クロノに案内された訓練室で俺はフィリップにWではなくジョーカーで戦うことを伝えた
「本当にWじゃなくていいのかい、翔太郎?」
「ああ、なのはちゃん相手にWで行くわけにもいかね―だろ。ジョーカーで十分だ」
俺達が多少訓練したとは言ってもなのはちゃんは一般人だ。本気でやって怪我させる訳にはいかない
「それでいいだろ、なのはちゃん」
「別に構わないよ。けど、Wで来なかったことを言い訳にしないでね、お兄ちゃん」
「それはこっちの台詞だ、なのはちゃん」
『ジョーカー』
「レイジングハート」
「変身!」
「セットアーップ!」
『ジョーカー』
『stand by ready.set up』
俺はいつもの2色のWではなく、ジョーカーの力のみを引き出した黒一色の姿、仮面ライダージョーカーへと変身した
「さあ、お前の罪を……って、これはいいか。いくぜ、なのはちゃん」
「うん。いくよ、お兄ちゃん!」
※ユーノ視点
なのはと翔太郎さんが戦い始めた。戦況はどう見ても翔太郎さんのほうが優勢だ。なのはのシューターは捌かれバスターはそもそも撃てる体制にさせてもらえない。シールドは一撃で破壊され空中に逃げても部屋の中なのでそこまで高くまでは行けずジャンプで追いすがられる。なんとかなのはも攻撃が当たらないように逃げてはいるが翔太郎さんと違って当たらないのがやっとって感じだ
「君は行かないのかい?」
「フィリップさん……」
いつの間にか僕の隣にフィリップさんが来ていた。壁にもたれて翔太郎さん達ではなく本を読んでいる
「あの、見ないんですか?」
「ああ、結果は見えているからね。それよりも、君はなのはちゃんを手伝いに行かなくていいいのかい?」
「……これは、なのはと翔太郎さんの問題ですから」
「君は何故なのはちゃんが翔太郎と戦ってまでこの事件に関わろうとしているのかわかっているのかい?」
「それは……」
正直、僕はそれを疑問に思っていた。なのはは僕が巻き込んでしまっただけの一般人。言ってしまえば被害者だ。危険だって付きまとう。それなのに、なんで彼女はここまでして事件に関わろうとするのだろう
「その顔は、分かっていないようだね。……君のためだよ」
僕の、為?
「翔太郎はなのはちゃんだけではなく君も事件から手をひかそうとしていた。けれど、なのはちゃんが勝って事件に関わっても良い事になれば君もなし崩し的に事件に関われるだろう……なんてことまで考えているとは思わないが少なくとも彼女は君との約束を守るために翔太郎と戦っているのは確かだ」
……僕との約束。ジュエルシードを全部集める。それは本当なら管理局に任せるべきことだ。そうしなかったのは僕のわがままでしか無い。そんな僕のわがままを、なのはは守ろうとしてくれている。それなのに、僕は
「もう一度聞くよ、君は行かないのかい?」
「きゃああ」
「っ!なのは!」
なのはの悲鳴が聞こえた。その瞬間、何かを考えるよりも、フィリップさんの問いかけに答えるよりも先に僕の体は動いていた
※なのは視点
「きゃああ」
お兄ちゃんの攻撃に耐え切れず空中に逃げたけど、お兄ちゃんの攻撃は止まらず、ジャンプだけで距離を詰められると蹴りでバランスを崩され地面へと落ちる。私は地面にぶつかることを覚悟して目を固くつぶる
けど、私の体への衝撃は硬い床ではなく誰かに抱きとめられたような柔らかなものでした。その事実に固くつむっていた目を開けると、目と鼻の先にユーノ君の顔があった
「大丈夫?なのは」
「う、うん」
突然の展開に私はドギマギしながら何とか返事を返した
「ぐあっ」
その時、何かが地面に叩きつけられるような音とお兄ちゃんの呻き声が聞こえてきた。そっちの方を見るとお兄ちゃんが地面に横たわっていてその足に緑色の鎖のようなものが巻き付いていた。あれは、ユーノ君のチェーンバインド!
