていたときにみたクー・フーリンの槍を魔術的に再現したもの。
だけどあくまでも再現した贋作のため因果逆転の呪いは完全ではなく幸運が高いものや実力の差が小さいものや己より強いものには容易く防がれたり躱されたりしてしまう。
さらに某弓兵のように作れば終わりではなく、維持にも魔力を消費する。
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