翌日。なのはちゃんがフェレットを連れて事務所に来た
そこで、フェレットの名前―――ユーノとゆうらしい―――や次元世界と呼ばれる、地球以外の世界のこと。昨日の事件の中心にあったジュエルシードとゆう石の詳細を聞いた
「つまり、お前が発掘したジュエルシードを輸送していた船が原因不明の事故にあって、この地球に散らばっちまったって訳か」
『はい。ジュエルシードの数は21個。見つけられた数はたった2つ。後、19個見つけなければならないんです』
「……あれ?別にユーノ君は悪くないよね?なんで1人で探してるの?」
『あれを見つけてしまったのは僕だから。僕が全部見つけて、元あった場所に返さないと』
「それは大層な心がけだが、土地勘もない場所で1人で探すってのは無理があるぜ?」
『それは大丈夫です。ジュエルシードが発動すれば分かりますし、魔力が戻れば空も飛べます。なのはや左さん、フィリップさんも助けてくださったことには感謝してます。けどこの後は僕の魔力が戻るまでの間、ほんの少し休ませて頂くだけでいいんです。一週間……嫌、5日もあれば力は戻りますから。そこからはまた、1人でジュエルシードを探します。皆さんには迷惑をかけませんので』
「……なら、手伝うぜ。そんな物騒なもんがこの街にあるなんて、仮面ライダーとして見逃せねえからな。発動する前に探し出せるのがベストだ」
「なら、私も!」
俺の言葉に続くようになのはちゃんが手を上げた
「駄目だ。なのはちゃんに危ない真似はさせられない」
「でも、ジュエルシードを封印できるのは、今のところ私だけでしょ!」
ぐ、確かにそうだが。
ついさっき、魔法の素質があるっぽいフィリップがレイジングハートを起動しようとしたが、見事に拒絶された。どうも、ユーノも全ての機能を使いこなせていたわけではないらしく、そのせいで大怪我をしたらしい。
つまり、今現在ジュエルシードを封印出来るのは、確かになのはちゃんしか居ないとゆうことになる
「困っている人がいて、助けてあげられる力が自分にあるなら、その時は迷っちゃいけないってお父さんが言ってたんだ」
……確かに、あの人なら言うだろうな。
「分かった。ただし、行くときは絶対に俺達に連絡すること。これだけは守ってくれ」
「うん!とゆうわけで、これからもよろしくね、ユーノ君!」
『え!?う、うん。よろしく』
ユーノは、断るタイミングを逃したのか、遠慮がちに返事をした
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さて、唐突だが俺がなのはちゃんと出会ったビギンズナイトを語ろうと思う。そしてそれを語るには更に、俺達のビギンズナイトまで遡る
俺のせいでおやっさんが死に、俺がフィリップとはじめてWに変身した四年前のあの日。実はもう一人居たのだ。俺をかばって傷ついたボディーガード。なのはちゃんの父親、高町士郎さんが。
士郎さんはその業界では知らない人が居ないと言われるほど凄腕のボディーガードで、おやっさんとは旧知の仲だったらしい。(未だにどのような経緯で知り合ったのかは聞いてないが)
あの日は本来、士郎さんとおやっさんだけがミュージアムの工場に行く予定だった。だが、俺がわがままを言って無理やりついていった。そのせいでおやっさんは撃たれ、タブーの野郎が穴に落ちてしまった。そして、士郎さんは茫然自失となっていた俺を狙った弾丸から俺を守り負傷した。
その後、俺はフィリップとWへ変身し、士郎さんとともになんとか工場から脱出。士郎さんはすぐさま病院へと運ばれ、一命を取り留めたものの意識不明の重体となった。
ここまでが俺たちのビギンズナイト。
そして、ここからはなのはちゃんとのビギンズナイト。
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その一ヶ月後。俺は夕暮れの小さな公園でブランコに座っている少女を見つけた。周りに親らしき人は居ない。俺はなんとなく気になってその子に近づいていった
「なあ、お譲ちゃん。もう結構暗くなってきてるけど帰らないのか?」
