武昭が学校に馴染んできたある日の放課後……
「確か、今日は翼さんが来てくれてボクシングを教えてくれるんだっけ……」
武昭が歩いていると近くを歩いていた同い年くらいで水色の内はねの髪にメガネを掛けた少女がサラリーマンに軽く当たって何かを落として探していると
「どこに行ったんだろ……」
「あのー 探し物ならこれですよね?」
女の子が落し物を探してると拾った武昭が声を掛けた。
「あっ……ありがとう……ございます……(知らない男の子に……知られちゃった……)」
「これって…○○って特撮ヒーローだよね?もしかして、これのファンなの?」
「は、はい……そうです……(この子……私の事……変だって思ってるよね……)」
「女の子で、これのファンなんて、凄く作品が好きなんだね……」
「え?……あの……私みたいな女子が特撮を見てておかしいと思わないんですか?……」
「え?別におかしい事はないんじゃないかな……女子でも特撮好きな子はいるだろうし、男子でも少女マンガが好きな奴がいてもいいだろうし」
「本当に……それで良いの?……」
話を聞いた女の子の目が潤んできた。
「あぁ、それだから君が特撮好きでも俺は良いと思うよ」
「そんな事言われたの……初めて……」
女の子は涙を流して感謝していた。
その後、武昭は女の子と一緒に近くの公園に来ていた。
「はい、涙を拭きなよ」
「あ……ありがとう……ございます……」
女の子はハンカチを受け取ると恥ずかしそうに涙を拭った。
「そういや、自己紹介が遅れたな 俺は小津武昭って言うんだ よろしく」
「あっ……私は更識簪って言います……」
「そっか、俺の事は武昭で良いよ」
「そう……なら、私も名前で……簪で良いです」
「けど簪って、特撮のどこが好きなんだ?」
「あのね……誰かが危ない時に助けに来てくれるヒーローが……正義の味方が好きなの……
悪を許さない所が……」
「そうなんだ……けど、これは俺の意見であって簪の考えをダメって訳じゃないけど……
悪の組織の中にだって良い奴がいると思うぞ?」
「そう?……私は、そう思わないけど……」
簪は少し顔をしかめた。
「まぁ待てよ、これは俺の意見だって言ったろ?
俺が言いたいのは悪の組織にいても自身の中に正しい思いが生まれて、その組織を改革する存在も出てくるんだよ……
(
武昭は自身の知り合いでもある異形の者達の事を思い出していた。
「じゃあ……私の、この思いは間違ってるって言うの?……」
「違う、だから言ったろ これは俺の意見だって……俺は全てにおいて表裏があると思うんだ……」
「表と裏って……」
「まぁ、そんなに簡単な事でもないけど……今見えてる物や事象だけで判断するのは間違いだって事さ……ん、そろそろ」
武昭はベンチから立ち上がった。
「悪いな簪、ちょっと用事があるから帰らせてもらうよ」
「う、うん……アッ、武昭……ハンカチ……って行っちゃった……」
簪は武昭にハンカチを返す事を忘れていた。
「けど……この辺りに住んでるなら……また会えるよね……」
簪はハンカチを握って笑顔になっていた。
その後……
「ほらほら!防御が疎かになってきてるぞ!!」
「くっ!だったら、これでどうだ!!」
「甘いな! よしっ、少し休憩だ」
家に帰った武昭は翼からボクシングを習っていた。
そんな中、麗が声を掛けてきた。
「ねぇ武昭、洗濯しようと思ったらハンカチが出てなかったんだけど」
「アッごめんね母さん……あれ?確か持ってった筈だけど……(そう言えば簪に……)」
「どうしたの?武昭」
「多分だけど学校に忘れてきたかも……」
「もーう、ちゃんと明日行ったら持ってくるのよ」
そう言うと麗は中に戻った。