『オッサンと!』「若造の」『「何故何バイブルー!!」』 作:ドラゴン・タトゥーのオカマ
ドラゴン・タトゥーのオカマですよろしくお願いします。
「霞が関には秘密結社が居を構えている」
最近若者の間で話題となっている都市伝説だ。
荒唐無稽な話だと思われがちだが、噂が出始めた頃からオカルト板で話題になっていた半人半獣の化け物の目撃情報が激減していった。
聡明な読者諸君には言わずとも理解できるだろうが、半人半獣の化け物とははぐれ悪魔の事である。
つまり、はぐれ悪魔が秘密結社の都市伝説が流れ始めたと同時に目撃数が減ったということだ。
はぐれ悪魔が結託して一つの組織となったのか、あるいは……
これは、赤い髪の悪魔リアス・グレモリーと赤龍帝のいる駒王町の外で戦う大人達のお話。
………………
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……
午後1時 山奥
本来構えられていた古い洋館は見る影もなく無残に破壊され、当たりに散らばる木片と硝子がここに建造物があった事の証左である。
屋敷を破壊したのは二人……否、1人の人間と1体の悪魔の一方的な蹂躙によるものであった。
女の顔は整っており、美人の部類に入る容貌をしていたが顔は2倍に膨れ上がって青黒くなり、歯は3割へし折られた。裸の上半身には無数のガラス片が突き刺さって白磁の如き艶めかしい肌に赤い血が滴り、箇所によって皮膚どころか肉が裂けて骨と桃色の内臓が零れている。
狼のように毛で覆われていながらも走る事に特化した下半身も左脚は捩じ切られ、断面からはどくどくと心臓の鼓動と共に赤が吐き出されている。
常人ならばとうに死んでいるものの、彼女ははぐれとはいえ悪魔。脅威的な生命力でまだ生きていた。
意識を失えたら―または出会い頭の一撃で死ねたらどれだけ良かったのだろう。
獲物が来たと襲い掛かった代償はあまりにも大き過ぎた。
飛び掛った瞬間、一瞬何が起こったのか分からなかったが遅れてきた痛みにより、鼻が折れたのを理解しながら壁をぶち抜いて殴り飛ばされた。
体勢を立て直す前に逃げられない様にと脚を捩じ切られ、タオルのようにぞんざいに振り回されて柱や硝子にへと叩きつけられ、既に悪魔には戦う意志は霧散していた。代わりにあるのは理解を超えたものに対する恐怖。恥も外聞もかなぐり捨てて逃げようとしている。それは生き延びる為ではなく、少しでもこの恐ろしい男から逃れたいという一心で、痛む体に鞭打ち手を伸ばす。
対する男は初老の、何処にでもいる草臥れた皮の様な風体。しかしその肌は浅黒く焼けており、その肉体は鍛え込まれている。背丈は決して高くはないものの、思わず見上げるような凄味を放つ男の方は、死に体の悪魔とは対照的に五体満足で平然としており、己の所業に関してどこか他人事の様に飄々としている。
がれきをかき分けて逃げようとする悪魔を冷たく見下ろし
「逃げられると思うのかい?」
と声を掛けると、這いつくばってまで逃げようとするはぐれ悪魔の腰踏みつけ、そのまま力を込めた。
枯れ枝が折れるような感触の後に、水風船が割れたような感覚を覚える。
それはこの悪魔の脊椎が折れ、腹が踏み潰された音だった。
「ぐげぇええ………」
悪魔の口から赤黒い血と胃の中身が逆流する。
潰れるカエルのような醜い悲鳴が響く。
「君が食べてしまった人間はパトロンでね……お人好しの甘ちゃんではあったけど、君なんぞの糞にされるような人間ではなかったんだよ。」
男は悪魔の髪を掴んで無理矢理顔を上げさせる。
「見えるかい?綺麗な花だろう?」
悪魔は頭に走る痛みに呻き声しかあげられない。
「あそこまで綺麗に咲かせるには苦労したと言っていたんだ。まあ奪うしか能のない君達にはわからないだろうけど、大成させるというのはとても大変な事なんだよ。」
まるで我が子に言い聞かせるかのように悪魔に囁くと、両手が悪魔の顔を捉えて押し潰し始めた。
骨の軋む音がする
「散々奪ってきた君に、何かを活かす機会を与えよう。―いい肥やしになるといい。」
その言葉を最期に、悪魔の頭蓋は潰散した。
悪魔の潰れた大脳と脳漿をカーテンで拭い取って瓦礫の山に腰を下ろす。
男の名は坂堂紘一郎
都市伝説の秘密結社「鎮護府」に属する幹部の一人。
人知れず人外達から国民を護ってきたこの国の剣にして盾である。
今回の彼の任務は二点。
パトロンを食い殺したはぐれ悪魔の抹殺、これが一つ目。二つ目は、殺されたパトロンに頼まれた洋館の取り壊し。
この館を遺して悪魔共の巣窟にされるのは屈辱だと、己の死後にこの館の破壊を頼まれたのだった。
坂堂が悪魔を屠ってから十数分後、解体業者を連れて1人の若者が駆け寄ってくる。
名は高藤慶介、坂堂の部下である。
