不知火「ピンクの仮面ライダーになれば自由に行き来できるそうですよ」
(ピンク ジャナイマゼンタダ!)
黒潮「いやなれへんから」
陽炎「平行世界って設定は便利よね〜」
雪風「いくつでも繋げられそうですもんね!」
陽炎「そうそう!……え?もしや多重クロス……?」
作者「その予定は現状無いです」
今回あまり話が進んでない気がします……。
それでは本編へどうぞ。
「平行世界〜?」
不知火の推測を聞いた黒潮は、馬鹿にしたようにジト目を向けた。
「何かと思えば、そんな漫画やアニメみたいなことあるわけ無いやろ」
「雪風知ってます!異世界に行って『私TUEEE!』やって、タイムリープして、ハーレム?とかなんとか作って、現代兵器を作って、女神様を連れて、水色の女の子が『爆裂魔法〜!』って言いながら必殺技を撃つやつですよね」
雪風はハキハキとそう言ったが、色んな作品がごちゃまぜになっている。何故そうなってしまったのか、ちゃんと見なかったのだろうか。というか最後のは何処かの艦隊にいた魔法少女だと思う。
陽炎は優しくそれを指摘する。
「雪風、それ色々こんがらがってグチャグチャになっちゃってるわよ」
「えっ」
「あと、不知火が言ってるのは異世界じゃなくて平行世界ね」
「何が違うんですか?」
「う〜ん、そうね……。異世界っていうのは、魔法があったりエルフがいたりする、常識も通用するか怪しい程の全く違う世界なのよ。
平行世界っていうのは、私達の世界と僅かにズレた世界なの。例えば私達がいないだけとか、起きた筈の事件が起きていなかったりとか。そのズレが積み重なって大きな違いになることもあるけど」
「へえ〜」
雪風はコクコクと頷くが、ちゃんと理解できているかは怪しいところだ。
「ちょい待ち、そない急に平行世界とか言われても信じられんわ」
黒潮の言う事は最もだ。いきなり「貴方は別世界にきました」と言われても、信じられる訳がない。むしろ、そんな馬鹿なことあるか!と叫びたいくらいだ。
「なんか確証でもあるんやろな?」
「ええ、たくさんありますよ」
不知火は頷くと、いつの間に用意していた鞄の中から、作業台の上に次々と本が並べていく。
日本史・世界史の教科書、歴史漫画、その他歴史に関する本、ブルーマーメイド艦船図鑑、等の軍艦に関する本、全部で十数冊が並べられた。
黒潮はその中から日本史の教科書を手に取り、パラパラと流し読みした。
最初の方は黒潮の知る歴史と大差無い、だが1914年の第一次世界大戦が起きなかった辺りから、自分の知る歴史とは大きく変化していた。メタンハイドレートの採掘が地盤沈下を引き起こし、日本列島は100mも沈んだ。沈んだ国土の代わりに巨大なフロート艦を建造し__(以下略)。
一通り読み終わった黒潮は、信じられないといった目を不知火へ向ける。
「……これ、本物なんか?」
「他のも見てください」
そう促され他の本も読んでみるが、他の本も教科書と同じ事が書いてあった。
「……全部偽物って線は……?」
「wikipedi○でもピ○シブ百科でもニコニ○でも同じ事が書いてありましたし、通信教育用の資料も同じでした」
「マジかぁ……」
「お姉ちゃん!この艦の図鑑凄いの載ってます!」
「ん?」
この本達が偽物である可能性を潰され頭を抱える黒潮に、雪風が「ブルーマーメイド艦船図鑑」を見せた。
「『雪風』が沈んでないみたいです!」
