不知火「やっとPS4と『ニード・フォー・スピード ペイバック』を買った作者。しかし、ネット環境が無いからFDやネオン管やスモークが出ないことを知って落ち込んでいるそうです」
理都子「あれ、もう次作出てたよね?なんで今頃?」
不知火「『安い中古が見つかったから』だそうです」
果代子「お得は大事、だもんね」
理都子「ん〜、でもゲームって、やっぱり最新作をやりたいかな」
果代子「そうだね〜」
不知火「ちなみに、とあるキャラの痛車を作ろうとしましたが、全然上手く行かなかったそうです。
サイドに残した『爆裂魔法〜☆』の文字が、別の意味で痛い車になっていました」
それでは本編へどうぞ。
名前の順最後の媛萌の面談が終了し、古庄は神谷へと連絡を入れた。
「神谷司令、生徒全員の面談が終わりました」
《何か情報は得られたのか?》
「はい、いくつか」
古庄はメモを見返し、有力と思われる証言を挙げていく。
「まずは、『夕張』と『明石』が仲間にいるそうです」
《軽巡夕張と工作艦明石か、やはり駆逐艦以外の艦もいるんだな》
「そのようです」
《他の仲間については?》
「証言は得られていません」
《なら次》
神谷は淡々と、続きを促す。
「陽炎さん達の身体能力等についてですが、
『食事量は常人の倍以上。食い意地が張ってる』(美甘)
『砲雷科にスカウトしたいほどの射撃センス』(芽衣)
『視力3.0以上』(芽衣)
『厨房に忍び込まれてたのに気づかなかった』(ほまれ)
『気配の消し方がうまい』(あかね)
『スポーツ万能そう』(志摩)
『2倍以上は力持ち』(果代子)
『見張り台から艦橋に飛び降りても無傷』(マチコ)
等です」
《……ギンバイでもしたのか?》
「その通りです。陽炎さんは伊良子さんに対し、『お腹が減ったから、盗って食べようと思った。次は出し抜いてみせる』と供述したそうです。
その後、足が痺れるまで正座させられたそうですが」
《………アホか》
神谷が呆れたのが無線を通してわかり、古庄はうんうんと頷いた。古庄も初めて聞いたときは、呆れてものも言えなくなっていた。
《陽炎達の主な行動は?》
「陽炎さんは艦内を歩き回ったり、生徒達とおしゃべりしたり、気ままに過ごしているようです。不知火さんは部屋に籠もって調べ物をしています」
《調べ物……あれか》
神谷は真冬経由で知らされた、ましろのスマホの検索履歴と本の一覧を、記憶から引っ張り出した。
《本は歴史や艦船についてが多くて、検索履歴も似たようなものだったが、面白い物もあったな。貴女が特に気になるものはあるか?》
質問を振られて、古庄はパッと思い浮かんだ単語を答えた。
「『飛行機』……ですかね」
《ほお……、どうしてだ?》
「生徒の1人がこんなことを言っていました」
『気になること?そう言えば……歴史の教科書を見た時に、「飛行機は無いの?」って言ってたんですけど……。飛行機って何ですか?』(まゆみ)
《『飛行機は無いの?』か……》
古庄は自分が聞く限りの、飛行機についての情報を確認する。
「飛行機って、ヘリウムや熱の浮力を使わずに、翼の揚力だけで飛ぶ乗り物のことですよね?」
《ああ、大昔に何人もの人が作ろうとしたが、結局実現には至らなかった。今となってはSFの世界でしか見られない、夢の乗り物だ》
神谷の声は、嘲笑っているように聞こえた。
「陽炎さんの言い方は、まるで飛行機が当たり前のように受け取れます。もしかしたら、陽炎さん達は飛行機が実用化されたところから、来たのかもしれません」
《確かに納得のいく話だが、場所や機関の特定には至らないな。
しかし……、またオーバーテクノロジーか……、勘弁してくれ》
もう、うんざりだ。と頭を抱えているようだ。
古庄も深く頷いて同意する。
海面をスケートのように動ける艤装に、とんでもない威力を誇る武装、攻撃を防ぐ防護膜、さらに人間離れした強靭かつ驚異の再生能力を持つ身体。オーバーテクノロジーのオンパレードにも程がある。
これ以上わけわからん物を増やさないで欲しい。
《何か、陽炎達の出身や所属に繋がる情報は無いのか?》
「『ロシアからの帰国子女の友達がいる』らしいので、ロシア以外の出身であることはわかります。それと、『英語が読めない』『ドイツ語も知らない』なので、英語圏やドイツも外れるかと」
《……日本出身ということだけは、ほぼ決まりか……》
ろくな手掛かりにもなっていないが。
何か正体に繋がるものは無いのか、例えば行動に表れていたり……。
そこでハッと気がついた。
「……どうして不知火さんは、歴史について調べているんでしょう?」
《え?……そう言われれば、確かに気になるな……》
「歴史を調べるのは、歴史を知らないからだと思いませんか?」
《そういった情報を得られない、隔絶された環境にいたと言うことか?研究施設などに隔離されていたとすれば、自然だな》
