現在頑張って書き進めてはおりますが、1月に1話という目標も怪しくなっています。実質不定期更新になってしまうかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。
ましろ「前回の終わり方と今回のサブタイトルにギャップがあるんですが……」
作者「戦闘回に突入させようと思ったら、いつの間にかこうなってた」
追記:6/17誤字訂正を行いました。Kongmu様、誤字報告ありがとうございます。
それでは本文へどうぞ。
北風から発進した、海に溶け込む深い青色のスキッパーが天神に収容された。
古庄と真冬がその来客を出迎える。
後部座席からはきっちりとホワイトドルフィンの制服を着た男が出てきた。歳は30くらいだろうか、髪は清潔に短く切りそろえられていて髭もきちんと剃られている。眼はキリッとしていて、顔立ちもいい、中々のイケメンだ。
一方、運転席から出てきたのはブルーマーメイドの制服をラフにだらしなく__ボタンはいくつかはずしてあり、ネクタイはゆるゆる__着た20代の、明るい茶色のポニーテールの女性が出てきた。何処か気怠そうな印象を受ける。
「第4特殊部隊司令、
「第4特殊部隊スキッパー隊隊長、
「横須賀海洋学校教務主任兼天神艦長、古庄薫です」
「即応艦隊所属弁天艦長の宗谷真冬だ」
互いに自己紹介して、敬礼を交わした。
神谷が切り出す。
「簡単には聞いているが、改めて現状を知りたい。説明してもらえるか?」
「わかりました。こちらへ」
古庄が会議室へと先導する。その後を神谷、赤羽、真冬が続く。
歩き出してすぐ、古庄が尋ねた。
「第4特殊部隊は任務遂行中のはずではありませんでしたか?」
それに神谷は淡々と答える。
「正確には任務を中断して帰港中だ」
「中断?」
「貨物船の護衛任務だったんだが、
トラブルのニュアンスだけが違うことに気づいたが、何も触れないことにしておく。たぶん聞いてはいけない。
その後ろでは、赤羽が真冬と話していた。
「あんた、室長の妹なんだって?」
「それがどうかしたか?」
真冬はぶっきらぼうに返す。
自分が宗谷真霜の妹であるからなんだと言うんだ。
赤羽は相変わらず気怠そうに答える。
「いや、室長と違って武闘派って感じだから意外だっただけ」
「そうかよ」
「もっとひ弱そうな奴かと思ってた」
「そんなんじゃ艦長務まらねえだろ」
「そーかな」
「お前こそ、スキッパー部隊のリーダーだって?若いのに凄えじゃねえか」
「全然、前任がくたばっちまって繰り上がりでなっただけ、凄くともなんともないよ」
赤羽は軽く欠伸をした。不謹慎な行為に真冬がムッとするが、本人は全く気にしていないようだった。
こいつとは打ち解けられないな。と真冬は思った。
神谷達は会議室で資料に一通り目を通したが、あまりにも現実とは思えない事態を目の当たりにして、驚きを隠せなかった。
ずっと特殊部隊を率いてきた神谷も眉をひそめて言った。
「海賊やテロリストとは何度も戦ったが、こんな化物は見た事無いぞ。こいつらは何だ?」
「確かなことは何も……」
「仕方が無い、とりあえず能力だけはまとめておくか」
神谷は端末を操作し、深海棲艦の能力をざっと書き込んでいく。
「死体も回収できてないのか?」
「はい……、残念ながら」
「手がかり無しか……」
神谷は内心ため息をついた。
「今わかっているのは、大きく分けて人型と鯨型がいること、移動速度は最高で38ノット前後。
攻撃能力は小型砲及び小型魚雷、砲は大きくても5cm程だが威力は高い。
防御能力は個体によって違うが、拳銃は通用せず、晴風の25mm機銃なら撃ち抜ける奴もいた。
そんなところか……」
恐るべき能力を前に、どうやって戦うか頭を悩ませる。
近づいたら勝ち目が無いのは目に見えている。噴進魚雷やロケット弾によるロングレンジ攻撃が有効か、だがもしそれをくぐり抜けられたらどうする。北風のCIWSで迎撃しきれるか。
