仮面ライダーリリカル   作:朱神優希

8 / 22
第八話 狙われたY/悪意は思わぬ場所に

※翔太郎視点

 

映司と黒い魔法少女に出会ってから一週間。ジュエルシードの捜索は難航していた

 

「今日も収穫はゼロか」

 

ウォッチャマンやサンタちゃん。エリザベスとクイーンにも協力してもらっているが中々芳しい成果は上がっていなかった。ユーノも魔法の力で探してくれているらしいが成果は言わずもがな。だが、代わりに奇妙な噂を聞いた

 

ペットと散歩をしている人の前に色んな動物を足したような怪物が現れてペットを連れ去っていく事件が最近起こっているらしい

 

「……どう思う、フィリップ」

 

事務所に戻った俺は件の情報をフィリップに伝える。事務所には既になのはちゃんとユーノが来ていたがドーパントの話だとわかると大人しく応接間のソファで待ってくれた

 

「恐らく、ガイアメモリの仕業だろう。どのようなメモリかはまだ分からないが」

 

この周囲の街には三種類の怪物が現れる。ドーパント、ヤミー、そして、最近頻繁に活動しだしたゾディアーツ。だが、ヤミーはオーズが元となるグリードを倒したことにより消滅。ゾディアーツも一部の地域でしか活動できないらしく俺達の住んでいる場所で目撃されたことはまだない。なので、おそらく今回の事件はドーパントが関わっていると見て間違いないだろう

 

「もしくは、ジュエルシードが暴走したものか」

 

『その可能性はないと思います。ジュエルシードが発動しているのなら僕がすぐに分かるはずですから』

 

ユーノが応接間の方から会話に混じってくる。一先ず早急に話さなきゃいけないことも話し終わったので応接間の方へと移動する

 

「ならドーパントでまず間違いねーな。わるいな、ユーノ。少しだけジュエルシード探しを抜けるぜ?」

 

『あ、はい。ただでさえ翔太郎さん達にはご迷惑をお掛けしてますから全然構いませんよ』

 

「なのはちゃんは俺らが居ない間は例えジュエルシードが発動したとしても俺が合流するまでその場に行かない。最悪映司たちに横取りされるかもしれねーがなのはちゃんの安全のためだ。それだけは守ってくれ」

 

「うん。わかった」

 

「よし、いい子だ」

 

なのはちゃんの頭を撫でてやるとなのはちゃんは嬉しそうに笑った。

 

この笑顔を守るためにも、この街を泣かす奴には早々にご退場してもらわねーとな

 

[newpage]

※なのは視点

お兄ちゃんたちが怪物の話をしていた日から4日。私は学校から帰って私服に着替えるとユーノ君に首輪とリードを付けて初めて会った公園へ散歩に向かった

 

『覚えてる?ユーノ君。ここで初めてユーノ君に会ったんだよ』

 

『ああ、そういえば。ここであいつに負けて気絶したんだったっけ。ついこの間の事のはずなのに随分前のように感じるな』

 

『あはは、それだけ毎日が楽しいってことじゃないかな』

 

『うん。そうだね』

 

「こんばんわ」

 

ユーノ君との念話に夢中だった私は突然の背後からの声に肩がビクンと跳ねる。恐る恐る振り向くと、そこには私がユーノ君を預けた動物病院の先生がニコニコと笑いながら立っていた

 

「あ、こんばんわ」

 

「あ、その子。あなたが連れて来たフェレットだね。病院に居なかったからどこに行っちゃったのかと思ってたんだ」

 

「えっと、その。あの事故の時に逃げ出してたこの子を偶然見つけてそのまま連れて帰ったんです。ごめんなさい。ちゃんと言わなくちゃいけなかったのに」

 

「いえいえ、良いのよ。今ここで返して貰うから」

 

先生はそう言うと一歩、私に近づいてきた

 

「ユーノ君をどうするつもりですか」

 

「あなたには関係ないわ、大人しく渡せばいいの」

 

「……嫌です」

 

私はユーノ君を庇うように抱きかかえて後ずさりながら拒否をした。私の返答が癪に障ったのか、先生は笑顔から一転して怖い顔に変わると懐から大きめのUSBのようなものを取り出して端子の近くにあるボタンを押した

 

『アニマル』

 

「なら、少し痛い目にあってもらうわ」

 

