仮面ライダーリリカル   作:朱神優希

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第一話 始まりのM/事件の始まり

※翔太郎視点

「暇だねぇ」

 

珍しく応接間の方にいる、俺の相棒のフィリップが最近妙に気に入ったライトノベルとかいう小説を読みながらそう言った。

 

「暇なのは良いことじゃねーか。この街に、事件なんて似会わねー」

 

俺は亜樹子から借りた時代劇を見ていた目線をフィリップに向けてニヒルな笑みを浮かべてそう言ってやる

 

ふっ、今のは決まったな

 

“コンコン”

 

「お、客か!」

 

事務所の入り口を叩く音を聞いて思わずそう言ってしまった

 

「嬉しそうだねぇ、翔太郎。さっき言った言葉と矛盾しているよ」

 

「うるせぇ」

 

自分の方が扉に近いくせに全く動こうとしない相棒の代わりにDVDを止めて扉を開く。

 

「ようこそ、鳴海探偵事務所へ……ってあれ?」

 

開けたは良いが誰も居なかった。なんだ?イタズラか?

 

「お兄ちゃん!下!下!」

 

「あぁ、なのはちゃん達か」

 

声に従って下を見れば、俺の腰ぐらいまでしかない少女が三人立っていた。

 

最初に目に入ったのは栗色の髪をツインテールにした近くにある私立の小学校の制服を着た少女、高町なのは。笑顔が印象的だが、全体的にどこにでも居る小学生といった感じだ。翠屋とゆう喫茶店の娘でここのケーキがなかなか美味い

 

「ちょっと!少し背が高いからってその反応はないでしょ!」

 

その横にいる、金髪の少女が俺を睨みながらそう怒鳴ってくる。この子はアリサ・バニングス。性格は見ての通り勝ち気で、言いたいことをズバズバと言うタイプ。正直、少し苦手だ。家は園崎家に勝るとも劣らない金持ちの超お嬢様だ

 

「駄目だよ、アリサちゃん。そんな言い方をしたら。お兄さんに悪気はないんだから」

 

そんなアリサを窘めてくれたのは月村すずか。こちらはアリサとは正反対で、大人しくて小学生のわりにはしっかりとしているとゆう印象がある。こちらもアリサと同レベルのお嬢様だ

 

「ありがとな、すずかちゃん。まあ、入れよ。コーヒーぐらい淹れるぜ」

 

俺が少し横に避けると三人は「お邪魔しまーす」としっかり挨拶をしながら事務所へと入った。アリサも、口は悪いがなんだかんだ礼儀は出来てんだよな。流石は風都区屈指の金持ちの娘ってとこか

 

「相変わらず貧乏臭い事務所ね。せめて掃除ぐらいもう少し綺麗に出来ないの?」

 

ほんと、口さえ開かなきゃ可愛いのに

 

彼女達はそれぞれ俺達の担当した何らかの事件に巻き込まれておりそのせいで俺たちが仮面ライダーだということを知っている。そして、なにを思ってか一週間に3日ぐらいの頻度で遊びに来る。まあ、こっちもいい暇つぶしになってるからいいけど

 

「へいへい、貧乏臭くて悪かったな。ほら、コーヒー」

 

三人が遊びに来るようになってから戸棚に常備されるようになったコップにコーヒーをついで三人に渡してやる。これにはアリサも文句を言わない。そりゃ、おやっさんに叩きこまれた入れ方だからな。文句のつけようもねーだろ。にしても、よく小3でコーヒーなんか飲めるよな。俺は成人するまで飲めなかったぜ。喫茶店の娘やお嬢様なのが関係してるのか?

 

「あ、そうだ、お兄ちゃん。今日不思議な事があったんだ」

 

俺が自分とフィリップ用のコーヒーを持って椅子に座るとなのはちゃんがそう切り出してきた。話を聞けばどうやら此処に来る前、突然不思議な声がなのはちゃんの頭に聞こえてきて、声のする方へと向かうと怪我をしたフェレットを見つけ、そいつはとりあえず近くの動物病院に預けてきたらしい

 

「ふむ、興味深い」

 

今まで本へと目線を向けていたフィリップが突然顔を上げてそう言った。

 

「どうした、フィリップ?小説の中におんなじ内容でもあったか?」

 

「ああ、魔法少女と呼ばれるジャンルに多く見られる光景だ。『僕と契約して魔法少女になってよ』。とかね」

 