いくつもの可能性を頭の中でシミュレーションしていく。
「まともに殺りあったら勝てないかもしれないなな……」
勝てる可能性は3割、それも多くの犠牲を払うことになるだろう。
それが神谷の予測だった。
「__古庄教官、これは?」
赤羽が置かれていたタブレットを手に、古庄を呼んだ。
それには、陽炎、不知火、深海棲艦等と見慣れない言葉が書かれていた。
「ああ、それは戦闘中に晴風が保護した少女の聴取記録よ」
「戦闘中に?巻き込まれた民間船はいないって聞いてるけど?」
「ええそうよ。でもね、その娘達は突然現れたらしいわ」
「突然?」
赤羽はタブレットのファイルをあさり、入っていた映像ファイルを開いた。
それは不知火が深海棲艦と戦う映像だった。
「……へえ、面白いじゃん」
赤羽は悪戯っ子みたいな笑みを浮かべて、それを見ていた。神谷が赤羽の様子が変わったことに気づいて声をかけた。
「赤羽どうした?興味深い物でもあったか?」
「うん、面白い奴が出てきたよ」
赤羽はそう言って、タブレットを神谷へ向けて放り投げた。クルクルと回転しながら放物線を描く。
危険極まりない行為だが、神谷は驚きもせず片手で見事にキャッチ、映像に目を通す。
「…………ほう、これは凄いな……、化物と同等の航行能力と攻撃能力……防御力も人とは比べ物にならない……」
神谷は確信した。この2人が化物との戦いを有利に進めるための鍵を持っていると。
「古庄教官、この2人は何処にいる?」
「晴風にいますが……」
「晴風か……なあ、赤羽」
「はーい?」
「お前はこいつらに話聞いて来い」
「あたしが?司令は行かないの?」
「こんな漢がブルマーの学生艦に入ったら、向こうが萎縮するだろう?」
「そんなこと無いと思うよ?隊長イケメンだから、モテモテなんじゃない?」
「それは無い。いいから行ってこい」
「はいはい、ホントつれないね」
赤羽は神谷に対し、つまらなそうな返事をしてから、会議室を後にした。
◇
「退屈ねー」
陽炎と不知火は医務室で暇を持て余していた。
端末はつい先程、明乃に艦隊情報を覗いたのがバレてしまい、ネットワークからログアウトさせられてしまって、使えなくなった。
不知火の持っていた総合情報処理端末も艤装とともに没収されていている。
やることが何も無い。
目の前の小さな医者も、字の細かい医学書とにらめっこしてばかりだ。
「お医者さーん、何か暇潰せるもの無いの?」
「生憎ここには無い」
「ちぇっ、つまんないな」
陽炎はふてくされて、ベッドに乱暴に倒れ込んだ。ボフンと、ベッドが音をたてる。
「せっかく陽炎型に乗れたんだから、見て回りたいわね」
「同感です」
元々「艦」としての陽炎型だった陽炎と不知火だが、実は内部構造はほとんど知らない。元からわかるのはせいぜい、艦橋や缶、武装の位置くらいで、残りは本を読んで知った。他の艦娘も内部のことはさっぱりだそうで、とある艦娘曰く「自分の中身が見える訳無い」とのこと。全くその通りだと納得した。
だから、自分達の知らない晴風と言う艦とはいえ陽炎型に乗れたのだから、中を見て回りたいと思った。
だが、美波が釘を指す。
「残念だが、艦の中を自由に歩かせるわけにはいかない。いくら恩人とは言え貴女達は部外者だ、艦の中を歩き回られたら…………」
振り返ると、いつの間にか陽炎がベッドから消えていた。
「……陽炎さんは?」
「でかけました」
不知火はいけしゃあしゃあと言った。
足が使えない自分が行っても足手まといになるだけだ。なら陽炎だけに行ってもらい、たっぷりとお土産話を聞かせて貰おう。
不知火は期待を膨らませつつも、美波の前では平然を装った。
◇
陽炎はどこから回ろうか思考を巡らせた。
まずは駆逐艦の命、魚雷発射管から回ろうか。
61cm4連装魚雷発射管