先生はそう言って腕をまくりコネクターと呼ばれる部分を出すとそこにガイアメモリを挿し込もうとした。その瞬間、先生の体に緑色の鎖のようなもの―――ユーノ君のチェーンバインドとゆう魔法だ―――が巻き付いた。

 

「な、なに!?これは!」

 

「ナイスだユーノ!」

 

「大人しくしろ、木月宥!」

 

いきなりのことに困惑する先生の目の前に物陰から二人の男性が現れる。1人はお兄ちゃん。そしてもう一人は赤い革ジャンを着た照井竜さんとゆう刑事さん。この人はこの街のもう一人の仮面ライダー、仮面ライダーアクセルであり、時々お兄ちゃんの事務所にドーパント絡みの事件の相談に来て居るのを見かける

 

「もう、出てくるのが遅いよ、お兄ちゃん!」

 

「ごめん。だから言っただろ、危ないからやめとけって」

 

う、確かにそうだけど

 

なんでこんなことになっているのか、それは昨日のこと

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

※翔太郎視点

―――昨日―――

「これが今までに出された噂のドーパントが関わっていそうな事件の被害者の名簿だ」

 

「悪いな」

 

照井が持ってきてくれた書類を受け取り照井とともに隠し扉を開いてフィリップの居る車庫へと向かう

 

「フィリップ、今まで被害にあった人たちのリストだ。これで検索をかけてみてくれ」

 

「了解。検索を開始する」

 

フィリップがそう言って目をつぶる。検索と言ったがこれはインターネットなんかとはわけが違う。フィリップは地球の記憶が全て存在する「地球の本棚(ほしのほんだな)」と呼ばれる精神世界を閲覧することが出来る特殊能力を持っており、俺が事件に関連するキーワードを外で探しフィリップが検索をして犯人を探すとゆうのが俺達の捜査の基本スタイルだ

 

「キーワードは動物、―――、―――」

 

フィリップがキーワードを呟いていき、少しして

 

「検索が完了した。今まで被害を受けた人物たちの共通点が分かったよ」

 

「お、ほんとか?どんなんだ?」

 

「被害者たちは皆、木月動物病院で一度治療を受けている」

 

「木月動物病院って……」

 

「それ、ユーノ君を見てもらった所」

 

突然、車庫の入口の方でなのはちゃんの声がした。そこにはなのはちゃんとなのはちゃんに抱えられたユーノがいた

 

「なのはちゃん、なんでこっちに」

 

「ごめんなさい、事務所の扉は開いてるのに誰も居なかったからこっちだと思って。それよりも木月動物病院って、このあいだ言ってた事件に関係あるの?」

 

「あー、一応。けどなのはちゃんには関係ないから妙な気は起こさないでくれよ」

 

ちゃんと釘をさしておかないとなのはちゃんは囮になるとか言いかねないからな

 

『あの、もしあの病院で見てもらった動物が狙われてるんだったら僕に囮をやらせてくれませんか?いつもお世話になってるお礼をさせてくれませんか?』

 

空気を読めよユーノ!そう言ってくれるのは嬉しいが、どう考えたってお前が言い出したら

 

「ユーノ君だけじゃ駄目だよ。それなら私も囮になるよ!」

 

ほら見ろ、こうなるだろうが!ただでさえこのあいだの黒い少女との戦闘の事で士郎さんから注意されてるのにこんなことになのはちゃんを巻き込んだら俺の命が危ない

 

「駄目だ。危険過ぎる。これから他に被害にあってない人を探してその人に囮になってもらうように頼むからなのはちゃんは何もしなくて大丈夫だ」

 

「そんなことしてる間にもっと被害が出ちゃうよ。お兄ちゃんはこの街を泣かせないために仮面ライダーをやってるんでしょ?それに近くにユーノ君がいるしレイジングハートも持って行くから大丈夫だよ!」

 

『マスターなのはの事はお任せください左様』

 

『僕もなのはのことを守りますから』

 

あーもう、なんで俺の周りには言い出したら聞かない奴が揃ってるんだ

 

「類は友を呼ぶだよ、翔太郎」

 

「なんとも的を得た表現だな」

 

フィリップの言った諺に照井が笑う。笑い事じゃねーよ

 

こうして翌日の囮作戦が決まった

 

―――現在―――

 

「先生、なんでこんなことを」

 

なのはちゃんが木月宥に問いかける。槙原は顔をいびつに歪めて笑いながら口を開き

 

「あなたは自分が作ったものを壊す事が快感だとゆう人間が居ることを聞いたことがあるかしら?」

 

