「ここが、母さんの居る時の庭園」
「なんか、凄いところだな」
アルフの目が覚めるまで待った後、事情を説明して転移魔法?とゆうやつで連れてきてもらった場所を見た俺の素直な感想だった。お城のような、とゆうかまんまお城な出で立ちの建物の内部は威圧的な雰囲気を醸し出していた
「……なあ、フェイト。本当にこいつをプレシアに合わせるのかい?やめといた方がいいんじゃ」
「大丈夫だよ、アルフ。映司は良い人みたいだし、母さんだって話を聞いてくれるよ」
「えっと、アルフさん」
「アルフでいいよ」
「じゃあ、アルフ。プレシアさんってどんな人なの?」
「一言で言えば鬼婆さ。フェイトに酷いことばっかするんだ」
「……アルフ」
「わかってるよ。あいつの悪口は言うなってんだろ」
どうやら、アルフはプレシアさんのことをよく思ってないらしい。それにしても、酷いことって一体?
そんな話をしているうちに一際大きな扉の前にたどり着いた
「この中に母さんがいる。アルフはここで待ってて」
「……わかった」
アルフにそう言うとフェイトちゃんが扉を開いて中に入る。俺もそれに続いて中に入ると扉はひとりでにしまった。薄暗い部屋の中。その奥から一人の女性が出てきた。俺の横にいるフェイトちゃんが緊張するのが伝わってくる。彼女がフェイトちゃんの母親、プレシアさんか
プレシアさんは俺を一瞥した後、フェイトちゃんを鋭く睨み、静かに口を開いた
「……おかえりなさい、フェイト。そっちの男は一体誰?」
フェイトちゃんの体が強張る気配が伝わってきた
「あ、えっと。俺は火野映司って言います。ジュエルシードのことについてあなたに聞きたいことがあってフェイトちゃんに連れて来てもらいました」
「聞きたいこと?」
プレシアさんの目が再び俺を捉える。その目にははっきりと敵意が宿っていた。だが、それに怯んでる場合じゃない。俺はその目を真っ直ぐ見据えて聞きたいことを聞いていく
「なんでジュエルシードを集めているんですか。話を聞いた限りじゃ、あれはとても危険なものです。それを娘を使ってまで奪って、あなたはなにがしたいんですか?」
「……ジュエルシードは私の夢を叶えるために必要な物なの。母親のお願いを聞くのは娘として当然の義務よ」
「当然って、そんなはずないでしょ!娘より大切な夢って一体何なんですか!」
「あなたには関係ないわ。それよりもフェイト、母さんはがっかりよ。まだ1つもジュエルシードを1つも集められていないのにこんな変な男を連れてくるためにここに帰って来たことにね。だから私は、あなたをお仕置きしないといけないわ」
プレシアさんはそう言うと同時にどこからか現れた鞭でフェイトちゃんを打った。それは唐突すぎて、最初何が起こったのかわからなかった。だが、フェイトちゃんの痛みによる呻き声と、もう一度振り上げられたプレシアさんの腕を見て、理解するより先に体が咄嗟に反応してフェイトちゃんを鞭から守っていた
「ぐっ」
「……あなた、一体なんのつもり?」
「それはこっちの台詞です。異世界でアルフと2人で頑張ってるフェイトちゃんに何をしてるんですか!」
「これは躾けよ。部外者のあなたが口出ししないで頂戴」
「部外者だからこそ間違っていることを間違ってるって言うんです!」
プレシアさんの冷めた口調に反比例して俺の語調がキツくなっていく。彼女たちの間にどんな事情があるのか俺にはわからない。けど、母親が娘に手を上げることが正しいはずがない。
その時、俺の服が後ろから引っ張られた。振り返るとフェイトちゃんが俺の服の裾を握っていた
「やめて、映司。私は大丈夫。母さんの言う通り、ジュエルシードを見つけられてない私が悪いから。母さんを責めないで」
俺はその言葉に絶句した。なんでここまで、フェイトちゃんはプレシアさんのことを庇うんだ。こんなに酷いことをされてるのに
けれど、フェイトちゃんの姿を見たことで俺は幾分か冷静さを取り戻せた。俺はポケットの中に手を入れるとそこに入れていた二枚に割れてしまったメダルを握りしめる
なあ、アンク。こんな時どうしたらいいと思う
“知るか!そんな奴ら放っておけばいいだろうが”
そう、あいつの声が聞こえた気がした。あいつならそう言うんだろうな。けど、放っておけないんだ
“なら勝手にしろ。俺には関係ないからな”
ああ、分かってるよ。俺は俺が出来る精一杯をやるさ
