青い人魚と軍艦娘   作:下坂登

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はじめまして、下坂登(くだりざかのぼる)と申します。

ハイスクール・フリートや艦隊これくしょんのメディアミックスを読み、クロスオーバーさせたくなりました。

小説を書くのは初めてなので、どうか温かい目で見てください。

なるべく早く書けるよう努力していきます。


それでは本編へどうぞ。



1話 晴風対戦艦レ級

「なんなのよ……あれは……」

 

御蔵、三宅、神津、八丈の前々に立ち塞がる"異形"。レーダーはおろかソナーすら一切感知していなかった、禍々しい謎の水上目標たち。

 

平賀倫子はそれらを双眼鏡で確認した。

 

鯨のようなものや、人の形をしたもの、それらはまるで戦艦の大砲のようなものを背負っていた。

 

クルーの間に動揺が広がる。

 

「人……?魚……?」

「持っているのは武器なのかしら……?」

「まさか幽霊……!?」

 

正体は何かと議論が始まった。

 

その時、閃光が走った。

 

「っ!?目標が発砲!?」

 

直後、御蔵の主砲が爆炎を上げ吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《緊急入電、UT01部隊が未確認物体の攻撃を受け2隻航行不能、1隻大破、1隻中破、現在戦闘海域から離脱し本艦隊南方100キロの位置、救援を求めています》

 

緊急電を受け、海洋実習中であった横須賀学生艦隊は蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていた。

 

「総員配置!発進用意!」

 

明乃の号令で、晴風クルー達がドタバタと配置に着く。

艦橋に非番だった芽依、志摩、幸子、ましろが駆け込み、全員が揃った。

 

《こちら機関室、いつでも出発できるぜ!》

《射撃指揮所配置完了!》

《一番魚雷発射管準備OKです》

《 二番魚雷発射管姫路配置に着きました》

《炊事委員伊良湖以下3名います!》

《こちら野間、配置に着きました!》

《万里小路準備完了致しました》

《応急委員和泉、青木配置完了!》

《こちら鏑木、配置に着いた》

《こちら海図室勝田、五十六もいるぞな》

《主計長等松美海、配置完了》

《電探室準備完了です》

《通信もOKです》

 

次々と入る報告を、ましろが配置図と照らし合わせ漏れが無いか確認する。

 

「艦長、総員配置に着きました!」

「了解!」

《天神より入電!「これよりUT01部隊の救助に向かう、準備完了した艦から現場に急行せよ」》

「晴風発進!救助に向かいます!」

 

 

 

 

晴風の機関が唸りを上げ加速する。

 

 

 

 

あまりに晴風クラスの行動が速かったのか、天神を除けば武蔵と他3隻しか同行出来ていない。

 

やがて、最新鋭艦である天神がさらに速度を増し晴風達を引き離して行く、そして学生艦最速を誇る晴風も他の艦との差を広げて行く。

 

「現着まで天神が80分、本艦は100分です」

 

幸子がタブレットに表示された情報を読み上げる。

 

「被害状況は、旗艦御蔵が大破炎上、既に鎮火済み、しかし浸水が進行中。八丈大破、浸水により右に約10度傾斜、かろうじて航行可能、三宅は……炎上中、応急修理不可能なため乗員離艦開始、神津中破、航行に支障無し。死者はなし、重症者多数。

攻撃した未確認物体は南へ移動し、現在位置は不明とのことです」

「未確認物体って、どんなものなの?」

 

明乃が尋ねた。最新鋭のインディペンデンス級4隻をここまで圧倒する兵器が作られたのだとしたら、せめて特徴だけでも知っておきたい。

しかし、幸子は首を横に振った。

 

「わかりません、データ等が一切来てないんです」

 

鈴がええっ、とびびった。

 

「そんなぁ、何もわかんない敵とあっても、何もできずにやられちゃうよ」

 

明乃も同感だ。敵の正体がわからない以上、下手に接近すればやられるかもしれない。最優先すべきは索敵だ。

 