そう言った。確かにそうゆう人間が居るとゆうのは聞いたことがある。けど、それとこれとなんの関係がある

 

「私もそうゆうタイプの人間なのよ。自分で治したものを壊す。そのことに快楽を得るの」

 

「そんな」

 

木月の言葉になのはちゃんがショックを受けたように後ずさる。

 

無理もない。一度はユーノを助けてくれた恩人がこんなことを言い出すなんてまだ9歳の少女には衝撃が強すぎるだろう

 

「貴様の御託は署で聞いてやる。木月宥、貴様を違法ガイアメモリの所持及び使用の容疑で逮捕する」

 

照井がそう言って手錠を取り出して槙原が持っているメモリを取り上げようとした瞬間

 

「それに、触れるなァァァ!」

 

突然、木月が狂ったように叫び、彼女の白衣のポケットが青い光を放ち出し、青い石―――ジュエルシードが飛び出した

 

「な、ジュエルシード!こいつが持ってたのか」

 

俺の驚きをよそに飛び出したジュエルシードは木月が持っているメモリへと向かい、その2つが触れ合った瞬間、一際まばゆい光が放たれると木月が握っているメモリが本来の物よりも禍々しい形へと変わっていた

 

『キメラ』

 

木月がガイアメモリのスイッチを押した瞬間衝撃波が起こり木月を拘束していたバインドが弾け飛び、俺達が止める間もなくガイアメモリを腕のコネクターへと押し付けた

 

すると木月の体は犬と熊と鳥その他諸々を足したような巨大な怪物へと変貌した

 

“ギィィァァァァ”

 

「ちっ、ジュエルシードのせいで暴走してやがるのか。なのはちゃん、後ろに下がっててくれ」

 

「ジュエルシードが関わってるならそうゆうわけには行かないよ!私も戦う!」

 

「そう言うと思ったよ!頼むから怪我だけはしないでくれよ!行くぞ、フィリップ、照井」

 

俺はダブルドライバー、照井はアクセルドライバーを腰に装着し、なのはちゃんはレイジングハートを取り出す

 

『サイクロン』『ジョーカー』

『アクセル』

「レイジングハート」

 

「「変身!」」

『サイクロン・ジョーカー』

 

「変、身!」

『アクセル』

 

「セーット、アーップ!」

『standby・ready,set up』

 

俺達の姿が仮面ライダーへと変わる。俺は左腕を、照井はアクセルの武器であるエンジンブレードを、なのはちゃんはレイジングハートを怪物へと向けた

 

「「さあ、お前の罪を数えろ!」」

 

「さあ、振り切るぜ!」

 

「リリカルマジカル頑張ります!」

 

まあ、暴走してるあれが言葉を理解できてるかどうかは定かじゃないけどな

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

※三人称

W達の声に反応したかのようにキメラドーパントがそちらを向くと巨体からは想像もつかないスピードで彼らへと接近し、熊のような腕を振りかぶった。W達が散り散りになってその腕を避けるとアニマルドーパントは犬のような顔の口を開きWに向かってカメレオンのように舌を伸ばして鞭のように振るった。Wは咄嗟に腕をクロスさせて防御するがそのまま弾き飛ばされて木に叩きつけられる

 

「ディバイン・シューター!」

 

空へと飛んだなのはが撃った数発の桜色の光弾がアニマルドーパントに命中する。だが、アニマルドーパントはあまり効いた様子もなく、ギロリとなのはの方を睨みつけると翼を羽ばたかせ空へと飛び、一気に距離を近づけると腹から猛禽類のような足を生やし掴みかかる

 

『スフィアプロテクション!』

 

間一髪、ユーノの発動した防御魔法がなのはを球状に覆い、足が触れることを防いだ。だが、アニマルドーパントの力は強く次第にミシミシと嫌な音を立て始める

 

「させん!」

 

『アクセル・アップグレード!ブースター!』

『エンジン・マキシマムドライブ』

 

それを見たアクセルは強化アダプターを使いアクセルブースターへとなると、背中のブースターを使いアニマルドーパントへと突撃しマキシマムドライブを発動したエンジンメモリを差し込んだエンジンブレードで腕を叩き斬り、更にアニマルドーパントの巨体を切りつけて地面へと突き落とす

 

「ありがとうございます、照井さん」

 

「油断するな」

 

