刀奈に招待された武昭は皆と話していた。
「じゃあ、刀奈と簪が、この家の娘さんで本音と虚さんが、それぞれに仕えてるんですね」
「はい、私が刀奈お嬢様で……本音は……」
「カンちゃんに仕えてるんだよぉ〜」
「そうだったのか、まぁ本音は同じ学校でクラスメイトだからな」
武昭の言葉を聞いた簪と刀奈はギュンと本音の方を向いた。
「本音、どういう事かな?」
「私も詳しい話を聞きたいなぁー」
「え、あのっ、そのっ……ニャハハハ」
2人に問い詰められた本音は引き攣った笑顔で冷や汗を流していた。
その時……
「そうだ、簪様、洗濯物にこの様な物が混ざってましたと使用人から渡してほしいと言われましたが」
虚が取り出したハンカチを見た簪がアッとした顔になった。
「あぁ、虚さん それは俺のハンカチですよ。前に話した時にちょっとした事があって貸したんです」
「そうだったのですか、それでは武昭君に返します」
「ありがとうございます」
虚からハンカチを受け取った武昭を見た刀奈と本音は次は簪に視線を向けた。
「あれれ〜?何でカンちゃんがあきっちのハンカチを持ってるのかなぁ〜?」
「うーん……今度は簪ちゃんに聞かなきゃイケナイ事が出来たわねぇ?」
「えっと、あのね、その……」
次は簪が先程の本音と同じ状況になっていた。
「そう言えば……武昭君は刀奈お嬢様とどの様に知り合ったのですか?」
「刀奈さんとは俺がトレーニングで休んでる時に会ったんですよ。
その時に刀奈さんがお腹が減ってたんで俺のオニギリを分けたんです」
「なるほど、その様な事情があったのですか」
武昭と虚の話を聞いていた本音と簪は刀奈に視線を向けた。
「お姉ちゃん……武昭からオニギリを分けて貰ったって……本当?」
「へぇ〜 刀奈お嬢様はそんなに羨ましい事をしてたんだぁ〜」
「ねぇ、ちょっと待って、何で私が責められなきゃいけないのかしら?」
刀奈が言うと3人は気不味い表情になっていた。
そんな時……
「あら、あなたが刀奈が招待した子かしら」
水色の髪を肩まで伸ばした着物を着た女性が部屋に来た。
「あっ、初めまして小津武昭と言います」
「あら、礼儀正しい子ね、私の名前は
「更識って事は……」
「うん、私とお姉ちゃんのお母さんだよ」
「それで、お母さん、どうかしたの?」
「いえ、特に用事は無いのだけど刀奈が呼んだ子を見にきただけなの、小津君と言ったかしら、これからも私の娘達のお友達でいてあげてください」
「はい、言われなくても、そのつもりです」
武昭が峰華に頭を下げた時だった……
「大変です、奥様!」
赤紫色の髪を三角巾で纏めて割烹着を着た女性が部屋に入ってきた。
「麻琴、お部屋に入る時は静かにしなさい」
「あっ!すみませんでした奥様!!」
麻琴と言われた女性が謝罪した。
「あきっち、あの人は私とお姉ちゃんのお母さんで
「そうなのか……あの、麻琴さんですか?何があったんですか?」
「えっと、あの、貴方は?」
麻琴がキョトンとしてると虚が説明した。
「そう言う事だったんですか……あっ、それよりも実は……」
麻琴が事情を説明した。
それによると、これから食事会をするので料理を作っていたのだが野菜を積んだトラックが事故を起こしたとの事だった。
「そうだったんですか……だったら近くの店で買って来るとかは……」
「武昭君、それは無理なのよ、食事会で使われてる野菜は大量なの、それを今からって言うのは……」
「そうですか……麻琴さん、その野菜ってどれだけ有れば良いんですか?」
「フェッ?えっと……これだけ有れば大丈夫だけど」
麻琴は武昭に必要な野菜の量を教えた。
「これくらいなら……〈あっ、蒔人叔父さん?武昭だけど今、良いかな?〉」
武昭はマージホンを取り出すと誰かに連絡を入れた。
〈おぉ!武昭か!急にどうしたんだ?〉
〈うん、実は今友達の家に来てるんだけど、ちょっと困った事があって……蒔人叔父さんの野菜を分けてくれないかな?〉
武昭は蒔人に事情を説明した。
〈そう言う事なのか〉
〈うん、急に頼んでごめんね。無理なら……〉
〈武昭、俺達は家族なんだぞ?困ってる時に助け合うのが家族ってもんだ!〉
〈それじゃ……〉
〈あぁ!急いで持っていくから待ってろ!!〉
〈うん!ありがとう!蒔人叔父さん!!〉
武昭は連絡を終えると麻琴に説明した。
それから食事会の時間になって会は成功した。
その後……
「今日はありがとう蒔人叔父さん、それに芳香お姉ちゃんも手伝ってくれたんだ」
「うん、私も久し振りに武昭君に会いたかったからね」
同じデザインだが、それぞれ緑とピンクのラインが入ったジャケットを着た男性と女性が武昭と話していた。
男性の方は
「今回は貴方達にお世話になりました、こちらは我が家からのお礼です」
峰華が封筒を蒔人に差し出すがそれを返した。
「いえ、今回の事は武昭に言われてやった事なんで」
「えぇ私達の家では【家族の誰かが困っているなら助け合う】そう教えているんですよ」
「そうですか……優しい家なんですね……分かりました、ではそちらの連絡先をお教えいただけないでしょうか?」
「はい、構いませんよ」 「それでは私の方の連作先もどうぞ」
蒔人と芳香は峰華と連絡先を交換し、そのまま武昭と一緒に帰った。