「もしかしたら、戦闘になるかも知れないね……野間さん、まゆちゃん、しゅうちゃん、何か見かけたらすぐに報告して」

《了解!》

「めぐちゃん、万里小路さんも見逃しの無いように」

《はい!》

《かしこまりました》

「もし敵に会ったら私らに任せてよ!撃ちまくって海の藻屑にしてやるから!」

「うぃ!」

 

芽依と志摩は既に戦る気満々、撃て撃て魂とやらが騒いでいる様子。暴走されないようましろが釘を差す。

 

「はしゃぐな、遊びじゃないんだぞ」

「わかってるよぅ、でもブルーマーメイドの先輩を痛めつけた奴を懲らしめなきゃ」

「先輩がやられた相手に、私達が敵うわけ無いだろ、もし出会ったとしたら逃げるからな」

「えー」

「文句言うな」

「逃げるなんてつまんないよ。大丈夫だよ、負けるわけないって。ねっ、タマ」

「うぃ、うぃ!」

 

「油断しちゃ駄目だよ」

 

明乃が少し厳しく注意する。

 

「いつ何が起こるかわからないんだから、気を引き締めて」

 

思えばシュペーと再戦した時もこうだった。手柄を立てて調子に乗ったまま挑み、かろうじて作戦は成功したが大きな被害を負った。慢心してはいけない。

明乃は改めて気合いを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現場には未だに激しく炎上し黒煙を上げる三宅と、艦体のありとあらゆるところが黒く炎上した痕と砲撃の痕で痛々しい御蔵、浸水し右に大きく傾いた八丈、そして三宅から離艦した乗員が漂っていた。三宅は既に沈没し、姿を水底へと消していた。

既に神津と天神が三宅の乗員を収容し始めていたので、晴風は御倉の左舷に接舷し救助活動を始めた。

八丈は晴風の次に到着した浜風が救助に当たる。

 

救助活動は思ったよりもスムーズに進んだ。新橋商店街船の時とは違い、救助される側もプロなのだ、非常に落ち着いて御蔵から晴風へと乗り移り、負傷者の手当も協力して順調に行っている。

 

「現在69名を収容、残り10名です」

 

現場指揮を取るましろが、艦橋へと報告を入れた。

 

《大丈夫?応援は要る?》

「大丈夫です。もうすぐ完了しますから」

 

通信を切ったその時、平賀が声をかけてきた。

 

「宗谷さん、福内を見てない?」

「福内さん?いいえ、まだ来ていませんが……」

「おかしいわね……先に避難している筈なのに……」

 

御蔵から最後の人達が乗り移る。しかし、その中に福内の姿は無かった。

平賀が最後尾の人に尋ねる。

 

「まだ福内は残ってる?」

「いいえ、私達で最後ですが……」

「そんな、だってまだ ―――」

 

 

ズウゥゥゥン!!と激しい爆発音が聞こえた。

 

 

「なんだ!?」

「爆発!?」

 

幸子が情報を読み上げる。

 

《御蔵右舷14ブロックで爆発がありました!周辺ブロックへの浸水が始まっています!》

「原因は!?」

《わかりません!》

 

「……福内……!」

 

平賀は駆け出し、ましろの制止も聞かずに御蔵の中へと駆け戻った。

 

「平賀さん!危険です!」

「ごめんなさい!でも見捨てる訳にはいかないのよ!」

「待ってください!……ああもう!万里小路さんも来てくれ!連れ戻すぞ!」

「はい!」

 

ましろと楓は平賀を追いかけ御蔵の中へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「平賀さん!福内さん!どこですか!?」

 

ましろと楓は御蔵の中を駆け回り、平賀と福内を探し回った。

 

「どこに行ったんだ?」

「見当もつきませんわね」

 

十字路で立ち止まり、何処に行ったのかと辺りを見回す。

こうしている間にも、艦が少しずつ傾いているのが分かる。残された時間は少ない。

 

「手分けして探しますか?」

「ああ……」

 

楓がましろに尋ねたその時、突然爆発が起きた。

 

 

ズドオォォォン!!