開かれたページには陽炎型航洋艦の紹介と共に、こんな記述のついた港に泊まる雪風のカラー写真が載っていた。その隣にはイージス艦が隠れてだが写っており、記述が間違いで無いことを示していた。
『2014年、救助活動に参加した後の雪風、小笠原港にて』
「『陽炎』も『不知火』も『黒潮』も、『初風』『天津風』『時津風』も!陽炎型全部沈んでないそうです!雪風会ってみたいです!」
雪風は子供のように嬉々とはしゃぐ。
その一方で、黒潮は陽炎型駆逐艦が何故沈んでいないのか考えていた。
教科書によれば第一次世界大戦も第二次世界大戦も起こっていない、だから其処で沈む筈だった艦が沈まなかったのも頷ける。
平行世界という可能性が、確かに出てきた。
「……そういう平行世界ちゅーことか……、他の艦はどうなんや?」
ページをめくり他の艦も確認していく。
「吹雪型、初春型、白露、夕雲、秋月……川内、長良、球磨……。ホンマにどれも沈んでないんやな……」
70年も前の骨董品を未だに、しかも大量に使っているのには、感心を通り越して呆れるが。そんな時代のものは自動車でも蒸気機関車でもほとんど動いてないのに。
「納得して貰えましたか?」
不知火が黒潮の顔を窺いながら聞いてきた。
正直これだけ証拠を突きつけられても否定したい、否、逃避したい気分でいっぱいなのだが、自分達の置かれた状況が、平行世界だからという理由ですべて説明がつく。
違う世界なのだから、ネットワークの規格が違って当然だし、自分達の知らない艦隊がいても、自分達の記憶と違う歴史があっても当然なのだ。
「まあ……、半信半疑ってとこやけど、取り敢えず不知火の言う通り、平行世界っちゅーことで進めてええで」
「わかりました。雪風は?」
「なんとなくわかりました」
「なら話を進めます。平行世界に来たという仮定をすると、どうして元の世界からこちらに来たのかが問題です」
「私と不知火はさっぱりわからないのよ。何か心当たりは無い?」
陽炎が黒潮と雪風に問いかけた。
2人ともしばらく「う〜ん」と唸っていたが、黒潮が何か思い出してポンと手を叩いた。
「そや!思い出したわ!あんた等が消えた時、
「「雷?」」
「普通の雷とは偉い違うらしくてな、エネルギー量がー、磁場がー、とか夕張はんと司令が話しとったで。詳しいことは聞いとらんけど」
「雷、ねぇ……」
雷で転移ってジパン○か、と陽炎はそんな感想を抱いた。
「もしかして、黒潮と雪風もその雷に巻き込まれたのでしょうか?」
「その可能性が高いわね……、後で司令にでも確認しよっか」
「はい」
陽炎はふと思い出す、駆逐棲姫が沈む直前に遺した言葉。
(……………………ニ…………呼バレ…………)
(呼ばれた!?誰に!?)
これが人為的なものだとしたら、一体誰が、何のために、どうやって。
未確定なことが多すぎて、未だに事態の輪郭すら見えてこない。
何もわからなくてイラつく、早くどうにかしたいのに。
◇
同時刻、晴風教室にて。
「雪風ちゃんと黒潮ちゃんが出現したと思われる時間……貴方が晴風に乗り込んだ少し後に、晴風に
桜井は動画を部隊内に拡散しようとした赤羽を真っ白になるまでチョークマシンガンで撃ちまくった後、神谷に対し新たにわかったことの説明をしていた。
桜井としては怪我人にはとっとと寝てて欲しかったのだが、この頑固者はそれどころか艦隊の指揮に戻ろうとしやがった。手刀で落とそうかとも考えたが、首も痛めているかもしれない人間にやるほど残酷では無い。