なのはのお礼にアクセルは短く注意だけをするとすぐに地面に降りてWと合流する。なのはもそれに習って二人の近くへと着地した。その数百メートル先ではアニマルドーパントがゆっくりと立ち上がっている

 

「どうする、左。あのドーパント、マキシマムドライブが効いてないぞ」

 

『恐らく、ジュエルシードがあのガイアメモリと呼ばれるものを守っているんだと思います。けど、今のままじゃジュエルシードを封印することも出来ません』

 

『なるほど。ならばやることは1つだ。なのはちゃんの封印と僕達のマキシマムドライブを同時に行う。ツインマキシマムドライブの時と同じだ』

 

「おいおい、フィリップ。簡単に言ってるけどあれはかなりタイミングがシビアなんだぞ?」

 

『照井竜とやった時もぶっつけ本番だった。やれるかじゃないやるんだ。普段の君ならそう言うんじゃないのかい?』

 

「……そうだな。ちょっと尻込みしてた。なのはちゃん、そうゆうわけだ。一緒にやってくれるか?」

 

「もちろん。お兄ちゃんと一緒にならなんだってやれるよ」

 

「そう言ってくれると頼もしいな。照井、奴の注意を引きつけておいてくれないか?」

 

「任せろ」

 

アクセルはそう言うとアニマルドーパントへと向かっていった。Wはそれを見送るとメモリを『ヒート・トリガー』へメモリチェンジした

 

「さあ、いくぜ。合わせろよ、なのはちゃん」

『トリガー・マキシマムドライブ』

 

「うん!」

『シューティングモード セットアップ』

 

Wはマキシマムドライブを発動したトリガーメモリを差し込んだトリガーマグナムを、なのはは足下に桜色の魔法陣を展開し銃のような形へと変形したレイジングハートをアニマルドーパントへと向ける

 

「いくぜ、せーのだ」

 

「わかった!」

 

「「せーの!」」

 

「「トリガーエクスプロージョン!」」

「ディバインバスター!」

 

トリガーマグナムから放たれる火炎放射とレイジングハートの切っ先から放たれる桜色の砲撃が交わり2色の光がアニマルドーパントを撃ち抜き大きな爆発が起こった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

※翔太郎視点

「やったか?」

 

爆発で起こった粉塵が晴れると地面に倒れた木月宥、更にその近くに転がっている壊れたガイアメモリと封印されているらしいジュエルシードが転がっていた。なのはちゃんが駆け寄ってジュエルシードをレイジングハートへと収める

 

『どうやら、上手くいったようだね』

 

「ああ、なんとかなったな」

 

Wドライバーからメモリを抜いて木月へと近寄ると、木月が起き上がった。何故か辺りを怯えたようにキョロキョロと見回している

 

「うぅ……ここは?私は一体?」

 

「観念しろ、木月。貴様をガイアメモリの違法所持並びに使用の罪で逮捕する」

 

「え!?なに!?なんなの!?」

 

「なに今更とぼけてんだ。さっき今まで自分の病院で診た動物をドーパントになって連れ去っていたのを認めたばっかだろうが」

 

「そうだわ。私、自分が治した動物たちを。何で?何で私あんなことを」

 

………どうなってんだ?さっきと様子が全然違うぞ

 

俺が木月の豹変ぶりに戸惑っているとメモリブレイクされたガイアメモリがふと目に入り違和感を覚えた。ジュエルシードが離れたことで元の形に戻ったメモリに近寄ってみるとメモリの端子が緑色なことに気がついた

 

「とにかく、一度署に来てくれ。話はそれからだ」

 

木月は未だに混乱している様子だったが大人しく照井について行った

 

壊れたメモリを拾いポケットに仕舞う。帰ってフィリップに見せたほうがいいな

 

「お疲れさん、なのはちゃん」

 

「……お疲れ様、お兄ちゃん」

 

なのはちゃんは連れて行かれる木月を見つめている。やっぱりそう簡単に気持ちの整理は出来ないか

 

「さて、帰ろうぜなのはちゃん。翠屋でケーキでも買ってさ。奢るぜ?」

 

なのはちゃんの頭に手を置いてそう言う。

 

「……うん。ご馳走になります」

 

なのはちゃんは頭に乗せられた俺の手を握ると笑顔でそう答えて歩き出した

 

今無理やり整理する必要はない。こうゆうのは時間が解決してくれるはずだ。なら、俺に出来るのはその時間を楽しいものにしてやること。ただそれだけだ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。