「それにしては、歴史以外の物事に関しての知識は十分すぎます」
《……》
陽炎達の知識は、晴風の生徒達と世間話をできるくらいには一通りあったし、ポケ○ンや宇宙戦艦ヤ○トなんかのアニメについても、そこそこ知っていた。
隔離施設に居たら、そんな娯楽なんか無いと思うのだが。
その時、ふと思い出したように、神谷が言った。
《……そう言えば、赤羽が言ってたな》
「何と?」
《『あいつ等はフロート艦も知らなかったみたいだ』だと》
古庄は耳を疑った。
__「でも本気で悪かったと思ってるよ。あんた等が現状を知らないことにイラッとしちった」
「どういうことですか?」
「簡単に言うと、あたし等は絶対に撤退できないってことさ。日本の人口の大半は
それを聞いて2人はハッとした様子を見せた。__
《言質を取った訳じゃ無いが、2人の反応は日本の国土がフロート艦に置き換わったことを、知らなかった様子だったらしい》
「……待ってください、フロート艦の建造は百年近く前から始まっていたんですよ?」
日本は100年程前に地盤沈下を始め、水没する平野の変わりの土地として、巨大フロート艦の建造を始めた。そして現在、日本の周囲には無数の巨大フロート艦が浮き並び、多くの人々がその上で暮らしている。
それは既に世界では有名で、一般常識とも言えるレベルの話であった。
知らないだなんて、あり得るのだろうか。
《あまりにチグハグで意味わからんな、……うだうだ考えても仕方が無い。……そうだ、ついでに陽炎達とも面談してもらえないか?》
「えっ?」
《適当に理由をつけて……、そうだな、『晴風での生活はどうか?』なんていいんじゃないか?そこから話していけば、何かポロッとこぼすかもしれないからな》
「は……はぁ……」
神谷の提案は最もだ。又聞きの話よりも直接聞いたり、感じたりする方が情報量も多く正確だ。
「わかりました。ではすぐにでも」
《頼む》
古庄は無線を切り、艦内無線用の回線に切り替えて陽炎を呼び出そうとした。
「古庄です。陽炎さん、教室に来てくだ__」
『教官!捜索隊より緊急電!敵残存群と遭遇!』
飛び込んできた鶫の報告を聞き、すぐさま学生艦隊全体へと通達する。
「全艦戦闘配置!学生艦は全速力で距離を取りなさい!」
椅子を蹴飛ばして立ち上がり走る。武蔵に戻っている暇は無い、晴風の艦橋へと全速力で向かう。
お願いだから、無事に終わって。
古庄はそう願い、タラップを駆け上がった。
◇
北風に戻っていた神谷が、無線の先へと怒鳴る。
「捜索隊無事か!?」
『全員無事です!』
「何があった!?」
『化物が何処からか湧いて出てきたんです!』
クソ、まだ残ってやがったか。と心の中で悪態をつく。
船からも空からも徹底的に捜索していたのに、まだいたのか。
「敵の数は!?」
『逃げるのに必死でよく見てません!10はいたかと!』
「わかった!とにかく離脱しろ!」
『了解!離脱します!』
神谷は続けて飛行長へと振り返る。
「飛行長!飛行船を一機向かわせ監視させろ」
「了解!」
コンソールを叩き、群れを射撃可能な艦艇をリストアップ。群れは捜索範囲の西側に出現、それを狙えるのは西側に配置されていた北風、比叡、名取、そして晴風。残念なことに武蔵の46cm砲はギリギリ射程外だった。
「司令、鷲2号が目標を捉えました」
「モニターに出せ」
鷲2号のカメラの映像がモニターに映された。
残骸の漂う海を怪物の群れが駆け抜けていく、数は17、人型が6に鯨型11。何体かは金色"flagship"だ、数が少ないとはいえ、恐ろしい敵には違いない。
陽炎が無線で割り込んできた。
『また深海棲艦が出たの!?』
「そうだ」
『数は!?どんな奴!?私が相手してもいいわよ!』
「ちょっと待て」
神谷は勇む陽炎に待つよう指示し、マイクを握ったまま桜井へと指示する。
「桜井、識別しろ」
「もう始めてまぁ〜す」
ふわ〜っとした返事の僅か5秒後には、識別が完了した。
「識別完了、駆逐イ級5、ロ級elite2、ハ級2、ニ級2。
軽巡ツ級1、ヘ級flagship1、ホ級1。
雷巡チ級flagship1、重巡ネ級1。
『……』
戦艦レ級flagshipと聞いた途端、陽炎は信じられないという様子で唖然としていた。
『…………え、レ級flagshipってマジ……?』
「マジ……のようだな」
神谷も自ら確認するが、黒いレインコートに、鮫のように凶暴そうな禍々しい巨大な尾。そして、その凶暴性を主張するように脈打つ、体中にほとばしる金色の脈絡。
それは間違い無く、戦艦レ級flagshipと呼ぶべきものだった。
陽炎の長い長い沈黙が続き、神谷が「大丈夫か?」と尋ねようとまで思った頃に、ようやく一言。
『よし、逃げるわよ!』
「おい!?」
何があった!?
