自分的にはこの短さはなかなかに落ち着きます。
ゆきのん、ではどうぞ。
長机一つ分。
これが私と彼との距離。いつもこの距離。
いつからかわからないけれど、その距離が遠く感じるようになった。
近づくのは彼に紅茶を淹れるとき。それもほんの数秒、私がカップを置く間だけ。
いつもあなたとの距離はもどかしい。どうしようもなく遠く感じてしまう。
文化祭のとき、私は体育館のステージで、あなたは屋上。もちろんそれぞれがやることをやっていたから仕方ないけれど、いえ仕方ないからこそ遠く感じてしまう。
修学旅行のとき、はっきりとすれ違ってしまった。私が勝手に予想していたゴールの応援席で待っていて、あなたが全然違うゴールへ向かっていったような心地だった。それはとても遠かった。全然違う場所だった。
生徒会選挙のとき、私の考えはまったくわかってもらえていなかった。独りだと感じて、とても寂しかったし、それ以上に怖かった。あまりにも遠い、あなたとの距離が。
でも、今ではもうそんなに遠くは感じてない。それなりに近づけたと思ってる。
それでも、この部屋での距離はやっぱりまだ遠い。それはきっと彼との純粋な距離。由比ヶ浜さんや一色さんは近いのだと思う。思ってしまう。それがどうしようもなく、もどかしい。
彼女たちは自分から近づける力がある。それは私や彼にはない力。いえ、彼にもある。本物が欲しいと言いに来た彼は、間違いなくその力がある。ただ恐れているというだけのこと。
ないのは、私だけ。それは私がどうしようもないほど無力だということ。いつも姉に感じていた劣等感、それをまた持っている。
私と彼との空間。そこにある音は、2人のめくる本の音と、それを傍観する時計の秒針。たったそれだけなのに、とても落ち着く。それだけだから、なのかしら。
でも、あなたとの会話はない。由比ヶ浜さんのいるときにはそれなりにあっても、2人きりだとなにもない。これまでは人と話したところで、なんて思っていたけれど、私の大切な人、特にあなたとは話したいと思うようになった。そして知ってほしい、私を。
ほんとうに、私は変わった。大切な人の、人たちのおかげで、私は大きく変わった。今まで考えなかったこと、感じなかったこと、思わなかったことを、ほんの些細なことでも、するようになった。
それでも私は近づけない。踏み出せない。その力がない。やはり、悔しい。
下校時刻になり、荷物をまとめて帰る。彼との時間は終わり。今日も近づくことのなかった彼との距離。そう思って教室を出て鍵を閉める。
廊下を進み始めるときに、私は気づいた。一緒に廊下を歩いて帰る彼が、こんなに近かったことを。一歩分ほどしかない距離に、彼がいる。そのことがどうしようもなく嬉しくて、ついつい微笑んでしまいそうになる。
でも私はこの距離で満足なんてしない。この一歩分も無くしたい。いつか踏み出したい、近づきたい。
そんなことを思って、彼の左斜め後ろに行った。さっきと距離自体は変わってないけれど、ちょっとしたことをしてみた。彼は不思議そうな顔をこちらに向けたが、すぐに戻した。夕日に照らされた彼の顔は様になっていて、そして、かっこよかった。
そんなあなたは気づかない、このことを。私だけが知っていて、誰にも知られたくないような、ちょっとしたこと。将来、私は笑うかもしれない。こんな些細なことで顔を熱くしているのを。こんな些細な出来事なのに、進歩を感じているのを。それでも、私は微笑まずにはいられなかった。
ーーーーーー1つに繋がった、影を見て。
会話がないのもいいなーって自分としては思いました。
こういう感じの1人語りだけっていうのもこれから出していくとは思います。
これからもお願いします。