人外を狩る技術はあるが、それ以外がまだまだ青い為、坂堂の補佐をしつつ学ぶようこんびをくまされている。
余談だが最近幼馴染と結婚したらしいので坂堂は此奴を自分の元から後方部門にへと異動させたい。
悪魔の死体は聖油を掛けて焚きあげて処理し、後は解体業者に任せて缶コーヒーを飲む二人。
ふと、高藤が坂堂を労った。
『任務お疲れ様です坂堂さん。相変わらず惚れ惚れとする手際ですね………』
「胡麻擂りはいい。貴様が私を持ち上げる時は決まって面倒なことを持ち込んできた時だ。さっさと言え。」
部下の賞賛を切り捨てる坂堂。
高藤は己の浅い知恵が見抜かれて引き攣った笑みを浮かべていたがため息を吐いておずおずと話し始めた。
『実は、ある青年が鎮護府に入りたいと申していまして………』
なんのことは無い、入団希望者
この時点ではなんら高藤が坂堂に臆する理由はない、故に坂堂は分かってしまった。何故部下が自分に伝えるのを緊張したのか。
「…………その若者は幾つだ。」
高藤、明らかに言い淀むも観念して白状する。
『えーと………17歳……です………』
やはりだ。
鎮護府の未成年の入団は許されていない。
国民を守る役目とはいえ、警察や自衛隊と比べてあまりにも血腥いからだ。
「認められる訳がないだろう。断りなさい。」
『ひぇえ………』
にべも無く切り捨てる坂堂、萎縮する高藤。
妥当である。国民を守る栄えある役目とはいえやる事は殺しなのだ。子供が入るには過酷過ぎる。
「そもそも何故高校生が我々の事を知っている。
漏らしたバカは…………慶介、貴様か。」
坂堂、深淵より睨めつける邪悪な存在の如き目で部下を見下ろす。
『いやいやいや!!待ってください坂堂さん!!
俺がこの子に教えたのは彼が神器を所有していて裏の事情について知っているから有事の際は助けを求めろということで伝えたのであって………』
高藤、慌てる。坂堂思わず舌打ちをするが、高藤の言い分にも一理ある。
親にも教師にも打ち明けられず、己の持つ神器を盲信して無謀な真似をされても困る。
とは言え、機密を漏らした事には変わりはないので高藤は折檻を避けられないだろう。
「たわけ、我々は何のために戦っているか忘れたのか。国民を悪魔や天使、堕天使共の手から守るために戦っているのだぞ。
なのに国民を、それも未来ある若者を巻き込んでどうする?本末転倒だろうが。」
そうなのだ。
例え裏の事情について知っているとしても、坂堂や高藤にとってその青年は守るべき生命でしかない。喪うもののない自分は兎も角、幼馴染と結婚した高藤や、親のいるその青年は陽の下で歩いて生きてもらわねばならない。坂堂は腹の中でそうぼやいた。
『はい……おっしゃる通りです………でも坂堂隊長、そいつは、強くなりたいと言ってました。大切な人を守る力が欲しいと。
………もう何も亡くしたくないんだと。』
正直、未成年の時点で論外なのだが、高藤がそこまで食い下がる相手というのも気になる。
……気骨のある若者ならば、成人後意志が変わらなかったら入団を認めてもいいかもしれない。
「………会うだけ会ってみよう。」
入団させるとは言っていないからセーフだ、セーフ……と己に言い聞かせる坂堂を見て、(俺にも後輩が出来るんだな)と早すぎる期待に胸を膨らませる高藤。
この時二人は知らなかった、入団希望者の高校生によって聖書の陣営が関わるごたごたに巻き込まれるなんて思いもよらなかったのである。
この作品では鎮護府がHELLSINGのイスカリオテの様な機関であり、支部は日本全国(駒王町以外)にありますが日本各地、地方毎に対化け物戦闘組織はあります。
京都で言うならば陰陽師が該当しますね。
ただ、地方の組織は土着の神や地精の力を借りているのに対し、彼等は人間でありながら人間を超えているので周りからすると噂が独り歩きして本部東京なのに魔境とか色々言われてます。
まあこれくらい出来るようになってから東京でのはぐれ悪魔の遭遇率は激減、神器狩りは起こらなくなったので許してあげてください。
以下、本日オリ主が用いた極意。
鏖の美学
人の枠を超えた人間のみが修得できる技術の1つ。
己の全ての傷害行為に必中の因果と貫通が付与される。これ自体に攻撃力は無いが、使い手次第では文字通り皆殺しを敢行できる。坂堂程の使い手となればデコピンでビルを吹き飛ばす事も可能。
また、防御に転じて敵の攻撃を無力化することも出来る。
反面、貫通の能力があまりにも強い為、己に対する恩恵すら受け付けない。傷を負った場合フェニックスの涙や神器による回復は意味を成さない上に赤龍帝の篭手による倍加による強化等は出来ないが、そもそも下地が出来ていなければこの技術を修めることは不可能なので欠点になり得ない。