生徒会の中心   作:赤羽 黒兎

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 やはりパソコンっていいですね。多分今調子に乗ってますね、私。多分続かないんだろうなぁ……。


3.放送する生徒会②

 ♪ 《妹はもう帰ってこない》 ♪

 

桜野(さくらの)「さて、聴いていただきましたのは、絶賛発売中のシングル《妹はもう帰ってこない》でした。デビューシングルの、《弟は白骨化していた》も合わせてよろしくねー」

杉崎(すぎさき)「アンタの過去に一体何があったんだ!」

桜野「じゃあ、ここで恒例のコーナー。《椎名(しいな)姉妹の、姉妹でユリユリ♪》」

杉崎「…………。……そ、それはちょっと聴きたいかも」

真冬(まふゆ)「先輩!? ちゃんとツッコンで下さいよ、そこは!」

深夏(みなつ)「そうだ! 聞いてないぞ、そんなの!」

桜野「このコーナーは、リスナーから送られてきた恥ずかしい百合っぽい脚本を、椎名姉妹が演じるという、人気コーナーです」

杉崎「人気な設定なんだ……。俺が言うことじゃないけど、ここの生徒、大丈夫か?」

桜野「私個人的には好きじゃないんだけどね……。ほら、ご機嫌取りよ、ご機嫌取り。これやっておけば、とりあえず、生徒は満足だろうから」

杉崎「だからそういう発言は、本番中にしないで下さい!」

黒兎(こくと)「放送コードにひっかからない内容だよな、桜野。録音状況確認している身からすると少し辛いものがあるんだが……」

桜野「大丈夫よ、多分。じゃ、椎名姉妹、よろしくー。はい、これ、台本」

真冬「う、うぅ……ホントにやるんですか?」

深夏「うわ、なんだこれ! こんなの読んでられっかよ!」

桜野「こら深夏! 逃げないで! これを乗り越えてこそ、ホンモノの副会長よ!」

杉崎「副会長の資格とまるで関係ないでしょう……」

深夏「……やるしかねーようだな」

杉崎「なんで納得してんの!?」

真冬「真冬も……覚悟を決めました」

杉崎「なにキッカケで!?」

知弦(ちづる)「ふ……それでこそ椎名姉妹よ」

杉崎「貴女はどうして変なところでだけ、思い出したように発言するんですか!」

黒兎「二人がいいなら、いっか」

杉崎「クロさん諦めないで!」

桜野「じゃ、いってみよー」

 

 ♪ 耽美なBGM ♪

『真冬……。あたし、もう……』

『あぁ、おねぇちゃん……。んっ! あ、はぁはぁ』

『真冬……可愛いよ、真冬……』

『おねぇ……ちゃ……。……んん!』

 