どうでもいいけどいきなり裏声を出すなよ。なのはちゃんたちも固まっちまってるじゃねーか。

 

フィリップは珍しく空気を呼んだのか一度咳払いをすると話を続ける

 

「そうゆうことじゃなくて、なのはちゃんが聞いたとゆう声とそれに導かれることによって見つけた怪我をしたフェレット。それらを空耳や偶然で片付けるのは些か乱暴すぎる。何らかの組織が絡んでいると考えた方が良いだろう。そう、例えば財団―――「フィリップ!」………すまない」

 

さっ、とアリサの様子を見るとコーヒーカップを持ったまま俯いてしまっていた。彼女に財団Xとゆう名前は禁句だ。俺達が知り合った事件のせいでその名前がトラウマになってしまっている

 

「悪い、アリサ。フィリップも悪気があったわけじゃないんだ」

 

「………わかってるわよ、そのぐらい。あんたがあたしの心配をしようだなんて十万年早いわよ」

 

いつもどうりの憎まれ口を叩いてくるが、やっぱりどこかぎこちない。そんな空気を感じ取ったのかすずかちゃんがおもむろに立ち上がった

 

「ありさちゃん、なのはちゃん、もう時間も遅いし今日は帰ろう」

 

「うん、そうだね。あんまり遅いとお兄ちゃんが心配するし。今日はもう帰るね、お兄ちゃん」

 

「なのは、一瞬こんがらがるような発言をしないで。それじゃ、今日はもう帰るわ。お邪魔しました、フィリップさん」

 

そう言って、三人はカバンを背負って事務所から出て行った。………って、俺に挨拶はは無いのかよ、アリサ。一応この事務所の主は俺だぞ!まあ、子供にんなこと言ってもしゃーねーけどさ

 

「フィリップ、あんま不用意な発言は控えろって」

 

「すまない。それよりも翔太郎、フェレットのことだが」

 

「………今は様子見るしかねーだろ。ほんとに財団Xや他の組織が関わってんなら俺達が相手すればいいんだ」

 

「確かに、何も起きてない現時点で出来る事は限られているか」

 

「そーゆーことだ。さて、そんじゃ飯にするか。なんか食いてーもんあるか?フィリップ」

 

「………翔太郎、君は北京ダックとゆう食べ物を「却下だ」む、いけずだね、君は」

 

男が言っても気持ち悪いだけだぞ、フィリップ。

 

こうしてその日は何事も無く終わった。……かのように見えたが、その日の晩、事件は起こった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

数時間後、結局カップラーメンとゆう侘しい晩飯を食べ終わり、なのはちゃんから届いたフェレットを家で預かる許可が出たことを伝えるメールを読んでいると、突然、フィリップが倉庫から飛び出してきた

 

「どうした、フィリップ?」

 

「君には聞こえないのかい?この声が」

 

声?まさか、なのはちゃんが言ってた声のことか?

 

「いこう、翔太郎。嫌な予感がする」

フィリップはそう言うと俺の腕を掴んで倉庫の方へ強引に引っ張りだした

 

おぉ、珍しく積極的じゃねーか。

 

俺はフィリップに促されるままハードボイルダーで声が聞こえるらしい場所へと向かった

 

着いたのは動物病院。特におかしな所は無さそうだが。俺が辺りの気配を探ろうと集中すると、俺達の後ろから誰かが走ってくる気配がした。後ろを振り向くと、そこに居たのは

 

「お兄ちゃん!?」

 

「なのはちゃん!?なんでこんな時間に」

 

何故か私服姿のなのはちゃんだった。まさか、フィリップと同じで声が聞こえたから?

 

とにかく、何が起こるかわかんねーしさっさと帰ってもらわねーと……っ!?

