今年もよろしくお願いいたします。
作者「今回の話を書いていて、23話での予告通りのセリフを入れるのが意外と難しかったです。安易に次回予告を入れるべきではない、とわかりました」
陽炎「プロットも作ってない状態で書くから……」
作者「でもやりたくなるじゃん。次回予告見ると続きが余計に気になるようになるし」
陽炎「しっかりと次の話が固まってるから、予告ができるの。ちゃんと全部回収できるのよね?」
作者「頑張ります!」
陽炎「……」
それでは本編へどうぞ。
戦艦レ級flagshipを先頭にした怪物の群れは、西へ向けて高速で移動していた。元々鈍足な低速戦艦のいない編成、35ノット近い速度を出している。
一部の個体は捜索隊からの発砲を受けて損傷しているが、それでもせいぜい少破程度、行動に何ら支障は無かった。
群れが最初に目をつけたのは、真西にいた比叡だった。
オペレーターが声を張り上げる。
「目標は西、比叡に向けて移動中!」
「比叡は!?」
「西へ向け回頭し、現在加速中!目標との距離、約
マズい、と神谷は焦った。
比叡は高速戦艦として有名だが、速力は30ノット程。比べて怪物の速力は35ノット、戦艦レ級に限れば40ノットの高速を誇り、追いつかれるのは目に見えている。さらに比叡はようやく加速体制に入ったばかりで、10km程の差は20分もしないうちに無くなってしまう。
「北風、弁天、攻撃始め!絶対に止めろ!赤羽!スキッパー隊を出せ!」
「了解、取舵回頭90度、主砲撃ち方始め!」
『噴進弾撃て!』
桜井と真冬の号令の後、北風は浸水した船体を苦しそうに群れのいる方向へと回し、未だ健在の主砲を連射。そして弁天は主砲の射程圏外のため、噴進弾を何発も発射した。
だが、北風の砲弾は容易に回避され、弁天の噴進弾は迎撃を受け殆ど撃墜されて、いくつか命中したもののイ級を何体か潰しただけに終わった。
「目標進行速度変わらず!あと10分で比叡が射程圏内に入ります!」
「先頭を狙って撃ちまくれ!」
「司令!スキッパー隊発艦開始しました!」
マップ上に次々と武装スキッパーの
識別信号が表示され、群れに向かって突き進んでいくのが分かる。前の戦いで半数以上が離脱してしまい、全部で11機しかいないがなんとかしてくれるだろう。
……が、肝心のリーダー、S1赤羽の識別信号が一向に表示されない。
隊長不在とは何を考えている。
「何をやってるんだあいつ!」
神谷はすぐに無線で赤羽を呼び出す。
「おい赤羽!何でお前が出てないんだ!サボってるのか!」
『スキッパーの改造が終わってねーんだよ!』
鼓膜が破れそうな剣幕で逆ギレされ、思わず耳を塞いだ。
何ふざけたこと言ってるんだと、こちらからも怒鳴り返した。
「また改造かよ!」
『やっと装甲キャノピーができたんだよ!』
「何でそんなもの作ってるんだ!」
『怪物だって轢き殺しゃあ止まるだろ、だから何匹でも轢けるように戦車並みの装甲にしてるわけ!』
「部隊はどうする!?」
『あたしが行くまでαリーダーに任せてあるから!あとは知らん!』
「ふざけるな!隊長の座をクビになりたいのか!」
『ご自由に!』
キレた赤羽がインカムを叩きつけたのか、バン!と爆音が響き、艦橋にいた全員がうっと耳を押さえた。
あのアホが、と神谷は口には出していないが罵った。
αリーダー率いる10機の武装スキッパー部隊が、怪物の群れへと全速力で向かう。
「αリーダーより各機、最優先目標戦艦レ級flagship。他は自由に叩きのめしてやれ!」
『了解!大和魂を見せてやる!』
『あいつらの仇だ!』
『ぶっ殺す!』
仲間の半数以上が殺され、復讐に燃える隊員達。その炎に呼応するかのように、スキッパーのエンジンがけたたましく唸る。
αリーダーが群れを肉眼で捉えた。次の瞬間、先頭を行くレ級の尾から大きな砲炎が吹き上がった。
砲撃だ。
「目標発砲!各機回避行動!」
素早くそれだけ伝え、舵を左へと切る。