とにかく全部教えてあげるから、後は任せなさい。それでも引き下がらないんだったら麻酔を首筋に打ち込む。__と脅して、不服そうに不承不承頷く神谷から指揮権を強引にぶん取った。
神谷が変わらず不機嫌そうな声で尋ねる。
「どんな雷だ?」
「雲1つ無い晴天での落雷、通常の10倍を超えるエネルギー量、さらに
「……」
あまりの理解不能さに、神谷ですら黙り込む。
ご存知かと思うが、雷とは雲の中に存在する氷の結晶によって発生した静電気が放出されることによる現象である。すなわち雲が無ければ雷が落ちることはあり得ないのだ。
通常の10倍ものエネルギー量を持つ、落ちることすらない筈のない雷、明らかな異常気象だ。
「EMP並みと言ったが、電子機器への影響は?」
「晴風の管制装置が一瞬ダウンしただけ、他の艦には影響無しだよ」
「……その雷が雪風達を転送してきたとか言わないだろうな」
「……言うとこだったのに」
「マジか……」
頬を膨らませる桜井を前に、はああ〜、と神谷が頭を抱えて大きくため息をつく。思いつきかつ冗談で言ったが、そんなアニメやラノベみたいなことあってたまるか。
「私はその可能性が高いと思うよ。突然現れた少女と、ちょうどその時落ちた異常な雷、関係ないとは思えないでしょ?」
「なんかそういうアニメあったよな、雷に打たれて気がついたら全く知らない場所にいたって奴」
ようやく真っ白からカラーへと、復帰した赤羽がそう口を挟んだ。
「アニメはアニメだろう、ここは現実だぞ」
「『常識に囚われてはならない』って言うじゃん?実現可能じゃねーものでも、一旦疑ってみるのがいいと思うよ?もう怪物に陽炎に、あたし等じゃちんぷんかんぷんな連中が出てきてるんだし」
一理ある言葉に神谷は黙り込んだ。そのスキを見て、桜井が次の証拠をねじ込む。
「晴風のカメラやログも調べてみたけど、雪風ちゃんが晴風に乗り込んだ形跡も、黒潮ちゃんが接近してきた形跡も無いのよ。それに、いくら生徒が半ばパニック状態でも、あの時晴風の周りには
「むう……」
神谷は腕を組んで唸った。未だに信じられないが、様々な証拠が雪風と黒潮が突然現れたことを示していた。
その様子を見ていた桜井は、フッと笑うと肩をすくめて言った。
「……まあ、結局本人に確認しないと確定はできないんだけどねぇ」
「後で聴取を頼む」
「はいは〜い」
__まあ、正直にペラペラ喋ってくれるとは思えないけど。
桜井は軽い返事の裏で、内心そうぼやいた。
◇
「平行世界云々はひとまず終いにして、ウチらはこれからどうするべきなんや?」
黒潮からポッと出された素朴な疑問に、陽炎と不知火の動きがピシリと固まり、気まずそうに声を漏らす。
「……あー……」
「えっと……」
「なんも考えてないんかい!」
「いや……、ね。考えてはいたのよ?でも私達、相当マズいことになってるんじゃないかなー……って」
「マズイことやと?」
「……人間じゃないって……深海棲艦と似てるってたぶんバレてる」
「はあっ!?」
バン!と机をぶっ叩くと、2人の身体がビクンッと跳ねた。
「どういうことやねん!」
「あのね……、駆逐棲姫の戦いの後に一通り検査されて……」
陽炎が人差し指同士をツンツンと突き合わせながら、申し訳無さそうに語る。
「なんで断らなかったんや?」
「……だって、ドックないから腕とか肋骨とか直ってるかわからないし……、血液検査も感染症云々とか言われたら結局引き下がれないし」
「あー……確かにその通りやな……」
「……あと、あそこにあったバラバラ死体」
「あー、あれやな?