 

“キィィィィィン”

 

突然、酷い耳鳴りが俺を襲う。他の2人も耳を抑えてるところを見る限りこの2人も耳鳴りがしているらしい。更に俺達のいる空間がなにか異質なものに変わっていく。

 

“ドゴォォォォォォォォォン”

 

建物の方から何かが壊れる音がした。その音が聞こえると同時になのはちゃんが駆け出す

 

「あ、おい、なのはちゃん!」

 

その後を追おうとした瞬間、視界の端に茶色い何かがよぎる。視線をそちらに向ければ、首に赤い宝石のようなものを掛けたフェレットだった。なのはちゃんもそれに気がついて足を止める。

 

と、次の瞬間、フェレットに向かって何か黒い塊が突撃してその直線上にあった木を巻き込んで塀へと突っ込む。だが、フェレットは上手く避けたのか無傷でこちらへと飛び込んできた。それをなのはちゃんがキャッチする

 

「なになに!?なんなの!?」

 

なのはちゃんが黒い塊を見ながら混乱したように呟く。そりゃそうだ。何度か見たことあるとはいえ、怪物なんて見慣れてるはずがないもんな

 

『来て……くれたの?』

 

と、その時、なのはちゃんの腕の中から声が聞こえた。

 

「しゃ、喋った!?」

 

なのはちゃんが驚いてるところを見ると、やっぱりあのフェレットが喋ったのか

 

「その声、やはり君が呼んでいたのか」

 

そしてどうやらフィリップ達を呼んでいたのもこいつらしい

 

“ウゴォォォォォ”

 

今まで木の下敷きになって静止していた黒い塊が呻き声を上げながら動き出した

 

「なんだかわかんねーが、話は後だ。行くぞ、フィリップ」

 

「了解だ、翔太郎」

 

俺がダブルドライバーを腰に巻き付けフィリップの腰にもドライバーが現れると、俺は黒色の、フィリップは緑色のメモリを取り出して構える

 

『サイクロン』

『ジョーカー』

 

「「変身!」」

 

フィリップがドライバーに差し込んだ緑色のメモリ―――サイクロンが俺のドライバーへと転送され、それをしっかりと差し込んで俺が持っているもう一本のメモリ―――ジョーカーを差し込みバックルを左右に展開する

 

『サイクロン・ジョーカー』

 

俺の体の周りを風が包み込みそれが止むと、俺の身体は真ん中を境に右半身が緑、左半身が黒のスーツに包まれた。

 

仮面ライダーW。俺とフィリップの変身した2人で1人の仮面ライダーだ

 

「なのはちゃん、あぶねーからそのフェレットと一緒に下がっといてくれ」

 

『待ってください、そいつは!』

 

“ガァァァァァァァ”

 

フェレットが何か言おうとしていたがその声は黒い塊の声にかき消された。なんだかわかんねーがとにかくこいつを倒すのが先だ

 

「いくぜ、フィリップ。先手必勝だ」

 

左手をスナップさせると黒い塊に向かって殴りかかる。……が

 

「なんだ、これ」

 

『攻撃は当たっているはずなのに、全く手応えがない?』

 

黒い塊は殴っても蹴ってもまるで手応えがない。そのくせ、奴の触手のようなものや体当たりといった攻撃は普通に道路などを破壊する。あんなの、当たったらひとたまりもねーな

 

『どうやら、奴は実体を持たないらしい。思念体、といったところかな?』

 

「ちっ。ならこれならどうだ」

 

『ジョーカー・マキシマムドライブ』

 

俺はバックルを元に戻してジョーカーメモリを抜く。そして、腰のスロットに差し込むと俺の体の周りを緑色の竜巻が包み身体が浮遊していく

 

「「ジョーカーエクストリーム!」」

 

俺達の身体が分かれ時間差で両足蹴りを叩きこむ。黒い塊はその衝撃で四散する。やれやれ、これで

 

『まだです!』

 

フェレットがそう叫んだ瞬間、俺の身体は壁に叩きつけられていた。足を見るとさっきの黒い塊の触手のようなものが絡みついていた。目の前では徐々に四散した塊が再び集まって大きくなっている。

 

くそ、ジョーカーエクストリームでもダメなのかよ

 

『……なるほど。翔太郎、奴を完全に封印するためには魔法の力が必要らしいよ』

 

「なんだ?それはあのフェレットが伝えてきたのか?」

 

『ああ、たった今ね』

 

なんだそりゃ。それじゃあ俺達に勝ち目はねーじゃねーかよ

 

『いや、まだ希望はあるよ。ただし、君はあまり納得しないだろうが』

 

は?なんだそれ

 

俺がそう聞く前に、俺達より少し離れたところに桜色の光の柱が出来た。……っ!まさか!

 

次第に光が小さくなっていき俺の予感通り、そこには私立小学校の制服に似た服と自分の身長と同じぐらいの長さの杖を持ったなのはちゃんが立っていた

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