杉崎「待て待て待て待て待て! 個人的にはドキドキワクワクだけど、これは、校内放送でやっていいレベルじゃないでしょう!?」

知弦「クーちゃんなんてもう危ないわよ」

黒兎「録音状況の確認するからって、なんで俺だけ見るからに高そうなヘッドホンなんだよ……。一人だけ音質めっちゃいいんだぞ……」

杉崎「クロさん……。羨ましいというか、お疲れ様というか……」

知弦「クーちゃん……。よしよし」

桜野「こ、これは、なんか、やりすぎたわ」

真冬「えええええ!? こ、これだけやらせておいて!」

深夏「ひでぇ! そういう反応されるとあたし達、本格的にいたたまれねーじゃねーか! ……まあ神月(こうづき)先輩も可哀想だけど……」

知弦「……椎名姉妹の絡みは、放送コードにひっかかるわね。クーちゃんのためにも、そういうディープなのは、プライベートだけで留めてくれるかしら」

深夏「勘違いされるようなこと言うなよ! プライベートはこんなんじゃねー!」

真冬「そ、そうです! リスナーの皆さん、信じないで下さいっ!」

知弦「……そうね。うん。ここは、そういうことにしておくべきだったわね。軽率な発言して、ごめんなさい、二人とも」

椎名姉妹『もうやめてぇぇぇぇぇぇ!』

杉崎「知弦さんに抱きしめられながら頭撫でられてる……。やっぱクロさん羨ましい」

桜野「さ、さて、じゃあ、次のコーナー! 《杉崎(けん)の『殴るなら俺を殴れ!』》」

杉崎「なんですかそのコーナー!」

桜野「このコーナーは、校内でもし誰かを殴りそうなほどカッとしてしまったら、とりあえず、杉崎を標的にして発散しましょう、というコーナーです」

杉崎「俺の人権は!?」

桜野「生徒のいざこざを解決するのも、生徒会の仕事。というわけで、今日も揉め事がありましたら、二年B組の杉崎までご連絡を──」

杉崎「するな──────────────!」

桜野「仕方ないわね……。希望者もいないようだし、きょうはこのコーナー飛ばすわ」

杉崎「なんで俺の担当だけ、そんなコーナーなんスか……」

桜野「じゃあ、次は私のコーナー! 《桜野くりむのファンレター》!」

杉崎「明らかに差別してね!? コーナーの格差が激しいですよねぇ!」

桜野「匿名希望さんからのお便り。こほん。『桜野くりむ様。貴女の可愛らしさを見る度に、僕の心はいつもドキドキときめいて──』」

杉崎「ファンレターと言うより、ラブレターじゃないですか! 誰だ! 俺の女にちょっかいかけるヤツは! いい度胸だ! 出て来い! 俺が相手して──げふっ」

桜野「な、なにを口走ってるのよ、貴方は!」

杉崎「だ、だって、俺の彼女にラブレターなんて送るヤツがいるから……」

桜野「私は杉崎の彼女じゃないよ! ラジオ放送で変なこと言わないの!」

杉崎「すいません。カッとなってやりました。反省はしていません」

桜野「なんでそんなにふてぶてしいの!?」

杉崎「うぅ……。で、でも、その、勘弁して下さい。その会長への手紙のコーナーは、俺が嫉妬に狂ってしまって、耐えられません」

桜野「う……」

深夏「…………どうでもいいけど、イチャついてないで、早く進めろよ」

桜野「い、イチャついてなんかいないわよ! 深夏まで変なこと言わないで! も、もう……調子狂うわね。こほん。……じゃあ、次のコーナー……」

真冬「あ、なんだかんだ言って先輩の希望通り、手紙読むのやめてくれるんですね」

黒兎「桜野だからな。知弦、ありがと。もう大丈夫だ」

知弦「そう? もうちょっとあのままでもよかったのだけれど……」

桜野「う……。と、とにかく、次! 《黒兎の人生相談》!」

黒兎「あ? 俺?」

桜野「じゃあ、これお便りね。よろしくー」

黒兎「はいはい。えーラジオネーム《赤とんぼ》さんから。《黒兎先輩、生徒会の皆さん、こんばっぱー!》こんばっぱー」

女性陣『こんばっぱー』

杉崎「忘れたころに!」

黒兎「えー『一年付き合った彼女と最近別れました。それはもう、人に話せないほど酷く。僕は何もしてないのに、一方的に。死にたいとすら思います。どうしたらいいですか』か……」

杉崎「予想以上に重い相談だ────!」

桜野「確かに、これは重いわね……」

杉崎「……相談する場所間違えてないか、これ?」

黒兎「そうだな……俳優、声優、アニメキャラクターなどなど、好きなものはあるか? まずはそこで好きな有名人、キャラクターをひたすら推す。そして、次に、リアルで恋を探す。恋は生きる糧になる。死んでも死のうとするな」

杉崎「すごい真面目だ……」

桜野「さ、一つ解決したから、次のお便りね」

深夏「会長さん凄くあっさりしてる……」

黒兎「続いては、ラジオネーム《赤い池に浮かぶ羽根》さんから。えー『黒兎先輩、私、前から黒兎先輩のことが──』」

 ビリッ

黒兎「……知弦? お便り破ってどうした?」

知弦「いえ、なにかイラッときたから……」

深夏「あれ? 知弦さん、ここに『……なんてね』ってあるけど……」

知弦「そう……」

杉崎「こんなに知弦さんに思われてるなんて……クロさん羨ましい……!」

桜野「じゃあ、お便りもなくなったし、次のコーナー。《学園 五・七・五》」

杉崎「……なんか、急に、普通の定番コーナーですね……」

桜野「うん、ネタ切れだからね」

杉崎「言っちゃうんだ!」

桜野[このコーナーは、リスナーが考えた、この学園にまつわる面白おかしい五・七・五を、紹介するコーナーです]

杉崎「逆に危機感を抱くほど、ありきたりなコーナーですね」

桜野「こほん。では、いきましょう。匿名希望さんからの五・七・五」

 

『燃えちまえ メラメラ燃えろ 杉崎家』

 