「あれ、不知火」
「あー」
黒潮はだいたいわかったようで頷いた。死体が生きているという、普通の人間なら矛盾したおかしな話なのだが、艦娘の間では割とよく聞く話だった。
「不知火、あの世でも幸せにな」
「枕元に出てやりましょうか?『う〜ら〜め〜し〜や〜』」
「『う〜ら〜め〜し〜や〜』ですっ!」
幽霊のふりをする不知火に便乗して、雪風も幽霊のポーズを真似する。でも、本当に呪われそうな不知火に対して、雪風には幽霊みたいなおどろおどろしさはこれっぽっちも無くて、それがどこか可笑しくて、陽炎と黒潮はケラケラと笑った。
雪風がキョトンと首を傾げる。
「?何処か変でしたか?」
「ううん、こんなかわいい幽霊になら毎日出てきて欲しいなって」
「不知火はどうですか?」
「出てきたら塩をぶちまける」
その一言に不知火が真っ白になって崩れ落ちる。お前がそうしたんやろ、自業自得や。という黒潮のツッコミも聞こえていないようで、イラッとして蹴ったら元に戻った。
「しっかし、
「本当に死んだと思いましたよ」
「幸運の女神様に感謝ですね」
「念のために
黒潮が自分の持ってきた高速修復材入りの銀の筒型容器を叩く。
2人がもしも命の危機に直面していたら、すぐ治せるように高速修復材を持って捜索に出たい。という雪風の要望に、提督は2つ返事で承諾し雪風と黒潮に1つずつ持たせていた。
もし雪風が言い出さなかったら、提督が出し渋っていたら、不知火の命も雪風の命も無かっただろう。
「んで、不知火の死体がどうかしたんか?血で汚したくらい別に問題じゃないやろ?」
「艦娘は四肢をもぎ取られても、内臓を抜かれても一瞬で復活できるって教えたってことよ、しかも高速修復材も僅かだけど床に残ってる」
「「あ……」」
さあーっと黒潮と雪風の顔が青ざめる。
「私達の身体は頑丈で傷の治りも早いし、病気にもかかりにくい。おまけに失った四肢すら元に戻せる、魔法の薬品。病院から軍隊、テロリストまで欲しがる垂涎もの。そんなのが突然現れたらどうすると思う?」
不知火が言葉を継ぐ。
「争奪戦、で済めば不知火達にとってはどうでもいいですが……。その後勝者がこちらに何をするか……」
「何って、なんですか」
不安そうな雪風に、陽炎は指をメスにみたて、自分の腹をスウーッと切る真似を見せる。
「人体解剖、あるいは人体実験」
雪風の顔から血の気が失せ、さらに青ざめた。唇の感覚が無くなり、ただ冷たいことだけが伝わってくる。
「そ……そんな、嘘ですよね……ねえ……」
「私達の世界なら、軍やら国やら国連やらが目を光らせてたし、そもそも艦娘や艦娘に似た技術はどこの国も持ってたから。そんなことを考えるのは余程の大馬鹿しかいなかったけど、この世界に艦娘は私達だけだし、この艦隊の所属のブルーマーメイドもむしろ欲しがる側だから、守ってくれるとは言い切れないのよ」
陽炎から語られた事実に他の全員が黙り込んだ。
いつも任務や戦闘以外ではお気楽に、身の危険も感じずに街に出て買い物したり遊んだりしていた。それが軍や国の庇護によって保障されていることは知りながらも、
それが今、遭難して未知の世界に来たことで、ハッキリとした恐怖となって現れた。
「__しかし、現状どうすることもできません」
不知火の発言で、余計にその場の空気が重く沈む。
「他の国へ亡命しても結局は同じですし、姿を隠して生きるにはお金も何も足りません。このままなるようになれとしか……」
「希望は無いんか希望は!」
あまりの詰みっぷりに黒潮が机をドンと叩いて叫ぶ。
「ブルーマーメイドのトップが優しい人なことを祈るしかないですね……」
「う〜ん……、ブルーマーメイドのトップって、どんな人なんだろう……?」