「くっ。なんのつもりだ、ユーノ」
お兄ちゃんがバインドを壊しながら睨みつけるようにユーノ君を見る
「僕だって、このまま事件から手を引くわけにはいかないんです。僕も戦わせてもらいますよ、翔太郎さん」
ユーノ君は私を立たせてくれながらそう言った。その目はとっても真っ直ぐお兄ちゃんを見据えていた
「……いいぜ、かかってこいよ」
お兄ちゃんはそう言うとこちらに走って来ながら腕を振り上げた。私はシールドを出そうと構えようとしたけど、それよりも早くユーノ君が前に割り込んできてシールドを作り出す。ユーノ君のシールドは私のとは違って全く壊れる気配がなかった。更に、お兄ちゃんの足下からチェーンバインドが伸び、お兄ちゃんが一旦後ろへと退いた
「なのは、恐らく翔太郎さんは僕達2人でかかっても勝てない。それだけあの人は強いよ。多分なのはのディバインバスターが直撃しても余裕で立ち上がるであろうぐらいには」
「うん」
それは、私も痛感していた。お兄ちゃんが強いのは知ってたけどこれだけ強いなんて、今日戦ってみて初めて実感した
「だから、なのはは魔力を溜めることにだけ集中して。一撃、それにすべてを賭けるよ」
「……うん」
「それまでは僕が守る。絶対になのはを傷つけさせないよ」
そう言ったユーノ君の後ろ姿は、とても頼もしくて、とても大きく見えた
※翔太郎視点
ユーノが来たことでなのはちゃんが下がって何かの準備をしだし、ユーノがその盾として俺を近づけないようにしている
「何企んでやがる」
「言うわけ無いでしょ?」
ユーノのバインドが伸びてきてまた距離を取らざるおえなくなる。さっきからこのやりとりが何回も続いている。こうなりゃ仕方ない、使う気はなかったがやるしか無いか
『ジョーカー・マキシマムドライブ』
ジョーカーメモリを腰のスロットに刺すことで右拳にエネルギーが集まっていく
「ライダーパンチ!」
俺は技名を叫びながらその拳でユーノに殴りかかる。ユーノも今までよりも大きいシールドを張って受け止める。少しの間拮抗していたが、シールドにヒビが入り更に力を入れそのままユーノを殴り飛ばした。ユーノの姿がフェレットへと変わる。よし、後はなのはちゃんだけだ
「ユーノ君!」
なのはちゃんは一瞬ユーノの方を見たがすぐに俺へと視線を向け直すと桜色の魔力が溜められたレイジングハートの先端をまっすぐ俺に向けた
「いくよ、お兄ちゃん。これが、今の私とユーノ君の全力全開!」
「ああ、来い」
『Starlight Buster』
『ジョーカー・マキシマムドライブ』
レイジングハートの音声とともに切っ先に溜まっていた魔力が膨れ上がり、俺がメモリをマキシマムスロットに差し込むと、今度は拳ではなく右足にエネルギーが集まっていく
「全力全開!スタァライトォォ」
「ライダーキッ……うおっ!?」
俺は蹴りを放つために駆け出そうとしたが、俺の右足が空中に縫い付けられたかのように動かず前のめりにつんのめった。それに追い打ちをかけるように更に俺の両腕ともう片方の足も動かなくなる。何が起こったのかと右足を見ると、緑色の輪っかが俺の足に巻き付いていた。
「油断大敵ですよ、翔太郎さん」
視界の端で、フェレット姿のユーノがそう言った気がしたが
「バスタァァァ!」
俺の体は無抵抗に桜色の魔力にさらされたせいで確認することは出来なかった
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「痛てぇ」
「見事にやられたね、翔太郎」
攻撃の衝撃で変身が解けて寝転がっていた俺にフィリップが笑いながら近づいてきた
「うるせぇ。……まさかたった2人の子供に負けるとは思わなかったな」
「その考えは間違っているよ、翔太郎」
フィリップは少し口調を強くしながら俺の横に座った
「確かに彼女たちはまだまだ弱い。ただ一緒に戦うだけなら例え二人がかりでも君には勝てなかっただろう。だが、信頼しあってお互いに補い合えばそれは単なる1+1よりも大きな力になる。それは、2人で1人の仮面ライダーである僕達が一番分かってることだろう?」
「……ああ、そうだな。その通りだよフィリップ」
俺が身体を起こすとなのはちゃんと人の姿に戻ったユーノが嬉しそうにハイタッチをしているところだった。
やれやれ、仕方がない
「リンディさん」
俺が名前を呼ぶと空中に画面が現れた
「今のは見てたろ?あの2人が組めばとりあえず大抵の事はなんとかなるぜ?あんたらだって人手がいるだろ?あの子らも手伝わせてやってくれねーか」
『……そうですね。あれほどの戦闘力でしたらこちらには文句はありません。喜んで迎え入れさせてもらいます』
『ちょ、かあさ……艦長!』
リンディさんの後ろのほうでクロノが何か叫んでいたがリンディさんがなんとかしてくれるだろ。後は……
士郎さんになんて言い訳しよう