※映司視点
一週間程前。俺は協力していた研究が一段落して日本に戻って来ていた
「やっぱり日本はいいな。……えっと、まずは鴻上会長に会って、それから比奈ちゃんに……「きゃあああ」……っ!?」
端末を操作しながら予定を確認していると突然悲鳴が聞こえてきた。俺が悲鳴の聞こえた方へ走ると、猿のような怪物が女性を襲っていた。咄嗟に体が動いて怪物を蹴って女性から引き離す。
その時、怪物の身体から銀色の“なにか”がこぼれ落ち、俺の足下に転がってきた。それは、とても見覚えのある“メダル”だった
「これは、セルメダル!?じゃあ、あれはヤミーなのか?」
猿の化け物が立ち上がりその目が俺を完全に捉える。俺は、女性を助け起こしてこの場を離れさせてからオーズドライバーを取り出し腰に当て装着し、オーズドライバーに空いている3つの装填口に赤いメダル『タカ』と黄色いメダル『トラ』、緑のメダル『バッタ』の三枚のコアメダルをセットして、オースキャナーでスキャンする
『タカ・トラ・バッタ。タ・ト・バ、タトバ、タ・ト・バ!』
そして、軽快な歌とともに俺は仮面ライダーオーズへと変身した
“グアァァァァァ!”
猿の怪物(面倒くさいのでこれ以降はサルヤミーと呼ぶ)は、猿らしからぬ雄叫びを上げると俺へと突っ込んできた。その攻撃を上手く逸らしながら腕から伸びた爪、トラクローでサルヤミーの身体を削っていくと、更に数枚のメダルが転がり落ちる
「やっぱり、コイツはヤミーなのか。でも、どうしてヤミーが」
ヤミーを作り出すグリードは全員倒した。そもそも、猿のようなヤミーを作り出せるグリードは居なかったはず。……いや、考えても仕方ないか。後で鴻上会長に聞いてみよう。今は目の前のヤミーを倒すことを優先しないと
サルヤミーを蹴り飛ばして距離を取るとオースキャナーを取り出してオーズドライバーに装填しているコアメダルをスキャンする
『スキャニングチャージ!』
音声とともに俺の足、バッタレッグがバッタのように変化し、その力で跳躍するとサルヤミーとの間に赤・黄色・緑の3つのオーリングが出現する。リングを潜る事にメダルの動物を表すエフェクトが発生し、俺の両足がサルヤミーに命中すると赤・黄色・緑の3色の「OOO」の文字が浮かび上がり、爆発した。
爆発の跡には大量、とまでは行かないがそこそこな枚数のセルメダルと、青い石が1つ落ちていた
「なんだ?これ」
俺はそれを拾い上げて眺める。よく見ると、それはつい先日送られてきた翔太郎さんからのメールに添付されていた画像にあった石によく似ていた
「確か、ジュエルシードとか言ったっけ」
なら、翔太郎さんに持って行かないとな。そんなことを思っていると、突然背後から殺気を感じてバッタレッグを使って前方に跳躍した。次の瞬間、俺の立っていた場所が何者かの打撃によってクレーターが出来ていた。更に、跳んだ先に黄色い回転する刃のようなものが飛んで来た。それはメダジャリバーを使って何とか打ち消す
攻撃が飛んできた方を見るとそこに立っていたのはオレンジの髪の上に犬のような耳がついた女性と金髪をツインテールにした少女だった。
「君達は一体?」
「ふん、人に名前聞く時は自分からってのが常識なんじゃないのかい?」
「あ、ごめん。えっと、俺の名前は火野映司。仮面ライダーをやってます」
「……あたしはアルフ。こっちの子はフェイトだ。……さっきまで活動してたジュエルシードが封印されてる。そのくせ魔力反応はない。あんた、一体何者だい?」
アルフといった女性が、俺が手に持っている石を見ながらそう言った。
封印?そんな事した覚えはないんだけど
「その石を、渡してください」
唐突にフェイトと呼ばれた少女がそう言った。声は静かだがその内には確かな強さと覚悟が秘められている。
