※三人称
結界に囲まれた海上で二人の少女は対峙していた。片方は光を失ったどこまでも暗い絶望を宿した目で、片方は強い光と意志の篭った瞳で相手を見つめていた
「フェイトちゃん、何であんなことをしたの?」
沈黙を破りなのははフェイトへと問いかける。彼女からしてみれば今まで一緒に戦っていた二人が突然仲間割れを起こしたようなものだ、彼女の疑問も当然のものだろう。だが、フェイトはなのはの問に答えず、虚ろな目でなのはを見つめていたかと思うと
「だって、腕が無くなれば誰かに頼るしかなくなるでしょ?そうなれば私が側に居る理由になるじゃない」
歪な笑顔とともにそう言った。なのははその笑顔に言い知れぬおぞましさを感じてレイジングハートを掴む手に力を込め、叫ぶ
「そんな。そんな事、間違ってるよ!」
なのはのその一言が引き金となりフェイトの顔から笑みが消える
「なら、正しいって何!?母さんにもアルフにも映司にも見捨てられた私にはもう、こうするしかない!私の邪魔をするのなら容赦はしない!」
フェイトの叫びとともにバルディッシュの刃が高速で回転しながらなのはに向かって放たれる。なのははそれを砲撃で撃ち落とし、更に魔力弾を撃つ
「フェイトちゃん、本当に映司さんはフェイトちゃんを見捨てるって言ったの?そんな筈ない!映司さんはそんな人じゃないよ!」
「黙れ!お前に何が分かる!」
フェイトは高速で魔力弾を避けなのはへと近づきバルディッシュで斬りかかる。それをなのはは避けず右手を前に突き出してシールドで受け止めた
「分からない!けど、今のフェイトちゃんが間違ってることは分かるよ!私もそうだった。自分勝手に思い込んで殻を作って、皆と向きあおうとしなかった。けど、それじゃ駄目だった。ちゃんと向き合って相手の言葉も聞かなくちゃ本当に自分が望んだ物は手に入らない。私はそれを、お兄ちゃんに教えてもらった!だから!」
『full charge』
「これが私のっ、ライダーパンチ!」
「ぐっ」
なのはは左手に魔力を溜め、バルディッシュをいなしてフェイトを殴り飛ばす。予想外の攻撃に怯んだフェイトの四肢を更にバインドが拘束する
「ちゃんとお話するためにも、少し頭冷やして!」
なのはが振りかざしたレイジングハートの切っ先に桜色の魔力が以前翔太郎と戦った時以上に溜まっていき
「全力全開!スタァァァライト、ブレイカァァァ!」
なのはの叫びとともに凄まじい魔力の砲撃がフェイトへと放たれた