「そんなだから、若者の性の乱れが酷いって批判されまくるのよ! どこかで歯止めをかけないと駄目なの! このままじゃ、幼稚な学生がどんどん普通に子供をうんじゃう世の中になっちゃうわよっ!」
「いや、昔はもっと低年齢で嫁いでいたような……」
「と、とにかく! この学校では、そういうことはあってはならないのっ!」
「どうしてですか」
「私が会長だからっ!」
『…………あー』
なんか皆、妙に納得した。確かに桜野のおさめる学校は、もっと純粋であるべきかもしれない。
しかし……。
「そうは言っても、
「え?」
「な、
「ええ。怪談と同じですよ、会長。スリルを楽しんでいるんですよ、そういう人は。だから、むしろ生徒会が躍起になって規制したら、かえって逆効果になるおそれもあるんじゃないでしょうか」
「む、むむ。杉崎にしては珍しく真っ当な意見ね……」
「そりゃそうですよ! クロさんからパスされたってこともありますが、学校でセ〇クス出来ないなんて、夢がないでしょう! 折角学校を舞台にしたエロゲなのに! エロCGに学校シチュがなかったら、興醒めですよ!」
「……とりあえず杉崎を退学にしたら、この学校の校風はかなり改善する気がしてきたわ」
桜野が額に手をやる。杉崎、今のは弁護不可だ。
しかし、桜野はいたって真面目に悩んでるようだ。全員で顔を見合わせる。
そんな中、少し真面目なトーンの声になった杉崎が桜野に訪ねる。
「そういう会長こそ、恋とかしないんですか?」
桜野は「そうねぇ」と呟く。
「たとえしたとしても、ケジメをもって交際するわ」
「ま、それは正論ですけど」
それこそが恋愛の醍醐味というか、なんというか……。人それぞれだし、答えなんてないようなもんだしな。……難しいな。
妹が口を開く。
「で、でも、その、授業中にいちゃついてる……というわけでもないんだったら、一応、けじめはついているとも思いますけど……。こ、校舎内とはいえ、放課後は、もう、生徒それぞれの時間とも言えますし……」
「そうかしら? 私は、制服から私服に着替えるまでは、生徒としての自覚を持つべきだと思っているけど。……不純異性交遊は駄目」
「う……」
桜野正論。制服と私服の差は大きい。
……不純かどうかは一概に判断しづらいけどな。
「桜野はどうしたい?」
「けじめ……けじめをつけてほしいかな……」
「なるほどな……」
うまい落としどころはないものか。
そう考えていると、知弦がペンを回しながら提案する。
「じゃあ、生徒会からのお知らせとして、ちょっとした警告を記したプリントでも配ればいいんじゃないかしら。アカちゃん、それじゃ不満?」
「ん、んー」
桜野は納得いっていないのか、腕を組んで唸っている。
「警告じゃなくて、禁止したいの」
「禁止なら既に校則でされてるわよ。現場を先生に押さえられたら、停学ぐらいにはなるんじゃないかしら、現状でも」
「で、でもでも、今はそんなの、あってないような規則じゃない!」
「だったら、今更アカちゃんが新しく規則を設けても、同じような道をたどると思うわよ?」
「う、うぅ」
桜野は知弦に言いくるめられて、泣き出しそうになっている。
「泣くなよ桜野。知弦も悪気があったわけじゃねえ。なあ、杉崎」
「え、ええ。そうですね。それに、最初に会長、言ったでしょう? 愛に昇華してこそ本物の恋愛だって。問題はそこですよね。お互いを本当に思いやる意味での恋愛をしている人まで……会長は、ルールで縛りたいと思います?」
「う……。そ、そんなことは、ないけど。で、でも、今の生徒達って、そんなの少ないと思うっ! 恋に浮かれているだけで、愛なんて無いように見えるもの!」
ふむ。子供っぽい見た目に中身もアレだが、純粋に物事ってやつを見抜いてる。確かに、「愛」を持ってるカップルなんて、そうそういないだろう。
それに、愛があるからってなんでもしていいわけじゃねえ。それでいて、
雰囲気を変えようと思ったのか、姉が唐突に喋り始める。
「そ、そういえばさー。サッカー部のキャプテンとマネージャーも付き合ってるらしいぜー。でも、あのカップル、もう二ヶ月付き合ってるのに、未だに手さえ握れないらしいぞ」
「……そういうのが、健全です」
桜野が呟く。それは、桜野の理想の恋愛のようだ。
杉崎が「じゃあ」と続けた。
「会長は、例えば大学生なら、エッチなことしてもいいと考えますか?」
「……。……ううん。どう、かなぁ。それでも、校内でそういうことするのは、駄目だと思う。それは、会社員も同じだよ。職場とか学校でそんなことしちゃ、駄目」