「ジュエルシードは今俺の知り合いが発掘者と一緒に探しています。だから奪うのではなくて話し合いで譲ってもらえないか聞いてきます」
「本当にそれで手に入るの?」
「わかりません。けど、無理やり奪うのは間違ってます」
俺はそこで会話を打ち切ると話についてこれてないフェイトちゃんを連れて部屋を出た。出た瞬間、部屋の外で待っていたアルフが一目散に駆け寄ってくる
「フェイト!どうだった?あの鬼婆に酷いことされなかったかい!?」
「大丈夫だよ、アルフ。映司が庇ってくれたから」
「そうなのかい?」
アルフは胡散臭そうに俺を見た後
「……あんた、ありがとね。その、フェイトを庇ってくれて」
そうお礼を言ってきた
「気にしないで。それよりも一旦戻ろうここに長居はしたくない」
「そうだね、あたしも賛成だ」
俺の提案にアルフが同意するとすぐに俺達は地球へと帰還した
「一先ず2人は行く宛とかあるの?」
「いんや。適当な空き家に住み着かせてもらおうかと思ってる」
「それって違法だから。俺が以前お世話になってた所に行こう。そこなら多分、フェイトちゃんたちのこと何も聞かないでくれるから」
俺はそう言ってクスクシエへと2人を案内した。そこのオーナーである知世子さんにまた部屋を貸して欲しいと頼むと忙しい時は店を手伝うとゆう条件でオーケーを貰った
その日の夜
俺は誰もいないクスクシエの店内のテーブルでフェイトちゃんと向かい合っていた。何故プレシアさんをあそこまで庇うのかを聞くために
「母さんは昔はとっても優しかったんだ。いつも笑ってて、2人でよくピクニックに行ったりした。今ジュエルシードを集めてるのも私の為を思ってなんだって言ってくれてる」
「そんなわけない。あれが君のことを思っての行動のはずがない。あんなのはただの暴力だ」
「違うよ。だって親子だもん。きっと母さんにとってジュエルシードはとっても大切なモノなんだ。私は母さんを喜ばせてあげたいんだ」
「そのために君が傷つくなんて間違ってる」
「映司……大丈夫、ジュエルシードを集めればきっと母さんはまた笑ってくれる。昔みたいに優しい母さんに戻ってくれる。だから、大丈夫」
そう言うフェイトちゃんの目は悲痛な覚悟に染まっていた
なんで、こんな小さな少女がこんなに悲しい目をしなくちゃならないんだ。そんなのは間違ってる。もし本当にジュエルシードを手に入れることでプレシアさんがフェイトちゃんに優しくなるのだとしたら
「……俺は君を守るよ、フェイトちゃん」
俺は俯いてしまったフェイトちゃんを抱きしめるとそう強く誓った
たとえそれが仮面ライダーとしては誤っている道だとしても。俺はこの子の為にこの力を使う
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※翔太郎視点
映司が語り終わると痛い沈黙がその場を支配した。
「……酷い」
なのはちゃんがポツリとそう呟いた。それが聞こえたらしい犬耳女がキッ、とこちらを睨みつけてきた
「あんたみたいな親に甘やかされてぬくぬくと育ったようなガキンチョに同情されたいわけじゃないんだ!いいからジュエルシードを――――」
「アルフ、落ち着いて」
金髪少女が犬耳女を諌める
「もし駄目だったらプレシアさんには諦めて貰うつもりです。けど、出来ることならフェイトちゃんもプレシアさんも傷ついてほしくないんです」
『……事情はわかりました。けど、やっぱりジュエルシードを渡すわけには行きません。あれは誰かの願いを正確に叶えることが出来るものではない。ましてや数個集まって起動させたらどんな暴走事故が起こるかわかったものじゃない』
あのフェイトとゆう子には正直同情する。けど、だからって渡すわけには行かないのは変わらねえ
「……そう、ですよね。なら、プレシアさんにはちゃんと話してわかってもらうことにします。行こう、フェイトちゃん、アルフ」
映司はあまり落胆した様子は見せずアルフと呼ばれた犬耳女の転移魔法でその場を去って行った
『あっ!』
「どうした、ユーノ?」
『ちゃっかりジュエルシード持って行かれてる』
確かに宙に浮いていたはずのジュエルシードがなくなっていた
「やりやがった」
「フェイトちゃん、これからどうなるんだろう」
なのはちゃんが心配そうに映司達が消えた辺りを見ながら言った
「映司が一緒なら悪いようにはならねーさ。さ、俺達も戻ろう。あんまり遅いとアリサ達が心配して探しに来るかもしれないしな」
「うん」