桜野「……素晴らしい詩ですね。情景が目に浮かぶようです」

杉崎「…………」

桜野「? えっと……杉崎? 私が言うのもなんだけど……ツッコマないの?」

杉崎「いえ……。…………。すいません。リアルに身の危険を感じて、テンションが上がりにくいです」

桜野「あー……」

深夏「………ちょっと笑いのレベル超えていたよな、今のは………」

真冬「真冬も、若干引いてしまいました」

知弦「まあ、でも、そうよね。キー君って、そういう立場よね、基本。皆の憧れの美少女たちが集まるコミュニティに在籍しているだけでもアレなのに、その上、自分から『攻略する』だの『ハーレム』だの宣言しているんだから……自業自得?」

黒兎「困ったことがあれば教えてくれ。助けてやるから、報復まで。あと、俺は男だぞ、知弦」

杉崎「う、うぅ……。え、ええい! 構うもんか! クロさんだって手伝ってくれるしな! ここは俺のハーレムだ! 文句あるヤツ、喧嘩なら買うぜ! だから──」

桜野「だから?」

 

杉崎「火、つけるのだけは勘弁して下さい。すいませんでした」

 

桜野「……杉崎がラジオなのに泣きながら土下座したところで、次のお便りいこうか。これも……ええと、匿名希望みたい。こほん」

 

『金がない 勢い余って 人さらい』

 

杉崎「犯人コイツかぁ────────────────────!」

桜野「え? なに? どういうこと?」

杉崎「いや、だから、さっきの誘拐事件の──。い、いえ、そんなことより、コイツの名前と住所! 書いてないんですか!」

桜野「それはないけど……追伸で『二万円も要求してやったぜ!』とはかいてあるわ」

杉崎「二万円かよ! 安いな、うちの生徒の妹の身代金! なんで両親用意できねーんだよ!」

桜野「私に言われても……。杉崎。世の中には、恵まれない人もたくさんいるんだよ」

杉崎「そ、そうですけど! ……なんかこの事件……割と浅い気がしてきました」

黒兎「そんなの誰もが気付いてるよ。やばそうだったらとっくに俺が警察に言ってる」

杉崎「それもそうですね」

桜野「さあ、ラジオを続けましょう」

杉崎「放送中に決着つきそうッスね……誘拐事件」

桜野「次は《後輩一号》さんからの五・七・五」

 

『黒兎様 校門横で 待ってます』

 

杉崎「クロさんばっか羨ましいんですけど!?」

黒兎「んなこと言われても……ん? 知弦?」

知弦「クーちゃん、この女性に憶えは?」

黒兎「んー、多分、文芸部の梶原さんかな」

知弦「そう。……ちょっとお花を摘みに行ってくるわね」

黒兎「待て待て。知弦、待て。なんもないから。よしよし」

知弦「クーちゃんがそう言うのなら……」

黒兎「よしよし、いい子だ」

桜野「……私たちは何を見せられているのかしら……」

杉崎「くっ……知弦さんが可愛い……がしかし、なぜ俺でないんだ! クロさんのバカ! アホ! 黒兎!」

黒兎「黒兎は悪口じゃねえよ……」

桜野「さて、気を取り直して、最後の五・七・五です。こほん」

 

『真面目にさ 仕事をしろよ 生徒会』

 

杉崎「一般生徒の素直な反応キタ──────────!」

桜野「まったく、失礼しちゃうわね」

杉崎「いえ……俺が言うのもなんですが、すげぇ気持ち分かります」

深夏「あたしも分かる」

真冬「真冬も分かります」

桜野「なによ! やるべきことはちゃんとやってるわよ!」

知弦「やらなくていいこともやっているけどね」

黒兎「むしろ、やらなくていいことの方が多いしな」

桜野「不愉快だわ。このコーナー、終了」

杉崎「そういう態度が駄目なんだと思います!」

桜野「さて……じゃあ、そろそろ終わりも近いし、フリートークしましょうか」

杉崎「今までも充分自由でしたけど……」

深夏「お、会長さん。メール来てるみたいだぜ」

桜野「え? なになに?」

真冬「ええと、ですね。『妹が誘拐されていた件ですけど、無事解決しました』らしいです。良かったですね!」

杉崎「おお……解決したか。良かった良かった」

知弦「……ちっ」

黒兎「あーあ、面白かったから助けたのに」

杉崎「すげぇ聞こえてますけど、知弦さん。今の舌打ち。それにクロさんも、今危ない発言を……」

知&黒『なんのこと?』

杉崎「録音&放送されているっていうのに、なにその自信満々な開き直り!」

黒兎「録音状況見てるの俺だし」

杉崎「そうだった!」

知弦「でも……随分あっさり解決しちゃったわね。どんな犯人だったの?」

真冬「ええと……よく分からないですけど、最終的には、攫われた妹さんが、自分で、犯人を叩きのめしたらしいです。犯人さんは……今、重体です」

杉崎「二万円欲しかっただけの犯人────────────────!」

真冬「妹さんも、基本的には犯人さんに遊んで貰っていただいただけのようですよ。でも……このラジオをたまたま聴いていて、自分が攫われていることに気付いて、慌てて、犯人をボコボコに……」

