鈴木善治は探偵~オンボロアパート風雲録~   作:あずきシティ

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消えた凶器

明朝。

俺は軽く朝食を済ませ交番に向かった。交番に通う日課。今考えるとあまり良いものではない気もする。

「というわけだ。過去の逮捕歴に関して詳しく教えてくれないか?」

「本官はまだ警察官になる前の話だから詳しいことは分からないんだが……。どうも件の夫婦はその頃から喧嘩が絶えなかったらしい。原因は夫の浮気癖。逮捕というのはそこの公園で夜に夏祭りをしているだろ?その公園であの日は喧嘩をしていた。しかも夏祭りだというのに。で不快に思った誰かが警察に通報をしたらしい。通報を受けた警官は公園に行ったが夫がナイフを隠し持っていた。警官はそのナイフにより殉職した。そのあとそれをみた住民によりまた通報が入り夫は妻に対する殺人未遂や殉職した警官に対する傷害致死、銃刀法違反の現行犯で逮捕された。これが本官が聞いてる夫の逮捕に関する事件の概要だ。」

「なるほど。わからん。」

「……ん~。つまりだね、夫はナイフを持ち喧嘩していて止めに来た警官が亡くなったのだよ。」

「あ、そういうことか。」

言われてみれば昨日の花束はその殉職した警官に対するものだったのかもしれない。

「で逮捕された夫はどうなったんです?」

「いや、そこから先は本官も知らない。検察の管轄だからな。まぁ簡易裁判所レベルではないから興味があるなら地方裁判所にでも問い合わせて過去のデータを調べてくれ。」

俺は事件の日時を聞いた。後で裁判所に行って調べてみるとしよう。

「あ、そうだ。被害者夫婦に関してなんだが司法解剖の結果死因はナイフで刺されていたことだが犯人は被害者にとどめを刺すためにアイスピックか針のようなもので被害者夫婦の肺を刺していた。夫はナイフで即死らしいが、妻は事件後数分は生き延びた。しかし肺を傷つけられたことにより酸欠で亡くなったことがわかった。針のような凶器はまだ見つかっていない。」

ほう。つまり凶器はまだ犯人が持ってる可能性があるのか。

俺は交番をあとにし地方裁判所に向かうべくバスに乗った。

運転手はいつかの心優しい運転手ではないか!向こうも俺のことを覚えてくれていたらしくミラーで俺の姿を見ると

「おおっ!元気してたか?」

と話しかけてくれた。

「ええ。おかげさまで。ありがとうございました。」

「んーだ。気にしなくていいっぺ。」

「一つ聞きたいんですが……事件の日は……」

「あれ?前にも言わなかったかな?例のマンションの前走る路線を運転してただ。」

「ですよね。何か怪しい人影とか見ました?」

「いーや、見てねぇだ。んだ、いつもはお客さんいねーのにその日は珍しくお客さん乗って来ただ。バスの防犯カメラは本社にあるけどかわいい子ちゃんじゃなくて男だったぞ~」

「……そうですか。近々、行かせてもらいます。真犯人が乗っていた可能性もあるんで」

「なるほど~。何か分かったらまた言うだ~。またバスに乗ってくれな~」

俺はそんな会話をしながら裁判所までバスに乗った。

 

 

裁判所で俺は事件の日時の近くのデータを調べた。事件の数は多い。調べてるうちに日が暮れたがそれでも見つからなかった。見落とした?いやそんなはずはない。何故だ?

夜になっていたので俺は帰った。

事件データはどこにあるんだ?

 

翌日

俺はこの被害者夫が起こした事件の情報を探し地方検察庁に出向いた。ここならあるいは……。

俺は起訴の記録をしらみつぶしに見たがやはり見つからなかった。

まさか……不起訴?

確かに不起訴なら裁判されてないんだから裁判所探しても見つかるわけ無いな。

待てよ。不起訴ならデータも残って無いんじゃ……。

どうしたらいいんだ?

かなり昔の事件だからな。新聞とかも探せない……いや、待てよ。事件の日時が分かっている。過去の新聞……もしかしたら!

 

俺は図書館に行くことにした。

ここなら昔の資料として新聞が保存されているはずだ。公園の夏祭りをめちゃくちゃにしたくらいなんだし探せばあるだろう。

俺は即行で図書館に行った。

事件翌日の朝刊の地方欄のさらに隅っこにターゲットはいた。

「男、夏祭りでナイフを振り回す。夫婦喧嘩が原因か?止めに入った金田真司巡査が殉職。」

その日の記事は警官から聞いた概要がほぼそのままだった。

亡くなった警官の名前が分かったがそれ以上の情報は得られなかった。

諦めず翌日、以降の新聞もチェックする。すると数日後の新聞の、やはり隅っこにターゲットはいた。

「夏祭りナイフ男。不起訴。」

俺は何らかの資料になると思い記事をコピーした。

 

夏祭りでナイフを振り回し警察官を刺した現行犯で逮捕されていた容疑者だが検察の調べでこの男は精神病と認定。責任能力が無いことなどから不起訴処分となった。

 

とのことである。

まぁこの亡くなった警察官の遺族は辛いだろうな。然るべき処罰を犯人は受けてないのだから。

とりあえず資料を探したりコピーしたりと熱心に捜査しているともう日が暮れていた。

帰りのバスもいつもの心優しい運転手さんだった。運転手さんは俺の顔を見ると

「営業所に、当日のバス防犯カメラ映像が見つかっただ。興味あるなら明日にでも営業所に見に来るだ?」

と言われた。ありがたいことだ。状況的に真犯人が乗った可能性が高い。明日は営業所行き確定だな。

帰ってから俺は資料をもう一度見直した。最大のヒントがあるような気がするからだ。何かこれまでと繋がっているものがある。俺の勘はそう言っていた。

 

 

 

 

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