姿形が変わろうとも今も愛用している馴染みの装備。
本等で見た当時の姿を思い返しながら足を踏み入れた。
「……何……ここ……」
しかし、そこは未知の空間になっていた。
スッキリとしたコンソールにハンドルが1つとレバーが数本。
あの頃の発射管とは思えなかった。
コンソールを確認すると、一番~四番のレバー、発射スイッチ、次弾装填スイッチが人1人で扱えるようにコンパクトにまとめられていた。
省力化の図られた艦としては正しいのだが、陽炎には受け入れにくい。
「……なんか違和感あるな……」
そう呟き、次の場所へ向かった。
次は主砲か機関室かと考えながら通路を歩いていると、向こうから美千留がやってきた。手にはたくさんのお菓子や飲み物を抱えている。
美千留は陽炎と会うのは初めてだった。
「あら?貴女誰?」
「陽炎よ、話聞いてないの?」
「ああ、海の上を滑ってたって子?」
「滑ってた……間違ってはないけど」
普段は航行と称しているので、「滑ってた」には違和感があった。
「怪我してるのに出歩いて大丈夫なの?」
「大丈夫よ、こう見えても私身体丈夫なんだから」
「そう……?」
大丈夫と言われても、左腕は吊られていて身体中に包帯がぐるぐる巻かれている姿は、とても痛そうで見ている方が辛い。
「何処か行くの?」
「特にアテはないわ、陽炎型の中を見て回りたいの」
「陽炎型、好きなの?」
「ええ、凄くね」
「名前が同じだから?」
「う〜ん、まあそうね。私の名前は一応、駆逐艦陽炎から来てるし」
「へ、へえ〜……」
艦から名前をつけるなんて、どんな名付け親だ。とドン引きした。余程の艦マニアじゃなきゃ付けないだろう。
艦の中を見て回りたいと言っていたが、どうしよう。本当は見せてはいけないのだけれど、一緒に戦ってくれたし、ちょっとだけならいいか。
「私砲術委員なんだけど、主砲見せてあげよっか?」
「ホントに!?いいの?」
陽炎は目をランランと輝かせた。
本当に艦が好きなんだ。と美千留は思った。
点検中である第二主砲へと案内する。
「今ちょうど点検中で、中が見れるよ」
「中はどうなってるの?」
「自動化されてるから人は入らないわ」
「自動化ね、まるでイージス艦みたい」
「でも照準は手動で、射撃指揮所から遠隔操作するの」
「それ意味あるの?」
第二主砲の真下にある主砲内部への入口に着くと、順子が中で点検作業をしていた。
「じゅんちゃん、飲み物買って来たよ」
「ありがとうみっちん!」
美千留が放ったスポーツドリンクのボトルを片手でキャッチ、喉が渇いていたのかすぐに蓋を開けて飲み始めた。
「どうだった?」
「何も異状なし。ただ、どの砲塔も弾薬が少なくなってるよ」
「ずっと撃ち続けてたし、しょうがないよね」
「ところで、その子誰?」
順子は陽炎の方を見た。
「この子は__」
「陽炎よ、よろしくね」
美千留が紹介しようとしたが、陽炎が遮った。
「ちょっと中見させてもらうわね」
「え?ちょっと!」
順子を押し退け、主砲内部に入る。
中は意外とシンプルに纏められており、中央に砲身と次弾装填装置、遠隔操作用の受信機や駆動装置、そして予備の制御盤が置かれていた。
昔の面影は無い、機械の巣窟。
「ふ〜ん、ずいぶん機械化されてるのね。この主砲、どのくらい速く撃てるの?」
「毎分60、つまり1秒1発ってとこ」
美千留の答えに、陽炎は目を丸くした。
「イージス艦と遜色無いじゃない。……陽炎型の12.7cm砲じゃないけど、これ何の艦の砲なの?」
「いろんな艦の予備パーツを集めて造ったって、教官は言ってたけど」
「そんなのよく積めるわね」
興味深そうに内部を観察している陽炎を見て、順子が美千留に耳打ちする。
「見せちゃっていいの?」
「悪い人じゃないんだし、いいんじゃない?」
「後でガミガミ怒られても知らないよ」
陽炎は中の様子をだいたい知ることができて満足したのか、主砲から出てきた。