 

 

激しい閃光と衝撃波が2人を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___福内!福内!」

 

平賀が体を揺すり呼びかけ続けてようやく、福内は意識を取り戻した。

 

「……っ……!……平賀……?」

「福内!一体どうしたのよ!?」

「……何よ……?」

「酷い怪我してるじゃない!」

「……え?」

 

福内は記憶が混濁していて状況が把握できていないようだ。

頭部の大きな傷からのおびただしい出血で、顔と制服の一部が赤く染まっている。

平賀はガーゼを取り出し、傷口に押し当てた。

 

「これ、押さえてなさい」

「……ええ」

「歩ける?」

「手を貸してくれれば……」

「はい」

 

福内は平賀に肩を借りて立ち上がった。

 

丁度その時、艦が轟音と共に激しく揺れた。

 

「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通路には白い煙が立ち込めていた、真っ白で周りが殆ど見えない程に。

 

「ゲホッゲホッ、万里小路さん?無事か?」

「ええ、大丈夫です」

 

2人は幸いにも無傷だった。

お互いの無事を確認して立ち上がり、懐中電灯で周囲を照らすが効果はほぼ無い。

 

《しろちゃん!万里小路さん!》

「艦長、私達は無事です!何が起きたんですか!?」

《爆発があちこちで起こってるの!早く脱出して!》

「なんだって……!?でも平賀さんと福内さんが……!」

 

 

 

 

 

こつ……こつ……こつ……。

 

 

 

 

 

微かな足音を、楓の耳か捉えた。

 

「……誰かがこちらへ来ます」

「え?」

「足音がします。間違いありません」

「平賀さん達か?」

 

こつ…こつ…という足音がましろにも聞こえてきた。

 

楓が足音の主へ呼び掛ける。

 

「誰ですか?返事をしてください!」

 

しかし、返事はなく相変わらず、こつ…こつ…と歩いてくる。

 

やがて、煙の中うっすらと人影がみえてきた。

 

「大丈夫ですか!?けがをしてないですか!?」

 

ましろも呼び掛けた。すると、

 

 

 

 

 

「アア、ヤット見ツケタ」

 

 

 

 

 

 

そいつは、成人女性のような身体に黒いレインコートを羽織っている。しかし、人間ではなかった。

肌は病的なまでに真っ白く、腰からは太い尾が生えている。尾の先には多くの鋭い牙を持ち、真っ黒な金属でできた凶暴な鮫ような口がついていた。

 

「!?」

「なっ、なんだこいつは!?」

 

驚愕のあまり、動けなくなってしまうましろと楓。

 

化物はまるで無邪気な子供のように笑う。それがましろ達の目には不気味に写った。

 

「新シイ獲物ダ。サア、楽シイ狩リヲ始メヨウ!」

 

化物はこちらに向かって跳躍し、とんでもない速度で一気に距離を詰めてきた。

 

「逃げろ!」

 

ましろが叫ぶ。

2人はとっさに脇道へと飛びこんで、かろうじて化物の突進から逃れ、そのまま全力で逃げ出した。

 

「なっ、何なんだ!あれはっ!?」

「幽霊でしょうか!?」

「あんな幽霊いるのか!?」

 

振り返ると化物が凄い勢いで追いかけくる。

 

「ひいいっ!!」

 

2人は死にものぐるいで走った。

振り切ろうといくつもの角を曲がった先に、福内を支えながら歩く平賀が見えた。

 

「平賀さん!」

「!貴女達!」

 

2人は息も絶え絶えに助けを求めた。

 

「はぁ……はぁ…………助けて……」

「どうしたの!?」

「か……怪物に襲われて……」

「怪物ですって!?」

 

その直後、化物が姿を現した。

狂った笑みを浮かべながら。

 

「オヤオヤ、獲物ガ4匹二増エタ」

 

すぐさま平賀は福内の体を楓に預け銃を抜いた。

 

「この化物ぉ!!」

 

そう叫んで躊躇なく引き金を引いた。

 

パァン!パァン!パァン!パァン!パァン!