陽炎がそんな疑問をポっと出した。不知火がタブレットでブルーマーメイドのホームページを見て答える。
「1番上は国交大臣のようです」
「いや上過ぎぃ!雲の上の人じゃなくて、現場クラスでトップの人は!?」
「現場クラスですか……、海上安全委員会、海上安全整備局……海上安全監督室……保安監督隊……どれなんでしょうか……?」
「わかんないの?」
不知火は暫くタブレットとにらめっこしていたが、結局諦めて匙を投げた。
「初めての組織なんですから、わかるわけ無いです」
「それもそうね。なら聞こっか」
「聞くって誰にですか?」
そう問われて悩む、余計な詮索はせず、そういうことに詳しくて、あっさりときちんと教えてくれそうな誠実な人は誰か。
生徒には今は聞けない、正規の隊員の中でそれに合致するのは……。
「う〜ん、赤羽さんはテキトーっぽいし、副司令は腹黒だし、古庄教官と真冬艦長は治療中……。残るは司令かな?」
「しれえですか?」
相変わらず雪風が「司令」と呼ぶと、何故か変に訛っている感じに聞こえる。
「あ、この艦隊の神谷司令ね」
「どんな人ですか?」
不知火が教える。
「レ級flagshipの近くにいた2人の内の男の方です」
「あの人ですか、…………うん、大丈夫だと思いますよ」
「一応聞くけど、根拠は?」
陽炎が尋ねると、雪風はニコッと笑って言い切った。
「勘です!」
「よし!雪風の勘ならOK!」
「なんでやねん!」
そんなことを自信満々に親指を立て言う陽炎に、ビシッと黒潮のツッコミが入った。
陽炎と雪風で教室に行き、話があると言って神谷だけを引っ張り出すことに成功した。
その際、予想通り桜井が代わりについてこようとしたが、丁重にお断りしておいた。論理的や合理的な説明なんて無理なので、雪風に上目使いで、
「しれえにしか話せないことなんです。だから、ごめんなさいお姉さん」
と必殺攻撃を使ってもらったのだ。
桜井も他の隊員の前でそんなことをされては無理矢理ついてくることはできず、笑って見送ってくれたが、雪風は後で「副しれえは悪い人じゃないですけど、なんか怖いです」と言っていた。
あんた何やった。
と思っていたら、男性隊員達や赤羽の「司令がロリっ娘に釣られてくぞ」「艦長から乗り換えか」なんて大笑いが聞こえたと思うと、それが暴力音と僅か一瞬の断末魔に変わった。
……後で線香でも供えに行こうか。
神谷を連れて通路の1番艦尾へ移動して、周りに人がいないことをキョロキョロと確認する。
ちょうど確認し終わったところで、神谷の方から切り出してきた。
「俺にしか話せないこととはなんだ?」
「……この件の指揮官ってどんな人?」
「指揮官?……あー、そういうことか」
神谷はその一言で理解したらしいが、理由を言葉で聞くことはせず、ちらりと陽炎の瞳を見るとあっさりと教えてくれた。
「全体はどうかは知らないが、お前達のことを把握しているトップは宗谷だから安心していい」
「宗谷?」
それって真冬艦長のこと?と尋ねる前に追加説明が入る。
「宗谷真霜。一等保安監督官、海上安全整備局安全監督室長、わかりやすく言えば現場のブルーマーメイドやホワイトドルフィンを纏めるトップだ。そして真冬艦長とましろ副長の姉でもある」
「ほえー、ブルーマーメイド一家なのね」
「そうだな。話を戻すが、宗谷室長は非人道的なことや義理に反することが嫌いだ、お前達の心配しているようなことは一切しない」
「そう……いい人なのね」
「ああ、全力で守ってくれる。だから安心しろ」
神谷は「筈だ」や「だろう」等の推測や曖昧な言葉は一切使わずに、真霜に任せろと言い切った。誤魔化しや嘘が1%も混じっていない声で。
だからだろうか、不思議と安心感が出た、司令の言う通り宗谷真霜に任せれば大丈夫だと。
