それから二週間程。ジュエルシードによって生み出された怪物や、街全体を覆った巨大な木などをなのはちゃんと協力してなんとか倒し、ジュエルシードを更に2つ手に入れることができた。今日はフィリップと共に、すずかちゃん宅で開かれるお茶会にお呼ばれされていた。
「あら、あんたも呼ばれてたの?お茶の味とかわかるの?」
着いてそうそう、アリサの嫌味を聞かされた。
まったく。こいつは口が減らねーな
「駄目だよ、アリサちゃん。そんなふうに言ったら。それに、アリサちゃんが一番、お兄さんが着くまでそわそわしてたのに」
「ちょ、違うわよ!あたしが待ってたのはフィリップさん!コイツなわけ無いでしょ!」
アリサが座っている椅子から立ち上がる勢いで机に身を乗り出して反論する。
アリサはどうやらフィリップの事が好きらしい。事務所に来てる理由もフィリップに会うためだしな。フィリップが事務所に戻ってきてから来る回数が増えたし、間違いねーだろ
「そんなに否定しなくても大丈夫だぞ、アリサ。別に勘違いとかはしねーから」
椅子に陣取っている猫をどけて座りながら俺がそう言うと、アリサは何故かそっぽを向いてしまった。
あれ?なんか言葉間違えたか?
「やれやれ、君は女性の機微に関しては相変わらずだね」
「は?なんのことだフィリップ?」
「いいや、別に。気にしないでくれ」
なんなんだ?いったい。なのはちゃん達も苦笑い浮かべてるし。聞いても気にするなの一点張りだし
「と、とりあえずお茶会として来て貰ってるんだし、お茶を飲もう。ノエルの焼いたクッキーもあるよ」
すずかちゃんが、そう言って皆のカップにお茶を汲んでいく。
まあ、そんなこんなでとりあえずお茶会は始まった
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「にしても、相変わらずすずかちゃんの家は猫屋敷だな」
そこかしこで寝ていたりじゃれあっている猫(推定二十匹くらい。俺達が居る部屋以外にも屋敷中にいるから更に多いはずだ)を見ながら呟く。ユーノが猫に狙われてる気がするが、まあ自分で何とかするだろう
「はい。……里親が決まっている子も居るのでお別れもありますけど」
「そうなんだ。それは、寂しいね」
「でも、子猫たちがちゃんと育っていってくれるのは嬉しいよ」
「そっか」
なのはちゃん達がなんでもない普通の会話をしている。それを眺めていると、俺の心に後悔の念が生まれてくる。こんな少女を戦いに巻き込んでしまった。それが街を守るためだったとしても、本当にそれしか方法がなかったのか?なにか他にあったんじゃないのか?そんなことばかりが俺の頭の中で浮かんでは消えた
「……ぇ、ねえってば!」
「うぉ!?」
アリサの大声で俺の意識が目の前の現実へと戻ってくる
「何ぼーっとしてんのよ」
「あ、あぁ、いや。なんでもねーよ。ちょっと最近受けた依頼のことをな」
「ふぅん。あんたのところに行くなんて、よっぽど切羽詰まってたのね、その依頼人」
「どーゆう意味だ、アリサ」
「そのまんまの意味よ」
売り言葉に買い言葉で、アリサと睨み合う。ほんと、口が減らねーな、こいつは
「お兄ちゃん」
その時、隣に座っているなのはちゃんが俺の袖を引いた。喧嘩していることを諌めようとしているのかとそちらを向くと、その顔は何かを伝えたそうにしかめられていた。そして、その直後ユーノが何処かへとかけ出した。それを見て分かった。この近くでジュエルシードの反応があったのだと
「あ、ユーノ君!ごめん、アリサちゃん、すずかちゃん、ちょっと探してくる!お兄ちゃん、追いかけるの手伝って」
「ああ、わかった」
俺はユーノを追って駈け出したなのはちゃんの後を追って走りだす。少し離れてアリサ達から見えないような位置まで来た所で、ユーノは待っていた
『ここだと人目が……。結界を作らなきゃ』
「結界?そんなことまで出来んのか」
『はい。僕らが最初に会った時と同じ空間です。魔法効果の生じている空間と通常空間の時間進行をずらすんです。僕が少し得意な魔法』
ユーノがそう言うと同時にユーノの足元に淡い緑色に光る、魔法陣が現れる。そして、そこを中心に周りの空間が異質なものへと変わっていく
「なんでもありだな」
けど、これならアリサたちに気を使うことなく変身出来る。
その時、近くで金色の雷のような光がほとばしった。それを見た瞬間俺となのはちゃんは変身する
「レイジングハート、セットアーップ!」
『stand by ready.set up』
「変身!」
『サイクロン・ジョーカー』
俺の姿はWに、なのはちゃんはバリアジャケット姿に変わる。更に数度、金色の光が上がると空に黒い何かが飛び上がった。あれは……翼の生えた豹?
「はあ!」
横でなのはちゃんが飛び上がって、豹へと突っ込んでいく
「ちょ、なのはちゃん!」
相変らず猪突猛進とゆうか
『やっていることは普段の君と大して変わらないよ』
「うるさい。とにかく、追いかけねーと」
にしても、飛べるっていいよな。こっちは基本的に走るかバイクしかねーし。映司や弦太郎は飛べるのにな
俺がなのはちゃんに追いついた時には、豹のようなものは倒されていた。そして、宙に浮かんでいるジュエルシードの傍には黒い服とマントを羽織い、斧のような武器を持った金髪の少女とオレンジ色の髪と何故か犬耳とシッポが付いている女がおり、ジュエルシードに取り憑かれていたのであろう子猫の傍には頭、胴体、足が三色に分かれた仮面ライダーがしゃがんでいた
俺はこの仮面ライダーを知っている。仮面ライダーオーズ、火野映司。欲望の塊、『グリード』と戦った、俺の1年後輩に当たる仮面ライダー。今は鴻上ファウンデーションの研究協力員として世界中を飛び回っていたはず
「映司!帰って来てたのか。……そっちの子達は誰だ?」
「お久しぶりです、翔太郎さん。……1つお願いがあるんです」
映司は変身を解いて子猫を木の影まで連れて行きながら話しだした
「……ジュエルシード、俺達に譲ってくれませんか?」
「は?」
突然の言葉に俺は間の抜けた声しか出なかった。あいつにはジュエルシードの事はひと通りメールで伝えている。危険性だってわかっているはずだ。なのに譲ってくれ?
「どうゆうことだ、映司。お前にもジュエルシードの危険さは教えてるはずだ」
「わかってます。けど、フェイトちゃんを助けるためには仕方ないんです!」
フェイトってのはあの金髪の女の子のことだよな?なんでジュエルシードを集めることがあの子を救うことになるんだよ
『話を聞かせてもらえませんか?』
ユーノが前へ出てきた。元々ジュエルシードはこいつが発掘したものだ。俺が話すよりも遥かに適役だな
「君は?」
『ジュエルシードを発掘したユーノ・スクライアです。翔太郎さんも言いましたがジュエルシードは危険なんです。もしこいつに願いを叶えて貰おうとしているなら止めておいた方がいい』
「そうゆうことじゃない。……フェイトちゃん、話してもいいかな?翔太郎さん達は信頼出来る人だ。それに無理なお願いをしてるのはこっちなんだから事情を話さないのは駄目だよ」
フェイトと呼ばれた少女は映司の事を少し見つめた後、静かに頷いた
「じゃあ、聞いてくれますか?彼女のことを」
それを見た映司も頷くと俺達の方を向いて話しだした