 

あっという間に5発、リボルバー銃の装填数を使いきった。

弾は全て頭部を狙って放たれた。だが、皮膚に当たった瞬間にキィン!キィン!と音を立て弾かれてしまった。全く効果がないようだ。

 

「弾かれた!?」

 

「オオ怖イ怖イ、イキナリ撃ッテ来ルナンテヒドイネ。ソレジャア、行ックヨー!」

 

尻尾についた砲が回転し、ましろ達へ向けられる。

 

「撃チー方ー始メー!」

 

場に合わない陽気な掛け声と同時に砲弾が発射された。

 

 

 

 

 

ズドォォォォォン!!

 

 

 

 

 

 

御蔵の壁が吹き飛び、炎が吹き出した。

 

「また爆発!?」

「違う、砲弾」

 

芽依に志摩が指摘した。

 

「ただの爆発ならもっと破壊範囲が大きい」

「でも、艦の中に砲台なんてないよ!?」

「それは……わからないけど……」

「あの化物よ」

 

御蔵の副長が口を挟んだ。

 

「化物?」

「私達の艦隊を襲ってきた奴よ、兵器を背負った怪物。まさか、侵入されていたなんて…」

 

明乃がインカムでましろと楓に呼び掛ける。

 

「しろちゃん!万里小路さん!大丈夫!?」

《こちら万里小路、謎の怪物に襲われました》

「怪我はない!?」

《大丈夫ですわ、平賀さんと福内さんも無事です。ですが副長とはぐれてしまいました》

《こちら宗谷!!助けてくれ!!化物が追ってきてる!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろは必死に化物から離れようと走っていた。だが、化物は不気味な笑みを浮かべながら追いかけてくる。

 

「逃ガサナイゾー!」

「こっちに来るなぁぁぁぁぁ!!」

 

まったくついていない。あの爆発で吹き飛ばされたら楓達と離されてしまった、おまけに出口とは反対の方向に飛ばされ、挙げ句の果て化物にロックオンされた。

 

《しろちゃん!今どこにいるの!?》

「えっ!えっと……ここは……」

「撃ェ!」

 

答えようとした直後、化物が砲撃。砲弾はましろのすぐ横の壁に着弾した。

 

「きゃああ!!」

 

衝撃で激しく床に叩きつけられた。

頭がガンガンする、手も足も痺れるほど痛い。それでも、逃げなければ。

再び立ち上がり走り出す。

 

《しろちゃん!大丈夫!?》

「はい!えっと…」

 

ちょうどその時、艦内見取り図が目に入った。この通路の先は後部甲板らしい。

 

「後部甲板に出ます!」

「後部甲板ね!了解!」

 

明乃がそれを受けて指示を出す。

 

「メイちゃん!機銃用意!タマちゃんは主砲発射準備!」

「マジ!?撃つの!?」

「うぃ!」

《艦長!万里小路さん達を収容したっス!》

「タラップ外して!」

《了解!………………外したっス!》

「微速前進、取舵反転。御蔵と反航に!」

「りょ、了解!」

 

晴風が御蔵からゆっくりと離れ、左へ曲がっていく。

 

「私はしろちゃんを迎えに行ってくる!」

 

明乃は艦橋を飛び出した。

 

右舷のスキッパーに飛び乗り、海面に降下。そして、アクセルをおもいっきり吹かして発進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろが後部甲板に飛び出すと、攻撃を受けた飛行船の残骸が散らばっていた。

飛び立とうとしたところを撃ち抜かれてしまったのだ。

 

ましろは甲板の一番後方に横たわる飛行船の陰に隠れて、通信を入れた。

 

「はぁ…はぁ…艦長、甲板最後部にいます。……あれ?」

 

応答がない。ずっとザーザーとノイズが流れているだけだ。

 

「……誰か応答してくれ……もしもし?…………………まさか……」

 

インカムが故障した。

 

「嘘だろ!?なんでこんなときに壊れるんだよ!!」

 