「手繋ぐのも?」
「駄目」
「帰宅後にいちゃつくのは?」
「いい」
「高校生は?」
「……帰宅後も。ちょっと、駄目」
「大学生は?」
「……ううん、いい、かな」
「なるほど」
桜野の基準は大分分かってきた。すると、そこに珍しく妹が自分から、ハッキリと意見を桜野に告げた。
「ま、
桜野は、「むぅ」とまた考え込む。
この議題のたどる未来を見据え、危機感を持った俺は、どうようい思っているであろう知弦と杉崎とアイコンタクトを交わす。そうしてから、杉崎が動いた。
「会長の言い分は分かりました。それはもっともなことです。正論です」
「そ、そうでしょう?」
杉崎の加勢に自信がついたのか、桜野は目を輝かせて、胸を張る。そこに、知弦と俺が乗った。
「そうね。アカちゃんの意見はもっともだわ。プリントを配って、次の全校集会でも、注意を促しましょう。職員室の方にも連絡して、取り締まりも厳しくしえもらいましょうか」
「それでも気になるようなら、月に何度か生徒会で校内を見回りでもすればいい」
「う、うん」
桜野に笑顔が戻る。が、やはり、どこか浮かない顔をしている。他の意見を聞いたためか、図書の自分の意見を尊重されても納得できなくなっている。
空気を敏感に察した椎名姉妹も加勢してくれる。
「そ、そうだなー。確かに目に余るものはあるから、ちょっとビシッと言うぐらいで丁度いいかもなー」
「で、ですよね。ま、真冬も、あんまり変な光景は見たくないですし……」
それらの言葉を受けて、徐々に桜野も元気を取り戻し始めた。
「そ、そうよね! やっぱりたるんでいるのよ、皆! ここはビシッと言ってやらないと!」
「わー、会長カッコイイー」
「えへん! 次の集会で、ビシッと言うわよ!」
「…………」
少し考える。集会で……純情会長桜野が……性の乱れについて言及……。
(「み、皆しゃん! あ、か、噛んじゃった……。こほん。み、皆さん。ごきげんよう。気候もめっきり夏らしく……。新緑が……。ええと……。そ、それはさておき。
さ、最近っ。そ、そのっ! こ、こ、校内で、は、破廉恥な行為が目につきます! よ、良くないとおもいまひゅっ! ひゅう。と、とみかく良くないです!
み、皆さん、健全なお付き合いをお願いします! ぺこり!」)
………….
なんか、余計に悪化しそうだった。全員が同じような想像をしたのか、汗をかいている。
杉崎が慌てて提案した。
「つ、次の全校集会ですけどっ! その、俺が挨拶していいですかっ!」
「ふぇ? 杉崎? どうしたの、急に。そんなに張り切って……」
桜野がキョトンとする。杉崎は立ち上がって続けた。
「い、いえ! ほら、俺みたいなやつだからこそ、逆に、そういう呼びかけが効果的になることって、あると思うんですよ! ほら、こんなハーレム野郎に注意されたら、逆に引き締まるでしょう!?」
「そ、そうかな?」
「そうです!」
たじろぐ桜野に詰め寄る杉崎。桜野は気圧されたように、「わ、分かったわよ」と、杉崎に次の集会の挨拶を任せた。
かくして全員がほっと胸を撫で下ろす中、この件は、どういうわけかこの学校で一番不純な心の持ち主である杉崎が恋に浮かれた生徒達に活を入れるという、カオスな展開にもつれこんでいくのであった……。
「それで、その杉崎君の挨拶はどうだったの?」
次の現場まで車で移動していく中、助手席に座ったキャットが聞いてくる。暇つぶしで話し始めた話だが、どうやら大変興味をそそられたようだ。
「お前なら分かるんじゃねえか? お前もあの学校の生徒会にいたんだから」
「そうね。…………ところで、なんで今日は車なのかしら?」
二人は赤のスポーツカーで夜の街を走っていた。
「ハーレーは今タイガーが改造してる」
「はぁ。彼の新しい趣味には困ったものね」
目的地に到着し、車を止めて降りる。
「俺には明日も生徒会があるんだ。さっさと終わらせるぞ、キャット」
そう言って俺は腰にある鞘からダガーを二本抜き、逆手に持つ。それと同じくしてキャットも太腿のホルスターから拳銃を二丁抜く。
「言われなくても」
そう言って二人はとあるビルに向かって駆けた。
黒兎のキャラをイマイチ思い出せない……(オイ、作者!)。黒兎って、どんなキャラでしたっけ?
ヒロインが知弦さんだけでは物足りなくなってしまったんだ。許せ。
久しぶりに言う気がしますが、誤字脱字報告、評価や感想、よろしければお願いします。
……過去話の付けたしや書き直しなど、訂正が多くてすいません。