無貌の王 作:朝が来ませんように
「何であなたって、いつもフードをかぶっているのかしら?そんなに自分に誇りが持てないのかしら?義賊と呼ばれ、英雄と呼ばれ、称えられてもなお、自分を卑下し続けるの?」
「・・・義賊なんて呼ばれようと、所詮は悪党。追いはぎと変わらない。人に顔見せできる職業じゃなし、フードと泥がお似合いだ。
人間、姿を隠してことに徹すればたいていは上手くいく。憎まれる事もなく、狙われる事もない。信頼される事もなければ愛される事もない。
その生き方を楽だと思った時点で、そいつは人間として仲間外れになったのさ。
俺が、多くのものを手に入れたように思えたかい?
残念、それは幻だ。
顔のない男にはモノを見る目もない訳で。手に入るものも、何もないのさ」
昼寝から目覚めると、昼になっていた。生徒は、昼食をとりにいくみたいなのでルークスは、監視対象との距離を知事めるために接触を図りに行った。
「遠山キンジだったか?」
ルークスは、死んだ目をしているキンジの話しかける。
「ああ、そうだけど・・・何の用だ」
「いや~、飯でも一緒にどうかと思ってね~。なんせオタク俺と同じく不幸体質みたいなんで親近感でな」
「・・・この時間だと屋上が一番人気が無いぞ」
「それは良いねー。屋上に行こうぜ」
場所は変わって屋上・・・・
「じゃあ、改めて自己紹介だ。ルークス・フッドだ。よろしくキンジ」
「遠山キンジだ。こちらこそよろしくルークス」
「それにしても、今朝は、災難だったなキンジ」
「見てたのか?」
「遠目にだがな。朝から、災難な目にあっている奴がいると思えば、同じクラスだったからな。つい声を掛けてしまったわけだ。ついでに、あの転校生にも絡まれるっていう不幸っぷりだ」
「ああ、まったく災難な一日だった」
「同情するぜキンジ」
ルークスは、うなだれたキンジの肩に手を置く。
「さっき、同じ不幸体質って言ってたけどルークスもなんかあったのか」
しばらくして、キンジが復活しそう聞き返した。
「ああ、朝起きたら、何故か、冷蔵庫の中身がすべてブロッコリーに代わっててなー。昨日詰めておいたもんはすべてなくなってたんだ」
「・・・それは、不幸というよりホラーじゃないのか?」
「ァハハハハハ、ハァ~。これがそうでもなくてな。犯人が、妹だったわけよ。つまり、自分で飯を作らない限り毎日ブロッコリーだ・・・それにしても信じられるか?起きたら冷蔵庫の中身がブロッコリーになってるなんて・・・勘弁してほしかったぜ」
「災難だったな・・・」
「ああ・・・」
そうして、傷をなめ合って男たちの昼食は過ぎていった。
放課後、家に帰ると先にセーラが帰っていた・・・
「セーラ帰ってるのか・・・ということは・・・」
急いで、庭に行く・・・やはりというかなんというか・・・セーラは、ブロッコリーを育てていた。庭一面ブロッコリー、ある意味圧巻だ。そしてこんな事態を引き起こしているセーラは、俺の存在に気づくと
「おかえりじゃねー。セーラは、ブロッコリーに恨みでもあんのか?それとも取りつかれてるのか?」
「・・・うん?????」
セーラは、小首をかしげる。我が妹ながらかなりの破壊力だが、今回ばかりは見逃せん。
「セーラ、冷蔵庫からブロッコリーを出せ。さもなければ、ここにあるブロッコリーは燃やすぜ」
そう言い放つと、セーラは、ガーンといった擬音が聞こえてきそうな表情で首を横に振る。
「そうか、なら力ずくでだ。さあ、尻を出しな!昔から悪ガキにはこれと決まってんだ!」
兄弟げんかが始まった・・・。
「
・・・勝敗は、この食事で悟ってくれ・・・・・・・俺はいつまで正気でいられるだろう・・・