ましろはインカムを投げ捨てた。

慌てて辺りを見回すと、晴風は既に御蔵を離れていた。

 

「おーい!!晴風ーー!!」

 

誰かがこちらに気付くように、大きく手を振る。

 

「ここだー!!」

 

マチコがこちらに気付いた。何かをこちらへ伝えようと叫んでいるが、よく聞こえない。

 

「野間さん!なんだってー!?」

 

マチコは声で伝えることを諦め、手旗信号を送った。

ウ・シ・ロ・ウ・シ・ロ……

 

「後ろ?後ろはただの……」

 

怪訝思いに振り返ると、

 

 

 

「見イツケタ」

 

 

 

化物が、飛行船の上から覗き込んでいた。歯を剥き出しにした不気味な笑顔で。

 

「ひっ!」

 

恐怖のあまり腰を抜かし、その場にへたってしまった。

化物はましろの目の前へ、ひらりと降りてきた。

 

「ヨーヤク追イ詰メタヨ、手間カケサセンナヨナ。」

「なっ…何なんだ、お前は……」

「アタシ?何カッテ言ワレテモワカラナイナ。生マレタバッカリダカラ」

「は、はあ?」

 

生まれたばかりで言葉が話せるわけがないだろう。それに化物は成人女性ぐらいの大きさだ、こんな体で生まれてくる生き物なんているはずが無い。

 

「マア、ドウヤッテ生マレタカトカ、ドウデモイイヨ。アタシハ、トニカク暴レタイダケダカラ!」

 

そして、ましろへ砲を突き付けた。

 

「ジャア、記念スベキ犠牲者1号サン。サヨウナラ」

 

化物が引き金を引こうとしたその時、カランカランと缶のようなものが転がってきた。化物の意識が一瞬そちらへ向けられる。

 

「しろちゃん!!」

 

自分を呼ぶ明乃の声、ましろは化物の隙を逃さず駆け出して、そのまま甲板から、海へと飛び込んだ。

 

バァン!!

 

化物の足元でスタングレネードが爆発。

激しい閃光と衝撃音が化物を襲った。

 

「チィッ!!」

 

咄嗟に手で顔を隠し光をガードしたが、衝撃音のせいで動きがにぶった。

 

「しろちゃん乗って!!」

「はい!!」

 

明乃が海に飛び込んだましろをスキッパーに引き上げた。しかし、

 

「逃ガサナイ!!」

 

化物が甲板から2人を狙う。

スタングレネードを喰らったはずだが、ダメージはほとんどないようだ。

 

「斉射!!」

 

砲が一斉に放たれ、無数の弾が降り注ぐ。

明乃はスキッパーをフル加速させ、間一髪弾を避けきった。

 

「メイちゃん!!」

《ラジャー!!》

 

化物が砲を回し再び2人を狙う。

 

「今度ハ外サナイヨ!!」

 

だが、誰かを狙っているのは化物だけではない。

 

 

 

「これでも食らえ!!」

 

 

 

芽依が化物へ向け機関銃のトリガーを引いた。

 

スガガガガガガガガ!!

 

まるで滝のように吐き出された弾が、化物のレインコートをズタズタに引き裂き、腕を吹き飛ばす。

 

「ガアアアアア!!」

 

化物が獣のような悲鳴を上げる。

 

「よっしゃ!!効いてる効いてる!!」

 

芽依はそのまま撃ち続けた。化物が青い血をぶちまけ、壊れていく。このまま勝てると思った。しかし、

 

 

 

「フザケンナアアアアア!!」

 

 

 

怒り狂った化物は狙いも定めずに砲を撃った。

3発撃たれた砲弾の内1発は海に落ちたが、残り2発は晴風のスキッパーと艦尾に当たった。

スキッパーが爆発炎上し、爆雷投射機が砕け散る。

 

「きゃあっ!!」

 

クルー達が悲鳴を上げた。艦が激しく揺れ、何かに掴まっていないと吹っ飛ばされそうだ。

 

志摩が射撃指揮所に叫ぶ。

 

「撃ぇ!」

 

第1主砲が火を吹いた。

砲弾は狙い違わず化物に直撃。

 

ドォォォォオオン!!

