カカシの憂鬱 作:睡眠不足です
来たな
僅かな空気の乱れを察知したカカシは、サクラの側を離れ軽く跳躍する。数秒後には足元にクナイが突き刺さっていた。そのまま左右から飛んでくるクナイを避け、林から開けた場所まで移動する。あらかじめ、トラップを仕掛けていたか。
しばらくすると、クナイの攻撃も止み木々のざわめきだけがこの空間を支配する。
残るは一人、サスケだけ。
「なになに、サクラを助けにでも来た?」
前方の木の後ろから、鋭い眼光のサスケが姿を現わす。カカシの姿を視界に収めるな否や素早く馬、寅と印を結び終えていたサスケが、空気を肺一杯に溜め込んで体を反らした。
「火遁・豪火球の術!」
サスケの口から吐き出させる炎がカカシがいた場所、あたり一面に広がる。
カカシは瞬時に土遁の技で地中へと身を隠した。
「何故、写輪眼をうちは一族でもない
お前が持っているんだ応えろ!!」
懐かしいねぇその言葉よく言われたよ。
うちは一族は他人を嫌悪することしかできないのか。あいつとは大違いだ
サスケは炎を吐き出し終わった後、カカシの姿を視認することはできなかった。辺りの気配を探るが確認できない。
「くそっ!」
慌てるサスケの気配を地中で感じながら、炎が完全に沈静化したことを認識した。
土遁・心中斬首の術、地中からサスケの足首を掴み引きずり込み生き埋め状態にすると共にカカシは地上に上がり砂埃をはたいた。
「応える義理はないね」
サスケの憎悪に燃える目と嫌悪に染まったカカシの眼が互いの思いを語っていた。
「お前、弱いよ」
チャクラがまだ足りないはずなのに、下忍にして火遁・豪火球の術を習得しているのはさすがだと言えるだろう。でも、それだけだ。
ナルトが挑んできているのを見て、サスケが俺の隙を伺っていたのはわかっていた。
だから、ワザと写輪眼を使ってみた。
うちは一族であるお前が‹俺の存在›を容認できるはずがない。
この写輪眼を許せるはずがない。
「ほんと、目障り」
その憎悪に染まった目があいつらを沸騰とさせる。
あいつが写輪眼を奪ったんだ。
あいつがオビトを殺したんだ。
うちは一族でもないのに何故写輪眼を。
かつて、神無毘橋の戦い後帰還した時のうちは一族の反応が思い返される。
「くそっ!俺をそんな目で見るな!」
何を思ったか、身動きが取れなくなったサスケは急に怯えを含んだ目で体をよじり距離を取ろうとする(体をよじったところで動けないのだが)
どんな目で今、サスケを見ているのか。
カカシにはわからなかった。わかろうとも思わなかった。どうでもいいことだ。
そんなサスケを一瞥し、カカシは少し離れた三本丸太まで足を動かしその真ん中の丸太に寄り掛かかった。
どこまでも広がる青空に目を向けながらカカシはただ、何も考えず任務に身を委ねることができる暗部に戻りたいと思うのだった。