杉崎「俺たちのせいかっ!」

深夏「結局、なんで二万円欲しかったんだ、コイツは……」

真冬「えと……ですね。メールによると……うん、なんか、犯人は、意識を失う前、『この子の姉に……貸したままの二万円を……返してほしかった……だけなのに。ガクリ』と倒れたそうです」

杉崎「いたたまれね──────! っていうか、諸悪の根源は姉か! リスナーか!」

真冬「そのリスナーさんから送られてきたメールの最後は、『悪は滅びるのよ! あっはっは』で締めくくられています」

杉崎「このラジオのリスナーはろくでもないな!」

真冬「ま、まあまあ。一件落着ということで……」

杉崎「……俺、この放送終わったら、犯人のとこ見舞いに行くわ。助かってくれ……」

黒兎「ほい、杉崎。例の犯人が入院している病院だ」

杉崎「クロさん……ありがとうございます」

桜野「こ、こほん。ええと……色々ありましたけど、このラジオも、そろそろ、お別れの時間が来たようです」

杉崎「やっとか……。短い番組の割に、驚くほどディープだった……」

桜野「最後は、『今日の知弦占い』でお別れです。それでは皆さん、また来週」

 

 ♪ 神秘的なBGM ♪

知弦「では、今日の知弦占いを。

 当校の獅子座のあなた。近日中に、『世にも奇妙な物語』っぽい事態に巻き込まれるでしょう。注意して下さい。タ〇リを見かけたら全力で逃げなさい。

 ラッキーカラーは《殺意の色》。どす黒いか、深紅か、その辺は各々のイメージに任せます。

 ラッキーアイテムは《核》。常に持ち歩けるとなおよし。貴方がメタルギアなら。それも可能となるでしょう。

 最後に一言アドバイス。

 

死なないで

 

以上、知弦占いでした」

 

杉崎「怖いですよ! 獅子座の人間、今日が終わるまでビクビクですよ! って、クロさんがビクビクしてるぅ!」

黒兎「カラーはいいが、アイテムが……」

知弦「また来週、この時間に会いましょう。……獅子座以外。

 クーちゃんは私といましょうか。占いした本人だし、加護か何かがあるでしょ」

黒兎「お、おう」

杉崎「獅子座ぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!

 そしてクロさんは羨ま死ねぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!」

 

 ♪ ED曲《弟は白骨化していた》♪

 

 

 

「今日の放送は大好評だったねー!」

 例の放送があった日の放課後。桜野は大満足の顔で、生徒会室生徒会室でふんぞりかえっていた。知弦も、楽しそうに、嬉しそうにニヤニヤしている。……俺の頭を撫でながら。そんな俺はというと、杉崎や椎名姉妹と同様に、グロッキー状態である。

 桜野に聞こえないように杉崎と(みなつ)が会話している。

 二人の会話が終わったであろうタイミングで桜野が訪ねる。

「二人のクラスではどうだった? みんな、大絶賛だったでしょう!」

『うぐ……』

 桜野の純粋な目で見つめられ、二人そろって視線を逸らす。

 杉崎はぎこちなく笑う。

「え、ええ……。大人気でしたよ」

「そうでしょう!」

「ええ……そうですね。言うなれば、小学生のなりたい職業ランキングにおける。『会計事務』と同じくらい、大人気でしたよ!」

「それ、人気なの!?」

 桜野は首をかしげる。杉崎はうまくごまかせたようだ。

「黒兎のクラスは?」

 「そうだな……こっちも人気だったぞ。具体的には、中高生の人気ライトノベルランキングでの『ゲー〇ーズ』くらい人気だった。二年間同じ学年だったってのも影響してんのかもな。……まあ色々面倒なことはあったが、いいとしよう」