「陸に戻ったらすぐに宗谷室長と会えるように手配しておく、その後のことは申し訳無いが本人から聞いてくれ」
「十分すぎるくらいだわ、ありがとう」
「礼には及ばん、あたりまえのことをしているだけだ」
「フッ……そうかもね」
「話はそれだけか?」
「ええ」
「なら、1つ質問していいか?」
「何かしら?」
「お前達は別の世界から来たのか?」
「!?」
突然核心に直撃弾がぶち込まれた。
あまりにも真っ直ぐに聞かれたので、びっくりしてひっくり返るかと思った。横で雪風も目を丸くさせている。
「……ず、随分馬鹿正直に聞くのね」
「お前達相手に妙な駆け引きをしたくないだけだ」
どれだけ律儀にしてくれるんだか、呆れを通り越して尊敬の域だ。
「ちなみにそう思う根拠は?」
「知識や常識のズレに艤装の未知のテクノロジー、黒潮と雪風の突然の出現。こんなところか」
「……知識のズレって?」
「色々調べているんだろう?特に歴史や兵器について熱心に」
「そこまで知ってるなんて……」
行動を監視……いや嗅ぎ回られていたみたいで癪に触る。だが、そこまで知られていたら、もう隠しておく必要もない。
「荒唐無稽で現実味の無い仮説だとは俺も思っているが、どうなんだ?」
再度の問いかけに、陽炎は大きく息を吐いてからこう返した。
「証明不能、とだけ言っておくわね」
「どうやって来た?」
「知らない、気がついたら晴風にいたの」
「雪風もです、お姉ちゃん達を探してたら突然……」
「お前達の意思では無いんだな」
「うん、だから私達も原因を探してる」
「どうやら雷が落ちると同時に転移してきたようだが、詳しいことはまだわからん」
「それは私達も、もう知ってるわ」
「そうか……」
「……………………どんな世界から来たのか?とか聞かないの?」
「陸で宗谷室長に聞かせてやってくれ、生憎今聞かされても頭がこんがらがるだけだ。緊急性のあるものなら聞くが」
「……急ぎのは無いわ」
「ならいい」
こいつあっさりし過ぎだろ、と陽炎は却って呆れた。普通の人なら興味深々に食いついて来そうなのに、この男は全然追及してこない。
ガチャリと扉の開く音、そちらに目をやると医務室から美波が出てくるところだった。だいぶ疲れた様子で、ところどころに血のついた手術着を脱ぎながらだった。
古庄の手術が終わったようだ。
「鏑木衛生長、古庄教官の容態は?」
神谷が尋ねた。
「ひとまず安定している、しばらくすれば目を覚ますだろう」
「そうか、よくやってくれた。ご苦労様」
陽炎もホッと胸を撫でおろした。
これで戦艦レ級flagshipによる死者はゼロ、誰も死なずに済んでよかった。
「古庄教官も大丈夫なのねぇ、よかったぁ〜」
ふわ〜っとした声、桜井も何故かここにやってきた。
「桜井艦長どうしたの?」
「手術が終わったみたいだからぁ、様子を見に来たの。美波ちゃんお疲れ様〜」
「……どうも」
桜井はその後医務室の扉を開け、弁天の衛生長と言葉をいくつか交わす。そして扉を閉めると、陽炎へ話しかけてきた。
「陽炎ちゃん、用件は済んだ?」
「ええ……」
「
「聞きたいことは全部聞けた」
「うん、ならオッケーねぇ。陽炎ちゃん、ちょっと一緒に来てくれる?」
「何処へよ?」
警戒し身構える陽炎に対し、桜井は真面目そうな表情で答えた。
「晴風の皆のとこ」
作者「なんか今回あまり進んでない気がする……。まあ切り替えて行こう。次回、久しぶりのはいふり勢!」
ましろ「メンタルボロボロですけどね……、ふふふふふ……不幸だわ……」(壊)
鈴「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ__」(壊)
作者「ヒエッ」
幸子「さあ、(執筆&シリアス)地獄を楽しみな」
次回もお楽しみに。