「突然どうしたんだ!?説明しろ!」
『よく聞いて、私達はレ級flagshipなんて見たことが無いの』
陽炎の声からは、深刻な事態だと言うのがひしひしと伝わってきた。
『そもそもレ級って言うのは、「超弩級重雷装航空巡洋戦艦」って呼ばれる程、ヤバイ艦なのよ。そう、まさしく「空を飛ばない宇宙戦艦ヤ○ト」って例えがピッタリなくらい』
そう言えば、陽炎達が北風に来た時にもそう言っていた。
(その通りです。ただ、例外もあります。例えばこの戦艦レ級ですが、島風と並ぶ高速艦であり、砲撃はトップクラス、更に雷撃までできるというチートっぷりです)
(通称、『空を飛ばない宇宙戦艦ヤ○ト』『超弩級重雷装巡洋戦艦』よ)
『圧倒的砲力と長射程(ロングレンジ)に加えて航空戦力で艦隊をフルボッコにして、中距離まで接近すれば何十本の魚雷をぶっ放して壊滅させて、最後は尻尾についた顎で、人だろうが艦だろうがバリバリ噛み砕く、正真正銘の化物なのよ』
航空戦力、という言葉に引っかかりを覚える。航空機と言ったら飛行船しか思いつかないが、ハッキリ言って戦闘に使えるような代物ではない。
最新鋭のハイブリッド飛行船ですら装甲は脆弱であり、機関砲をぶっ放せばいとも簡単に落とされる。この前の武蔵制圧作戦でも、対空砲火でいとも簡単に撃ち落とされていた。
北風にも3機搭載されていたが、専ら偵察か降下作戦にしか使っていなかった。
もしや、例の「飛行機」と呼ばれるものなのだろうか。戦闘でも実用可能な兵器と化しているのならば、どれほどのものなのか、一度見ておきたい気もする。
『さらに性格は凶暴極まりないの、とにかく相手を襲い殺すことしか考えてないの、理性の欠片も無いくらいにね。その強さと凶暴性から、姫鬼クラスに匹敵する唯一のイロハ級なのよ。最強の艦隊をを差し向けるくらい警戒するべき化物』
「わかった。より警戒して当たる」
そう言って神谷が通信を切ろうとしたが、陽炎が強引に話を続けた。
『待って、まだ話は終わってないわよ』
そこで陽炎はひと呼吸置いて、衝撃の事実を伝えた。
『今までのはね、
「……は?」
『ただのレ級がそのレベルなのよ、だから上位種のeliteはもっと強かったわ。艦隊全員ボッコボコにされて、命からがらかろうじて逃げたことがあるのよ。冗談抜きで
「つまり、今回現れたレ級flagshipは__」
『__もっとヤバイ、プライドかなぐり捨ててでも逃げたい』
『ていうか、逃げろ』
陽炎が忠告している間にも、戦艦レ級flagshipは艦隊に向けて襲いかかろうとしていた。
ましろ「なんでまたレ級が来るんだ!?」
幸子「ゲームでよくあるやつですよ、倒した相手が強くなって帰ってきて立ち塞がるっていう」
ましろ「そんなお約束いらん!」
幸子「ちなみに1話のレ級とは、完全に別の個体だそうです」
次回もお楽しみに。
_____……………_____
神谷「絶対に止めろ!」
真冬「噴進弾撃て!!」
赤羽「轢き殺しゃあ止まるだろ」
古庄「何を言ってるの!?」
明乃「目標レ級!攻撃始め!」
光「なんで!?」
赤羽「陽炎!魚雷をぶち込め!」
陽炎「こいつ……っ、仲間を盾に!?」
神谷「突撃隊、出るぞ」
桜井「__ごと撃沈する」
古庄「皆逃げて!」
マチコ「っ!不知火さん!」
不知火「いいから早く!」
神谷「これが怪物の力なのか!」
__「間に合ってよかったです」
……To be continued.