猫又さんの異世界旅   作:猫と竜が好き

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  さくさくと踏める草は肉球に気持ちのいい感触を伝えてくる。黒い石の床や低い石の壁の上のように痛みも感じない。程よい冷たさと少しチクチクする草。太陽の日差しも気持ちよく、ここが安全な場所だと確信できたならそのまま昼寝をしたいくらいだ。

 だが、そんな確信は出来ない。何しろ空にあるのは太陽だけではない。鷹なのかなんなのかわからないが、大きな鳥が飛んでいるのだ。どんなに心地よかろうとそんなものが飛んでいる時点で呑気に寝ることなど出来やしない。ああいう鳥にとって私たち猫のようなものはエサも同然。隙を見せた途端に空にさらわれることだろう。だから私は足を止めない。ともかく歩き続ける。見渡す限りの草原はこちらも見つけやすいがあちらも見つけやすい。そういうものだった。

 

  歩き続けていると、目の前に多くの木が集まって鬱蒼とした場所があった。あれだけ狭ければ、大きな鳥は飛びづらいだろう。私はそこに入って行くことにした。いつまでも上で飛んでいる鳥が鬱陶しかったから。

  中は柔らかな木漏れ日が入ってきて、多くの生き物の気配がする。草原ほどではないが明るく、風で木が揺れてさわさわと音がする。だが、その中に風の音以外の音が混ざっていることに気がついた。くすくすと笑っている幼い声だ。人間の子どもの声に似ている気がするが、普通はこんな場所になど居ない。居るのなら近くに親が居るものだが、声は子どもだけ。不思議だが、笑っているようだし気にすることはないだろうと思ってそのまま歩いて行こうとした。その時____

 

『わあっ! 珍しいお仲間さんだ!』

 

 子どもの甲高い声ではしゃぎながら目の前に現れたものが居た。小さな緑色の薄羽と髪を持った人型。いつも光の中に見えていた小さな人と色こそ違うが、似ていた。これが言葉を持っているということを知らなかった私は驚き、固まってしまった。

 

『あれ? なんで驚いてるの?』

 

 固まってしまった私を見たそれは何やらキョトンと首を傾げていた。それを見てこのまま固まっていてもラチがあかないと即座に考えた私は硬直を解き、今までずっと疑問だったことを口にした。

 

「君は何?」

 

『え? 何って、風の精霊シルフィだよ?』

 

 何を当たり前のことを聞いているんだという相手の反応を見ながら、だが私はセイレイというもののことは知らない。シルフィという名前も初めて聞いた。

 

「セイレイとは何? 君の他にも居るの?」

 

『精霊っていうのは万物に宿る意思のような存在だよ。 僕の他にも居るね。

 そう言ってる君も精霊だけど?』

 

 私が精霊? そんなはずはないと思い否定したが、シルフィは『ううん、君は精霊だよ。だって僕と同じ気配もするし』と取り合ってくれない。

 

「だから、私は精霊というものではないと……」

 

『えー? でも、君は肉体を持ってるけど確かに僕らとおんなじ気配がするよー? なんなら、ステータス見てみる?』

 

「すてーたす? 」

 

 またわからない言葉が出た。人間が何か黒光りする薄い箱みたいなのを見ながら言っていた言葉だが、私は意味を知らない。

 

『……君、なんだか世間知らずだねー。まあいいからさ、"ステータス"って唱えてみなよ』

 

 正直訳はわからないが、言われた通りに"ステータス"と言ってみた。すると、私の前に半透明な何かが現れた。




猫又さんのステータスは、次回に持ち越します。

黒光りする薄い箱=3D○及びswit○h
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