「ありがと、面白かったわ」
「満足した?」
「ええ。次は何処に行こうかな」
「他も回るつもりなの?」
「もちろん」
晴風を博物館か何かと間違えてないか?と思う。
「悪いけど、他の場所はウチらの担当じゃないから……」
順子がやんわりと散策をやめるよう、諭そうとしたその時。
「何してんでい?」
麻侖が偶然通りかかり、陽炎を見て首を傾げた。
「あんた誰だ?」
「陽炎よ」
今日何度目かわからない自己紹介をする。いい加減疲れるから、どうにかして欲しい。
「おお、話は聞いてんぜ。あの化物共をぶっ飛ばしたんだってな」
「まあね」
陽炎は麻侖の元気のいい江戸っ子口調を聞いて、涼風みたいだと思った。明るく場を盛り上げてくれるムードメーカータイプだ。
「んで、お前さんは何してるんでい?」
「この艦の中を見て回ってるの。もしよかったら、案内してくれない?」
「悪いけど、機関の面倒見なきゃいけねぇんだ。でも、機関室だけでも見てくかい?」
「いいの!?やった!」
陽炎は喜んだ。
図らずも機関室は見学できることになった。他の場所も、別の人に案内を頼めば見れそうだ。
「ただ、暑いから気ぃつけてくれよな」
「大丈夫よ」
「じゃあ、行くぜ」
麻侖の先導で機関室へ向けて歩く。
美千留と順子は2人を見送ると、主砲の点検作業に戻った。
「戻ったぞ」
麻侖と陽炎が機関室に入ると、ムワッといた熱い空気が立ち込めていた。
陽炎も思わず顔をしかめる。
こんな蒸気の充満した中に学生を詰め込んでるのか、暑くてたまったもんじゃない。ブラック鎮守府ならぬブラック駆逐艦かここは。
「機関長お帰りー、その子誰ー?」
制御盤とにらめっこしていた留奈がこちらに振り向いた、そして他のメンバーもヒョコヒョコと顔を出す。
麻侖が陽炎を大袈裟に紹介する。
「てやんでい!こいつは陽炎ってんだ。化物共をバッタバッタとぶっ倒してた奴でい!」
「えっマジ!?」
「この子が!?」
みんながバッと一斉に陽炎に押し寄せた。
「貴女凄いね!あんな怖い怪物を倒しちゃうなんて!」
「どうやって海に浮いてたの!?」
「どこから来たの!?」
「ちょ、ちょっと待って!そんなに一度に話しかけられても!」
機関科4人組からの質問攻めにたじろぐ陽炎、その様子を見かねた洋美が声をかける。
「こら!まだ機関は直ってないんだから、質問は後でいいから早く修理しなさい!」
「は〜い」
やる気のない返事を残し、4人組は渋々持ち場に戻った。
「悪いな、みんなお前さんのことが気になってんでい」
「……そうなの?」
「艦長達の命の恩人だしな。それに運び込まれた時、美波さんが珍しく声を荒げてたから、そんなにヤバイのかと思ったんでい」
「美波さん?」
「あのお医者さんだよ」
それを聞いて納得した。あの小さな医者はさっきは落ち着き払っていたが、陽炎達が晴風に収容された時は結構慌ててた気がする。
まあ、陽炎達の怪我がとても酷かったので、当然の反応だろう。
「ま、自由に見ていってくれよ。手を触れなきゃいいからな」
麻侖はそう言って蒸気バルブをレンチで締め始めた。すると、蒸気の供給量が減り、一部の蒸気管からの蒸気漏れが治まった。
「全く、高圧缶のお守りは大変でい」
陽炎はそれを聞いて尋ねる。
「この艦高圧缶なの?」
高圧缶は島風に搭載するために製作された、高温高圧高出力型の缶だ。陽炎型の天津風がそのテストの為、高圧缶を搭載していた。
機関が小型化されたにも関わらず、他の陽炎型と同じ52,000馬力を発揮していた。
だが、晴風の機関はそれとは別物だった。
「おう、こいつは高圧缶だから6万馬力あるんでい」
「6万馬力!?」
陽炎はびっくりした。自分達より8,000馬力もパワーアップされているとは思わなかった。