「それはかなり人気だったみたいね! 真冬ちゃんのクラスでも、人気だったよね!」

「え」

 (まふゆ)が固まる。……やはり、うちのクラスだけか、人気だったの。桜野のクラスメイトは愛想笑いだったらしいし。うちのクラスメイトは絶対におかしい。

 俺がくだらない思考をしていた時、妹は歪な笑みを浮かべ、震えながら桜野に返す。

「は、はい。そ、そうですね……言うなれば、スーパー〇リオブラザーズにおける『逆さメット』ぐらい、大人気でしたよ!」

「それは本当に人気と言えるの!?」

 妹も杉崎同様、うまくかわせたようだな。

 桜野は気が緩み、実に満足げだ。……はあ、めんどくさい。

「じゃあ、第二回もやらないとねー!」

『…………』

 俺の頭を撫でていた知弦の手が止まり、桜野以外の全員が嘆息する。

 全員でアイコンタクト会議を行う。

(どうしますか……。会長、まだやる気ですよ)

(アカちゃんにしては、執着が深いわね……。一回やれば満足するとふんでいたのだけれど。下手にクラスメイトが気を遣ったことが、裏目に出たわね)

(というより、クロさんのクラスはホントにそんなに人気だったんですか?)

(ホントだよ。異様なことに、なぜかな)

(で、どうすんだよ……あたし、もう、あんなの勘弁だぜ)

(真冬も、もう、無理ですぅ……)

 桜野が上機嫌で次の企画を練る間、全員が考え込む。

 すると、杉崎が動き出した。

「会長」

「ん? なぁに、杉崎」

「その……ですね。こういうのは、ほら、たまーにやるからこそ、味が出るんじゃないかと」

 妥協案の提示か。やるな、杉崎。

「? どういうこと?」

「つまり、ですね。二回目をやるにしても、ある程度間をおいた方がいいんじゃないかと……」

「…………」

 桜野は考え込む。桜野の、流行に流されやすい、という性格を考えての作戦。期間を開けて、忘れさせる気か。桜野と杉崎以外の皆が、杉崎にグッと親指を立てた。ナイス、杉崎。

 桜野は顔を上げ、笑顔で返す。

「そうねっ! このラジオはクオリティ重視だもんね!」

「え、ええ」

「わかったわ、杉崎! 次は……そうね。一ヶ月は置いてからにしましょう」

「そうですね」

 全員胸を撫で下ろす。

 杉崎のおかげにより、少なくとも一ヶ月はラジオの第二回はやらないことに決定した。

 しかし――

 

「じゃあ次は、生徒会のPRビデオの撮影にかかりましょう! ようやく、映像用の機械も揃ったのよ!」

 

 ドンッと、机の上に置かれる、大きなビデオカメラ。

 …………。

『え?』

 全員、信じられないものを見たように、固まる。

 桜野だけは……ニッコリと、微笑んでいた。

「さぁ、これからが本番よ~!」

『…………』

 

 ……………………。

 

『いやぁあああああああああああああああああああああああああああ!』

 

 クラスメイトはラジオが面白かったんじゃなく、疲れててハイだっただけか。そういや放送部員多かったな、うちのクラス。放送部員じゃないやつも、力仕事とかで駆り出されたのか。

 これこそ、世にも奇妙な悲劇だよ。

 

 

 

 夜、月明かりのみがあたりを照らす港。そこに一組の男女の影が。

 男は死体の上に座り、タバコを吸っている。男に向かって、女が心配そうに問う。

「ラビット、どうした? 今日はいつもより荒ぶってたよ」

 彼女はキャット。乱雑に伸ばされた黒髪に活力のないダウナーな瞳、グラマラスな体型をした女性。今はライダースーツを着ているためか、身体の形がはっきりとわかる。

「別に、生徒会だ」

「そう」

 黒兎(ラビット)は遠い目をしながら、答える。ラビットはスーツの上にファーつきの黒のコートを着ており、幾分か大人に見える。

「さぁ、休憩も終わり。次の仕事だ。今日はあと一件残ってんだ。行くぞ、キャット」

「勝手に休憩だって言ってタバコ吸い始めたくせに……。ぼくを置いていくなよ、ラビット。これ終わったら奢れ。今日は飲みたい」

「仕方ねえ、いいぜ」

 近くに止めてあった黒のハーレーにラビットがまたがり、エンジンをふかす。後ろからラビットに抱き着くようにキャットが乗る。

「落ちんなよ」

「落ちないよ。ラビットの後ろは安全」

 二人は、夜の街へと消えていく。




 生徒会の一存で一番好きなストーリーを書ききりました。あー、モチベが下がる音が聞こえる。
 オンライン授業……めんどくさい……。
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