俺は警察官から取り調べを受けた。
名前、住所、その他もろもろ。
恐喝はされなかったが警察官は俺を疑ってるらしく何度も
「君がやったのじゃないのか?」
と聞いてきた。
結局、警察官の方が折れたらしく
「明日には刑事が来る。悪いがそれまではこの交番にいてもらおう」
と言われた。今日の宿は交番のようだ。家族には俺から連絡した。家族は心配こそしているようだが俺が犯人ではないと信じてるらしくゆっくり無実を証明して帰るよう言われた。
交番はちっぽけで俺は床に雑魚寝する事になった。カツ丼の一つくらい出してくれるかと期待したがそういうことも無く夜は更けていった。
「おい!起きろ。」
昨日の若い警官の声で俺は起こされた。
そのまま顔を洗うことも許されずに刑事のもとに連れていかれた。刑事の顔は寝ぼけててよく分からんが金髪だ。美人だったりするのか気になるところだ。警官は刑事に何か言っている。
「新聞配達員から通報を受け本官が容疑者の身柄を確保しました。」
やれやれ。俺は無実の罪でもう容疑者らしいな。
「あら?素敵な男じゃない?んふふ」
刑事の声が聞こえる。言っている内容は良いのだが声が男に聞こえる。眠たい目をこすりながら刑事の警察手帳を見せてもらった。
金田真一 刑事
俺は寝ぼけていたためそのまま読んだ内容を口に出した。
「きん…た…ま…いち……けいじ?」
後々考えれば我ながら何とも酷い読み方をしたものだ。
「いやぁ~ね。一じゃないわ。ゼロよ!んもー!何言わせるのよ」
世の中には変わった刑事もいるものだ。
「……って待て。もしかして……オカマ……?」
「そうよオカマよ~。なんか文句ある?」
その「なんか文句ある」という声は下手なチンピラより怖かった。
「いえ……別に。」
「あたしのことはローズ刑事って呼んで!」
「………はい……。」
本当に変わった刑事もいるものだ。
「金田刑事」
警官が何か言いたそうに刑事に話しかけた。
「ローズ刑事とお呼び!!でどうしたの?」
「失礼しました。ローズ刑事。この男は夫婦を殺したんですよ!」
「いやぁーね。こんないい男がそんなことするわけないじゃない。私は彼を信じるわ。ただ現場に居合わせただけよーん」
変わった刑事だが俺の味方をしてくれるらしい。
「まぁ~あんたも疑いはあるんだからしばらくこの町で暮らしてちょうだい。あたしのポケットマネーをあげるわ。生活費にでも充てて。いい?この町から出ちゃダメよ?」
案外、しっかりした刑事らしく一応、俺のことも疑っていやがる。
「あたしはいつでもこの交番にいるわ。暇だったら来てね」
刑事には悪いが交番にはあまり来たくないな。
「この裏にあすなろ荘という建物がある。しばらくはそこに住んでくれ。大家さんには私から言っておく」
警官はそう言いながら俺に鍵を渡した。どうやらしばらくはこの町にいることになるらしい。
俺は与えられた あすなろ荘 に行き何がどうなってるかを考え直すことにした。
「くれぐれもこの町からでないように!」
警官よ。そればっかりしつこいぞ。