こんな小さな少女がどうしてここまでの覚悟を
「悪いけど、この石は知り合いが探してるらしいんだ。だから悪いけど渡すわけには」
そこまで言った瞬間、アルフが殴りかかって来た。その拳はメダジャリバーでなんとか防ぐが、その衝撃で足元の地面が少し沈む
なんて威力だ
「ジュエルシードを探してるってことは、やっぱりあんたは管理局の人間か!」
「管理局?一体何のことですか!」
「とぼけんな!」
更に力を入れてくるアルフを横に飛んでかわす。だが次の瞬間、俺の体はフェイトちゃんに斧のような武器で横殴りされて吹き飛んでいた。
「ぐああ!」
そのまま壁へと叩きつけられるが更に高速で接近されて追撃を喰らい更に吹き飛び地面を滑る
「くっ。……待って。俺は戦うつもりなんて無い。話を聞かせてくれ!」
「……話すことなんて無い。戦うつもりがないならジュエルシードを渡して。そうすればこれ以上は攻撃しない」
「だから、なんでこれが必要なのかを聞かせて欲しいんだってば」
「あなたには、関係ない!」
フェイトちゃんが更に高速で接近してきて斧を振るう。俺は、バッタレッグで一度大きく跳んで距離を離すとオーズドライバーに装填している『タカ』と『バッタ』のメダルを抜いて黄色い二枚のメダル『ライオン』と『チーター』を装填してオースキャナーでスキャンする
『ライオン・トラ・チーター。 ラトラタ!ラトラーター! 』
歌とともに俺は黄色一色で、スピードに秀でたコンボ、『ラトラーターコンボ』へとコンボチェンジした
「なんだい、今の歌は!ふざけてんのか!」
アルフが今の歌に神経を逆なでされたらしく、俺に向かって再び殴りかかって来た。だが、俺はそれをチーターレッグでの高速移動でかわすと、アルフの首筋を殴って気絶させる
「アルフ!」
アルフを攻撃されたことでフェイトちゃんが更に素早く距離を詰めて攻撃してくる。だが、その攻撃は先程までと違って単調で、捌くのは簡単だった。何度か攻撃を捌けば殊更大ぶりな一撃に合わせてトラクローでフェイトちゃんの武器を引っ掛けて奪い取りもう片方のトラクローをフェイトちゃんの喉元へと突きつける
「手荒な真似をしてごめん。けど、聞かせてくれないかな?なんでこんなことをしてるのか。もしかしたら、力になってあげられるかもしれないからさ」
こんな格好じゃ脅してるようにしかならないけど、仕方ない。フェイトちゃんは少し考える素振りを見せたあと、ぽつぽつと話しだしてくれた。ジュエルシードのこと、それをフェイトちゃんの母親が研究のために探していること、フェイトちゃんは母親の手伝いのためにジュエルシードを探していること
「なるほど。それでジュエルシードが必要なのか」
正直、なんでこんな少女にそんなことをさせるのか、とかこんな危険物であるジュエルシードで何をするつもりなのかとか気になることは多々あるけど一先ずこの子がなんでジュエルシードを奪おうとしたのかは分かった
ジュエルシードは翔太郎さんが発掘者ともに探しているらしい。だから翔太郎さんに渡しに行かなくちゃいけないんだけど、目の前の少女を放っておくことも出来ない
俺は少し考えた後、ある提案をした
「なら、そのお母さんと話させてくれるかな?」
俺は変身を解いてフェイトちゃんと同じ目線になるようにしゃがんでからそう言った
「母さんと?」
「うん。さっきも言ったけどこれは俺の知り合いがこれを発掘した人と探してるんだ。だから渡すことは出来ない。お母さんと話してなんとか諦めてもらえないか相談してみるからさ」
「……分かった」
フェイトちゃんはまだ迷っているようだったけどそう了承してくれた
この提案をしたことで、フェイトちゃんを手伝う決心をすることになると、この時の俺は考えもしていなかった