鈴木善治は探偵~オンボロアパート風雲録~   作:あずきシティ

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事件現場とホームレス

定食屋から出た俺はもう一度、手がかりを探すためアパートに戻った。いわゆる聴き込み調査だ。

 

 

 

 

 

 

「……ということでその日の午後11時ごろって何かあったかご存知ですか?」

「いえ……ただいつものように夫婦喧嘩していたようです……」

1階に住んでいたおそらく大学生であろう女性はそう言った。どうもこのアパートにはその女性と階段下にホームレスのオジサン、定食屋の主人の不倫相手しか住んでいないらしい。ホームレスのオジサンに話を聞くとしよう。

「すいません、ここで起きた殺人事件について教えていただきたいのだが……」

「あぁ?なんだ?」

見るからにヤバそうだ。

「いえただ殺人事件について教えていただきたいのですが……」

「………知らねぇな。」

ん?何か隠しているのか?

「いや、この上の階で起きたんですよ。なにか些細なことで良いから教えてくださいよ?」

「知らねぇモンは知らねぇ。」

「何か隠してますかな?」

「………いくら払う?」

オジサンは情報料を要求しはじめた。仕方ない、俺は適当に財布の中の金を渡す。するとオジサンは語りだした。

「まぁ惨めな話だ。俺はよ、この町の地下のあるところにある非合法なパチンコ屋の常連だった。まぁそれでパチンコに溺れた俺は家も金も全部失ってこうなったんだ。」

なるほど、確かにあまり人に話したいような話題ではないな。

「あ―……事件の日だったか?実はな、情けない話だが時折、大家がここにいたら邪魔だからと俺を退かせるんだ。まぁ俺はすぐこの階段下に帰ってくるんだがな。で大家が警察に言ったらしい。あの日は刑事が来て退くように言われてな。仕方ないからあの日の夜だけは別のところで寝た。朝帰ってきたらビックリだ。事件があったらしいからな。ということで事件については本当に何も知らねぇ。分かったらとっとと立ち去ってくれ。」

何か隠してる気がする。そもそも刑事が来て退くように言うというのもおかしい話だ。とりあえず保留にしておくか。定食屋の主人の不倫相手はホステスをしてるらしく昼間はいないらしい。

とにかくホームレスのオジサンは怪しいと言うことだ。だがそれにしても動機が不明だがホームレスということを考えればただの物取りだと考えても話は繋がる。ほんの少しではあるが事件の真相を掴んだ気がする。

 

明朝。

いや正しくは寝坊したお陰でもう昼というには微妙な時間だったが。

俺は足早に交番へ向かう。

「今度は事件現場について教えてほしいのだが」

「はぁ……またかね。犯人が分かったら教えてくれたまえ」

「なんかちょいちょい上からだな。」

「本官は警察官だぞ!捜査上の情報はむやみやたらにばらさないでくれよ。君は事件の関係者だから教えるだけだ!」

世に言うツンデレか?まぁ冗談はさておき今度は現場についての情報を聞いたわけだがホームレスの物取りだと思っていた俺は意表をつかれた。何一つ盗まれておらず物取りではないらしい。謎だ。

事件についてもふりだしに戻ってしまった。いや、何かヒントはあったはずだ!

何だ?分からない。

俺はとりあえず交番を後にして定食屋に向かう。

定食屋には例の主人はおらず若い男が立っていた。息子だろうか?

女将に話を聞く。

「やっぱりあの男、浮気してたのよ!」

やっぱりバレたのか。主人よ、悪事はダメだぞ。

「で、問い詰めたら今朝にはいなかったわ。なんて男なのかしら」

ほぅ、主人は夜逃げしたのか。もうタダ飯は食えないのか?

俺は息子と思われる若旦那に定食を注文することとした。まぁもともと安いからな。タダではないかもしれないのが残念だがまぁいいだろう。

「あぁ、アンタか。噂には聞いてるぜ。うちの親父がお世話になったみたいでな。お前さんは特別料金だ。」

というと若旦那はメニューを出した。なんということだ。値段は通常の10倍だ。タダより怖いものは無いとはこのことか?

ん?そういえば被害者夫婦は毎日のように喧嘩していたんだよな?原因は?まさか被害者夫婦も不倫か?

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