「……おとうさんがおけがして、にゅういん?しちゃって。おかあさんもおにいちゃんたちもいそがしそうだからおうちにいたくないの」
「おいおい、それじゃ心配かけちまうだろ。帰ったほうがいいんじゃないのか?」
「めいわく、かけたくないから」
そう言う少女の目には涙が溜まっていた。相当色々我慢してきたのだろう。
まだ小学生にもなってなさそうな子供がここまで我慢しているとゆう光景は見ていて痛々しいの一言だった。そして、唐突におれは彼女を守ってやりたいと思った。俺は少女の頭にかぶっていたソフト帽を被せた。それは少女には大きすぎて目元まですっぽりと埋まった
「我慢すんな。泣きたかったら泣いてもいいんだ。それなら誰にも見えねぇ」
少女は帽子を押さえると声を上げて泣いた。
ひとしきり泣いた後、少女は帽子を脱いで俺に差し出してきた。俺はそれを受け取らずしっかりと握らせる
「……それはお譲ちゃんが持っといてくれ。それで、ちゃんと家の人と話すんだ」
「おかあさんたちと?」
「ああ。お嬢ちゃんが迷惑を掛けたくないって思っていたことも、そのせいで寂しさを感じてたことも全部だ。お嬢ちゃんは家族に迷惑だって言われたわけじゃないんだろ?」
「………うん」
「なら、まずはちゃんと話し合わなくちゃいけない。迷惑だって思ってるのは案外お嬢ちゃんだけかもしれないしな。だからそれはお守りだ。お嬢ちゃんが勇気を出せるようにな。それに、もし駄目だった時は俺が守ってやるよ」
「……おにいいちゃんがまもってくれるの?」
「ああ、だから今日はもう帰りな。家の人も心配してる」
「……うん!じゃあね、おにいちゃん!」
少女は帽子をかぶって手で支えながら走って帰って行った。俺はそれを見送ってから帰路についた
その日、俺の元に士郎さんの意識が戻った事を伝える電話が鳴った。
それから、その少女が士郎さんの娘、高町なのはであることが分かったり、なのはちゃんにあの日の出来事を話してあっさりと許してもらったり、色々ごたごたしたが、とりあえずこれが俺となのはちゃんのビギンズナイトだ
まあ、つまり。俺は士郎さんには頭が上がらないのだ
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翌日、俺はなのはちゃんが学校に行っている時間を狙って喫茶翠屋へ向かった。中に入るとピーク時間ではないためまばらな人影とエプロン姿の男性、高町士郎さんがいた
「おや、翔太郎くん。いらっしゃい。来るんじゃないかと思っていたよ。場所を変えようか。桃子ー、少しの間店番を頼むよ」
店に入ると同時に士郎さんはそう言って店の奥へ俺を案内した。正直、どう切り出すべきか悩んでいた俺としてはありがたかった
店の奥の休憩室のような場所に通された俺は士郎さんになのはちゃんが巻き込まれてしまった事件のこと、彼女がその事件に積極的に関わろうとしていることを話した
「なるほどね。一昨日急に家を抜けだしたと思ったらそうゆうわけだったのか。フェレットが居たらしい動物病院が不自然な事故に見舞われたり、なのはが君の事務所にフェレットを連れて行っていたから何かあるんじゃないかとは思っていたが。そして、今のところその事件を解決できるのはなのはだけ、と」
「はい。けど、なのはちゃんには危ない思いはして欲しくないし、どうしたもんかと」
「……ふむ。……なのはが事件に関わる事自体は構わないよ」
「へ!?」
俺は士郎さんの意外な言葉に目を丸くした。
士郎さんなら絶対反対すると思ってたのに
「なのはも言った通り、困っている人がいて、助けてあげられる力が自分にあるなら、その時は迷っちゃいけない。なのは以外に解決できる人間が居るなら別だが今のところはなのはだけみたいだし、君が守ってくれるのだろう?」
「は、はい。何があっても」
「なら構わないよ。ただし、事件の詳細は逐一報告すること、これ以上はなのはの命に関わると思ったらなのはを関わらせないようにする。この2つだけは守ってくれ。いいね?」
「はい。わかりました」
俺は士郎さんの提示した条件に了承の言葉を返した。
その後は、翠屋のケーキを頂き、何事も無く事務所へと帰った