第5話 その1 本音
武昭が新しい小学校に転校して数日経っていた。
そんなある日の放課後……
「あっ、今日は母さんに夕飯の買い物をしてきてって頼まれてたんだっけ」
武昭は用事を思い出すと近くの商店街に向かった。
「えっと……頼まれた物はこれで全部だな……ん?」
「おいっ!何でお前は、袖の長い服ばっかり着てるんだよ!」
「なぁ、俺たちで引っ張って長くしてやろうぜ」
「お願いだから、やめてよ〜」
買い物を終えた武昭が公園を通り掛かるとクラスの男子達が誰かをいじめていたので見ると本音だった。
「全く……ああいうのは見てられないね おいっ!お前ら何してるんだ!!」
「あぁ?誰かと思えば小津じゃんか、見たら分かるだろ?コイツの服がおかしいから俺たちが直してやってるんだよ」
「直してやってるね……俺が見た所、いじめてる様にしか見えないけどね……大丈夫?本音」
「う、うん……大丈夫だよ〜」
「なぁ?もしかして小津って布仏の事が好きなのか?」
「あぁ!きっとそうだぜ!コイツら席も隣同士だしな!!」
「まぁ、好きか嫌いかって言えば好きな方ではあるけど……」
「ふえっ!?(あ、アキっちがわ、私の事を好きって……)」
「それよりも1人の女の子を大勢でいじめる事が俺は許せないんだよね」
「へっ!生意気な口聞くんじゃねぇよ!!」
男子の中の1人が武昭に殴りかかってきた。
「危ない!アキっち!!」
「別に、これ位なら問題ない……よ!」
武昭は男子のパンチを躱すと、そのまま足を引っ掛けて転ばせた。
「ほら、ちゃんと足元を見ないと危ないぞ?」
「野郎……皆!やっちまえ!!」
リーダーらしき男子の声で見てた男子たちが向かってきた。
「ふぅ……あんまり手を出す様な事はしたくないんだけどな……」
武昭は面倒臭そうに向かってきた男子達に向かったが……
「分かったか?これから、こんな事は、もうやめろよ?」
「チキショウ!覚えてろよー!!」
男子達は武昭に返り討ちに合うと、そのまま逃げていった。
「ハイハイ、お約束なセリフだな……本音、ケガとかは無いか?」
「う、うん……大丈夫だよ〜……助けてくれてありがとうね、アキっち……」
「そんな礼を言われる様な事じゃ無いよ、俺は当然な事をしただけだからさ。
それよりも、アイツらから仕返しがあったら困るから家まで送って行くよ」
「ふえっ!?そ、そんなの良いよ〜……(
「そうか、なら……ほら、これ俺のアドレスだから」
「うわぁ〜アキっちの携帯って銀色なんだね〜 けど……どこのメーカーの奴なの〜?」
「えっと……コイツは家族から持つ様に言われた奴だからな……(別に嘘はついてないからな)」
〈確かに……我の力だから家族と言えば、そうだが……〉
「じゃあ、俺は家に帰るけど何かあったら直ぐに連絡しろよ?」
「うん、分かったよ。ありがとうねアキっち」
2人は、それぞれ家に帰ったが……
「そう言えば……男の子から連絡先を貰ったのって初めてだな……」
「本音?……どうしたの、嬉しそうだけど……」
「ふえっ!?って……誰かと思えばカンちゃんだったんだ〜」
帰る途中で水色のショートカットで毛先が内側に跳ね赤い瞳に眼鏡を掛けた少女【更識 簪(さらしき かんざし)】が声を掛けた。
「それで……本音は何が嬉しかったの?」
「えっ!?な、何の事かな〜?私はいつも通りだよ〜」
「そうなの?……けど……」
「そ、それよりもカンちゃんは、またヒーローの買ってたの?」
本音は簪の手にガチャガチャから買ったと思われる特撮ヒーローのバッジがあった。
「うん……だって……ヒーローはヒロインを助けてくれるから……」
「そうなんだ……(あれ?それで行くとさっきの私って……(はぅ〜)」
「本音!?顔が赤いけど熱でもあるの!?」
簪は本音が急に顔を赤くした事に驚いたが本音が、その場から逃げ出したので慌てて追いかけた。