 

 

 

 

大爆発が起き、甲板が火炎と煙に包まれた。

だが、煙が晴れると、そこにはまだ化物が立っていた。

 

「ガハッ……マダ……戦リ足リナイ…ゲボッ、ゴホッ……モット戦ワセロヨ……」

 

もう満身創痍で激しく吐血しながらも、半壊した兵装を動かし、晴風を狙う。

 

《目標に命中!しかし目標健在!!》

 

明乃が命令する。

 

《タマちゃん、止めを刺して!》

「2番3番撃ぇ!!」

 

第二第三主砲が火を吹き、化物の体を貫いた。

 

 

 

 

「チキショオオオオオオオオオオ!!」

 

 

 

 

断末魔の叫びが海に咆哮した。

 

 

 

 

直後、化物は爆発四散した。

 

 

 

 

《目標の爆発を確認!》

 

マチコの報告を受けたクルー達は、歓喜の声を上げた。

 

「いよっしゃあああああ!!」

「やった!化物を倒したよ!!」

「バキュンと必殺!!」

『イエーイ!!』

 

射撃指揮所では光、美千留、順子がハイタッチを交わした。

彼女達こそ、今回の立役者と言ってよいだろう。人サイズの化物に対し、3発全てを命中させる離れ業をやってのけたのだから。

 

しばらくして、艦橋に明乃とましろが帰ってきた。

 

「岬さん、副長、お帰りなさい」

「ただいま」

「ああ」

 

鈴に笑顔で答える明乃とましろ。すると明乃は一転、心配そうに尋ねた。

 

「被害状況は?」

 

幸子が報告する。

 

「砲撃によりスキッパー1隻が大破、爆雷投射機使用不能、ですがそれによる負傷者はいません。

御蔵乗員79名の内、重傷者18名、軽傷者37名、死者なし。

本艦は、副長以外無傷です」

 

最後の言葉に、ましろは自分の体を見る、あちこちに擦り傷が沢山ついていた。

 

「しろちゃんは医務室に行ってね」

 

明乃がニコリと言った。

ましろは大人しくうなづいた。

 

「了解しました」

 

 

 

 

ましろが艦橋を出て行く直前、それは起きた。

 

 

 

 

ドカーーーン!!

 

 

 

御蔵の飛行船が大爆発した。

 

「うわっ!!」

「爆発した!?」

 

その火が漏れていた燃料に引火し、それが導火線となり他の飛行船にも次々と引火、ドカンドカンと爆発が連鎖する。

晴風クルー達は、それをただ呆然と眺めていた。

 

そして御蔵の内部にも火が回った。

フィナーレは、御蔵の弾薬庫への引火。

ほとんど使用されず残っていた噴進魚雷が爆発した。

 

ズドオオオオオオオン!!

 

御蔵が前後真っ二つに割れた。大きな黒いキノコ雲をあげ、ズブズブと海に沈んでいく。

 

「……やっちゃったね……」

「……どうしよう……」

「撃ちすぎちゃったかな……」

「……うぃ……」

「……逃げたい」

「『晴風、猿島に続き御蔵も撃沈』明日のトップニュースは決まりですね」

 

海の底へと沈む御蔵を目の当たりにし、自分達がどんな処分を受けるのか不安でたまらなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘報告

 

 

UT01部隊

 

旗艦御蔵 爆沈

  八丈 大破

  三宅 沈没

  神津 中破

 

横須賀女子海洋学校所属艦隊

 

  晴風 損傷軽微

 

 その他 被害無し

 

 

 

これはブルーマーメイドと深海棲艦との戦いの始まりに過ぎなかった。

 




第1話を読んでいただきありがとうございます。

次回もいつ投稿できるかわかりませんが、よろしくお願い致します。

あれ?艦娘はいつ?誰が出るの?と思われるでしょうが、気長に続きをお待ちください。

続きを読んでいただけることを願っております。

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