晴風の高圧缶は小型化せずに、機関の高出力化を念頭に製作された。だから、横須賀女子海洋学校最速の37ノットもの高速能力を手に入れたのだ。その代わり故障も増えてしまったが。
「特型並の速力にイージス艦クラスの砲撃能力とか……、とんでもない艦ね……」
晴風の驚異的な性能を知り、陽炎は舌を巻いた。
彼女の目の前では、2基のタービンが出番を待ち望むかのように、独特な駆動音を立て回り続けていた。
陽炎は麻侖に礼を言い、機関室を後にした。
「機関を見せてくれてありがとう」
「いいって。もし他のとこ見てくんなら、副長には見つかんなよ。うるさい奴だかんな」
「規則一辺倒ってことね」
「そんな感じでい。ま、ウチらがゆるゆるしてっから、そう見えるだけなんだけどな」
「副長ってどんな人?」
「黒いポニーテールの奴でい」
「わかった。気をつけるわね」
麻侖は手を振って陽炎を見送った。
陽炎はアテもなく、ふらふらと歩き回ることにした。偶然ついた場所を順番に見て行こうと考えたのだ。
学生艦なのだから教室等も完備されている筈だし、現代に合わせて居住区画も変更されている筈、そこらを見て回るのも悪くない。
気ままに行こう、そう思っていた。
聡子とまゆみと秀子に偶然ばったり会うまでは。
「あんたが陽炎さんぞな?」
聡子の訛りに一瞬呆然としてしまった。
「ぞな」ってどこの方言だ、艦娘にもそんな言葉遣いする人はいなかったぞ。あ、でも「でち」がいたか。
「……え、ええ。そうよ」
そう答えると、3人とも陽炎のことをまじまじと見つめる。
「……何?」
「……ふつーの子だね」
「そだね」
まゆみの言葉に秀子が相槌を打った。
普通の子ってなんだ、と問い詰める。
「どういう意味よ?」
「あ……納沙さんって人が、貴女がアンドロイドか、サイボーグじゃ無いかってはしゃいでたから」
「は?」
まゆみの説明に思わずそんな声が出てしまった。
「私がアンドロイドとかサイボーグに見えるの?」
秀子が首を横に振る。
「全然見えないよ、でも納沙さんて想像力豊かだから」
「ホント豊かねぇ……」
ずっと艦娘として戦ってきたが、アンドロイドとかサイボーグなんて言われたことが無かった。
だが、陽炎達の身体には機械の類いは一切入っていないため、アンドロイドとかではないと言い切れる。
ちなみに、陽炎達の世界の人々は、艦娘は艦の生まれ変わりだと思っているようだ。付喪神だとかなんとかというものだと考えているらしい。
陽炎にとってはそんなことどうでもいい、自分が艦の生まれ変わりでも、そうじゃなくても、何かが変わる訳じゃ無いのだから。
「陽炎さんは何してるぞな?晴風旅行かの?」
聡子がそう尋ねた。
「旅行」とは、新たに配属された艦の中を案内されること、構造や配置を覚えるために艦の中を回るのだ。
これからしばらくお世話になる艦、旅行という表現もあながち間違いではないと思った。
「そんなところね」
「もしよかったら、ウチらが案内するぞな」
「いいの?」
「うん!お客さんが来るのなんて久しぶりだし、案内させて」
聡子とまゆみに促され、陽炎は喜んで承諾した。
「じゃあよろしくね!あ、貴女達の名前、教えて頂戴」
「勝田聡子ぞな」
「内田まゆみでーす」
「山下秀子、しゅうって呼んでね」
陽炎は3人に案内され、晴風の中を回り始めた。
「まずはどこから回る?」
「お任せで。私は何もわかんないから」
「1番近い購買でどう?」
「今開いてる時間だから、行ってみるぞな」
不知火「陽炎!更新が止まっていた間に、ついに陽炎改二、不知火改二が実装されましたよ!」
陽炎「そうだったわ!ねぇ、私達を(小説の中で)改装してよ!」
作者「……いや、無理だから」
陽炎・不知火「!?(ガーン)」
明乃「2人とも大丈夫!?」
美波「駄目だ、ショックのあまり放心状態だ」
明乃「どうしたらいい?」
美波「よし、和住さんに改二艤装を造ってもらおう」
媛萌「できないよ!?」
次回もお楽しみに。