無貌の王   作:朝が来ませんように

4 / 6
キンジとルークス

「何であなたって、いつもフードをかぶっているのかしら?そんなに自分に誇りが持てないのかしら?義賊と呼ばれ、英雄と呼ばれ、称えられてもなお、自分を卑下し続けるの?」

 

「・・・義賊なんて呼ばれようと、所詮は悪党。追いはぎと変わらない。人に顔見せできる職業じゃなし、フードと泥がお似合いだ。

人間、姿を隠してことに徹すればたいていは上手くいく。憎まれる事もなく、狙われる事もない。信頼される事もなければ愛される事もない。

その生き方を楽だと思った時点で、そいつは人間として仲間外れになったのさ。

俺が、多くのものを手に入れたように思えたかい?

残念、それは幻だ。

顔のない男にはモノを見る目もない訳で。手に入るものも、何もないのさ」

 

 

 

 

 

 

昼寝から目覚めると、昼になっていた。生徒は、昼食をとりにいくみたいなのでルークスは、監視対象との距離を知事めるために接触を図りに行った。

 

 

 

 

「遠山キンジだったか?」

 

ルークスは、死んだ目をしているキンジの話しかける。

 

「ああ、そうだけど・・・何の用だ」

 

「いや~、飯でも一緒にどうかと思ってね~。なんせオタク俺と同じく不幸体質みたいなんで親近感でな」

 

「・・・この時間だと屋上が一番人気が無いぞ」

 

「それは良いねー。屋上に行こうぜ」

 

場所は変わって屋上・・・・

 

「じゃあ、改めて自己紹介だ。ルークス・フッドだ。よろしくキンジ」

 

「遠山キンジだ。こちらこそよろしくルークス」

 

「それにしても、今朝は、災難だったなキンジ」

 

「見てたのか?」

 

「遠目にだがな。朝から、災難な目にあっている奴がいると思えば、同じクラスだったからな。つい声を掛けてしまったわけだ。ついでに、あの転校生にも絡まれるっていう不幸っぷりだ」

 

「ああ、まったく災難な一日だった」

 

「同情するぜキンジ」

 

ルークスは、うなだれたキンジの肩に手を置く。

 

「さっき、同じ不幸体質って言ってたけどルークスもなんかあったのか」

 

しばらくして、キンジが復活しそう聞き返した。

 

「ああ、朝起きたら、何故か、冷蔵庫の中身がすべてブロッコリーに代わっててなー。昨日詰めておいたもんはすべてなくなってたんだ」

 

「・・・それは、不幸というよりホラーじゃないのか?」

 

「ァハハハハハ、ハァ~。これがそうでもなくてな。犯人が、妹だったわけよ。つまり、自分で飯を作らない限り毎日ブロッコリーだ・・・それにしても信じられるか?起きたら冷蔵庫の中身がブロッコリーになってるなんて・・・勘弁してほしかったぜ」

 

「災難だったな・・・」

 

「ああ・・・」

 

そうして、傷をなめ合って男たちの昼食は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

放課後、家に帰ると先にセーラが帰っていた・・・

 

「セーラ帰ってるのか・・・ということは・・・」

 

急いで、庭に行く・・・やはりというかなんというか・・・セーラは、ブロッコリーを育てていた。庭一面ブロッコリー、ある意味圧巻だ。そしてこんな事態を引き起こしているセーラは、俺の存在に気づくと(にぃ)おかえりとあいさつしてくる。

 

「おかえりじゃねー。セーラは、ブロッコリーに恨みでもあんのか?それとも取りつかれてるのか?」

 

「・・・うん?????」

 

セーラは、小首をかしげる。我が妹ながらかなりの破壊力だが、今回ばかりは見逃せん。

 

「セーラ、冷蔵庫からブロッコリーを出せ。さもなければ、ここにあるブロッコリーは燃やすぜ」

 

そう言い放つと、セーラは、ガーンといった擬音が聞こえてきそうな表情で首を横に振る。

 

「そうか、なら力ずくでだ。さあ、尻を出しな!昔から悪ガキにはこれと決まってんだ!」

 

兄弟げんかが始まった・・・。

 

 

 

(にぃ)今日はブロコリーのご飯に、ブロッコリースープに、ブロッコリーサラダだよ」

 

・・・勝敗は、この食事で悟ってくれ・・・・・・・俺はいつまで正気でいられるだろう・・・

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。