砲撃の命中率はたかが知れている。電子制御のイージス艦ならともかく、手動操作の砲を全速力かつ回避行動に入ったスキッパーに当てるのは、余程の幸運でも無い限り不可能だ。
まず当たらないだろう、と何処かたかをくくっていたのかもしれない。
砲弾が、三式弾だったことに気づかずに。
砲弾が突然スキッパー隊の前方で爆発、大量の散弾という鉄の雨を広範囲に降らせた。
鉄の粒子がスキッパーに浴びせられ、装甲で覆われたボディはともかく、ガラスでできたキャノピーやヘッドライトを破壊した。
「うおっ!!」
α1のキャノピーのガラスが、散弾によってできたたくさんの蜘蛛の巣状のヒビによって真っ白に染まり、ヘッドライトが砕け散った。
α1を含む前衛の6機が散弾をモロに喰らい、制御を失ってスピンし停止、後続の4機はそれをうまく躱して突撃していった。
「クソ野郎……!」
αリーダーは怒りと悔しさから、ドン!とコンソールを殴った。
キャノピーの強化防弾ガラスのおかげで身体には傷1つついていない、しかし、視界が確保できない以上、戦闘継続は不可能だった。
「こちらα1、敵散弾による損傷を受け戦闘継続不能」
『北風了解、貴官らは本艦へと帰還せよ』
「……了解」
αリーダーは力なく答え、スキッパーをUターンさせた。
残った4機のスキッパーが果敢に突撃するが、戦艦レ級の戦闘力は予想以上だった。
『雷撃だ!』
先頭を飛ばしていたS3相田が叫んだ。20本以上の魚雷が、放射線状の白線を残しながらこちらに向かってくる。
逃げ場は無い。そう一瞬の内に判断した相田は、後続を生かすために1発でも多くの魚雷を巻き込もうとスキッパーを真横に向け、緊急脱出レバーを引いた。
リジェクトシートが作動し、相田はボォッ!と空中へロケットのように飛ばされた。
その直後、S3のスキッパーは2発の魚雷を受けて華々しく爆発四散した。派手な爆炎とバラバラになって舞う船体、アクション映画の爆発シーンにピッタリだと、上空でパラシュートに揺られる相田は嘲笑した。
しかし、その派手な犠牲のおかげで、他の魚雷も迷走したり誘爆したりしたため、後続の3機は無事に回避することができた。
「誰か拾ってくれ!」
『了解!』
パラシュートの降下地点に他の隊員がピタリとスキッパーを止め、後部座席に着地させ回収。そのまま戦いのため前進する。
「なんて強さだ……!」
神谷は戦艦レ級の力に恐れを抱いた。
死者こそ出ていないものの、たった1体の怪物の攻撃によって、7/10のスキッパーが戦闘不能に陥ってしまった。
今までの個体とは一線を画す戦闘能力、陽炎が逃げろと言ったのにも納得できた。
とても3機のスキッパーでは相手にならない。
砲弾と噴進弾の飽和攻撃で仕留めるしかない。
「スキッパー部隊!レ級は相手にするな!」
『了解!』
「弁天!攻撃続行だ!」
『おう!』
北風と弁天がレ級の足を止めようと、全速力で追いかけながら弾薬をばら撒き続ける。比叡は追いつかれてたまるかと、死に物狂いで主砲と副砲を撃ちまくる。
水柱が乱立し、爆炎も吹き上がる。
だが、そんな奮闘も虚しく、レ級に迎撃されるか回避されて一発も掠りはせず、ついにレ級が比叡を射程圏内に捉えた。
「比叡が射程圏内に入りました!」
「クソっ!」
レ級は比叡の左舷に回り、武装のついた尾を比叡へと向ける。
そして、獰猛な笑顔を見せて引き金を引いた。
「撃チ方始メェ!」
主砲から次々と砲弾が発射され、それらは寸分違わず、比叡の副砲群に直撃した。副砲が激しくボンボォン!と炎を上げ爆発し、ポッキリと折れた砲身や砲塔の残骸が海へと落ちる。
このレ級は、どうやらそこそこの知恵はあるらしい。戦艦の船体や主砲は重装甲で守られている一方、副砲は目標への追従性を確保するため、軽く薄い装甲しか無い。武蔵の副砲ですら76mm砲で破壊できる程なのだ。だから、小さな砲で戦艦を攻撃するには、副砲等を狙うべきなのだ。
『こちら比叡!左舷副砲群壊滅!至急救援を!』
助けを求める比叡通信士の声が、無線を通して聞こえる。
だが、神谷達には打つ手が無い。
「乗員はできるだけ重装甲区画へ避難しろ!」
悔しいがそう伝えるしかなく、神谷はドン!とコンソールを殴りつけた。
こうしている間にも、比叡は一方的に蹂躙されていた。レ級による無数の雷撃を受け左舷に浸水、僅かにだが左へと傾き速力が低下した。
さらに甲板には砲弾が降り注ぎ、あっという間に蜂の巣状にされていた。
「畜生!何か手は無いのか!」
その時、武装スキッパーのエンジン始動音が、スピーカーを通じて聞こえた。
『待たせたな司令!主役の登場だ!』
ようやく、赤羽のスキッパーの
赤羽のスキッパーがカタパルトにセットされた。正面のカウルはさらに厚く矢のように尖り、キャノピーは戦車の如く装甲に覆われ、前後左右の小さな覗き窓だけが唯一中を覗ける。それ以外の箇所も重装甲化され、威圧感を放っていた。
そんな機体を見て、整備班の誰かが言っていた、「もうスキッパーじゃなくて戦車だよね」と。
『散々待たせたんだ、その分結果を出せ!』
「わーってるって司令、レ級はあたしがぶっ殺してやるよ!S1出るぞ!」
神谷へ堂々と啖呵を切って、赤羽は北風から発艦した。
勿論最初からフルスロットル、重量級の機体をチューンドされたエンジンが、アフターファイアを吐きながら軽々と加速させる。
装甲で重量が増えた分をチューンナップで補い、機動力を確保しているのだ。
「S1発艦、目標まで約10分」
「わかった」
オペレーターの報告に頷き、比叡と連絡を取る。
「あと10分保たせられるか?」
『10分………………はい、大丈夫です』
弱々しい声に、神谷は唇を噛みしめる。
「……踏ん張ってくれ」
未だにレ級の攻撃が続いているが、流石は戦艦比叡と言うべきか、致命的な損傷や火災は無く、浸水も1区画に留まり、速力を僅かに落としただけで全速航行を続けていた。
だが、苛烈な攻撃に晒されている乗員達の心はもう限界だろう。
「赤羽、お前が突っ込むのと同時に残りの火力を全て叩き込む。覚悟はいいか?」
『いいに決まってんだろ!ちゃっちゃとやろうぜ!』
ここは赤羽を信じるしかない、北風は最大火力で赤羽の突入を援護するだけだ。
「斉射用意!」
桜井が頷く。
「了解。砲雷長、主砲及び噴進弾斉射用意!」
「了解。主砲及び噴進弾斉射用意!目標戦艦レ級!」
「あっ!大変です!」
突然、オペレーターが驚きの声を上げた。
「どうした!?」
「晴風が反転して比叡に向かっています!」
「何だと!?」
晴風が突如反転し、激戦区に突入しようとしていた。
☆おまけ
はいふり世界のポケモンはこうなっているかも。
あかね「陽炎ちゃん、ポケモンやる?」
陽炎「やるやる!ソード?シールド?」
あかね「赤」
陽炎「古いっ!」
とりあえずプレイ!
陽炎「名前はレッドで、最初のポケモンは……ヒトカゲ!君に決めた!」
〜ライバル戦後〜
陽炎「よし勝った!それじゃあ早速、トキワシティへGO!」
マサラタウン
陽炎「……へ?」
消えた陸地、広がる海。
陽炎「一番道路が水没してる〜!?」
驚愕の事実!ポケモン世界も水没していた!
陽炎「え!?どうすんの!?泳いでくの!?」
そこへ現れるナナミ(ライバルの姉)。
【レッドくん、あなた、みずポケモンをもってないでしょ。このこをあげるわ】
"レッドはラプラスをもらった!"▽
陽炎「え?」
【それから、これも】
"ひでんマシン04「なみのり」をもらった!"▽
陽炎「……え?」
【「なみのり」できるポケモンをつれてないと、ぼうけんできないわよ】
陽炎「えええ……」
あかね(……やったことあるって言ってたのに、凄い戸惑ってる……。どうしてだろう?)
当然水ポケモンばかりしか出ないし、トレーナーも海パン野郎かビキニお姉さんがほとんどだった。
☆完!
※あくまで想像によるネタです。
次回もお楽しみに。